Frengersさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

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シベリアからの手紙(1958年製作の映画)

3.6

ナレーションで語られる通り、客観的であることは不可能である以上、詩的に繋ぐことでシベリアを語ろうとするドキュメンタリー。ウェス・アンダーソン最新作をすこし思い出す、実写とアニメーション、カメラの横移動>>続きを読む

ラ・ジュテ(1962年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

あまりにも深いディゾルブが顔と土地に刻まれた時間と歴史を掘り起こす。女性の顔を再度見ることによる死はファムファタールの要素もある、静止画の繋ぎは1秒24コマの映画をミクロに捉えたものと考えることが出来>>続きを読む

あのこと(2021年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

 胸を大きく見せるために見ていた鏡に映る体が、自分が操作できないものとして反復される瞬間、「嘘をついて」消防士と名乗り店に出入りした男と同じように親友がピン送りされる瞬間にグッと来た。1963年のフラ>>続きを読む

ジェイソンの肖像(1967年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

映るのはジェイソンと名乗る男のみ。小間使やショービジネスで働いていた男は、タバコ、酒、ドラッグを嗜みながらピントが合う/合わない、画面の寄り/引きの中でカメラに向かって、若しくはカメラの外にある気心知>>続きを読む

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

 100年前の離島を舞台にし、隔絶した場所故の因果応報と、顔面殴打や指投げ、最愛の人を亡くすことや内戦を告げる砲撃(島で起こることとの繋がり)といったことが2回ずつ起こるプロットは前作『スリービルボ>>続きを読む

アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

@IMAX3D
同じことを繰り返す事と敵味方が鏡像関係にあることを反復で示すプロットそのものは結構好み。
映像は『エイリアン2』で『アビス』『ターミネーター2』で『タイタニック』でもあって監督の集大
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鉄仮面(1929年製作の映画)

3.7

メチャクチャ面白かった。四銃士がフランスの為に奔走するプロットに拍車をかけるような行ったり来たり、上り下りのアクション。馬乗りと殺陣の群像はたまらない。丁寧に作り込まれたセットと構図の良さ。
アイテム
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RRR(2022年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

@IMAX
とにかく音楽最高。音楽にのって映像がガンガン繋がっていくのがメチャクチャ気持ちいい。中盤のダンスシーンはハイライト。壁や床を同じリズムで叩いて呼応するのは、これがリズムで繋がるミュージカル
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ハーラン郡(原題)(1976年製作の映画)

3.7

炭鉱のストライキを取り上げたものながら、性別や人種を超えた一瞬の団結が描かれ興奮。女性監督だからか、女性が非常にイキイキとした姿で映っている。しかし通底するのは終わらない闘争とその犠牲で、歌い継がれる>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

冒頭の鏡とペンを走らせることに表象される同じリズムを刻むことが、徐々に広がっていく。反復すること、あるいは同じ動きをする人達が増えていく…という、それだけの映画でだからこそ痺れた。人物の関係性を示す位>>続きを読む

隣の女(1981年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

 冒頭の車が走る所をおさめた空撮によるロングショットと同じ構図で走るパトカー(救急車?)に代わるまで、登場人物たちはひたすらに歩き、それを長回しで捉えていく。室内の明かりを点ける/消すことにより共有と>>続きを読む

夫婦善哉(1955年製作の映画)

3.5

作り込まれたセットとそれに合わせて完璧な構図が気持ちいい佳作。前後・横並びの構図による人間関係と金銭問題の配置を明示し、位牌を後ろにむける事に象徴される顔の写しかたによる感情の機微。
前半の地震にあう
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昨日消えた男(1941年製作の映画)

4.0

顔のアップ、視線を合わせていく冒頭の人物紹介から「なるほど、なるほどねぇ」「その通り」と徐々にそれぞれの関係性や状況が雨から晴れるように明らかになっていくというだけのプロット。「言葉を反対の意味で受け>>続きを読む

アメリカン・スリープオーバー(2010年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

 登場人物達が「見る」もの、視線を合わせるものに突き動かされていくもののそれは欲望故に成就しない。夜空の流れ星は「見えない」。しかし違った形でそれぞれの人物たちは自分の喜びを見つける。それは去り際のキ>>続きを読む

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

 2022年にスラムダンクを新たに映像化することと正面から向き合い、針に糸を通すようにここしかない地点に辿り着いた奇跡的な作品。ずっと涙目で興奮した。

 冒頭の汗、蛇口の水、海といった「水」が導く過
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グリーン・ナイト(2021年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

冒頭の長回しによる上昇/下降と半円/円、そして燃やされるという行為が一つの呪いとして、クレジットに寸断される次の長回しも、食物連鎖のイメージとその後の倒れては起き上がるの連続。ブーツはどこ?といいなが>>続きを読む

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

マーベルは背負っているものが大きすぎるなぁと感じた作品。最後のシュリVSネイモアが陸で戦っていることは、ネイモアが初めて陸に上がり弔おうとしたときの事とつながっていて、人間にもネイモアにもならずブラッ>>続きを読む

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

 @IMAX
 『君の名は』『天気の子』の流れを汲む当然の帰結でありながら、宮崎駿も庵野秀明を通過した2022年の総決算的作品。至極真っ直ぐな道程だと感じる。
 今回の主題は3.11で、12年前(干支
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宮本武蔵(1954年製作の映画)

3.5

合戦の左vs右に象徴される横移動と場面転換に使われる手前と奥の移動が良かった。高所にとどまらざる終えない三船敏郎の馬に乗る、殺陣、全力疾走シーンが気持ち良く、彼がいなければ成立しないだろう映画。とにか>>続きを読む

パラレル・マザーズ(2021年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

素晴らしかった。本作は個人の間のリレーションシップからスペインの内線まで含め、繰り返してきたこと(反復)によって様々な断絶をのり超えることについての映画。それを象徴する顔のアップがパラレルな構図の画面>>続きを読む

窓辺にて(2022年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

 もしかしたら現代性はあまりないかもしれないし、10年前にも作られる可能性があったかも知れない。劇伴や衣装、照明を見ても今の流行とはかけ離れている。しかし、本作は優れたインディ映画で、2022年に見た>>続きを読む

エル ELLE(2016年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

 以前Clipしていたので。簡単に要約すれば因果応報について、それにより個人のトラウマから解き放たれることについて。演出面でいえば2回反復することで清算していくという非常にシンプルなもの。冒頭のレイプ>>続きを読む

線は、僕を描く(2022年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

 光と色の変節についての作品。冒頭の絵に向き合ったショットの横浜流星演じる青山霜介の頭上からたかれる光は、新しい出会いを迎えるショットで必ず降りかかる。そして画面を占めていた青が弁当のソース、バラ、車>>続きを読む

スペンサー ダイアナの決意(2021年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

 冒頭の隊列を捉えた流麗なショットからメルヴィルを、蝋燭や自然光を生かした照明とカメラワークには ヴィスコンティを想起した。サイコロジカルな内面と外面の断絶を描きながら、安易なホラー演出に陥らず、不穏>>続きを読む

湖のランスロ(1974年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

前作、そして直前にみた「たぶん悪魔が」と映像の根本は変わらない手と足の描写。馬の疾走でさえ全身が映るのは微々たるもの。アクションシーンの細やかなカットはリドリースコットに受け継がれた?決定的なのは視線>>続きを読む

たぶん悪魔が(1977年製作の映画)

4.0

この映画好きだわ。靴の裏と切り株が繋がり、賛美歌とヒッピーの鳴らす音楽が繋がる。しかし、主人公はどこにも居場所を感じられない。環境問題と友人関係、反体制と社会法規、キリスト教と自殺願望、どちら側にもつ>>続きを読む

魔人ドラキュラ(1931年製作の映画)

3.5

画面構成の見事さ、階段の上り下り、手と手元のアップ、鏡

化粧雪(1940年製作の映画)

3.7

構図がひたすら最高なまま長回しが続くのが最高過ぎる。居間のシーンのあと、主人公である山田五十鈴演じる勝子が部屋を後にして移動した後別室での会話劇が終わるまでカットが割られることがない。冒頭の町を映した>>続きを読む

気狂いピエロ(1965年製作の映画)

4.0

劇場にて。
文学、絵画、音楽と接近しながら、人生を語ることが出来ない。ロマンティックな男はそれゆえに自爆しなければならない。赤青黄の原色に回帰しながら、車の爆破は左に、ダイナマイトの炎は右に移動する。
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秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

73分。この長さだけで本作への期待は特別なものだった。蓋を開けてみればやはり凄い作品だった。双子が並んだポスターを見た時から「もしかして」と思っていたけれど、冒頭の各病室への挨拶を捉えた長回しでほぼ確>>続きを読む

20センチュリー・ウーマン(2016年製作の映画)

3.6

 Mike Millsって音楽や音、もしくはTシャツにあしらわれたアーティストに登場人物の立ち位置を象徴させるんだなぁ。1970年代後半という時代背景を舞台に、ニューウェイブ、ポストパンクに入れあげる>>続きを読む

百花(2022年製作の映画)

3.1

このレビューはネタバレを含みます

邦画の中ではかなり挑戦的な作品だったのでは?イニャリトゥの様な長回しとケネス・ロナーガンの様な編集が同居しているという意味で。90s~00sに未だ引きずられていると日本の作品に感じている人間としてはか>>続きを読む

フライングハイ(1980年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

設定自体がフリになっていて割と楽しく見れた。西部劇、アメリカンニューシネマ、パニックムービーとアルトマン的群像劇を通過してコメディにしたら、と考えると納得の出来。

爆笑した所『地上より永遠に』『サタ
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ファウスト(1926年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

伴奏あり。
二回反復することについての映画。
窓から顔を出す、人に囲まれる、教会での後ろ姿、「愛してる、愛してない」、炎と十字架…
徹底的に喜びから悪夢への反転がありながら、最後の天使と悪魔の語らいの
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

@IMAXレーザー。
SFやホラー、『未知との遭遇』云々といった宣伝文句はミスリードだと感じるほど映画についての映画だった。見る/見られる、アナログ/デジタルを行き来しながら、謎の生物は映画の始祖
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裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

4.5

とにかく「顔」が占める映画なんだけど、表情の移り変わりは時間を、カメラの位置からは人物達の関係性を、視線からはカメラの動きを読み取ることが出来、飽きることはない。プロットは大して必要ない事を照明するシ>>続きを読む