自由の国でエイリアン統治下の物語を何の発展もさせずに終えること、レジスタンスを主人公に据えながら、結末ですべてを振り出しに戻して終えることは案外アメリカではない。そういう意味で企画自体は面白いと思う>>続きを読む
電子音で足を鳴らす透明の複製自我が怪力線に当たって雄叫びを上げる、と書くと何だか不思議だがそういう映画。透明なだけなら古き良き映画で済むが、自我という仮託的な表現が実体化し、シンセサイザーを踏み鳴ら>>続きを読む
脅迫しにきた宇宙人をいきなり拳銃で撃ってしまうあたり冷や汗をかいてしまうが、武器をかざして戦争をやめろと宗主国のような態度を取るようなやつなので、この場合はアメリカ的にも正しいかもしれない。パワーバ>>続きを読む
X星人側の曲線デザインがたまらん。昇降する円筒形のエレベーター、マッシュルウ型の廊下、翼付け根からふっくらとしたアダムスキー型のUFO。暗闇から立ち上がるようなスポットライトの照明演出も合わせてある>>続きを読む
伊福部昭のかっこいい音楽と円谷英二のかっこいい兵器を観ているだけで楽しい。棒立ちの会話している人間を座るまで追いかけるな会話を再開させるな等々、本多猪四郎の画面設計については思うところがあるが、マー>>続きを読む
何をするにしても段取りを組んでいるのが良い。発進するにも各部点検の点呼、いちいちドックから浸水部に移動して水入れて、やっと発進。飛行機のように離陸すればいい、とも考えることはできるが、潜水艦である以>>続きを読む
メガヌロンパートがすごい。冒頭のダッチアングルで坑道に入っていく工員の不穏さから、水中に制帽を被ったまま水中に引きずり込まれる警備員、斜面で無視に振りまわされズタズタに砕かられる工員まで残酷すぎる。>>続きを読む
冒頭の無人で開いていく金庫が演出ではなく、特撮的な事実という衝撃。本多猪四郎がこういうミスリードを仕組むとは思わなかった。
誰も見ていない庭先で踊りながら登場し、無観客ながらも踊り終えて幕を閉じる>>続きを読む
何かが暴風で構造物をなぎ倒し、地表をまるごと巻き上げる。引き剥がした地上のものは落石となって地上を破壊する。その何かは石炭を食す、という設定がつけられてはいるが、画面は終末世界のそれ。脈動し通信衛星>>続きを読む
動くはずのないアメーバが動くべき服や靴が静止する、この映像でしか表現しようのない光景を映画の素材にしてしまうあたり、やはりフラハティ世代なんだろう。
ノワールのような照明のアパートや薄暗い地下水道>>続きを読む
企画通りの受け取り方にはなるが汚い、汚すぎる。液体を使った演出はこれの前に液体人間という前例があるから新規というほどではないが、飛翔する物体から飛び散ったヘドロが窓に張り付いたり階段を駆け下りる様は>>続きを読む
南方戦線の記憶がまだ残っていた時代に南でモロー博士の島をやりたい、という願望がカマキラスとクモンガに凝縮されていクラクラする。熱帯雨林からヌッと顔を出すショットと佐藤勝の音楽もいい感じにハマっている>>続きを読む
冒険活劇と怪獣を合体させる、というコンセプトがいい。福田純は陰謀やってるときよりノビノビとアクション撮ってるし円英も楽しそう。崖の虚に隠れるショットのアングルや岩山の溝を歩いている画の曲線とか、もう>>続きを読む
着弾した時の火花の散らし方といい、火炎と火玉の色彩の違い(火薬の配合で色を変えてるのかな)といい、特撮部分への気の入れ方がいつもと違う。特技監督が中野昭慶に変わった、というだけではなく、映画自体が表>>続きを読む
怪獣が建物を突き破って瓦礫の山を築くだけでけっこう面白い。破片の大きさをビルによって変えるといった工夫もされていて、国会議事堂の石材がブロックのように崩れていく様は圧巻。東京タワーも実際の設計を無視>>続きを読む
昭和ゴジラの晩年に対する自衛隊の充実よ。雨の中を疾走する90式戦車に砲塔を旋回させるメーサー車、避難民に逆行して戦地を行く指揮車。対人戦の代わりに怪獣と戦い続けてきた特撮自衛隊の総力がここにある。俯>>続きを読む
一歩間違えば本格的なギャグとして受け取られかねない脚本を画面が全力で擁護。避難する人も火炎に吹き飛ばされる兵隊もワンフレームでやる。家屋ごと潰されたり病院ごとつぶされるような描写も兵器でやる。役者の>>続きを読む
空飛ぶ鳥と海を泳ぐ亀の戦い、と説明すれば単純なようだが、それをサスペンスに置き換えると途端に緊張感が醸成される。
例えば漁船の天井を引き剥がすギャオス。この空から地に向かうアクション、人間を襲うと>>続きを読む
走行時に土を噛む履帯、地形に振り回される車体にしがみつく戦車長や髪を撫でる風は自然主義的な表現なのに、砲撃時に反動で後退する車体、反対に接地したままのホイールは量産製品、兵器のそれ。自然と工業をいっ>>続きを読む
砲口からトラックアウトしていくやつとか砲弾が着弾した瞬間に装甲の角度や厚さで挙動が変わるのがいい。
スローモーションの繰り返しなので、技巧としてすごいことやってるか、といえば微妙だが、傾斜装甲で弾>>続きを読む
T-34が泥をかき分け草をなぎ倒し走って走って走りまくる。戦車が疾走し母なる大地を駆け抜ける光景をパンしながら追いかけるだけでカッコいいし、何より美しい。黄金色や緑に染まった地平線に太陽が登るだけで>>続きを読む
戦車の特徴を機動力ではなく装甲と砲に見出した正しく戦車な映画。どうしても間抜け面になってしまう遠景を切って、履帯が泥をえぐったり跳弾で火花が飛ぶ、といったクローズに特化している。
急停止すれば操縦>>続きを読む
準備砲撃中に巻き上がる砂と土、あと雪の大きさや質感がすごい。着弾地点からきちんと計算しているのだろうか、雪原の上を目指して飛ぶ爆発と塹壕の手前から頭上を通過していく粒で表情も随分と違う。砲撃終了後に>>続きを読む
久々にスクリーンで鑑賞。まず色温高めの雪原がべらぼうに美しい。白い雪原、灰色の空、その中を負傷した戦友の肩を抱いて進む独軍の群れ、群れ、群れ。進むといっても雪をかき分けるような歩き方で観ているこちら>>続きを読む
戦争映画をスペクタクルから引き剥がす実験をずっと観ている感じ。撃ち合い殴り合いを観ているはずなのに、被写体の意味をずっと考えさせられるという奇妙な体験をした。
スターリニズム、秘密警察、それら過去>>続きを読む
死体を履帯で引き潰したり、帽子や服を貫通して民間人が死ぬとか、その辺は戦争映画で体裁もハリウッド並に整っているのにきちんとミハイルコフしてる。メッカの方を向いて祈るムスリルに我が闘争を飾った独軍戦車>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
移動する被写体をパンやロールで追いかけているだけなのに、すさまじい立体感。背景と被写体の位置関係やズームのタイミングがすべて空間を処理するために動いている。意図がわかりやすい分、前期の手法より好きか>>続きを読む
スターリンの遺体を囲む人民の群れ、葬列、葬列、人民の葬列。花束を持つ人、花輪を掲げる人、肖像画を運ぶ人、そんな人々の列が延々と続く。一時間ほどして追悼のためのチャイコフスキーの演奏がはじまり落ち着い>>続きを読む
レーニンを利用して女を寝取った人民英雄がスターリンと共に帰ってきた旧友に殺される。この単純な、愛憎と政治が入り混じった過去が川辺の毒ガス訓練(初恋とそれを邪魔した十月革命)、別の場所では人形劇(21>>続きを読む
冒頭のティーガー、88mmの隊列を切り取るトラッキングから砲撃、地雷除去まで戦術は大真面目だが、その目的は金塊強奪。いくつかの休憩場面も取り分や任務より金みたいな話ばかりでジャンルとして歪みまくって>>続きを読む
正面遠景から揚陸艇に雪隠詰めにされた米兵が棒立ちのまま撃たれドミノ倒しになるシークエンスや火炎放射器のボンベの爆発に巻き込まれて生きたまま焼かれる小隊の図を観てるとスピルバーグの趣味というか容赦のな>>続きを読む
撤退支援を待っている間のサスペンスに防衛ではなく待機中の事故を選ぶあたりにノーランの性格の悪さが現れていて、とても良い。
駆逐艦、輸送船、漁船、それらは穴が開けばそれだけで溺死の契機となる。沈みゆ>>続きを読む
機内から狙っているショットや敵機に撃たれている時はクローズでパイロットの視線が安定しているのに、弾丸を放った途端に遠景に切り替わる。その辺の過酷さというかサバイバル感がすごい。弾はバラバラに飛んで空>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
ひたすら無垢な兵士たちを前にセールスマンのような口調でグレゴリーペックがビジネススタイルのリーダーシップを説く。戦闘もなければ心的外傷もない。WW2を舞台にする意味がまったくない。
犠牲を最後だけ>>続きを読む
アスカの首絞めから地球規模で人が死んでいく光景へ、このモンタージュの素晴らしさ。超クローズから超超超ロングショット。最期の審判や幼年期の終わりを扱った映画は数あるが、これほど思い切って”すべての人間>>続きを読む
怪獣をクローズで切り取ったショットはなかなかのもので、この辺に日本と米国の違いがあるんだろうか、みたいなことを思った。勇敢にも拳銃一丁で挑みかかって食べられてしまう警官、灯台に吠えかかった瞬間のレン>>続きを読む