べらしさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

誤発弾(1961年製作の映画)

3.3

首を吊った母親と縋りつく子どもが「光景」として登場する衝撃
まるでゴダールがやるような唐突さだが、これはKorean Neorealismoなのだ……

チリの闘い(1978年製作の映画)

3.6

クリス・マルケルへのいや増す信頼感
そこに「語るべき事実」のある限り

1,2部の「9/11」に向けて加速されてゆく圧倒的ストーリーテリング(Shootしていた者の視点で"Shoot"されて第一部が終
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ザ・ショック(1976年製作の映画)

3.3

なんでしょうね、
心理的にクル厭〜〜〜〜〜で秀逸なディテール(ピアノ演奏者は見ない方が良い)がものすごく雑な大枠の中に収まってしまうというのがイタロ・ホラーに対する一貫した印象なんです

汚れなき悪戯(1955年製作の映画)

4.1

こういう風に掛け値無しに名画と言い切れるのは最近少ないな、
同じ奇蹟でも荘厳なドライエル監督風味でなく、親密でいて侵し難い『ミツバチのささやき』の国ならではのそれである
全編を通じてカメラが子ども目線
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赤ひげ(1965年製作の映画)

4.7

黒澤明とはそれ自体が、世界に冠たる思想体系に付けられた名称である

どですかでん(1970年製作の映画)

3.2

耐え難い
まったく耐え難い
どんな暗黒の世の中にも一筋の光、一筋のヒューマニズム、そして自分にしか見えない、揺るぐことのない美しい法則を見出していた男が、自分を取り巻く社会に対しもはや何の希望も見出せ
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四谷怪談(1965年製作の映画)

3.3

ここまで様式化された話だといっそのことコメディに振ってしまってもいい気がする
怖すぎるので誰もやらないんだと思いますが……

ハロー・ドーリー!(1969年製作の映画)

2.8

弛緩しきった演出に重複の異常な多さ、そして遠い東南アジアで今この瞬間もベトコンとG.I.が血みどろの殺し合いをしている現実に目もくれてはいけないという強迫観念じみた絵空事の徹底、これを全てひっくるめた>>続きを読む

マルコムX(1992年製作の映画)

3.7

「プロパガンダ」という言葉は
①『意志の勝利』『國民の創生』のような、映画というメディアが持つ啓蒙的役割を無視した、実際には予め製作側と同じ見解を支持する観客しか想定していない独りよがりの作品への蔑称
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ハムレット(1964年製作の映画)

4.0

とてもベタなチョイスで申し訳ないが、この黒澤、ベルイマン、ドライヤー辺りに通ずる「幽明境を異にする」画面というのはシェイクスピアの映像化に実に合っていると思う
非英語話者特有の欲求かもしれないが

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ヨーロッパ・ヨーロッパ 〜僕を愛したふたつの国〜(1990年製作の映画)

3.2

この人はワイダ門下の監督か
アウシュヴィッツの後で詩をものするのは云々ではないけれど、ホロコーストを扱った映画について作家性というものがどうしても後景に遠のきがちな現象に関して考えています
批評が批評
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風の遺産(1960年製作の映画)

3.9

「蒙を啓く」

啓蒙映画というジャンルがこの世にあればこれ以上のものは望めないのかもしれない
そしてそれは当然のことながら、合衆国以外で作られることはない

人間の運命(1959年製作の映画)

3.8

この時代のソヴィエト映画にはどれも、一種の聖性が宿っている
ショーロホフの短編の忠実な映画化ながら、原作で明らかな揶揄を込めて描かれていた教会のシーンの、破れた屋根から差しこむ陽光の聖性の何たることか
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野のユリ(1963年製作の映画)

3.5

アメリカ映画を観ていて心から良かったなと思える、閉鎖的なコミュニティにひょっこり現れて全てを変え、金も名声も求めず去っていく主人公トップ100がそろそろ完成しそう
もちろんそこにはアラン・ラッドからウ
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アメリカの友人 4K レストア版(1977年製作の映画)

3.2

先日ケン・ラッセルの映画を観たら、ドアーズが1967年というしかるべき時代のしかるべきBGMとして流されていて安心した、
必要と判断されうる範囲を大幅に越えてポップカルチャーの引用をされるのは、やはり
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マンハッタンの哀愁(1965年製作の映画)

3.3

63本目

ラブロマンスとして甘いか厳しいかでいえば、甘過ぎる
だがもう、愛に破れて夜を彷徨う男を超ロングで捉えた後ろ姿から、ティルト・アップしてマンハッタンの夜景を映し出すところにビッグ・スコアがか
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太陽の墓場(1960年製作の映画)

3.7

この人の初期の、センチメンタリズムを無理やりぶった切るような劇伴、人死にに対するシニカルな目線はその後の理解の容易な「政治的」路線に比べて特筆すべき位置を日本映画史に占めているように思う
理論ではなく
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アルタード・ステーツ/未知への挑戦(1979年製作の映画)

3.6

マシスンの縮みゆく人間よろしく、人は本気で「変わろう」と思うと原子核を目指してしまうものらしい

嫌いじゃないぜ

ザ・バニシング-消失-(1988年製作の映画)

3.5

こういう丁寧な映画は最近だとあまりない気がする
『マイドク』とかもなんだかんだ丁寧なんですよね
奇を衒ってない

スヴァネティの塩(1930年製作の映画)

3.5

「私はキューバ(Soy Cuba)」という前代未聞、そして映画史上最も美しいナレーションを擁する作品で知られる御仁である
コーカサスの凄絶な雪景色と人為的に手が入ったパートをスムーズに行き来するなんて
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