べらしさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

四谷怪談(1965年製作の映画)

3.3

ここまで様式化された話だといっそのことコメディに振ってしまってもいい気がする
怖すぎるので誰もやらないんだと思いますが……

ハロー・ドーリー!(1969年製作の映画)

2.8

弛緩しきった演出に重複の異常な多さ、そして遠い東南アジアで今この瞬間もベトコンとG.I.が血みどろの殺し合いをしている現実に目もくれてはいけないという強迫観念じみた絵空事の徹底、これを全てひっくるめた>>続きを読む

マルコムX(1992年製作の映画)

3.7

「プロパガンダ」という言葉は
①『意志の勝利』『國民の創生』のような、映画というメディアが持つ啓蒙的役割を無視した、実際には予め製作側と同じ見解を支持する観客しか想定していない独りよがりの作品への蔑称
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ハムレット(1964年製作の映画)

4.0

とてもベタなチョイスで申し訳ないが、この黒澤、ベルイマン、ドライヤー辺りに通ずる「幽明境を異にする」画面というのはシェイクスピアの映像化に実に合っていると思う
非英語話者特有の欲求かもしれないが

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ヨーロッパ・ヨーロッパ 〜僕を愛したふたつの国〜(1990年製作の映画)

3.2

この人はワイダ門下の監督か
アウシュヴィッツの後で詩をものするのは云々ではないけれど、ホロコーストを扱った映画について作家性というものがどうしても後景に遠のきがちな現象に関して考えています
批評が批評
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風の遺産(1960年製作の映画)

3.9

「蒙を啓く」

啓蒙映画というジャンルがこの世にあればこれ以上のものは望めないのかもしれない
そしてそれは当然のことながら、合衆国以外で作られることはない

人間の運命(1959年製作の映画)

3.8

この時代のソヴィエト映画にはどれも、一種の聖性が宿っている
ショーロホフの短編の忠実な映画化ながら、原作で明らかな揶揄を込めて描かれていた教会のシーンの、破れた屋根から差しこむ陽光の聖性の何たることか
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野のユリ(1963年製作の映画)

3.5

アメリカ映画を観ていて心から良かったなと思える、閉鎖的なコミュニティにひょっこり現れて全てを変え、金も名声も求めず去っていく主人公トップ100がそろそろ完成しそう
もちろんそこにはアラン・ラッドからウ
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アメリカの友人 4K レストア版(1977年製作の映画)

3.2

先日ケン・ラッセルの映画を観たら、ドアーズが1967年というしかるべき時代のしかるべきBGMとして流されていて安心した、
必要と判断されうる範囲を大幅に越えてポップカルチャーの引用をされるのは、やはり
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マンハッタンの哀愁(1965年製作の映画)

3.3

63本目

ラブロマンスとして甘いか厳しいかでいえば、甘過ぎる
だがもう、愛に破れて夜を彷徨う男を超ロングで捉えた後ろ姿から、ティルト・アップしてマンハッタンの夜景を映し出すところにビッグ・スコアがか
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太陽の墓場(1960年製作の映画)

3.7

この人の初期の、センチメンタリズムを無理やりぶった切るような劇伴、人死にに対するシニカルな目線はその後の理解の容易な「政治的」路線に比べて特筆すべき位置を日本映画史に占めているように思う
理論ではなく
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アルタード・ステーツ/未知への挑戦(1979年製作の映画)

3.6

マシスンの縮みゆく人間よろしく、人は本気で「変わろう」と思うと原子核を目指してしまうものらしい

嫌いじゃないぜ

ザ・バニシング-消失-(1988年製作の映画)

3.5

こういう丁寧な映画は最近だとあまりない気がする
『マイドク』とかもなんだかんだ丁寧なんですよね
奇を衒ってない

スヴァネティの塩(1930年製作の映画)

3.5

「私はキューバ(Soy Cuba)」という前代未聞、そして映画史上最も美しいナレーションを擁する作品で知られる御仁である
コーカサスの凄絶な雪景色と人為的に手が入ったパートをスムーズに行き来するなんて
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ウジュムリ(1934年製作の映画)

3.5

登録されてた
これはスゴいよ
象徴主義に限りなく魅せられてしまった社会主義リアリズム

井戸(2020年製作の映画)

3.1

あれだけ「純粋な」スラップスティックをやってしまう監督へのオマージュになんらかの社会性が入るのは果たして正しいのかと思う、
わかりかねる

音楽家たち(1969年製作の映画)

3.2

スラップスティックは作者の意図にかかわらず、すべからく資本主義に対するアンチテーゼであると思っているが、これは本当にただのスラップスティックだった……

(1966年製作の映画)

3.3

『赤い風船』が浪花節に思えるレベルで乾いた詩情

結婚(1964年製作の映画)

3.2

パンフレットに記載のあるラモリスやタチもそうなんだけど、西側で最も作風の近い作家はリチャード・レスターだと思う
ただその、実に……健全だ

シルクウッド(1983年製作の映画)

3.5

その、
最近の映画にとってはそんなにむずかしいものかね
こういう風に、レベル・フラッグを掲げたサザン・マンと組合活動に熱心な女性、それにレズビアン・カップルが当たり前のように同居しているのをそのまま描
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ヤスジのポルノラマ やっちまえ!!(1971年製作の映画)

2.3

どんな暴力描写、女性蔑視を大っぴらにやらかしても、どうしても隔靴掻痒を免れないのは女性器(≒天皇制)御本尊に斬り込めていないからというのが9割方の「反体制派」日本映画に感ずるところです

ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

4.8

スティーヴン・スピルバーグは今やその道徳的偉大さにおいて、『ハックルベリィ・フィンの冒険』を物した際のマーク・トウェインにも匹敵する高みにいることはもはや疑いようがない
この困難なる時代において、今後
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第三帝国の遺産(1985年製作の映画)

2.0

あの『大列車作戦』の、あの『影なき狙撃者』の監督が、なぜ銃を持ったこともないマイケル・ケインが突然走行中の車の運転手を狙撃する映画を作ってしまうのか??
それはこの人の腕が落ちたというより(傑作『対決
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ダントン(1983年製作の映画)

3.2

62本目

この作家はもっと、各国を股にかける職人監督的な気質がある人ではなかったのか???
あまりにポーランドという重すぎる軛に縛られすぎたよ……