豚肉丸さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

駅馬車(1939年製作の映画)

4.7

駅馬車がアパッチ族に襲撃されるお話

初ジョン・フォード。
古典中の古典という印象であまり見る気になれなかったが、いざ見てみたら純粋なエンタメ映画で驚いた。『マッド・マックス 怒りのデスロード』などの
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のら犬(2023年製作の映画)

4.5

幼馴染の友人同士である男二人の片方に彼女ができたことにより、友情関係が徐々に崩壊していくお話

暴力的で抑圧的な友情関係が冒頭から映し出されて多分この暴力的な友情関係を批判する映画なんだろうなと思いき
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熱波(2012年製作の映画)

4.5

変なことを口走る老婆の過去には、若い頃に男と不倫した悲劇的なことがあり...というお話

第一部は現在、第二部は過去の構成で進んでいく。単なる恋愛映画かと思いきやちゃんとミゲル・ゴメス監督らしい演出や
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ダムネーション 天罰(1988年製作の映画)

4.4

歌手と不倫している男が彼女に接近するため、彼女の夫に運び屋業を依頼して二人きりになろうとするお話

タル・ベーラ監督の原型が垣間見えて面白い。途方もない長回しとバチバチにキマった画作り、終末感や厭世的
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ソルフェリーノの戦い(2013年製作の映画)

4.3

フランス大統領選の決着日、シングルマザーのテレビレポーターの前に彼女の元夫が子供の面会を求めて現れて......というお話

フランスの大統領選の様子がそのまま収められたドキュメンタリーと夫婦喧嘩のフ
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あしたの空模様(2022年製作の映画)

3.8

哲学専攻の教授である東ドイツ出身の女性が実家に帰省したことで、自分の生き方を見つめ直すことになるお話

東西ドイツの格差、世代間の格差、都会と地方の格差...など、様々な格差による障害が浮き彫りにされ
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青春神話(1992年製作の映画)

4.3

予備校に通う受験生の少年と不良少年が夜の台湾の街で生きるお話

最初に見たツァイ・ミンリャン監督作が『日子』だったこともあり、『日子』のようなクソ長い長回しは無く固定ショットを中心に淡々と描いていく感
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100人の子供たちが列車を待っている(1988年製作の映画)

4.3

ピノチェト軍事独裁政権下のチリで映画に触れたことない子供達に向けて映画制作のワークショップを行うお話

映画の原初的な体験が思い起こされて面白い。「映画」がどのようにして作られたのかについて映画史を中
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トランストリップ(2013年製作の映画)

4.5

「従姉妹の友達」に囲まれて気まずい旅をすることになるも、周囲との関係は次第に悪化していき、精神が不安定になっていくお話

セバスチャン・シルヴァ監督作の中で唯一日本上陸している本作。「気まずい関係性の
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宇宙へのフロンティア(1988年製作の映画)

4.7

アポロ計画のアーカイブ映像を繋ぎ合わせたドキュメンタリー

原題の『For All Mankind』とジャケ写がカッコ良すぎて痺れる。「全ての人類のために」って言葉と月面を歩く人間!これだけでもカッコ
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歩みつつ垣間見た美しい時の数々(2000年製作の映画)

5.0

ジョナス・メカス監督が撮り溜めた映像を繋ぎ合わせた映像集

大学に合格したので4月から「受験終わったら絶対に見るぞ!」と心に決めていた本作を鑑賞。
ジョナス・メカス監督による5時間の映像日記。映される
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

4.5

独身童貞全裸中年男性のボーが母親が亡くなったという知らせを受けて家に帰ろうとするお話

日本上陸前から散々「普通につまらん」「退屈」と聞いていたおかげからなのか、予想以上に普通に楽しめた。
中盤からの
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ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)

4.2

大ベストセラーのスパイ小説の物語が現実でもそのままの形で起こっており、小説の作者はスパイから命を狙われるようになるのだが...というお話

物語の導入、そして二転三転する展開は面白く最後まで楽しめるの
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ある日、ピナが…(1983年製作の映画)

4.1

ある劇団のリハーサルと本番をシャンタル・アケルマン監督が撮影したドキュメンタリー映画

「ピナ」は初めて見たのだが、普通に面白くて驚いた。リハーサルの場面の間髪入れない反復の動作が最高。身体表現を美し
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そして人生はつづく(1992年製作の映画)

4.2

自作で主人公を演じた子役の生存確認をするために大地震直後のイランに訪れるお話

ドキュメンタリー的なフィクション映画。カメラの映し方や物語は劇映画のロードムービーなのだが、映画の舞台は実際に大地震が発
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スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.9

前作で誤ってマルチバースの扉を開いてしまい大変なことになるお話

マジで面白すぎて圧倒。アニメーション表現の暴力。前作スパイダーバースの続編としても完璧であり、しかも何度も何度も繰り返し語られ続けるス
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大人は判ってくれない(1959年製作の映画)

4.6

不良少年が家族や教師に反抗しながら非行を繰り返すお話

初トリュフォー。リアリズム溢れる日常的な舞台(家、学校)と情趣溢れる映像で描かれる舞台(遊園地、夜中のパリ、海)の対比がバチバチにキマっていて滅
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自転車泥棒(1948年製作の映画)

4.4

仕事をするのに不可欠な自転車が盗まれてしまったので自転車を探し回るお話

普通に面白い。国全体が病んでいることが痛切に伝わってくる。
「自転車が盗まれる」ことをわかっているからこそ、序盤の主人公が自転
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.7

それぞれPMSとパニック障害に苦しむ男女が出会い、交流するお話

面白すぎる!
三宅唱監督の作品はまだあまり観れていない為偉そうに語ることはできないものの、監督の作品に共通して見られる、日常の場面と人
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勝手に逃げろ/人生(1980年製作の映画)

4.1

ゴダールと名乗る映画監督の男は彼女から別れを切り出され、前の妻と娘との関係も良好では無い。そして男の彼女は田舎に引っ越そうとする...というお話

まさに『パッション』などへと続くゴダール後期の作風が
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アンスピーカブル(2019年製作の映画)

3.8

ある事件に巻き込まれてしまった少女が事の詳細を誰にも言えず黙り込むお話

『How to Have Sex』の監督のデビュー短編映画。
『How to Have Sex』は曖昧な性的合意の問題と複雑な
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ラ・ジュテ(1962年製作の映画)

4.5

戦争により荒廃した世界にて、脳内世界から世界を修復させる実験に参加させられることになった男は、幼少期の頃に見た女のイメージを求めて過去に旅をする...というお話

痺れる。1枚1枚の画像だけで構成され
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ある方法で(1977年製作の映画)

4.6

革命後のキューバを舞台に、価値観の異なるカップルの男女がすれ違いを起こすお話

落ち着いた映画かと思いきや突然ジャンプカットによる激しい勢いの演出で幕を開けて滅茶苦茶笑った。フィクションとドキュメンタ
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サンティアゴへ行こう(1964年製作の映画)

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革命後のキューバ、サンティアゴの風俗と祭りの様子を映し出したドキュメンタリー映画

サラ・ゴメス監督による短編ドキュメンタリー映画。サンティアゴに住む人達の生活と町の風俗、歴史、そして祭りを捉えただけ
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ショコラ(1988年製作の映画)

4.5

使用人の黒人青年と少女が交流するお話

奥行き構図と横パン移動の映画で最高。構図の殆どは奥行きがあるし奥→正面のアクションや正面→奥のアクションが繰り返されて面白い。アクションの途中で途切れるブツ切り
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Tripping with Nils Frahm(原題)(2020年製作の映画)

4.7

ニルス・フラームのライブ映像を捉えたドキュメンタリー映画

セリフもインタビューも会場の裏側の様子も何も無く、ただ淡々とニルス・フラームの演奏と会場の様子が映し出される。1つのライブが最初から最後まで
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フォーエヴァー・モーツアルト(1996年製作の映画)

4.5

インテリ若者達が演劇をする為にサラエボに訪れたら軍人に捕まってしまうお話と、映画撮影のお話

頭の中でサッカーをしてる!頭の中でサッカーをするってこれだったんだ...
映画の導入とサラエボ篇の旅路はあ
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Violet(原題)(2014年製作の映画)

4.6

目の前で親友が刺殺された少年が喪失感を抱えたまま日常を過ごすお話

バス・ドゥヴォス監督の長編デビュー作。最近よく話題になっているが、長編デビュー作の頃から監督の作家性が全面に押し出されていて確かに面
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ビースト 獣の日(1995年製作の映画)

4.7

神父が悪魔と接触してクリスマスイブの日に来る黙示録を封じるため、数々の悪事を犯しまくるお話

大傑作!
異様な力強さが満ちていて面白すぎる!
序盤のオープニングシークエンスから滅茶苦茶最高。巨大な十字
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A Day in a Life(原題)(2021年製作の映画)

2.5

薬物と性行為に耽る若者達の一日を描いた短編映画

15分という短さからなのかただ単にテーマ性の不足なのかは分からないけど普通に面白くない。ラリー・クラーク監督らしく現代に生きる若者達が違法行為(薬物)
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サンライズ(1927年製作の映画)

5.0

田舎で暮らす夫婦の元に都会から来た女がやって来る。彼女に一目惚れした夫は彼女と都会で暮らすために妻を殺そうとするのだが...というお話

初ムルナウ。
面白すぎて見てる最中涙が出てきた。予想以上にかな
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憎しみ(1995年製作の映画)

4.5

警察が移民少年を暴行したことをきっかけに発生した暴動の翌日、不良少年達は偶然にも警察が落とした銃を拾って...というお話

冒頭から力強いショットの連続で最高。銃声と共にサイードの顔へのクローズアップ
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ありふれた話(2009年製作の映画)

4.3

下半身不随になった青年と彼を介護する男のお話

アノーチャ・スウィチャーゴーンポン監督の長編デビュー作。映画は殆ど一室の室内劇に終始して閉塞感が漂い続けるが、彼の意識が宇宙に飛んで宇宙の誕生を眺めたり
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Prayers for the Stolen(英題)(2021年製作の映画)

4.7

麻薬カルテルが支配するメキシコの村に住む少女達のお話

メキシコの村に住む少女達の日常生活をドキュメンタリータッチで淡々と描き出していく。初等教育を受けている彼女達は年相応に学び、遊んで日々を過ごす。
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シック・オブ・マイセルフ(2022年製作の映画)

4.0

駆け出しアーティストとして世間から注目を集める彼氏に対抗するため、ドラッグで身体を破壊することで世間から注目を集めようとするお話

所々『イディオッツ』や『セレブレーション』のようなドグマ95的演出が
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The Road Movie(原題)(2015年製作の映画)

3.8

ロシアの事故映像を集めたショックメンタリー映画

動画サイトにアップされたロシアでの事故映像を集めただけ。言ってしまえばMDPOPEなどのゴアミックステープや衝撃映像を集めた日本のバラエティ番組とそう
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