シャチ状球体さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

ゾンビ4(1988年製作の映画)

2.4

新宿ビデオマーケットで買った、日本ではサントラだけ発売されているゾンビ映画。

まず、ホラーには全く似つかわしくないユーロビート調のテーマ曲が流れるオープニングは間違いなくこの映画のピーク。
音楽だけ
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ジョイランド わたしの願い(2022年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

男性が女性差別の構造を作り出している、というのは結構な単純化であることを描き出す映画。そういうことを言ってる人はほぼ確実にトランス差別もしてるんで……。

ハイダルは(今確認できないけど確か)ヤギを殺
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恋するピアニスト フジコ・ヘミング(2024年製作の映画)

4.0

「〇回弾くところを〇回弾いたとか、そんなのはどうでもいい。大事なのは魂が入ってるかどうかよ」的な言葉がとてもぐっと来た。
ピアノって、譜面を正確になぞるために弾いてるんじゃないもんね……。

フジコ・
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殺しを呼ぶ卵 最長版(1968年製作の映画)

2.9

レンタルするかどうか迷ってたらいつの間にか配信されてた映画。

非常に奇妙な内容で、台詞は抽象的だし各シーンはイメージ映像のよう。
サディズムをテーマにしたソフトポルノサスペンスというのが一番近い表現
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ロスト・イン・シャドー(2024年製作の映画)

3.7

2時間越えの映画は合わなかった時のダメージが大きいので前情報を入れてから観てるんですが、『ザ・レイド』っぽいという感想を見て一気に乗り気になったので視聴。

オープニングからいきなりジャパニーズ・ヤク
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ルー・ガルー: 人狼を探せ!(2024年製作の映画)

3.0

ジャン・レノたち一家が人狼ゲームっぽいボードゲームの世界に入って(タイムスリップをして)大変なことになるコメディ映画。

実際の人狼ゲームと同じようにプレイヤーそれぞれに配役が与えられていて、家族内の
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べネシアフレニア(2021年製作の映画)

2.6

60~70年代にイタリアで流行ったジャッロ映画のオマージュ。昔ながらのオープニングもちゃんとあります。

オーバーツーリズムって、観光客じゃなくて適切にゾーニングを行わない行政等の責任なので、そこを無
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永遠に美しく…(1992年製作の映画)

2.8

永遠の命はメリットばかりじゃない、というのはいいんだけど、差別発言が普通に出てくるのが微妙なのと、若さと美しさが結び付いてるのは自然の理じゃなくて人間社会が作り出した後天的な空気だと思う。

あと、こ
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アイズ・オン・ユー(2023年製作の映画)

3.8

オーディションでは直球のセクハラ発言をされ、俳優志望なのにようやく出演が決まったのはバラエティ番組……序盤でシェリルの散々な俳優生活を見せつけられるので、どんなにつまらない番組でも本気で頑張らなければ>>続きを読む

スープとイデオロギー(2021年製作の映画)

5.0

この映画に登場する人たちは、皆歴史のセンシティブな部分を言葉では言い表せないくらいに深く背負わされている。

日本政府が当時進めた北朝鮮への帰国事業、朝鮮総連で活動していた母たち。
歴史自体も混乱の真
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ルチオ・フルチの 恐怖!黒猫(1980年製作の映画)

2.6

ピノ・ドナッジオが提供した楽曲の方が有名そうな映画。
これで日本で販売されているルチオ・フルチ監督作品はコンプリート……。

フルチとミステリー小説って、タンポポの綿毛と扇風機ぐらい相性が良くないと思
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津軽じょんがら節(1973年製作の映画)

3.1

インターネットが普及するより20年位前だから、東京から津軽に越してきた時の環境変化は今以上だと思う。しかも公道もない村なので車すら走ってない。

本屋もレコード店もないっぽいし、暇を潰すものが文字通り
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恋するプリテンダー(2023年製作の映画)

3.2

こういう役(どういう役?)ばかりやらされてるシドニー・スウィーニー主演のラブコメ。

内容は今時あり得ないくらいベタで、同性カップルが登場すること以外は30年前にタイムスリップしたような感覚を味わえる
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グラディエーター(2000年製作の映画)

3.6

ホアキン・フェニックスとラッセル・クロウが若い。

コモドゥスの行動を支配する権力欲がいまいち見えないというか、台詞以上のものが感じられないのでマキシマスが置かれた理不尽な境遇に悲壮感や説得力が欠けて
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キャドー湖の失踪(2024年製作の映画)

3.0

超が付くほどスローテンポなタイムリープサスペンス。

オープニングに見せ場を持ってくるわけでもなく、特にアクションがあるわけでもない。パリスとエリー、それぞれが別々の目的で同じ森にやってくるまでに映画
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サイゴン・クチュール(2017年製作の映画)

3.4

同じ柄の服を着た人を見つけるのが難しいくらい色とりどりな都市・サイゴン。

ニュイのタイムスリップが時代の流行とか実家の成功/失敗にしか影響しないのがスケールが小さくて微妙だけど、流行って古いとか新し
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オペラ座 血の喝采 完全版(1988年製作の映画)

2.6

キングレコードから発売中のBlu-rayを買うかどうか迷ってたらいつの間にか配信されてた映画。

ダリオ・アルジェントの過去作と比べてもかなり(監督の)欲望に忠実な映画で、何の脈略も無く頻繁に挟まれる
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FLY!/フライ!(2023年製作の映画)

3.2

マガモの家族が旅をする動機がジャマイカに行きたいから、という結構アバウトなもので、平和でエサも手に入る沼地を抜け出す理由として少し弱い気がする。
わざわざ危険を冒してまで冒険をすることの必然性が感じら
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猫が教えてくれたこと(2016年製作の映画)

4.1

イスタンブールに住む色々な猫々。

作中でインタビューに応じている人はほぼ全員猫に対して何らかの幻想を投影しており、街の開発で緑がどんどん減っている状況も相まって人間の身勝手さがより際立つ。

人間と
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リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

3.5

低予算&コンパクトな上映時間のループもの。

割と多めの登場人物はそれぞれキャラが立っており、舞台となる小さめの温泉旅館とフリー素材っぽい音楽が絶妙な情緒を醸し出している。

瞬きしてる間に次から次へ
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.6

まず、この映画は殆どのシーンで二人以上が会話しているので、視点人物存在しない。
サンドラの夫に何があったのか、死因は何なのか。肝心な部分は映像として映されないし、誰がどこまで真実を述べているのかを確認
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呪われし銀(2021年製作の映画)

3.4

歴史をテーマにしたゴシックホラー。

過去に虐殺が行われた村で、呪いの込められた銀の歯を見つけた少年たちが災いに巻き込まれてしまう。
舞台が1910年代でコレラが大流行中のイギリスの町外れということも
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ワッツ・インサイド(2024年製作の映画)

3.3

倦怠期カップルばかりの結婚パーティにヤバすぎフォーブスが現れて大変なことになる話。

フォーブスが屋敷に現れた途端に照明がショッカー本部みたいな緑色の怪しげなものに変わり、SNS中心の生活を送る登場人
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死霊伝説 呪われた町(2024年製作の映画)

3.0

U=NEXTで突然配信されたスティーブン・キング原作の映画化。
X(旧Twitter)の、人間食べ食べカエルさんの投稿で知りました。

作家の主人公が生まれ故郷に帰郷したら謎の事件が起こる……という、
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四月になれば彼女は(2024年製作の映画)

2.4

『世界の中心で、愛をさけぶ』っぽいトレイラーを見て気になってたやつ(
世界の中心で~が好きなわけではないです😊)。

オープニングからいきなりボリビアの絶景が映り、自然とか世界とか宇宙とかに比べれば人
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ヒューマニスト・ヴァンパイア・シーキング・コンセンティング・スーサイダル・パーソン(2023年製作の映画)

3.8

ヴァンパイアとヒューマニスト、この2つの言葉を繋げる発想がまず良いよね……。

世界観の説明が全然無いけど、恐らくこの世界ではヴァンパイアがある程度繁栄していてかつ人間には知られていない。というより、
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COME TRUE/カム・トゥルー 戦慄の催眠実験(2020年製作の映画)

3.1

睡眠ってその日1日の記憶を再構築する現象でもあるから、不安定な生活がそのまま夢に現れてしまう。
最初にサラが公園で眠っているのは家に居辛いからで、この居場所のない閉塞感が泊りがけの入眠実験に参加する動
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喪う(2023年製作の映画)

4.4

危篤状態である父親の姿は基本的に映らない。重要なのは残された3姉妹の関係であり、会話劇の中で全てが移り変わっていく。

3人共全く性格も過去も現在の環境も違うし、合うわけない……んだけど話が噛み合う瞬
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ウィル&ハーパー(2024年製作の映画)

5.0

トランジションしたハーパーと、長年の親友であるウィルのアメリカ横断ロードトリップ。

ダイナーでミスジェンダリングされたり、バスケの試合に来てたインディアナ州の知事が未成年者への性別違和治療を禁止する
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ナミビアの砂漠(2024年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

家族やその他の人間と良好な関係を築いているべき、という軌範がまずあって、責任を取るべきとか労働を続けるべき、とかその他大勢の軌範も内面化しているカナはずっと苦しむんだけど、最後は別にどっちでもいいじゃ>>続きを読む

碁盤斬り(2024年製作の映画)

3.0

草彅剛演じる柳田格之進の実直&清貧さに國村隼演じるケチ兵衛が影響されて文字通り人が変わってしまうという序盤のエピソードは、唐突過ぎて説得力がない。お金よりも大切なものを見つけたということなんだろうけど>>続きを読む

ゾンビ3(1979年製作の映画)

2.9

素性も分からない謎の研究者が曖昧な理由でゾンビを復活させてしまい、それとは特に関係のない旅行者たちが酷い目に遭う映画。
ダメ映画なのは間違いないんだけど、要所要所で光る要素を見せてくれるのであまり憎め
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ある男(2022年製作の映画)

4.1

人物描写の解像度が一々高くて見入ってしまう。

導入部分の時点で、谷口大祐を名乗る人物と里枝が恋仲になる過程が丁寧に描かれていてその後の展開に説得力がある。何らかの形でケアをし合える状態の関係が次第に
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クジラの背中で話すコト(2023年製作の映画)

2.8

「私が好きな人は私が決める」って言いながら、やってることは好きな人の趣味に自分が合わせること。

これは邪推だけど、ハルカだけ名前がカタカナなのは、明生……ひいては作り手の理想だからだと思う。
ハルカ
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エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版(1994年製作の映画)

3.7

都市&都市。

経済成長真っただ中の台北、登場人物が全員仕事とプライベート共に躍動しまくっていて、生活の安定なんてあまり考えなくてもよく、個々人の欲望が無尽蔵に広がっていく空気感が独特。
今だとタワマ
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シーフォーミー(2021年製作の映画)

3.8

侵入される側が悪悪(わるわる)超人じゃない『ドント・ブリーズ』みたいな映画。

まず、視覚障害の主人公を実際に視覚障害の俳優が演じているだけでも作り手への信頼度がある程度担保されている。
聖人君主じゃ
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