蛇らいさんの映画レビュー・感想・評価 - 17ページ目

此の岸のこと(2010年製作の映画)

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人は死ぬまで受動的に生きることを許されないのか。死をもって悲しみを精算してしまうラストは同情できない。

TENET テネット(2020年製作の映画)

3.9

過去のノーラン作品と比べると、ヒューマンドラマの部分をこれでもかというほど削ぎ落とされているのが個人的には良かった。ノーランにその部分をまったく求めていないので、『インセプション』や『インターステラー>>続きを読む

人数の町(2020年製作の映画)

3.8

久々に日本映画でざわざわした。普通にヨーロッパやアメリカ映画と渡り合えるくらいのアイデアとオリジナリティがある。

アウトローがアウトローではなくなり、表層的な形だけの秩序が存在する世界で、人間はこれ
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エンダーのゲーム(2013年製作の映画)

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楽しくないのが良くない。エヴァ的な観念で動く少年と大人の関係が馬鹿っぽい。CGやキャスティングにはお金がかかっている模様。

お兄チャンは戦場に行った!?(2013年製作の映画)

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中野量太の受け付けない部分はこの頃からあって、商業ベースに乗った作品でも、DNAレベルで組み込まれる悪寒が作家性として崇められているのは腑に落ちない。

窮鼠はチーズの夢を見る(2020年製作の映画)

2.8

世界的なトランスジェンダー映画の潮流とは別に、日本独自のBL的文脈の原作がどういう影響をもたらすのかという視点で観た。BLという概念は言わば色眼鏡であり、マジョリティへの迎合と矯正である。

その中で
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インターステラー(2014年製作の映画)

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2001年やりたすぎ!
ヒューマンドラマを軸にしてるけど、SFのフィクション部分の要素が強すぎて共振できなかった。

パブリック 図書館の奇跡(2018年製作の映画)

2.6

立て篭もった事実が大事で、意味と価値があるのは充分理解できるが、映画としての展開と社会に向けられた批評性が今ひとつ軟弱な印象。アートとジャーナリズムの親和性が低い。BLMがさらに活発になった昨今以前の>>続きを読む

はちどり(2018年製作の映画)

4.3

この映画に出会った十代がどれほど救われただろうと、前を向けただろうと想像すると感極まる。何も言わずに抱きしめてくれる、そんな映画だ。

1994年韓国の社会情勢、家父長制、教育制度などをウニの内面的な
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悪の偶像(2017年製作の映画)

2.5

視点をどこに定めればいいのか分からず苦戦した。

事故物件 恐い間取り(2020年製作の映画)

3.0

ホラー要素以外のストーリーが、普通におもしろいのが良い。売れない芸人パート、色恋パートも普遍的ではあるが、見せたいであろう物件パートの合間を小気味よく繋いでいく。

特にラストは、昨今の死霊館ユニバー
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青くて痛くて脆い(2020年製作の映画)

3.1

冒頭の自分語りの独白が、一瞬で砕け散る脆弱さと、理路整然としていたはずの思考回路が、あっさりと意味を放棄させる人の温度のある種の残酷さを鋭く捕らえる。

こんな題材よく企画が通ったなと思わされる。ど真
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GO(2001年製作の映画)

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この時代にあるべくしてあった作品だと感じる。窪塚洋介ってひとつのムーブメントであり、社会性も背負っていたんだろうね。

そう考えると今、社会性を帯びた役者ってほとんどいないと思う。海外だとフローレンス
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透明人間(2019年製作の映画)

3.5

バイオテクノロジーから生まれた透明人間ではなく、光化学を基に生まれた透明人間。監督の前作『アップグレード』から引き続き、全体の見せ場となるビジュアルのイメージは近未来的なツールを売りとしている。

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グレース・オブ・ゴッド 告発の時(2018年製作の映画)

3.6

非常に意義深い作品。我々が想像できる被害者の表層的な傷以外の部分を照らし出し、同時に起きている問題、解決から遠のいている現状、なぜ今まで世の明るみに出ることがなかったのかなど、知るべき要点を劇中のスト>>続きを読む

アングスト/不安(1983年製作の映画)

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こんなに好きなシーンが想起できない映画も珍しい。すべてが鈍臭く、スタイリッシュさは皆無。

ヤバい映画として日本公開を見送られたと触れ込みにあるが、単純に面白くないから配給会社が買い取らなかっただけな
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(2020年製作の映画)

2.8

ラスト、主演の2人が結ばれるのが大団円、ゴールなら、それまでの2時間の中で描いたいくつかの幸せは、まがい物ということになるが、良いのだろうか。というのが大まかな感想だ。基本大体のキャラクターがやさぐれ>>続きを読む

思い、思われ、ふり、ふられ(2020年製作の映画)

3.4

十代には大人の知り得ない十代の社会があり、それは時代の変貌と共に大人の理解の範疇からどんどん遠ざかり加速している。わかりやすく言えば今の大人は十代の頃に世界的に大流行するような疫病の最中にはいなかった>>続きを読む

ハン・ゴンジュ 17歳の涙(2013年製作の映画)

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十代のかけがえのない一瞬をとりこぼさないように丁寧に掬い上げ、映像の中にそっと置かれている。

たった一人の思いなんて世界にまみれて見えなくなってしまうかもしれないけれど、誰かに届く可能性があるのなら
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モアナと伝説の海(2016年製作の映画)

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ココナッツの海賊と対峙するシーンは、ほぼマッドマックス。

ルパン三世 盗まれたルパン ~コピーキャットは真夏の蝶~(2004年製作の映画)

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銭形がルパンに対して疑心暗鬼になる演出は引っ掛かったが、武器や戦闘面での多様なアイデアは光る。

最初、ルパンは収拾癖がないのに、ルパンコレクションなるものをしているのはおかしいと思ったが、最後の種明
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アップグレード(2018年製作の映画)

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万人に世界観のデザインのイメージを定着させるには時間をかけるか、圧倒的なオリジナリティがないと難しいなと実感した。

しかし、長編デビュー作にして作家性がしっかり確立されているのは驚異だ。

スマホを落としただけなのに(2018年製作の映画)

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ステレオタイプのOL像の気色の悪さ、胡散臭い台詞の数々、ボロボロな脚本、すべてにおいて我々に向けられた映画ではないことは確か。

ザ・ファイブ・ブラッズ(2020年製作の映画)

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まず物語としてワクワクするし、その脚本の質の高さたるや凄まじい。エンタメとしてのポテンシャルをもカバーしてここまで精神性のある作品に仕上げられるのは指折り数えるくらいの映画作家しかいないであろう。>>続きを読む

2重螺旋の恋人(2017年製作の映画)

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ジャンルの化けの皮が剥がれる瞬間の心地よさは一級。

精神の患いは外的要因がすべてではなく、人間の先天性の孤独、深層心理、アインデンティティが己を飲み込み引き起こされる。

フランソワ・オゾン恐るべし
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グッド・ワイフ(2018年製作の映画)

2.8

富裕層を描いた作品であることが題材だけではなく、カメラワークのリッチさからも感じられる。

足がもつれても彼女を歩かせるのは時代であり、意地である。

たとえ泥臭くても這いつくばってでもしがみついてい
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友罪(2017年製作の映画)

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有象無象の日本映画の中では、映画として躍動するシーンが多くて良い。

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ栄光のヤキニクロード(2003年製作の映画)

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しんちゃん映画の中でもさらっと観れる一本。オトナ帝国をなぞった演出が多いものの、ギャグセンスに関してはオリジナリティを感じる。

『地獄の黙示録』のキルゴア中佐をモチーフにした敵キャラも登場し、劇中で
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ナンシー(2018年製作の映画)

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あまり話題に上がらない作品ではあるが、とても良質な作品。

ポスタービジュアルが、わかりやすくサスペンス物としてミスリードしてあるが、全然そんな映画ではない。

1人の人間にしっかり寄り添い、物語の力
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ぼくは明日、昨日のきみとデートする(2016年製作の映画)

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はい、名作です。

人を好きになるというテーマから逃げず、茶化さず、スカさず、真っ向から素晴らしいことだと言える姿勢に価値を感じる。

大手制作で制約が多い中で、これくらいの映画もできることを証明した
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東京流れ者(1966年製作の映画)

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すげえ!まだこんな知らない世界があったのか!

角刈りと七三とロマンスグレーのスーツ姿が、ポップアートのような色彩を背景に、混沌と暴れる。かと思えばモダンな白いセットで純白のスーツを着てみたりどんな感
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ふたりの女(1960年製作の映画)

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戦争は人間から規範意識を奪い、その人間は他の人間の心も奪って行く。

てんとう虫が世界の外側にいることを羨むほど、戦争は人間を追い込む。

ジョゼと虎と魚たち(2003年製作の映画)

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役者って何だろうと考える境地まで連れて行ってくれる、池脇千鶴が凄まじい。

お互いの関係性に意味を持たせず、起きたことのみを尊重し、観た人それぞれの意味が後から付いてくるという部分に、脚本のタフさの秘
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