あさんの映画レビュー・感想・評価 - 12ページ目

あ

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駅馬車(1939年製作の映画)

4.4

横光利一の「蝿」みたいに終わるのかと思ったら、しっかりとドラマに決着をつけてくるところが素晴らしかったです。というのは置いといて、ラストへの加速感、これが一番素晴らしかったです。丘の上から上がる狼煙、>>続きを読む

シテール島への船出(1983年製作の映画)

3.7

「ギリシャはつらいよ」を画で確かに語るアンゲロプロスが、本作でもやってくれました。「かつて友人たちと戦った丘には友人の亡骸が眠っている。しかしそこはスキーリゾートになろうとしていた。」このような情報量>>続きを読む

ビッグ・ヒート/復讐は俺に任せろ(1953年製作の映画)

3.8

日常の真横にスリルを置くことに成功した映画だと思いました。特に娘に寝室で読み聞かせしているところに爆発音がして窓がガタガタ揺れるところなんかは、コッポラの「ゴッドファーザー2」冒頭の、寝室にマシンガン>>続きを読む

グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

3.9

お話自体は何てことない、マイルドな犬神家でした。ただの遺産相続モノです。新しさは何にもありません。しかしこの大人が血眼になりながらやったシルバニアファミリー感は何でしょう。ケーブルカーに、剥き出しのエ>>続きを読む

何がジェーンに起ったか?(1962年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

陰謀であったり幽霊であったり何か目に見えない存在が、大きな意志を持って人々を操る映画はたくさんありますが、この映画は父の「不在」そのものが意図せずに娘たちの運命を操っているところがなんとも罪深く、悲劇>>続きを読む

回転(1961年製作の映画)

3.1

前任者の男女が、死んでもなお屋敷を支配しているという話でしたが、基本その事実をデボラカーに全て説明させ、肝心の男女二人はチラチラ現れるだけで特に面白くはありませんでした。子供二人が男女の霊に支配されて>>続きを読む

エル・スール(1982年製作の映画)

3.4

ちょっと薄味すぎた気がします。ミツバチの囁きでは、子供目線で大胆かつパーソナルに世界を省略したことで、かえって感覚的に内戦の傷を抉り出したところに底知れぬ力強さがありました。しかし本作では、父を愛する>>続きを読む

CURE キュア(1997年製作の映画)

3.5

話がぼんやりとしていても、主人公の主体性が揺らいでいても独特のリズム感でこちらを圧倒する映画は多数あります。しかしこの映画はそうではなかったように思います。心理学、オカルト、殺人といういかにも魅力的な>>続きを読む

ガルシアの首(1974年製作の映画)

5.0

正直思ったより前半のロードムービーパートはダラダラとしていましたが、後半からは一変。もはやホラーのような展開に様変わりしてびっくりでした。
途中から主人公が復讐しているというよりも、カゴの中のガルシア
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黒水仙(1946年製作の映画)

3.8

パウエルおじさんのえげつない話が今回も炸裂しておりました。空気が澄んでいると、「人間らしさ」を誤魔化すことなどできない。そうした環境で、修道女たちの信仰の殻が剥がれ落ちていく様の表現には、見事なものが>>続きを読む

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

5.0

ミツバチハウスに住みたい🥺🐝
このお家、今見た映画に出てきた中で一番好きかもしれない...。まあそんなことは置いといて...

父親の温かい眼差しが見つめる、2匹のミツバチの囁きの記録。それは、細やか
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気狂いピエロ(1965年製作の映画)

3.7

ゴダール映画の主要人物はみんな異邦人のムルソーみたいで笑えてきます。「死んだベトコンの一人一人にも人生があった」とかいう共感性の高いセリフを冒頭に置きながら、「喉が渇いたから水を飲む」くらいのノリでテ>>続きを読む

早春(1970年製作の映画)

3.9

少年が恋に打ち震える映画は数多ある訳ですが、ここまで少年の視野が狭窄して、情愛が鋭く尖っていく映画は初めてみたような気がします。嫉妬はむしろ感じられず、ただ惚れた女を手に入れることしか考えていない少年>>続きを読む

大砂塵(1954年製作の映画)

4.3

誰よりも高いところに立つヴィエナと、そこに寄り添う誰よりも自由なジャニーギターの存在感が圧倒的でした。自由で運命の厳しさを受け入れた孤高な者ほど高いところで堂々と胸を張り、卑怯な者や、運命を受け入れら>>続きを読む

私、オルガ・ヘプナロヴァー(2016年製作の映画)

3.3

オルガが大変な苦労人であることはしっかり伝わって来ましたが、肝心の「過去」を独白で語らせてしまっていたところが残念でした。オルガの心象風景を、彩度0にして見せるにしても、独白だけでは弱すぎる気がしまし>>続きを読む

傷だらけの挽歌(1971年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

「キラーカーン」でぶっ壊れてたスコット・ウィルソンと、「ある戦慄」で大暴れしてたトニー・ムサンテが共演しているとのことで、鑑賞。相変わらずスコット・ウィルソンのイカれぶりは凄まじく、トニー・ムサンテに>>続きを読む

書かれた顔 4Kレストア版(1995年製作の映画)

5.0

本物の女にはなれない「女方」の坂東玉三郎を、決して美人役はできない「女優」杉村春子を、芸者には向かないガタイの「芸者」武原はんを、自国以上に日本を理解できない「スイス人」のダニエル・シュミットが撮る。>>続きを読む

黄金の馬車(1953年製作の映画)

2.0

カミーラにハマれないと永遠にハマれない作品だと思いました。激情的で悪く言えばアバズレなカミーラのどこに皆惹かれるのか?最後までいまいちよくわかりませんでした。また、カミーラは「人生はつらい」みたいなこ>>続きを読む

女は女である(1961年製作の映画)

3.5

「酒飲んだ勢いで信号無視しながら街中走り回ってたらなんか家に着いてた」感のある映画でした。中身もクソもないしょうもない話を適当に分解して繋げただけで、それなりに様になる映画を作ってしまうゴダールは、本>>続きを読む

夜の人々(1948年製作の映画)

4.1

女優の顔を寄りで見せて、ここまで変化させる映画は初めてでした。序盤はいきなり二人で家を飛び出して結婚してしまうなど、少々展開が唐突に見えましたが、街へ繰り出していくにつれて、初めて人生の香りや世界の色>>続きを読む

あやつり糸の世界(1973年製作の映画)

4.4

特に後半は展開に終始してしまっているようで、少し残念でしたが、鏡をふんだんに使うことで、皆世界に囚われているように見せる演出が素晴らしかったです。また、シミュラクロンや、現実世界に入っていった先にある>>続きを読む

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

4.4

コンパクトなインターステラーを見た気分です。

もはや話が壮大すぎて内容に追いつけず、小説でやれば良くないかと思ってしまうインターステラーと比べると、格段に映画として成功していたと思います。特に遺体安
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血を吸うカメラ(1960年製作の映画)

5.0

これは本当に凄まじい映画でした。「赤い靴」然り、マイケル・パウエルは悲劇の名匠なんだと間違いなく確信させる映画です。
まず特殊性癖を持った主人公にフォーカスすることは、今の時代でもタブーであるにもかか
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ワイルドバンチ(1969年製作の映画)

3.7

アクションシーンが素晴らしかったの一言です。特に川に人と馬を丸ごと落としてしまうところには驚きました。
しかし、アクションシーン以外はイマイチ盛り上がりに欠けていた印象です。老いて死に場所を探していた
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少年(1969年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

最後の最後まで子役から一切の感情を奪ったところが本当に良かったです。10歳の子供が、受け止め切れるはずもない状況を、どんな怪獣にも負けない「宇宙人」に託していたというオチは、あまりにも重々しかったです>>続きを読む

故郷の便り/家からの手紙(1977年製作の映画)

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強烈な眠気に襲われたかと思ったら、突然地下鉄に叩き起こされる映画でした。普段はなかなかこんな映画体験はできませんので、新鮮でした。だんだんと母からの手紙が鬱陶しくなってきて、街のノイズとリンクしてくる>>続きを読む

街をぶっ飛ばせ(1968年製作の映画)

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このタイトルと、冒頭テープ持ってきたところでだいたい予想がつくお話です。この監督は頭のネジが外れた女の子だったんだな、とただ単純に思う映画でした。ここまで弾けられるとは、さすがシャンタル姉貴、そこら辺>>続きを読む

旅芸人の記録(1975年製作の映画)

3.8

カメラの回転が、時間と流れと神がかり的にフィットしていたため、この時間の割にそこまで長く感じませんでした。この監督の作品はどれもだいたい長いですが、いらないところを探すとなると、変な性描写くらいしかな>>続きを読む

ユリシーズの瞳(1995年製作の映画)

3.7

またとてつもない重量の映像で観客をしばきにくるサディスティックなアンゲロプロス大先生でした。今回は主人公と一緒に国境を越えた旅ができるので、この「旅が終わったかと思ったら、旅の始まりだった」感が本当に>>続きを読む

蜂の旅人(1986年製作の映画)

3.7

上質な蜜を得るためには、いろいろな場所で旨い蜜を吸わせてやらなければならない。孤独な養蜂家に1匹の女王蜂が舞い降りる話。

家を出ていく娘からの、荷台に積まれた巣箱に寄り添う孤独な老人、過ぎ去る電車越
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こうのとり、たちずさんで(1991年製作の映画)

4.2

国境を超え、「誰でもなくなること」を選んだ男に、ギリシャを越られず、いずれアテネに帰っていくジャーナリストが迫っていく話。
どこの国の誰かであることにより、ほんの一線も越えられなくなる現代の人間の悲劇
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主戦場(2018年製作の映画)

4.5

左翼による偏ったドキュメンタリーだと非難する人もいるようですが、何を見てそう思うのでしょうか。反共のために日本の自民党をはじめとする宗教的な右翼を利用し、そして付け上がらせてきたアメリカに対するしっか>>続きを読む

霧の中の風景(1988年製作の映画)

5.0

ギリシャに時間停止おじさんがいると聞いて。

時折フレームインしてくる人々の、何か物語に対する無関係さが、幻の父を探す幼い二人の孤独を際立たせていたところが本当に素晴らしかったです。あの雪のところなん
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ラビッド・ドッグス(1974年製作の映画)

3.4

皆さまおっしゃっている通り、本編パートはシチュエーションスリラーにも関わらず締まりがなくて飽きてくるにも関わらず、オチのつけ方が秀逸で、見たことあるようでないような感じなので、取り敢えずラストまで我慢>>続きを読む

都会のアリス(1973年製作の映画)

3.9

旅が進むにつれて写真を撮らなくなっていくのはなんか分かる気がしました。自分も生活が楽しくなってきてから毎晩夢を見なくなったことがあるので。
モノレールの使いようがもうちょっとあったような気がするので、
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東京流れ者(1966年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

抵当に入ったビルが大塚に渡ったかと思ったら、扉から吉井の死体がこんにちはして、テツが落下。倉田のおやっさんが大塚の手下に発砲したら女がパタッ、いやお前が死ぬんかーーーーいってなったらテツさん東京から>>続きを読む