CHEBUNBUNさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

無秩序/ディスオーダー(1986年製作の映画)

3.7

【バンドの苦悩とフィルムノワール】
MUBIの2024年最初の追加作品にオリヴィエ・アサイヤス『無秩序/ディスオーダー』があった。カイエ・デュ・シネマベストに選出された作品ということもあり観てみた。思
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散弾銃(ショットガン)の男(1961年製作の映画)

5.0

【スキヤキウエスタンは味噌汁にナイフが刺さる】
Amazon Prime Videoで鈴木清順のマカロニウエスタン『散弾銃の男』が配信されていたので観た。アマプラの旧作邦画は当たりが多いのだが、これも
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ぼくら、20世紀の子供たち(1993年製作の映画)

3.5

【剥き出しの暴力の中の理性】
動画版▼
https://m.youtube.com/watch?v=qijuvOuCZCU

2024年最初のヴィターリー・カネフスキー特集。彼が撮ったドキュメンタリー
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ひとりで生きる(1991年製作の映画)

4.5

【かろうじて成立する空間】
動画版▼
https://m.youtube.com/watch?v=qijuvOuCZCU

2024年最初はヴィタリー・カネフスキー特集で幕を開けた。『ひとりで生きる』
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動くな、死ね、甦れ!(1989年製作の映画)

4.0

【秩序と混沌のサラダボウルの中で】
動画版▼
https://m.youtube.com/watch?v=qijuvOuCZCU

2024年最初はヴィタリー・カネフスキーBOXから初めた。数年前に『
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Dream Scenario(原題)(2023年製作の映画)

2.5

【みんなの夢の中にニコラス・ケイジ】
動画版▼
https://m.youtube.com/watch?v=-qU_cB0Abo8&t=314s

承認欲求をグロテスクな形で表現した怪作『シック・オブ
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HOW TO HAVE SEX(2023年製作の映画)

2.5

【パリピ虚無】
『スプリング・ブレイカーズ』に近い作品で、パリピが酒とセックスの渦の中で虚無に気づくも、痛々しく踊り続ける様を魅せる作品。ただ、そんなに面白くはなかったかな。

レオノールの脳内ヒプナゴジア(半覚醒)(2022年製作の映画)

3.5

【脳天にテレビ直撃、迷い込むはB級映画の世界】
以前から、異様なポスターヴィジュアルが気になっていたフィリピン映画"Leonor Will Never Die"。大阪アジアン映画祭で上映されるも逃して
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キムズ・ビデオ(2023年製作の映画)

4.7

【ミッション:シチリア島からVHSを奪還せよ!】
チェブンブンシネマランキング2023第19位▼
https://m.youtube.com/watch?v=r33poKknhBU&t=6180s
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Yves(原題)(2019年製作の映画)

4.0

【ベジータパーカーを着たラッパー、AI冷蔵庫と作曲するの巻】
数年前に知り合いから「AI冷蔵庫とラップバトルする映画がある」とタレコミがあり、ずっと探していた『Yves』のDVDを入手したので観た。『
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ハブ・ア・ナイス・デイ(2017年製作の映画)

1.0

【】
リウ・ジアン監督のアニメは、動きが少なく、映画としてもアニメである必然性を感じない一方でだからこそ唯一無二の作家性が出ている奇妙さを持っているのだが、やはり彼の静止画パラパラ漫画タッチは好きにな
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きみが死んだあとで(2021年製作の映画)

3.0

【あの時代はなんだったのだろうか?】
第一次羽田闘争で亡くなった山崎博昭に関する証言を軸に全学共闘会議の時代を振り返る3時間越えドキュメンタリー。被写体は饒舌に語るが、映画を追うごとに罪悪感や未練など
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.5

【真実はいつも無数】
動画版▼
https://m.youtube.com/watch?v=5kyFZTD3z4k&t=114s

2/23(金)公開のパルム・ドール受賞作を試写にて一足早く鑑賞した。
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Rewind & Play(原題)(2022年製作の映画)

-

【】
異様に評判の高いセロニアス・モンクのドキュメンタリーを観た。テレビインタビューの映像を通じてメディアによって歪曲された彼のイメージを暴く内容となっている。彼について特に知らなくても、中盤以降のピ
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Afire(英題)(2023年製作の映画)

3.0

【家事を投げ出すクズ男に迫る火事の脅威】
第73回ベルリン国際映画祭にて審査員グランプリを受賞したクリスティアン・ペッツォルト新作『Afire』を観た。映画監督頻出のテーマであるスランプものであった。
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声なき証人(2023年製作の映画)

5.0

【コロンビアの無声映画を繋ぎ合わせて『地獄の黙示録』を作る】
山形国際ドキュメンタリー映画祭でインドの奇才アミット・ダッタの新作が上映されると聞いて観に行った。そうしたらコロンビアの映画も同時上映だっ
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ちっちゃいサムライ 三浦正雄の子供時代(2023年製作の映画)

3.5

【中央アジアの巨匠たちが出演する異色日本映画】
年末の追い込みに何を観ようかとFilmarksを観ていたら、キルギスの映画監督アクタン・アリム・クバトが出演している謎の日本映画を見つけた。しかも、彼だ
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行ったり来たり(2003年製作の映画)

4.0

【初モンテイロ】
フィルメックスでモンテイロ観逃しているので遺作を観た。エリア・スレイマン 系の作品で、街を徘徊するおっさんを撮る内容だが、めちゃくちゃ面白い。バスの最後尾で挙動不審になるのだが、その
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ハウス・バイ・ザ・リバー(1950年製作の映画)

5.0

【甦り続ける罪の記憶】
年末ベストの追い込みでフリッツ・ラングの『ハウス・バイ・ザ・リバー』を観た。あらすじ調べずに観たのだが私の好物である修羅場映画であり、想像以上の大傑作であった。

牧歌的な川と
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Saltburn(2023年製作の映画)

2.0

【バリー・コーガンの演技は良いが...】
上流階級の家に棲みつくことになった男が破滅へ導く。パリピで狂った上流階級の人々に対し無害感を出しつつも追い詰めていくバリー・コーガンの演技は面白いし家侵入もの
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.0

【社会との境界線のゆらめき】
動画版▼
https://m.youtube.com/watch?v=JvCtc3TW1N4&t=5s

第76回カンヌ国際映画祭で役所広司が男優賞を撮った渋谷トイレ映画
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ほつれる(2023年製作の映画)

3.7

【本心】
師走なので年間ベストの追い込みを行なっている。

日本映画クラスタの中で今年話題だった作品に『ほつれる』があり、丁度Amazon Prime Videoで配信されていたので観た。

グランピ
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Four Daughters(英題)(2023年製作の映画)

3.0

【実の娘と虚構の娘】
第76回カンヌ国際映画祭に『皮膚を売った男』のカウテール・ベン・ハニアの新作が出品された。これがかなりの異色作で、オルファを中心に実の娘2人と失踪した娘を補うようにあてがわれた俳
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Nest(原題)(2022年製作の映画)

4.0

【秘密基地を作るよ】
第72回ベルリン国際映画祭で上映され話題となった短編ドキュメンタリー『NEST』がMUBIに登場。珍しく観たい映画が日本版MUBIに来て嬉しく思っている。実際に観てみると確かに面
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ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)

4.0

【開拓者の傲慢さについて】
第96回アカデミー賞国際長編映画賞アイスランド代表の『Godland』を観た。監督のフリーヌル・パルマソンは荒野にツリーハウスを作る短編『Nest』が面白かったので期待して
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マエストロ:その音楽と愛と(2023年製作の映画)

1.0

【ブラッドリー・クーパーは技術力こそあるが...】
Netflix映画とは相性が最悪なので、敬遠しているのだが、レナード・バーンスタインの人生をプライベート中心に描くアプローチが気になり観た。これがあ
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窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

4.0

【移ろいゆく死の香り】
12月に入り、やたらと『映画 窓ぎわのトットちゃん』の評判が良い。ということで、年末の追い込みも兼ねて映画館へ行ってきた。一見すると牧歌的な内容であるが、高度な脚本と技術が仕込
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犯罪者たち(2023年製作の映画)

5.0

【お金に縛られる者、自由を手にする者】
第36回東京国際映画祭で観逃していた『犯罪者たち』がMUBIに来ていたので観た。近年、アルゼンチン映画が注目されており、カイエ・デュ・シネマでは『Trenque
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ランデヴー(1985年製作の映画)

3.5

【ねっとり男は扉を閉める】
アンドレ・テシネの映画は退屈なイメージがあるのだが、本作はかなり面白かった。

冒頭の不動産屋における動線から魅力的だ。プンスカしている女上司らしき人が、男たちをしばきなが
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家と世界(1984年製作の映画)

3.5

【サタジット・レイ、念願の映画化】
サタジット・レイはタゴールの「家と世界」を気に入り、1948年の段階で映画化権を取得していた。しかし、実際の完成に36年も要してしまった。脚色をした際に支援者から変
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見知らぬ人(1991年製作の映画)

2.5

【サタジット・レイの『男はつらいよ』、または『あ、春』】
インド映画の巨匠サタジット・レイ最後の作品『見知らぬ人』を観た。クライテリオンから出ているレイ晩年ボックスの作品を一通り観たが、白黒映画時代の
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ブリーティの花(2023年製作の映画)

3.0

【】
『THE DEAD AND THE OTHERS』が個の話ならこちらは群の話である。João Salaviza&Renée Naderコンビがクラホ族の子どもの目線から徐々に村が侵略されていく恐
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屋根裏のラジャー(2023年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

【イマジナリーフレンド、実存の危機に瀕する】
動画版▼
https://m.youtube.com/watch?v=2PfG6NXgE2w&t=8

スタジオポノック新作の『屋根裏のラジャー』が予告編
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枯れ葉(2023年製作の映画)

3.8

【冷たい眼差しに交える生きる眼差し】
動画版▼
https://m.youtube.com/watch?v=2PfG6NXgE2w&t=8s

第76回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞し、カイエ・デュ・
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愛の果てへの旅(2004年製作の映画)

3.0

【】
「死ぬまでに観たい映画1001本」全バージョン制覇のために2013年に追加されたソレンティーノ映画を観た。時空跳躍や長回しからの激しいカットとテクニックで魅せる映画。ただ、それだけって感じがして
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僕らの世界が交わるまで(2022年製作の映画)

3.0

【ジェシー・アイゼンバーグ初長編監督作】
『Manodrome』でジェシー・アイゼンバーグへの関心が高まったので、勢いで長編監督デビュー作の『僕らの世界が交わるまで』を観た。ジェシー・アイゼンバーグは
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