せいけさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

せいけ

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小説家の映画(2022年製作の映画)

5.0

ホン・サンスは明らかに映画作家として円熟期に到達しているとも言えそうだけど、ただ個人的な映画を気軽に撮っているようにも見える
それでも会話の撮り方は洗練の極致に達しているとしか言えないレベル
映画を見
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Pearl パール(2022年製作の映画)

4.3

鮮烈なビジュアルとミアゴスの熱演で元は取れてる
時代設定は100年以上前だけで、むしろ今の話になっているという印象
極彩色も展開するにつれどんどん皮肉に映ってくる
思いは赤裸々であっても感傷的になりす
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CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

5.0

2人の少年の親密な関係性とその悲劇を描いた映画
レオの1人称視点が多いこともありかなり感情移入させられた
曖昧なもの、というよりわざわざ決定させる必要がなかったものもはっきりさせたがる周囲の好奇心が2
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マンハッタン(1979年製作の映画)

4.3

マンハッタンという街で描かれるちっぽけな人間たちの恋愛模様
理屈っぽく捻くれた人たちをおしゃれな映像で見せていく
正しさだけで紡がれない人間関係はフィクションで見るとやはり面白い
この情けなさ、みっと
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クレヨンしんちゃん 暗黒タマタマ大追跡(1997年製作の映画)

4.5

クレヨンしんちゃん映画の中でも意外と渋い魅力も持った作品だと感じた
ポスターでも示されるようにアメリカンニューシネマを思わせる演出が頻出してきて、安直なカタルシスに回収しない、これはコメディだという意
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書かれた顔 4Kレストア版(1995年製作の映画)

5.0

一言で言ってしまえばとても美しい映画でした
ドキュメンタリーという体裁をとっているけど、確実に演出も入っているしフィクションとドキュメンタリーの境界を彷徨っているような感覚
どんな映画もドキュメンタリ
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さらば、わが愛/覇王別姫 4K(1993年製作の映画)

4.7

激動の時代を生き抜きながらも運命に翻弄される京劇の演者2人とその妻
愛憎乱れる三角関係というミニマルな話と戦争や革命など歴史的な大きな話が掛け合わさり要素は多くともしっかり密度が濃い物語に
とにかく映
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ラヴ・ストリームス(1983年製作の映画)

5.0

ほとんどのシーン、特に終盤以降は何を見せられているんだ?の連続なのだがどうしても惹きつけられてしまう
愛を信じ渇望するサラは離婚により心のバランスが乱れてしまうが決して生きることを諦めない
良いも悪い
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アシスタント(2019年製作の映画)

5.0

限定された空間での非常に抑制された語り口
声にできないもどかしさが環境音などで代弁するかのごとく訴えかけてくる
いやらしい社会の歯車にたらし込んでくるような演出がとても見事で直接的ではないからこそ効い
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バービー(2023年製作の映画)

5.0

作家としてホップステップジャンプの具合が凄まじすぎるグレタ・ガーウィグ
ポップでキュートなバービーランドの世界観と現実世界の対比からなる鋭い批評性に唸りながら何度も大笑いさせられた
過剰なブラックユー
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マイ・エレメント(2023年製作の映画)

4.5

火と水による多人種間のシンプルな王道ラブストーリー
若い2人の惚れた腫れたや夢についての話に感動させられて、自分にもまだ瑞々しさが残っていてひと安心
正直に言えば話の展開自体は特段意外性もなくテーマ性
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しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 〜とべとべ手巻き寿司〜(2023年製作の映画)

4.3

今回もしっかり笑って泣ける安定のクレしん映画
不安要素であった3DCGはアクションシーンでしっかり活きていて特撮風なケレン味あるカメラワークなどこれまでと違った面白さを十分感じられた
ストレートでやや
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青春神話(1992年製作の映画)

4.0

台湾という街がただ画面に現れるだけで勝手にエモーショナルになる不思議
この時代に台湾の映画作家はそれをクールな撮影で捉えている
それだけで2時間弱引きつけられる
ストーリーらしいストーリーはなくモラト
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ラルジャン(1983年製作の映画)

5.0

フレーム内で提示される情報の整理が洗練され尽くしている
大仰な演出は一切取り除き、見せるものと見せないものの正確な取捨選択で映画の緊張感を極度に高める
ストーリーの説明は少ないが、一言で言ってしまえば
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.0

頑固なお爺さんが作ったわからなければ結構という雰囲気と童心に帰って生き生きとした雰囲気両方感じる不思議な映画
とにかく所作の描写が洗練され尽くしている
そして珍妙で印象に残るキャラ造形
スクリーンでジ
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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

4.5

ケレン味溢れまくるカメラワークとまさしく命懸けのアクション最高に楽しい映画
正直関係性が複雑で説明セリフも長い割によくわからない、アクションと会話が分離されすぎている、というか余りにもアクションを見せ
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遊び(1971年製作の映画)

4.3

倫理ではなく欲望に突き動かされる未熟な男女のメロドラマ
回想の入れ方やなんでそうなる的な行動の飛躍などスマートではないけど、ある種の過剰さに引き込まれる
ちょっと古風が過ぎる時代感や価値観だけれども、
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ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022年製作の映画)

5.0

話すこと、記録することが未来の世代の繋がるという視座の高さに身が引き締まる思いでずっと鑑賞した
結果重視な昨今のエンターテイメントの風潮へのアンチテーゼも少し感じつつ
説明は削ぎ落とし、情報は豊富とい
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間奏曲(1957年製作の映画)

4.3

情念と倫理の間で揺れるメロドラマ
豪勢な音楽と神聖な美術など映画としてのルックも目を惹かれるものがあり、人物の心情を正確に映す照明使いも素晴らしい
アメリカを離れドイツにやってきたヘンリーの気品高くも
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あなたの顔の前に(2020年製作の映画)

4.2

動きの少ない画面と肩の力が抜けた自然な会話、映像では明示されないものが多く終盤に出てくる居酒屋の如くまさしく小説のような映画
他者が知り得ない人間の内面は言葉を持って飲み示される
ホン・サンスには珍し
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イントロダクション(2020年製作の映画)

4.3

モノクロとシンプルでリアルな会話劇とズームとお酒とタバコ
まさしくホン・サンス流の映画
核心的なところに触れる前にサラッと映画が終わってしまうため普通の映画とは違った感触
ただ今作のズームは何かどろっ
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Rodeo ロデオ(2022年製作の映画)

4.2

作品の中で描かれていること全てを飲み込めたわけではないけど、主人公の人物表象はかなり先進的なのでは
キャラクターとしての鮮烈さと規範に縛られない自由さを体現しつつ豪胆さだけで成り立っている人物ではなさ
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1秒先の彼(2023年製作の映画)

4.5

オリジナル版は未見
ややコミカルさが過剰だったり、作りが丁寧過ぎたり必ずしも好みな作風ど真ん中ではないけど描かれているテーマの優しさに胸を打たれる
クドカンのてらいのないバカバカしいセリフ回しを山下監
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晩菊(1954年製作の映画)

4.5

如何様にも辛気臭い話になりそうな話だがそうさせない清々しさがある
男や子供に振り回され蔑ろにされる苦悩を描きながら、それをもろともしないような自分の足で人生を歩んでいくたくましさを感じる
これもひとえ
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スリ(掏摸)(1959年製作の映画)

4.5

虚無感に取り憑かれた青年がスリに魅了されていく話
無感情に生きる男を余分なものを削ぎ落とし表現していく
当たり前といえば当たり前だがスリルあるシチュエーションと成功したときの快楽の演出が凄まじい
主人
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天はすべて許し給う/天が許し給うすべて(1955年製作の映画)

4.7

歳の差や階級の差を超えて愛し合う男女2人のメロドラマ
ストーリーを説明すると一言で片付くようなシンプルさ
時代感の違いもあり、そこまで否定されることかなと怪訝に思いつつも演演出の秀逸さにより引き込まれ
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カード・カウンター(2021年製作の映画)

4.0

渋い、なかなか捉えどころなく困惑しながらも最後まで見てしまった
ポール・シュレイダー感溢れるボイスオーバー陰鬱とした主人公造形にこれこそと思いつつ、その後の展開は尽く観客の見たいものを迂回していく
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ガール・ピクチャー(2022年製作の映画)

4.2

当たり前なことなんてないことを当たり前に描いてくれる
スタンダードサイズの画面は小さくも切実な内面を抱える彼女たちを捉えていた
クィアな物語だけれども不確かなことが多い思春期だからこそ自分で明確に決め
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みんなのヴァカンス(2020年製作の映画)

4.8

ギヨーム・ブラック初鑑賞
大変愛おしいバカンス映画
出てくる人々みんながちょっとズレていて、バカンスの高揚感と素敵なロケーションもあって普段の生活を忘れてしまうような多幸感に溢れている
実在の人物かと
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それでも私は生きていく(2022年製作の映画)

4.8

社会的に自立していながらも受動的に生きざるを得ない人生のままならなさが描かれていると感じた
カッコつきの普通の人だってこれほど人生の課題を抱えていてあっという間に時間は過ぎていくことをミア・ハンセン=
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エッセンシャル・キリング(2010年製作の映画)

4.5

極限までシンプルに研ぎ澄まされた闘争劇
追われる状況の命がけからなる本能を炙り出す
そこに場所と動く物体があれば映画は撮れると宣言するようにひたすらセリフもなく動きを捉えていく
始まりからは思いもよら
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EO イーオー(2022年製作の映画)

5.0

ロバ視点で語られる構成のため当然セリフは少なく物語らしい物語は移動のみ
カメラは内面を映さないが推測することはできるくらいのバランス
これにより映画としての純度が極限まで高まりクラシカルな画面作りも相
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せかいのおきく(2023年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

映像の美しさ、俳優の演技の瑞々しさなど美点はありつつも個人的にはハマらず
時制の飛び方や章立て構成、時折挿入されるカラー演出などがあまり生きていないのかなと
意図はなんとなくわかるけど、内側まで響いて
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リトル・マーメイド(2023年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

リトル・マーメイドこそ実写化する意味があったんだと感じる1作
人間と海底の世界の断絶はアニメーションより実写の方が伝わってくるし、生身の俳優が演じるからこそ、人間と人魚という対比が効いてくる
主演のハ
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

5.0

ビデオカメラの記録からなる記憶、人の内面は映せないカメラの特性を活かした映画的な物語構築に心を打たれた
父と娘のバカンスは一見微笑ましく見えるが、どこか不穏さも漂う
意外なほどに親子が目を合わせて話す
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怪物(2023年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

是枝裕和と坂元裕二による化学反応が間違いなく起こっている
やや文学調なセリフとそれを自然に響かせる演技と演出そしてあらゆる日本の社会問題を背景に大人と子供のそれぞれの世界が描かれる
まずロケーションが
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