あさんの映画レビュー・感想・評価 - 11ページ目

あ

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トリコロール/赤の愛(1994年製作の映画)

4.3

主人公が元判事に犬を届けにいくことで、主人公の周りにある元判事の過去のような現在と、元判事の空白が暖かみで埋め尽くされていく様が圧巻でした。若干タイムリープを感じさせる不思議な世界観でしたが、テーマが>>続きを読む

バーディ(1984年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

アラン・パーカー監督は格子から差し込む光が好きなのでしょうか?「エンゼル・ハート」と本作しか観ていませんが、やたら出てくるので気になりました。

バーディがなんでそんなに鳥が好きなのか全く分からず、し
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愛に関する短いフィルム(1988年製作の映画)

4.3

覗き魔を普通に家へあげてしまう女の行動など、少々突飛なところが多い映画ですが、全く不自然に感じさせない。これがキエシロフスキの魔術かと思わされました。色々な男の気配を感じさせることで、女の行動原理をち>>続きを読む

召使(1963年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

召使として雇った男が家を乗っ取っていく、この立場逆転劇を殆ど一軒家の中で巻き起こすところが面白かったです。しかし、最後トニーが突然アル中になってしまったところしかり、人物の行動や状況の過程がいまいち上>>続きを読む

ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)

4.5

この映画の凄いところは、ヤンヤンが映画なところです。

ヤンヤンの出現率があまりにも低いので、途中で話の行く末が心配になってきましたが、半分くらいきたところではっと気づきました。話の切れ目ごとにヤンヤ
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ペトラ・フォン・カントの苦い涙(1972年製作の映画)

3.7

マレーネが存在感の割に何も起こさなかったところはいまいち納得に欠けました。最初に「マレーネになった人に捧ぐ」的なことを言っておいてこれでいいのか?と思ってしまいましたね。しかし、通じ合ったと思った相手>>続きを読む

水のないプール(1982年製作の映画)

3.0

セクハラ世代のおっさん向け映画でした。
昆虫採取から若い女を採取しに行く流れはよくわかったんですが、自分の血を見てから殺人に向かうと思いきや、女性の体でお人形さんごっこを始めた内田裕也には笑うしかあり
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

5.0

ありがとう、いいスルメです🦑
噛めば噛むほど味がする、単調だけれど侮れない一作でした。

後ろからマイケルに脅かされた時、すかさずマイケルを振り払ったソフィ。お父さん、腕を掴まれずに襲われた時の対処法
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M(1931年製作の映画)

4.1

犯罪者もその犯罪者を敵視する民衆も狂っていて、なんら対話ができていないところが、本作公開直後のファシズム到来を思わせ、なんとも言えない恐ろしさを感じました。民衆や行政権力が犯人を一心不乱に捜すところは>>続きを読む

デルス・ウザーラ(1975年製作の映画)

3.5

舞台が壮大なシベリアのタイガにもかかわらず、とにかく普通でした。とにかく黒澤監督は、活劇を得意とされていたからか、どうしても本作のように静かに被写体に寄り添う映画になると、地味になってしまう印象です。>>続きを読む

トリコロール/白の愛(1994年製作の映画)

4.3

青の愛に比べると、展開の面白さに終始していたような気がします。しかし、「言葉」「窓に映る影」「電話」など、小さな要素の積み重ねが効果的に作用していて素晴らしかったです。

最後刑務所の窓に映るドミニク
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どぶ(1954年製作の映画)

3.5

一言で表すと、ダーティな「道」です。
個人的には、ただでさえ演劇調なわざとらしい演技が溢れる中で、ツルの誇張しすぎた障害者描写が見るに耐えず、終盤まではかなりきつかったです。一方でラストのツルがリンチ
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ブンミおじさんの森(2010年製作の映画)

4.5

フエンとブンソンが現れたところでアタリを確信する映画です。こんなにも唐突なのに不自然じゃない心霊描写は初めて見ました。

死者は生者を抱き、生者は死者を抱く。森と里の境界が曖昧なように、生と死の境界線
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ロリ・マドンナ戦争(1973年製作の映画)

2.5

田舎のヤバいやつにぴったりなキャスティングは見事でしたが、うーん...ロリ・マドンナはどこへ行った...となる映画でした。一人の女を巡って家族の運命が狂っていくという、「傷だらけの挽歌」のようなプロッ>>続きを読む

トリコロール/青の愛(1993年製作の映画)

4.7

戻らない過去を捨て去ったつもりでもなお残る愛情を、「青い」飾りで残す。この色彩感覚にはびっくりしました。キエシロフスキ、やばい。

この話、「交通事故で夫を亡くした女性が、過去との折り合いをつけていく
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緑色の髪の少年(1948年製作の映画)

2.9

そこそこ高級な食材を、普通に料理してしまった映画という印象を受けました。髪色が変わってしまったとして、なぜ緑色なのか、というナンセンスな問いが頭に浮かんでしまう時点で、そもそも子供の髪色がある日突然変>>続きを読む

仮面/ペルソナ(1967年製作の映画)

4.0

言葉を失った人物を題材とする時、普通はその人物の人生に深く迫っていきそうな気がしますが、今作は、言葉を失った人物の「沈黙」が段々と看護師に感染していくという、なんとも斜め上の展開が繰り広げられていたの>>続きを読む

ハズバンズ(1970年製作の映画)

4.5

真下に既にレビューされていたので書きにくいですが、やっぱりホームパーティーで男4人が子どもみたいにじゃれあっている写真から、唐突に喪服の3人が歩いてきた瞬間に、一気に引き込まれてしまいました。ああ、死>>続きを読む

少年、機関車に乗る 2Kレストア版(1991年製作の映画)

3.8

どこか「都会のアリス」を彷彿とさせる、ハートフルなロードムービーでした。
これは土地が狭い日本では面白いロードムービーが撮れないな、と思わされました。やはりどこまでも続く平原はロードムービーにおいてマ
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奇跡(1954年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

信仰を持たない者、信仰を持ちながらもどこか疑いが晴れない者、それでも信仰を持つ者...この緻密な人物描写に基づいた信仰のグラデーションを、ほとんどカメラのパンだけで説明しきった力作でした。ラストの復活>>続きを読む

ロバート・アルトマンのイメージズ(1972年製作の映画)

2.5

うん、よく眠れた。流石に同じことの繰り返しが過ぎました....。そもそも主人公の狂気にノれなかったら、本当にただの睡眠導入剤になってしまう映画ですね。自分には全く合いませんでした。

マッドマックス(1979年製作の映画)

3.7

マックスが最後の最後まで全然怒らないのがちょっと面白かったです。
冒頭のナイトライダー死亡の要素が、暴走族がマックスの妻子を狙う前にマックスの同僚を死亡させるという大きなイベントを放り込んでしまったお
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アルカトラズからの脱出(1979年製作の映画)

4.4

菊の花が絶妙にいい味を出していた映画でした。
罪人であれど尊厳はある。その尊厳を守らないのであれば、脱獄を繰り返す。そういった単純明快な行動原理が骨太なストーリーを生み出していたところがよかったです。
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白い肌の異常な夜(1971年製作の映画)

4.1

清純さを装った処女たちが、実は男を知らないはずがなかった...
一見女しかいないように見える女学園だけれども、額縁、ペンダント、そして来客というふうに、最初からチラチラ男の影が垣間見えるところがよかっ
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絞殺魔(1968年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

どちゃくそ面白い...。これは生きててよかったです。実在の事件を純粋になぞっていくとなると、かなりストーリーが単調になりがちだと思います。しかし本作は全くの例外と言えるでしょう。前半と後半でガラリと物>>続きを読む

木靴の樹(1978年製作の映画)

4.1

まるまる太ったガチョウや豚を難なく屠殺する様には、まさに本物のベルガモの農民たちなんだと思わされました。
フィルマークスのサムネを見るに、完全に「友だちのうちはどこ」系の映画なのかと思っていたら、全然
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アマチュア(1979年製作の映画)

5.0

たまたま手に取ったDVDがこんなに面白いとは、レンタルビデオ屋もまだまだ捨てたもんじゃないですね。

本作は、生まれた娘の成長を記録するためにカメラを買った男が、やがてアマチュア映画監督になっていくま
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たたり(1963年製作の映画)

4.1

家が人間のように女に欲情してしまう様が本当に面白く、衝撃的な映画でした。90年おきに好みの女を摂取しないといけないという幽霊屋敷は、どうしようもない男だと思う一方で、ちゃんと女の選り好みをするところが>>続きを読む

ザ・ホエール(2022年製作の映画)

3.6

オンラインミーティングの画面を使った演出と、そこに本作のテーマにもなるエッセイの要素を絡めてくるところが上手いな、と思いました。しかしロケーションがずっと一軒家な上に、会話劇がほとんどで、さらに画面が>>続きを読む

動くな、死ね、甦れ!(1989年製作の映画)

4.2

「なんで月にはウォッカがないんだ!」
監獄のようなソ連社会の中で、完全に頭がおかしくなってしまったロシア人たちの魂の叫びがこだましていました。
アル中、抑留された日本人、脱獄のために孕ませて欲しいと請
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THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

3.5

汗の一滴まで描写できるCG技術の高さにはびっくりしました。あと屋上に降ってくる雪がリアルすぎたのにもびっくりしました...。問題は試合以外のシーンですね。まあ回想が安っぽいのなんの。うーん、スポ根はス>>続きを読む

裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

3.8

スーパー顔芸映画。
ローアングルで映し出される顔の数々が、非常に狂気的な映画でした。しかし、やはり顔のアップが延々と続くと流石にきついものがありました。そうは言っても、ラストジャンヌが殉教するシーンは
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晩春(1949年製作の映画)

4.2

「のりこ、嫁に行けぇ...」
ファザコン娘のりこを、皆碇ゲンドウがシンジをエヴァに乗せる勢いで嫁がせようとするところが面白かったです。
嫁に行く行かないに関係なく、どの登場人物も、自分の人生はこれ以外
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はなればなれに(1964年製作の映画)

4.3

共産主義に傾倒したゴダールの思想的なスタンスがすごく分かりやすく出ていた作品だと思いました。考えてみれば、オディールの叔母も、フランツとアルチュールも皆手段は違えど自分の金欲しさに動いていて、そいう意>>続きを読む

晩菊(1954年製作の映画)

3.8

話の展開が特にあるわけではありませんが、狭い同世代のコミュニティが一様に老いていく様を淡々と切り取った今作を、血の通った一つの映画として仕上げたのは、まさに役者たちの名演技と、それを安定したカメラワー>>続きを読む

自由はパラダイス(1989年製作の映画)

4.1

主人公が日生学園時代の浜ちゃんにしか見えず面白かったです。浜ちゃんもこうやって脱走してきたのか、と想像するとなんか感慨深い映画でした。
話に関しては、少年が場当たり的な危機の切り抜け方を覚えていき、自
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