わちさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

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ある過去の行方(2013年製作の映画)

3.5

『別離』で有名になったイラン人のアスガー・ファルハディ監督作。
オープニングから徹底してコミュニケーションの不和が引き起こす数々の誤解やすれ違いが描かれていて、登場人物たちの繊細な心情を追う部分と、そ
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そこのみにて光輝く(2013年製作の映画)

4.0

函館を舞台に、それぞれが社会の底辺で苦悩を抱えながらも、何とか生きようとする3人の物語。
重苦しい中にほんのすこしだけ光の差すような、他人には薦めにくいものの、美しい映画だった。そしてなにより僕がこの
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アクト・オブ・キリング(2012年製作の映画)

4.0

インドネシアでかつて起きた大虐殺の実行者に、映画を撮るという形式でその様子を自身に演じてもらうという、特殊で強烈なドキュメンタリー。
殺人という行為を嬉々として語ったり、その行為と向き合ったりする人物
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嘆きのピエタ(2012年製作の映画)

3.8

韓国映画界の鬼才、キム・ギドク監督の作品を初鑑賞。
母と子、善と悪、お金と命、の間で揺さぶられるテーマで、韓国映画独特の湿っぽさを含んだ凄い映画だった。前半はなんとなく不快なまま掴みどころがなく進むが
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プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命(2012年製作の映画)

3.5

『ブルーバレンタイン』の監督・主演が再びタッグを組んだ作品。
映画を3本観たような気分にさせられるボリュームや動きの大きな展開はあるものの、サブタイトルにもある"宿命"という渋いテーマを扱っていて、予
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ガタカ(1997年製作の映画)

3.5

設定はあくまでSFであるものの、明快にかつ熱く人間の努力や情熱を肯定してくれるヒューマンドラマの成分も多分に含んだ完成度の高い作品。
若干安っぽいと感じる部分もはあるもののレトロフューチャーなデザイン
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パンチドランク・ラブ(2002年製作の映画)

4.0

ジャンルとしてはラブコメディだが、そこはPTA監督作、なかなか一筋縄ではいかない映画だった。
とにかく主人公のバリーの行動すべてが奇天烈で不器用で理解できなさすぎて可笑しいのだが、そんな男が恋に落ちて
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胸騒ぎの恋人(2010年製作の映画)

3.3

京都みなみ会館グザヴィエ・ドラン特集、何とか3作観きった!
監督作としては2作目となる、同じ男性を好きになってしまった男女の不思議な関係を少し可笑しいタッチで描いた作品。
冒頭から音楽をガンガン流しス
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ダラス・バイヤーズクラブ(2013年製作の映画)

3.8

アカデミー賞で主演助演ダブル受賞を果たした、実話を基にした作品。
エイズにかかったマシュー・マコノヒー演じる主人公・ロンの、破天荒で不器用ながらも強く「生きてやる」という思いが、知らず知らずのうちに周
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横道世之介(2013年製作の映画)

4.0

今やすっかり映画原作者としておなじみとなった吉田修一原作の、昭和末期を舞台にした青春映画。
実は原作を読んだ時にぼんやりした話でいまいち好きになれず、絶賛されていたにも関わらずずっと二の足を踏んで観ら
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ほとりの朔子(2013年製作の映画)

3.8

大人と子供の「ほとり」にいる朔子のひと夏を描いた、二階堂ふみが久しぶりに(というか初めて??)普通の女の子を演じている作品。
浪人生としての夏を親戚の家で過ごしながら、様々な大人の姿を「ほとり」から見
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マイ・マザー(2009年製作の映画)

3.8

思春期の息子(グザヴィエ・ドラン自身が主演)とシングルマザーである母親が強烈に反発し合いながらも、それでも逃れられない愛情を描いた、グザヴィエ・ドランのデビュー作。
母親の食べ方だったり、視聴している
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わたしはロランス(2012年製作の映画)

5.0

いやー、暗い映画が好きな僕がこんなメロドラマに感動させられるとは!弱冠24歳の新星グザヴィエ・ドラン(ほぼ自分と同い年)恐るべし!

予告編や公式サイトからも分かる通り、まず特筆すべきはその映像や色彩
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キック・アス ジャスティス・フォーエバー(2013年製作の映画)

3.5

前作で出来上がった3人のキャラクターそれぞれのストーリーがあって少しゴチャゴチャしている感じは否めないし、そのせいで前作ほどキック・アスに魅力が感じられなくなっているものの、相変わらずの下品さとバイオ>>続きを読む

父の秘密(2012年製作の映画)

4.0

母親(妻)の死という喪失感を抱えたメキシコの父娘を描いた、カンヌ映画祭ある視点部門グランプリ受賞作。
それぞれ問題を抱えているものの、互いに気を遣い合ってごまかしてしまう父と娘の曖昧な距離感が、ハネケ
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シャイニング(1980年製作の映画)

3.5

huluにて再鑑賞したのでメモ。
スティーブン・キングが怒るのも納得の説明の省きっぷりはやっぱり気になるけれど、恐怖/狂気を映像化した印象に残るシーンの多い映画。ホテル内を走る三輪車・鏡越しの画・徹底
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カポーティ(2005年製作の映画)

3.5

つい先日若くして亡くなった、フィリップ・シーモア・ホフマンのアカデミー主演男優賞受賞作ということで衝動的にレンタルして鑑賞。
トルーマン・カポーティがノンフィクション小説『冷血』を書き上げる過程で次第
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ウルフ・オブ・ウォールストリート(2013年製作の映画)

3.8

3時間通して「セックス・ドラッグ・マネー」まみれの男の一代記をハイテンポで余すこと無く描いていて、Fワードもボカシもありまくりの下品さをもってその盛衰を共に味わう映画。

登場人物は大体おかしい人ばか
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クロニクル(2012年製作の映画)

3.8

そこらにいるような高校生が超能力を持ったらどうなっちゃうの、という大枠は単純な話をPOV形式で撮った2013年の話題作。
設定としてはB級風でしかも初めて観るPOV作品、ということであまり期待せずに観
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ゼロ・グラビティ(2013年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

映画館で観るべき話題作、ということでたまたま初日に鑑賞。
ストーリーはいたってシンプルで、ハッブル望遠鏡修理中にスペースデブリに襲われて宇宙に放り出された2人はどうなるのか、というだけの話だが、とにか
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愛、アムール(2012年製作の映画)

4.5

ミヒャエル・ハネケ監督が2012年に2作連続となるパルムドールを受賞した、現実にも何度か報道されているような普遍的な老老介護の顛末を描いた、静かでありながらも残酷な映画。
妻の見せるプライドと苛立ち、
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偽りなき者(2012年製作の映画)

3.8

デンマークの小さな町で、少女のふとした嘘から性的虐待の嫌疑を掛けられ、コミュニティからも虐げられてゆく男の話。
幼い子供の無垢さを盲信する大人たちが、ひとり歩きし出した嘘を暴走させていく様が上手く描か
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ゼロ・ダーク・サーティ(2012年製作の映画)

4.0

『ハート・ロッカー』で一躍有名になったキャスリン・ビグロー監督の最新作。CIAのマヤを追った人間ドラマがメインの作品だが、その分前作のような緊張感が終盤に集約されていたのでやっぱり観終わるとドッと疲れ>>続きを読む

ショート・カッツ(1993年製作の映画)

3.5

個人的にいたく気に入った「マグノリア」と並んで評される群像劇ということで鑑賞。マグノリアを"動"とするならば、それに対してショートカッツは何組もの家族に起こる事件をスケッチしたような"静"の作品で、展>>続きを読む

ノーボーイズ,ノークライ(2009年製作の映画)

3.2

監督は韓国人・脚本は渡辺あやの、日韓合作映画。日韓両国の主人公2人の距離感の変化は好きだけれど、元カノの結婚くだりは余計だし、社長探しは投げっぱなしだし、ラストシーンは正直萎えたし、何というか、全体的>>続きを読む

キック・アス(2010年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

何の能力もない普通の男がヒーローを目指す話なのに、完全に"ヒットガール"ことクロエちゃんが持って行ってしまってる、B級を狙ったB級映画。結局主人公は彼女とイチャイチャしだすし、おいしい場面はあるものの>>続きを読む

ザ・マスター(2012年製作の映画)

3.5

とにかく観終わって一言、わかりにくい!終戦後、精神を患ったフレディが新興宗教の”マスター”に魅せられる、という単純な話では終わらず、最終的には両者の共依存みたいな部分を映し出した映画だが、解釈を鑑賞者>>続きを読む

スナッチ(2000年製作の映画)

4.0

盗まれたダイヤモンドと裏ボクシングに関わる男たちのドタバタ劇。個性豊かな登場人物たちが収束していく脚本・演出がとにかく魅力的で、特に牛乳パック投げ捨てのシーンはその一つのハイライトだと思う。登場人物が>>続きを読む

スラムドッグ$ミリオネア(2008年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

日本では例のあの人が司会を務めた番組を元にした映画。自分が鑑賞前に思い描いていた「スラム出身の青年が難問を次々と突破した謎を明かす」のは本筋ではなく、人生経験を元に解答に至ったピタゴラスイッチ的ストー>>続きを読む

SHAME シェイム(2011年製作の映画)

3.3

セックス依存症の主人公を描くというセンセーショナルなテーマの作品。
物質的にも社会的地位も満たされているであろう主人公が、それとは対照的に私生活では愛を感じられずに持て余した過剰な性欲に苦悩する哀しさ
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そして父になる(2013年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

カンヌでの受賞と主演が福山雅治ということでテレビでも多く取り上げられた本作。
タイトルにもあるように、新生児の入れ替わり事件を通して父=福山雅治がどのように父性を理解していくのか、というのがメインにな
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地獄でなぜ悪い(2013年製作の映画)

3.8

園子温がエンタメに振り切れた映画を撮ったらこうなる!という作品。
ここのところ「ヒミズ」「希望の国」とシリアスな映画が続いていたが、本作はやり過ぎなくらいエンタメに振り切れた映画で、ファンなら「愛のむ
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凶悪(2013年製作の映画)

3.8

当たり前のように殺人を繰り返す様がもはや笑えてエンターテイメントと化している(特に電気屋のシークエンスは圧巻!)のは「冷たい熱帯魚」に近いが、主要人物全員が狂人だった「冷たい~」に対して、本作は池脇千>>続きを読む

バベル(2006年製作の映画)

3.5

菊地凛子がアカデミー助演女優賞にノミネートされたことで話題になった作品。
旧約聖書の「バベルの塔」を下敷に、観光バスに集まってくるモロッコの人々を不安そうに見る観光客、メキシコ人の結婚式に連れて来られ
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人のセックスを笑うな(2007年製作の映画)

2.5

固定カメラ&長回しの連続はちょっと趣味に合わず観ていて疲れてしまった。
もちろん構図とかかなり練られてるんだろうけど、自分が素人なせいでどうもサボっているように見えてしまう…

CURE キュア(1997年製作の映画)

4.0

人々の潜在的な悪意を"癒やす"ことによって起こる連続殺人と、それを追う刑事を描いたサイコサスペンス。
とにかく全編に渡って不穏な雰囲気が漂っていて、特に後半の夢現が入り混じり、観ている方も催眠暗示に掛
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