りっくさんの映画レビュー・感想・評価 - 53ページ目

フライト(2012年製作の映画)

3.8

オープニングからデンゼル・ワシントン=「聖人」というイメージを破壊してみせる。
フライト直前までスッチーと一緒、睡眠不足の上に、酔っ払った状態でドラッグにまで手を出す。
その後、主人公が英雄なのか罪人
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ザ・ウォーク(2015年製作の映画)

4.2

「9.11」以降それを題材に強いアメリカを描いた映画は数多くあったが、これだけアメリカの象徴であった「ワールドトレードセンター」に敬意と哀悼を表した映画があっただろうか。

本作は自由の女神に登った主
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マリアンヌ(2016年製作の映画)

4.0

第二次世界大戦下でスパイという立場を超え愛し合い子供を授かった男女が、スパイという欺きや裏切りを強いられる立場で、逆に周囲を欺いて愛を貫けるか、悲劇的なメロドラマが重厚に展開される見応えたっぷりの一作>>続きを読む

ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ(2017年製作の映画)

3.8

本作はまず実在の夫婦に起こった馴れ初めを本人たちが脚本にし、さらに夫は主演まで務めてしまうという私物化っぷり。だが、これが例えば誰もが羨むロマンチックでドラマチックな馴れ初めであれば鼻持ちならないが、>>続きを読む

ミス・アメリカーナ(2020年製作の映画)

3.8

幼き頃から良い子でいようと努め、人に喜ばれようとしてきたテイラースウィフト。そんな繊細な彼女はスターダムにのし上がっていても有頂天にならずに、浮き足立ちがちなところを、地に足をつけて歩む堅実な一面も含>>続きを読む

グリーンルーム(2015年製作の映画)

3.8

冒頭から畑に突っ込んだ車を動かすためにガソリンを盗むことにより制裁決定なパンクロッカーたちが、ネオナチの巣窟であえてナチスファック!的な歌をシャウトし酷い目にあうという前半30分はお決まりのジャンルム>>続きを読む

ムーンライト(2016年製作の映画)

4.4

リトル、シャロン、ブラックという三章から成る本作は、主人公と同様に決して饒舌な映画ではない。だが、瞳がすべてを物語り、それぞれの章が影響を及ぼし合い呼応する、今にも壊れそうなほど繊細な作品である。>>続きを読む

Jonas/ジョナス(2018年製作の映画)

3.8

冒頭、車内で旧式のゲームボーイでテトリスをする男が映し出される。このアイテムが劇中で描かれる時代のアイテムになるかと思いきや、主人公が若かりし頃を描いたパートではダイアナ妃の死を報じている。

この過
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イット・フォローズ(2014年製作の映画)

4.0


「イット・フォローズ」鑑賞。正統派ホラーというジャンルの中に独創性を持ち込んだ作品だが、様々なメタファーが散りばめられているように感じるため消化し切れない。

一貫して思春期の男女の視点で描いている
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アンダー・ザ・シルバーレイク(2018年製作の映画)

4.4

ハリウッドの麓で家賃の取り立てに日々追われ、ベランダからの覗きが趣味の青年が、目眩く妄想により自分の部屋からベランダの向こう側に脱出し、裸体の女性とのセックスが叶っただけの物語にも思える。

空虚で怠
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くもりときどきミートボール(2009年製作の映画)

4.5

アニメーションだから成せる技。
食べ物が巻き起こす天変地異に魅せられっぱなし。
様々な食材がきちんと工夫された形で画の隅々に降り注いでいるのが嬉しい。
それでいて物語の軸は息子と父親の行き違いか
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LEGO(R) ムービー(2014年製作の映画)

4.5

メタ的視点
箱庭的世界観
内と外がシンクロしていく
レゴで遊ぶ息子の話+妹も参加
息子と父親の和解の物語
レゴ=大人の総合芸術品
固定して鑑賞するもの
ボンドで固定しようとする
レゴ=
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プーと大人になった僕(2018年製作の映画)

4.0

実際にプーさんのぬいぐるみで遊んでいた身としては、ただ遊んでいることが日常のすべてであり、それが自分にとっての世界だったあの日の郷愁と、そんな無垢でかけがえのない日々の蓄積が、確かに今の自分を形作って>>続きを読む

ある女流作家の罪と罰(2018年製作の映画)

4.3

冒頭から周囲に悪態を吐き、過去の栄光から抜け出さずにお金が回らない孤独な作家。本来であればこの状況も自業自得な嫌な人物だと思ってしまうところを、メリッサマッカーシーが演じているからこそ、その奥に滲み出>>続きを読む

映画HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ(2018年製作の映画)

4.2

記憶を失って幼児化してしまったプリキュアたちを、それぞれのプリキュアに思い入れがある年代の観客ひとりひとりが応援することで思い出を取り戻し、それぞれのプリキュアの必殺技を駆使して活躍することで変わらな>>続きを読む

ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)

5.0

抜け目のない完璧なストーリー。見事にキャラクターに成りきり、内面を掘り下げて演じるキャスト。まるで詩の一節のような、美しい台詞やナレーション。撮影も編集も美術も音楽も、全てが超一級品である。なぜこのよ>>続きを読む

ロストガールズ(2020年製作の映画)

2.8

本作は実際に起きた連続殺人事件を描いているが、失踪した娘を探す母親の猪突猛進な行動力もあり、早々と怪しい人物や、おそらく娘の死体が遺棄されているであろう場所も推測される。だからこそ、ミステリー映画とし>>続きを読む

きっと、うまくいく(2009年製作の映画)

4.5

噂に違わぬ傑作!
時間軸の行き来、コミカルとシリアスのバランス、メッセージ性と娯楽性、全てが絶妙なバランスによって突き進んでいく、全くストレスを感じさせない映画。
競争社会を糾弾するのではなく、皮肉っ
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コーヒーが冷めないうちに(2018年製作の映画)

1.0

まず冒頭、喫茶店のレシピ風に本作のあまりにも理屈っぽすぎるタイムスリップに関するルールが説明される段階でゲンナリ。作り手たちも本作は複雑なルールがあり的なナレーションを当てていることからも、それには自>>続きを読む

魂のゆくえ(2017年製作の映画)

4.0

利権絡みで環境破壊を認めない石油業界と、彼らと癒着する政府や教会。未来なき利害関係が円環構造を成す中で、果たしてこんな世界を誇りを持って次世代にバトンを渡せるのか。そしてこんな状況で、なぜ神は黙ってい>>続きを読む

ザ・ケーブ(2019年製作の映画)

3.8

「ラッカは静かに虐殺されている」「娘は戦場で生まれた」に続くシリアの実情を描いたドキュメンタリー。だが、本作は爆撃や虐殺の映像はほぼ出てこない。地下トンネルで負傷したり栄養失調になった民衆を診察する医>>続きを読む

ハート・オブ・ダークネス/コッポラの黙示録(1991年製作の映画)

4.1

世界のリーダーとして意気揚々と東洋の小国に降り立ったアメリカ。文明人である彼らがジャングルの奥地に近づくにつれ、自分の心の奥に潜んでいた野蛮さが顔を出すように、撮影クルーもまたハプニングが生じ続けて疲>>続きを読む

ラッカは静かに虐殺されている(2017年製作の映画)

4.2

「娘は戦場で生まれた」の関連作として鑑賞。シリアのラッカを舞台に暴力で民衆を支配するISILと、そんな現地の情報を命がけで世界に伝えようとする国内外のジャーナリスト組織RBSSとの攻防を情報戦という切>>続きを読む

イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり(2019年製作の映画)

3.8

気球という限定された空間で、気球ならではのアクションとアドベンチャー感、さらには主演2人のコンビネーションと的確な演出も相まって、良作に仕上がっている。

気球とはどこまでも高く上がるロマンを感じさせ
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地獄の黙示録 ファイナル・カット(2019年製作の映画)

4.3

冒頭からヘリコプターのプロペラ音が通奏低音のように響く。かつて馬に乗ってフロンティアを開拓したように、アメリカ人はヘリコプターに乗ってベトナムを焼き払っていく。前半は騎兵隊の扮装をするギルゴア大佐に代>>続きを読む

レ・ミゼラブル(2019年製作の映画)

4.8

レミゼラブルの舞台となったパリ郊外のモンフェルメイユという街に渦巻く憎しみと怒り。サラダボウルのように様々な国籍の人々が集う団地はまるで火薬庫のようであり、火種となる出来事を積み重ね、導火線に火をつけ>>続きを読む

娘は戦場で生まれた(2019年製作の映画)

4.4

本作は監督が娘に向かって語りかけるようなナレーションと、プライベートフィルムのような手触りで彼女の学生時代から結婚、出産、子育ての模様を映し出す。ただ、単に幸福な記録ではないのは、そこが戦場の真っ只中>>続きを読む

ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ(2018年製作の映画)

4.5

腐ったリンゴ、降り止まない雨、緑色の本、壊れた時計、夏至の夜。艶かしいイメージやモチーフが点描されることにより、観客は主人公とともに、忘れられないが、存在していたかどうか朧げな、女性を追い求める旅に出>>続きを読む

架空OL日記(2020年製作の映画)

4.3

ドラマ版と同様に、職場でもプライベートでも一緒にいて、更衣室やジムやカフェという何の変哲もない毎日の、何の生産性もない会話劇なのに、永遠と眺めていられる。

彼女らは話題に事欠くことなく、誰も仲間外れ
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