ネットさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

ローズ家の戦争(1989年製作の映画)

3.0

加藤幹郎がこの作品がスクリューボールを終わらせたみたいな旨のことを『映画ジャンル論』で書いていた(書いていたはず)ので見た。物語は確かにスクリューボールコメディ的だが、いかんせんテンポが悪すぎる。2時>>続きを読む

仄暗い水の底から(2001年製作の映画)

3.5

元々センター試験の過去問にあった津島佑子『光の領分』の一編が好きだったのだが、よくまあ光に満ちたあの小品をここまでジメジメした闇の映画に翻案できたねえと、鈴木光司の暗い想像力にホラー作家の底力を見る。>>続きを読む

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.5

『ゲットアウト』も『アス』も全然ノれなかったが、これは面白い。ピールにホラーを期待していないし、全体の期待値も低めだったのもあるかもしれないが。編集が微妙とか細かい文句はあるけど、デカいUFOが見れた>>続きを読む

みんなのヴァカンス(2020年製作の映画)

4.5

ひたすら楽しい! 川、プール、自転車、ジェラート、夜の彷徨、渓流降り、カラオケ、ダンス、『ゴーストドッグ』Tシャツ。好きなところあげればキリがない。
この一瞬が永遠に続けばいいのにと思うような、永遠を
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丹下左膳餘話 百萬兩の壺(1935年製作の映画)

4.5

べらぼうに面白い。劇伴がうるさくて声が聞こえづらいのだけが玉に瑕。でも、音と画面の緻密な組み合わせはとても気持ちいい。
奥行きのある画面が満載でとても好み。喜代三の佇まいが最高。
ラストはチャンバラと
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セインツ -約束の果て-(2013年製作の映画)

3.5

2022.8.26
『ショットとは何か』を受けて再見。これがショットだ!と言われてもちょっとよくわからなかったが、雑誌『リュミエール』グリフィス号の「単純であることの穏やかな魅力」でのドリー効果につい
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エクストロ(1983年製作の映画)

3.0

宇宙人にさらわれた父親が三年後に帰ってくるが、既に妻には別の夫がいて……という設定、『スターマン』とか『岸辺の旅』とか『散歩する侵略者』っぽくて好きなのだけど、あまりそこから発展しないのは残念。まあま>>続きを読む

マーターズ(2007年製作の映画)

3.5

気分が落ち込んだときは暗い映画を見たくなる。そのノリで今なら観れる!という気持ちになったので見たけど後悔した。面白くないことはないが、気が滅入る。ただ、ロジェという人は『ゴーストランドの惨劇』でもそう>>続きを読む

エンゼル・ハート(1987年製作の映画)

4.0

再見。物語(ドラマ)はそんなに面白いわけでもないんだなあという悲しい気づきはあったけど、好きなものは好き。
タップダンス、水滴、心音、ダンス……音やリズムが見てるこちらの身体の内部に響く。すごく身体的
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不気味なものの肌に触れる(2013年製作の映画)

3.0

予告編で面白かった「お前の背骨、進化から取り残されたみたいだ」というセリフ、たぶん小説の地の文で読んだ時の方が威力高いだろうなと思った。
二人のダンスをカメラが捉えるとき、不安定にカメラを移動させたり
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フォックスキャッチャー(2014年製作の映画)

3.6

以前見た時はかなり好きだったのだが、再見するとお話は大好きだが映画としてはそこまでノれず。『ザ・マスター』はすごく豊かな映画だったんだなと思った。その代わりにこの映画の冷たさは無いわけだけど。
編集の
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大空の闘士(1933年製作の映画)

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映画館で映画を見てもしょっちゅう寝てしまう自分のことを映画好きだとは口が裂けても言えない。要再見。

モホークの太鼓(1939年製作の映画)

3.5

日本で見る機会があまりないのが理解できないくらいの大作戦争映画。進む隊列とそれを見送るコルベールのショットや、燃える家をバックにインディアンたちが攻めてくるショットなど、ロングショットの豪華さ・お金の>>続きを読む

裸足で鳴らしてみせろ(2021年製作の映画)

3.0

力作ではあるがまとまりに欠けている感じがある。音、取っ組み合い、泳げないこと、地元の友人、片親同士……長いと思ってしまったが、この内容ならば3時間くらいで見たいと希望するのはわがままか。
作り手は優し
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逃げ去る恋(1978年製作の映画)

4.0

息をするように不倫その3。大好きな離婚夫婦ものでもある。
縁で人々がつながっては離れてゆく。映画は別の時間・空間で撮った素材を繋げて作るものなので、ショット同士が時空を超えて共鳴するこの映画の美しさは
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最敬礼(1929年製作の映画)

3.3

途中意識が飛んだことを差し引いても編集が微妙ではないか?
ただ、湖が見える小高い丘の上で話す主人公とヒロインのショットだったり、窓のそばのピアノと合唱→合唱終わって帰る水兵たちを見送るヒロインを湖を背
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アイデンティティー(2003年製作の映画)

3.3

この年代のアメリカ映画でこのタイトルという時点でネタはお察し。大ネタが明かされた途端にスパッと終わる簡潔さ。

女神の継承(2021年製作の映画)

3.0

期待してたほどでは……。具の乏しいカレー食べてたら、ステーキとラーメンを追加された感じ。カレーに満足してなかったのは事実だけど、一緒に食べたいわけではないし、とは言っても美味しいのには変わりないわけで>>続きを読む

俺は善人だ(1935年製作の映画)

3.5

面白い。ジーン・アーサーのあっけらかんとした気持ちよさ。おどおどしたエドワード・G・ロビンソンはいつも通りで好きだけど、初対面の男を引っ叩けるギャングとして急に現れたときの落差に肝を冷やす。急にビンタ>>続きを読む

泳ぐひと(1968年製作の映画)

3.7

ランカスターを知ったのは映画を集中的に見始めた頃に見た『ヴェラクルス』だった。歯が白い人だなーという印象が強かったが、その印象を逆手にとったようなお話。ひたすら主人公が嫌われる話で面白い。大好き。ミニ>>続きを読む

パトニー・スウォープ(1969年製作の映画)

4.5

面白すぎる。物語はめちゃくちゃで基本はギャグ集。冒頭の取締役会議→OPクレジットがめちゃくちゃかっこいい。ずっと画面の端にブツが映ってる。これはとんでもない映画が始まるぞ……というゾクゾク感は久しぶり>>続きを読む

戦争と母性(1933年製作の映画)

4.0

かなり面白い。まずおばちゃんが主人公というのが良い。
フランス旅行中に映し出される道に残る大きな穴に心を動かされる。完璧に演出されたフィクション映画(冒頭の原っぱの美しさ、女性と出会う前の石を投げるぞ
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WANDA/ワンダ(1970年製作の映画)

4.0

最近は映画との距離を計りかねているのだけど、、というかこんな文章を一度書いた気もするけど思い出せないくらいに感覚が麻痺している。そんな状態なのでこの映画に対しても割と面白かったくらいしか言えないのが悔>>続きを読む

ヒストリー・オブ・バイオレンス(2005年製作の映画)

4.0

2022.7.22
前に見たときはピンとこなかったが、大きな画面で見たら面白かった。ヴィゴの繊細な演技! 
グロや血の見せ方が格別。銃弾によって顔がぐちゃぐちゃの男が映る時間の短さ・慎ましさ、少年がい
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クラッシュ(1996年製作の映画)

3.0

原作の序文が好きなのだけど、そこでの宣言をそのまま映画にした感じ。「わたしとしてはやはり『クラッシュ』を世界最初のテクノロジーに基づくポルノグラフィーだと考えたい。ある意味で、ポルノ小説とはもっとも政>>続きを読む

ニコラス・ケイジの ウェザーマン(2005年製作の映画)

3.5

ダメ中年男性映画。家族と上手くいかない話だけど、主人公の親に関しては徹底的に父親との関係しか描かないのがアメリカらしいし、男の映画だなと思う。良い意味で。
まだニコラス・ケイジがナメられてなかったギリ
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ハケンアニメ!(2022年製作の映画)

3.3

アジテートされに行くか〜と期待してたぶん、全然ノれなかったダメージは大きい。暗い時の画面がめちゃ暗いとか(劇場スクリーンの輝度の問題?)、タイトル出るまでの異様な長さに代表される(バクマンのアバンタイ>>続きを読む

私のように美しい娘(1972年製作の映画)

4.0

深みゼロ、面白いだけ!
飛び降り自殺は噴き出してしまった。めちゃくちゃバカなん?
お尻蹴られて空中を文字通りふわりと飛ぶ主人公、カーレース音鳴らす男などなどバカだね〜とゲラゲラ笑ってると、鉄格子越しの
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スーヴェニア 私たちが愛した時間/ザ・スーベニア 魅せられて(2019年製作の映画)

3.3

ネトフリ滑り込み鑑賞。今日7/16いっぱいで配信終了、次はいつ見れるか。
退屈せずには見たのだけど、世評の高さを理解できないのが恥ずかしい。これはたぶん自分が良さを分かってないタイプの映画だ。MUBI
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リトル・オデッサ(1994年製作の映画)

3.8

三宅唱が『やくたたず』に関して、俺だって『リトル・オデッサ』みたいなの撮りたいよ!的な発言をしてたなーと思い出して見た。前に見た『アンダーカヴァー』もめっちゃ優等生感があったのだけど、今作も似たような>>続きを読む

宝島(2018年製作の映画)

4.0

息をするようにナンパ。
ギヨーム・ブラック、安定して良い。最近見る映画にピンと来てなかったので、面白いことがほぼ決まってる映画でも見るか〜と思って見たら、始まって数分で既に面白い。なんなんだろうこの安
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犬王(2021年製作の映画)

3.0

そこまでノれず。楽曲にノれてないのも大きいかも。『夜明け告げるルーのうた』とか『ファントム・オブ・パラダイス』だって楽曲が好きなわけで。

あなたの顔の前に(2020年製作の映画)

3.0

『逃げた女』は理解できるけどそこまでハマらなかったのだけど、今作も似たような感じ。たぶんそれまでのもっと直接的な物語(飲む惚れる寝るぶたれる、みたいな人間関係のこじれの中で男の惨めさを笑うような物語)>>続きを読む

草の響き(2021年製作の映画)

4.0

病気の男映画。やっぱり佐藤泰志の映画は男くさいな。それが好きなんだとも思うが。そういう映画の中の女性だから、奈緒の顔はどこか自分を抑えている。言えなさを抱えている。
文字通りの運動によって内面を変化さ
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映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)

3.3

期待値ガン下げだったせいか、割と楽しかった。集団労働讃歌にならなかったのが好き。
「楽しい楽しい編集の時間だ……!」で爆笑。
辛くても切らねばならない、と言葉では言ってるけど、別にそんなに辛そうじゃな
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