映画狂人さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

不夜城 SLEEPLESS TOWN(1998年製作の映画)

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新宿歌舞伎町を舞台に中国系マフィアが鎬を削る勢力争いに巻き込まれていく男の物語。
アジアの大スター金城武が見慣れた歌舞伎町の町を闊歩している姿は胸熱、路地裏を練り歩き建物に入って行くまでの冒頭数分間に
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夢二(1991年製作の映画)

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「ツィゴイネルワイゼン」「陽炎座」に続く大正浪漫三部作の最後を飾る一本、三部作の中では最も芸術路線に振り切った前衛映画としても知られる。
前二作と比べると評価は一段落ちるものの唯一無二の清順美学は健在
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修羅(1971年製作の映画)

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「この世は血の海である」

騙し騙され奈落の底へ、突き進むは修羅の道。
どす黒い漆黒の闇の奥深く血に飢えし復讐の刃がギラリと光るその刹那、血腥い殺戮絵巻の地獄絵図が幕を開ける。
凄まじい緊張感漂う無
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泥の河(1981年製作の映画)

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自主制作・自主公開から始まり国内外で多数の映画賞に輝く名作、戦後の大阪を舞台に社会の底辺で踠き苦しみながらも必死に生きる市井の人々を子供の視点から丁寧に映し出す。
映像から総てを汲み取れるほど撮影が素
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この窓は君のもの(1995年製作の映画)

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おじさんの淡い初恋妄想シチュエーションを具現化したかのような、王道ド真ん中ベッタベタのザ・青春映画。
引っ越しを控えた少女と過ごす高校生活最後の夏、携帯も無い時代の田舎の十代の純朴な恋模様が忘れかけて
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どぶ(1954年製作の映画)

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ゴーリキーの戯曲『どん底』にも通ずるルンペンプロレタリアート、知恵遅れの女とルンペン部落の人々の姿を通し人間の愚かさや強欲さを浮き彫りにした悲喜劇。
同年製作のフェリーニ『道』との類似性が各所で指摘さ
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陽炎座(1981年製作の映画)

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清順美学、ここに極まれり。
『ツィゴイネルワイゼン』から始まった大正浪漫三部作の二作目、三部作の中でも屈指の映像美を誇るオールタイムベスト級の傑作。
古今東西映画は数あれど「物語」ではなく「視覚芸術」
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空の青さを知る人よ(2019年製作の映画)

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埼玉県秩父市を舞台にした秩父アニメ三部作の三作目、通称「空青」。

「井の中の蛙大海を知らず、されど空の蒼さを知る」

夢と希望に満ち溢れた18歳の自分と燻ってやさぐれている31歳の自分…過去と現在が
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心が叫びたがってるんだ。(2015年製作の映画)

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埼玉県秩父市を舞台にした秩父アニメ三部作の二作目、通称「ここさけ」。
「あの花」のメインスタッフが再集結して製作されたオリジナル作品、後に本作をもとにした実写版も公開された。
『あの花』を知るまではテ
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劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(2013年製作の映画)

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埼玉県秩父市を舞台にした秩父アニメ三部作の一作目、通称「あの花」。
この手の劇場版はどれもそうだと思うけれど、先ずTVシリーズ全11話を観ておく事が大前提。
映画は総集編+αくらいの感じなので未見でも
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海獣の子供(2018年製作の映画)

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「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」ポール・ゴーギャン

五十嵐大介の名作漫画(全5巻)をドラえもんの監督とstudio4°c(『マインド・ゲーム』『鉄コン筋クリート』『え
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ソナチネ(1993年製作の映画)

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一般的に北野武の最高傑作と評される初期北野作品の集大成にして、世界中にその名が知れ渡る切っ掛けとなった記念碑的作品。
画面一杯に広がる青い海と空、燦々と照り付ける太陽の下で紡がれるヤクザの休暇。
沖縄
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パーティで女の子に話しかけるには(2017年製作の映画)

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70sロンドンが舞台の青春パンクSF、サムネやジャケ写だけ見て爽やかな青春ものを期待すると確実に面食らう「コレじゃない感」。
「思春期男子にとっての女子というのは宇宙人みたいなもの」
というメタファー
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裸の島(1960年製作の映画)

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孤島で自給自足の生活を送る一家の葛藤をサイレントで描き世界的に評価された傑作、名バイプレイヤー殿山泰司の数少ない貴重な主演映画としても知られる。
新藤兼人の脚本作品は幾つか観ているが監督作は今回初鑑賞
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すみれ人形(2007年製作の映画)

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同監督の『アルビノの木』が好みの作品だったので長編デビュー作である本作も鑑賞。
二作品を観て感じた共通点として役者や脚本にフォーカスするタイプではなく、滝や廃墟や森といった幻想的空間や自然を演出するス
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バーレスク(2010年製作の映画)

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『コヨーテ・アグリー』や『シカゴ』をベースに『ファイアbyルブタン』をMIXした感じ、使い古された話と演出で新味も無く既視感は否めず可もなく不可もなしと言ったところ。
公開当時随分と話題になっていたが
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オペラ座の怪人(2004年製作の映画)

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アンドリュー・ロイド・ウェバーの有名なテーマ曲が掛かったその瞬間、埃を被り廃墟と化していた劇場に灯りが灯りモノクロの画面が鮮やかに色付いてゆく。
絢爛豪華なシャンデリアは浮上し劇場の幕が上がる、その高
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菊次郎の夏(1999年製作の映画)

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夏休みの絵日記をめくるように、少年と中年男の夏のひとときを描いたロードムービー。
単純な笑いの中に見え隠れするペーソス、久石譲の抒情的なサウンドが重なり多くの日本人の琴線に触れるであろう名作に仕上がっ
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パプリカ(2006年製作の映画)

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筒井康隆×今敏×平沢進、これ以上ない最狂の組み合わせ。
個人的にパプリカと言えば野菜でもFoorinでも米津でもなくこれ、今敏の遺作にして最高傑作。
夢と現実が綯い交ぜになり侵食されてゆく感覚を体感出
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東京ゴッドファーザーズ(2003年製作の映画)

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巨匠ジョン・フォード『三人の名付親』を元に、一人の捨て子と三人のホームレス達の珍道中と聖夜の奇跡を描く今敏監督作品。
久々に再見したがやはり名作は色褪せない。
東京の夜の街並みを再現した美麗なアニメー
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千年女優(2001年製作の映画)

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「あの人に一目逢いたい」

文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞受賞作、同時受賞『千と千尋の神隠し』。
今敏のフィルモグラフィーで唯一未見だった作品をようやく鑑賞、興行収入では千と千尋の足元にも
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パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

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「あなた、誰なの?」

僅か4本の長編と1本のテレビシリーズを遺して早逝してしまった天才アニメーター今敏のデビュー作にして、ダーレン・アロノフスキー(『レクイエム・フォー・ドリーム』『ブラック・スワン
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ツィゴイネルワイゼン(1980年製作の映画)

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一般的に清順最高傑作と称される大正浪漫三部作の第一作、数年ぶりに再見したがやはり見事な出来で正しく真の藝術作品と呼ぶに相応しい。
現実と夢幻の狭間を揺蕩うように極彩色の清順美学が織り成す目眩く映像世界
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悪魔(1972年製作の映画)

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狂気の映画作家ズラウスキーが18世紀末動乱の渦中にあるポーランドを舞台にした長編二作目、デビュー作『夜の第三部分』からして強烈だったが翌年撮られた本作もまた凄まじい画面強度を誇る。
本作は度を越した暴
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ノーライフキング(1989年製作の映画)

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虚構と現実の境界線が曖昧になりつつある現代社会の空虚さに実存主義的観点からアプローチした異色のジュブナイル映画、俯瞰視点やロングショットを多用した撮影は社会に埋没してゆく人々を象徴しており一個人と世界>>続きを読む

恐怖人形(2019年製作の映画)

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日向坂46の絶対的エース小坂菜緒が初主演したホラー、1st写真集も出る事だし一応観ておこうと思い鑑賞。
巨大化した市松人形がアグレッシブに殺戮の限りを尽くす様は何ともシュールな光景、着ぐるみ被ったゆる
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霊的ボリシェヴィキ(2017年製作の映画)

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ある共通点を持つ人々が廃工場に集まり、百物語のように一人一人順番に恐怖体験を語ってもらう舞台劇風ホラー。
語りが生み出す恐怖と狂気、舞台劇感が強すぎるきらいはあるが限られた空間を最大限に活かしており自
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デビッド・クローネンバーグのシーバース(1975年製作の映画)

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カナダが世界に誇るエログロホラーの御大クローネンバーグによる劇場長編処女作。
クローネンバーグは昔から定期的に観ている贔屓の監督の一人、長編デビュー作にして既に作風が確立されている。
十八番である特殊
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聖なるもの(2017年製作の映画)

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一見するとオタクの妄想を具現化したコラージュのようで見てられないんだけれど、そのじつ相当テクニカルな事やってて、監督の映画リテラシーの高さが窺えるラストショットなんて鳥肌もの。
自主映画製作の裏側を描
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ジェーンへの手紙(1972年製作の映画)

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商業映画との決別を宣言し、ゴダールを中心に結成された政治的映画を製作する集団=ジガ・ヴェルトフ集団による最終作。
いわゆる「ゴダール、政治の時代」
本作はジガ・ヴェルトフ集団作『万事快調』に対する追伸
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イタリアにおける闘争(1970年製作の映画)

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商業映画との決別を宣言し、ゴダールを中心に結成された政治的映画を製作する集団=ジガ・ヴェルトフ集団による第五作目。
いわゆる「ゴダール、政治の時代」
手元だけを映した食事風景や後頭部のみを映したカット
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女子は敷居を跨げば七人の敵あり(2020年製作の映画)

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女子高生×映画研究会、これ以上ない最強の組み合わせ。
10代で映画の沼にハマり抜け出せなくなった身からすると、学生時代に映画研究部なんてあったらどれだけ楽しかったろうと思わずにはいられない、こんな青春
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プラウダ(真実)(1969年製作の映画)

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商業映画との決別を宣言し、ゴダールを中心に結成された政治的映画を製作する集団=ジガ・ヴェルトフ集団による第三作目。
いわゆる「ゴダール、政治の時代」
約1時間の短尺だが他のジガ作品と同じく咀嚼し切れな
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