わちさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

わち

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雪の轍(2014年製作の映画)

3.5

美しい冬のカッパドキアで繰り広げられる三時間会話劇。高慢で理屈っぽくて理解し合えない人間たちイライラさせられ、同時に自分やその周りにも同じ様な愚かさを見つけたりしてさらにイライラさせられる。褒めてます>>続きを読む

フレンチアルプスで起きたこと(2014年製作の映画)

4.0

夫→父親になった低予算版ゴーン・ガールとでも言えるだろうか(奥さんはあんな方じゃないのであくまで大枠の話)。
咄嗟の瞬間に父親の役割を演じられなかったことにより起きた亀裂を経て、演じるべき役割を再確認
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キャロル(2015年製作の映画)

4.0

粗めの映像で50年代の美しいふたりの同性愛を描いた、あくまで普遍的なメロドラマ。
食事のシーンの後に肩に手をおくキャロルをみつめる目線、ガラス越しの目線、予告にもある人越しの目線。その仕草や手の動き、
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ショート・ターム(2013年製作の映画)

4.0

児童保護施設で職員と子供たちお互いに成長していく。子どもたちが悲痛な思いを吐露するタコと鮫の童話とラップが心に響く。話を聞くこと話をすることの大切さ。

恋人たち(2015年製作の映画)

4.5

どこにでもいそうな救われない人間たちの群像劇。 独白ではじまり独白で終わる。救いはそれを唯一受け止める片腕の男。
橋口監督は人を見る目が暖かい。

岸辺の旅(2015年製作の映画)

3.8

失われた時間を取り戻す夫婦のロードムービー…と書くとありきたりでつまらなく聞こえるが、それを黒澤印の違和感で味付けした変な映画。
登場シーンから新聞配達エピソードまでの、浅野忠信の存在の把握できなさか
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8月の家族たち(2013年製作の映画)

3.0

クズだらけの家族たち。
食事のシーンやメリルストリープの圧巻のボケババア演技は痛快だけど、ストーリー自体はひたすら重い事実のオンパレードすぎて途中から食傷気味になってきたりも。

マネーボール(2011年製作の映画)

3.3

野球にセイバーメトリクスを持ち込んだ第一人者の物語。今や札幌ドームにも細かいデータが表示されたりと浸透してきてはいるが、当時は数字偏重な考え方は相当反発を生んだようで、その孤独な成功者の姿が丁寧に描か>>続きを読む

ナイトクローラー(2014年製作の映画)

3.8

ジェイク・ギレンホール演じるパパラッチが次第に暴走していく様を描いた映画。
意識高い系クズの主人公は、価値ある映像と金に目が眩んで狂っていったというより、パパラッチという天職を見つけ、水を得た魚のよう
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インヒアレント・ヴァイス(2014年製作の映画)

3.5

PTA監督の新作!と喜んでたら上映館がめちゃくちゃ少なくて驚いた本作。
一応謎を追うかたちで話は進むが、人物も多く、解明する経緯を見せようとする編集ではないので、正直細かい部分の理解は宙ぶらりん。ただ
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オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分(2013年製作の映画)

3.0

ひたすら車を運転する男が映る電話での会話劇。
画的にはさすがに魅力がないが、後戻りのできない高速道路という状況と、自ら退路を絶って何とか責任を取る・全うしようとする状況が重なるのが面白い。狙ってないは
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きみはいい子(2014年製作の映画)

3.8

純粋に「いい子」であれる絶妙な年齢のこどもたちを描いた呉美保監督作。現代社会の抱える問題がてんこ盛りすぎたり少々くどい台詞もあったり気になる部分もあるが、それぞれのストーリーごとの切り替わりが共鳴する>>続きを読む

ジャージー・ボーイズ(2014年製作の映画)

4.0

四者四様のキャラクターにスポットが当たるのがいい。ともすれば退屈になりがちな伝記物だが要所で鑑賞者に語りかけてくる演出などテンポも良く楽しめる。グループの盛衰をストレート描いたもので バラバラになって>>続きを読む

マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015年製作の映画)

3.5

過去作の知識はまったくなかったがみんな狂ったように「イモーターーン!」とか「what a lovely day!!」とか言うので乗っかった。圧倒的なビジュアルとシンプルなストーリーの中で輝く女性たち。

台風クラブ(1985年製作の映画)

3.8

カルト的人気を誇る変な映画。台風という非日常感によって引き起こされた鬱屈した中学生たちの爆発。アバンギャルドな作風ながらもあの頃ならではの厭世観とか悟ったつもりになる感じとか共感できるのが面白い。

砂の器(1974年製作の映画)

3.5

何度もリメイクされた名作。親子の放浪旅シーンと演奏シーンの重なり。捜査に少々無理があるけど気にしない。

25時(2002年製作の映画)

3.5

身分立場の違う同級生の男たちの後悔と諦観。見方によっちゃ退屈な話だけどキャスト3人がそれぞれ魅力的。

海街diary(2015年製作の映画)

3.5

淡く美しい映像、紋切り型の美人三姉妹だが(漫画原作だし仕方ないか)そこへ入ってくる広瀬すずによってじわじわ炙りだされる家族の歪み。すずが良い子すぎて話は大きく動かないからこそ、広瀬すずの適役さが際立っ>>続きを読む

Kids Return キッズ・リターン(1996年製作の映画)

3.5

北野武の青春映画。どうしようもないくらいの無謀さと挫折が描かれるが2人を嫌いになれない。周りの同級生たちも比較して描かれているのが良い。評判は良いみたいだけど他作品に比べると印象的なシーンは少なかった>>続きを読む

殺人の追憶(2003年製作の映画)

4.3

ハリウッド進出まで果たしたポン・ジュノ監督の出世作。
ありがちなデコボコ刑事コンビを主人公にしたサスペンスだが、そこは韓国映画、暴力的でありながらも司法解剖からの移る焼き肉シーンなど悪趣味な(褒めてる
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Mommy/マミー(2014年製作の映画)

4.0

我らが(世代的に)グザヴィエ・ドランの最新作。流行りのInstagramを想起させる1:1の画面一杯に収められる顔、表情、母子の距離が印象的。
あの曲が流れて広がる画面は少々やり過ぎに感じるけれどもド
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セッション(2014年製作の映画)

3.5

アカデミー賞助演男優賞を受賞した“J.K.シモンズa.k.a.フレッチャー先生”の怪演が話題となった映画。よくある師弟関係なんて生易しいものではなく、恫喝とそれによるプレッシャーによって追いつめられて>>続きを読む

恐怖分子(1986年製作の映画)

4.0

台湾のエドワード・ヤン監督の1986年の作品。監督や本作に関してはまったく知らなかったが、先に再上映が行われていた関東の評判と予告の不穏さに惹かれて観に行った。
カメラマンの青年と混血の不良少女、関係
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バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014年製作の映画)

4.0

2015年アカデミー賞の主役となったアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督作。
かつてヒーロー映画でスターとなったおっさんが舞台で再起をかける姿を描いたコメディで、映画界や批評家への皮肉も盛り込ま
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こわれゆく女(1974年製作の映画)

3.5

精神的におかしくなってしまった妻と、夫を主とした周囲の人間の困惑する様を描いた映画。
恐らく精神的な病気に対する理解が進んでいないという時代背景もあると思うが、酷く叱責したり退院パーティを開いたりと、
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ソナチネ(1993年製作の映画)

3.5

冒頭からヤクザの世界に疲れた北野武の姿が、美しい映像とオフビートな笑いをもって延々と描かれる、長い長い自殺を見ているかのような不思議な映画だった。
沖縄という明るいイメージを持った舞台に流れる冷たい空
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ぐるりのこと。(2008年製作の映画)

3.5

法廷画家の夫と子供を失ったことによって精神を病んでしまった妻の再生を描いた映画。
口数も少なく感情をはっきり出さないリリー・フランキーと、少し神経質であるがゆえ自分で自分を追い込んでいってしまう木村多
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二重生活(2012年製作の映画)

3.0

夫の不倫を発端として巻き起こる2人の妻の人間関係と1つの事件を描いた中国映画。
冒頭で起こる事件の謎を追うミステリーとしての側面もあるが、開始30分くらいで大方はわかってしまい、あくまで2つの家庭を行
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母なる証明(2009年製作の映画)

3.5

殺人の嫌疑を掛けられた息子のために奔走する母親を描いたポン・ジュノ監督作。
少し脈絡のないミスリードが出てきたりしてミステリーというには物足りない部分もあったが(素人による捜査が続くので当然といえば当
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はじまりのうた(2013年製作の映画)

4.0

色々な物を失った男女が音楽制作を通して再生していく姿を描いた映画。
楽曲が出来ていく過程の高揚感や、音楽によって風景が輝く瞬間など、とにかく音楽の素晴らしさが溢れていて、音楽を聴くことが何より好きな自
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おとなのけんか(2011年製作の映画)

3.8

登場人物は夫婦二組だけ、場面は片方の夫婦の家のみで、コンパクトにおとなの見せる本音と建前を描いたコメディ。
互いの子供同士が起こしたトラブルを話し合うために集まった2組の夫婦が会話劇を繰り広げる中で、
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21グラム(2003年製作の映画)

4.0

ひき逃げ事件によって交錯する3人とその家族を描いた映画。
今までに観た映画の中でも1番と言えるほど、冒頭からこれでもかというくらい時系列がシャッフルされまくっていて、序盤は人間関係を整理するだけでも一
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フォックスキャッチャー(2014年製作の映画)

4.5

大富豪による五輪メダリストの殺人というショッキングな実話を基にしたベネット・ミラー監督作。
色調も音楽も抑えられた映像で一見すると地味な映画ではあるが、レスリングのメダリストのシュルツ兄弟とその弟のス
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薄氷の殺人(2014年製作の映画)

4.0

ベルリンでグランプリ・主演男優賞の2冠を獲得した、心身ともに傷を追った元刑事と殺人事件に関わりを持つ美女を描いた中国のノワール。
シーン毎にラストがバッサリと切られていたり、経過が大胆に省略されていた
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6才のボクが、大人になるまで。(2014年製作の映画)

3.5

6才の少年とその家族の成長を実際に12年間かけて撮影した2014年の話題作。上映期間ギリギリに滑り込み鑑賞。
6歳から青年までという濃密で重要な期間が真摯に映像化されていて、それ自体は非常に尊いもので
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百円の恋(2014年製作の映画)

3.8

引きこもっていた実家を追い出された一子(安藤サクラ)が不器用に生活しながら、その中でぶち当たる人間関係によって生まれたフラストレーションをボクシングへと向けていくという、とてもストレートな物語(ボクシ>>続きを読む