ゴリアテの憂鬱さんの映画レビュー・感想・評価 - 13ページ目

ゴリアテの憂鬱

ゴリアテの憂鬱

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鷲は舞いおりた(1976年製作の映画)

3.8

第二次世界大戦下、アドルフ・ヒトラーの気まぐれの思いつきから発案された、イギリスのチャーチル首相を誘拐するという極秘計画『イーグル作戦』を題材にした映画。

シュタイナー大佐をはじめとするナチスの実行
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静かなる叫び(2009年製作の映画)

3.7

モントリオール理工科大学で起きた銃乱射事件を題材にした作品。

全編モノクロにしたのは、劇中に登場する『ゲルニカ』から引用したのでしょう。

女性差別主義の犯人による、あまりにも利己的な事件を、素晴ら
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ノマドランド(2020年製作の映画)

3.7

「ホームレス」ではなく「ハウスレス」。

彼ら彼女らが選んだ生き方には、それ相応の意地とプライドがある。

Mank/マンク(2020年製作の映画)

3.8

デヴィッド・フィンチャーが今作で描いたのは、映画史に残る名作『市民ケーン』制作時のオーソン・ウェルズではなく、その脚本家を務めたハーマン・マンキウィッツの姿。

あえて地味な人物に焦点を当てつつ、同時
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修道女(1966年製作の映画)

3.9

ジャック・リヴェットによる、閉鎖的な女性コミュニティである修道院の腐敗を告発した作品。

家庭の事情でなりたくない修道女になり、修道院の中の生活でも次から次へと耐えがたい問題が溢れ出すという、見るに耐
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何も変えてはならない(2009年製作の映画)

4.3

ジャンヌ・バリバールの音楽に関しては、これまであまり聴いたことがなかったですが、さすがペドロ・コスタと思わせるカットに心酔いたしました。

ニューウェイヴやポストパンクのバンドとかもペドロ・コスタに撮
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ホテル・ムンバイ(2018年製作の映画)

3.7

2008年に起こったムンバイ同時多発テロの実話に基づいた作品。

テロの被害者は気の毒で仕方がない。

そして、テロ実行犯役を任されたムスリムの若者も、その背後で指示を送る指導者に上手く洗脳され利用さ
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晩春(1949年製作の映画)

4.3

ひとり親の父親を想いなかなか嫁に行こうとしない娘と、自分のせいで独身の人生を歩んでほしくない父との心温まる人情劇。

欧米文化が入って来だした戦後日本の和洋織り混ざる日常の風景を、美しいカメラワークで
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水の中のナイフ(1962年製作の映画)

4.1

ポランスキーの長編デビュー作。

マンネリ気味のブルジョワ夫婦とヒッチハイクで車に乗せた青年の3人によるヨットの上での三角関係。

逃げられない限られた空間で繰り広げられる心理戦は、デビュー作ながらさ
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シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)

4.1

ミュージカルは苦手で、今まで最後まで観た作品は無かったのですが、本作は最後まで楽しく鑑賞できました。

セリフの全編において歌うというのも逆に良かったのかも知れませんし、何しろセンスが良過ぎます。
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グリーンブック(2018年製作の映画)

3.6

ザ・アカデミー賞な作品でした。

黒人差別をテーマにした、実話に基づいたストーリー。

良い映画でした。

愛、アムール(2012年製作の映画)

3.7

ある裕福な老夫婦の自宅での介護生活を描いた作品。
ですが、ハネケが本作でテーマにしたのは「夫婦間介護」ではなく「夫婦愛」

最後の鳩のシーンがとても印象的でした。

花様年華(2000年製作の映画)

3.6

ウォンカーウァイ初鑑賞。

映像に情緒があり、とても美しかったです。

ストーリー的には、女性の方がくすぐられる感じなのかな、と思いました。

愛・アマチュア(1994年製作の映画)

3.8

〝only shallow〟が流れてるレンタルビデオ屋なんて、ハルハートリーの映画の中以外ではそうそう出くわさないでしょう。

オフビートで候。

ピアニスト(2001年製作の映画)

4.3

ハネケ自身、音楽にも詳しいからこそ、普段音楽はあまり使用しない。

本作では、バッハやシューベルトなど、クラシックの作曲家達やその楽曲がストーリーに合わせて見事に比喩されていました。

イザベル・ユペ
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悪い男(2001年製作の映画)

2.5

『悪い男』のタイトルで、「意外といい奴ジャン」って思わせにかかってますが、ダマされません。
主人公とウシジマ君とでは全然違います。

あと関係ないですが、主人公が黒坊主時代の松本人志にちょっとだけ似て
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風が吹くまま(1999年製作の映画)

4.0

イランの奥地の村で行われる珍しい葬式の取材に訪れたクルーだが、危篤だったお婆ちゃんの体調が悪いながらにも安定してきて、現地での滞在が想定よりも長期の待機時間となってしまうという話。

人の死を待つとい
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ミュージックボックス(1989年製作の映画)

4.1

老後を迎える父親が過去にユダヤ人虐殺に関わったと疑われる資料が、父の母国ハンガリーで見つかり、弁護士である娘が父の疑惑を晴らそうとその裁判の弁護人を引き受ける。

最後までスリリング。
法廷サスペンス
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ダメージ(1992年製作の映画)

3.5

事もあろうに息子のフィアンセを愛してしまうという超ドロドロの不倫もの。

ジュリエット・ビノシュの魔性っぷりも良いが、ジェレミー・アイアンズの激渋具合の方がそれに増して良い。

ラストのほうで、息子が
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(1951年製作の映画)

3.7

インドへ行ってみたくなりました。

ガンジス河に直接続く階段がとても魅力的でした。

ベルリン・アレクサンダープラッツ(2020年製作の映画)

4.1

ファスビンダーも手掛けたアルフレート・デーブリーンの小説『アレクサンダー広場』の現代的解釈での映画化。

映像も音楽もとても美しかったです。

難民船で溺れるシーンから始まる主人公フランシスの優しく男
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第三世代(1979年製作の映画)

4.8

オープニングの映像が死ぬほどカッコ良過ぎて痺れました。

内容は哲学的で破壊的。

何度か観て理解を深めたいと思いつつも、そういう類の映画でもなさそうにも思います。

すばらしき世界(2021年製作の映画)

4.3

素晴らしいヒューマン映画でした。

この不条理な世界は、周りを羨んでるうちは決して満たされることはないですが、欲をかかずに「これくらいで十分」だと思えると、この世界も案外悪くないものです。

この映画
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あなたの微笑みはどこに隠れたの?(2001年製作の映画)

4.5

ストローブ=ユイレの『シチリア!』編集時の二人の様子を映したドキュメンタリー。

二人のストイックな映画作りの裏側を垣間見える貴重な作品です。

一コマずつ細かく追求していく一方で、シュールな会話劇コ
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市民ケーン(1941年製作の映画)

3.6

オーソン・ウェルズのデビュー作。

当時、弱冠25歳にしてこの作品。主演も務めた演技も堂々としたものでした。

この時代でよくこんな革新的な映像が撮れたなと感心いたしました。

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

3.7

東大全共闘1000人が待つ900番教室の壇上に立つ正反対のイデオロギーを持つ三島由紀夫。

血気盛んな弁論の立つ東大生達を相手に、ユーモアを交えつつ決して牙を剥かずに討論する三島は流石の人物でした。
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オリーブの林をぬけて(1994年製作の映画)

4.2

アッバス・キアロスタミ監督によるジグザグ道3部作の最終章。

今作は、前作『そして人生は続く』において、新婚の夫役を演じた青年の、妻役を演じた女性への恋心を知った監督が、サイドストーリー仕立てに制作し
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そして人生はつづく(1992年製作の映画)

4.0

ジグザグ道3部作の2作目。

キアロスタミ監督とその息子が、90年に起こったイラン北部大地震の直後に、その被災地となった、かつての「友だちのうちはどこ?」の撮影地を訪れるというストーリー。

その時に
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ハンナ・アーレント(2012年製作の映画)

3.3

ユダヤ人哲学者ハンナ・アーレントの実話を元にした映画。

アイヒマンのエルサレムでの裁判を熱心に傍聴したアーレントは、後に書いた記事でアイヒマンを「凡庸な悪」と評価しました。

ナチス擁護とも取れるそ
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スペシャリスト 自覚なき殺戮者(1999年製作の映画)

3.8

ナチスドイツにおいて強制収容所への移送の責任者だったアドルフ・アイヒマンのエルサレム裁判のドキュメンタリー。

安倍晋三の更に10倍は心臓に毛が生えたような憎たらしい答弁。

『不正義の果て』で語られ
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不正義の果て(2013年製作の映画)

4.2

タイトルは『不正義の果て』

『SHOAH』には収録されなかった本作の主人公は、ナチスが国外向けとして作った〝模範的〟ゲットー,テレージエンシュタットの最後のユダヤ人長老ベンヤミン・ムルメルシュタイン
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行き止まりの世界に生まれて(2018年製作の映画)

3.8

スケートボードを通じて出会った3人の少年達の12年間を追ったドキュメンタリー。

mid90'sよりもリアルな現実がそこにはありました。

自分はスケートボードはやらないですが、本作にスケーター達の原
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エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ(2018年製作の映画)

3.8

理想的ではない青春時代を送っている(送った)者達への素晴らしき青春映画。

学生時代はヒエラルキーの下部にいることを自覚してるような存在でも、進学したり大人になって環境が変わっていく中で、いつか光が射
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ソビブル、1943年10月14日午後4時(2001年製作の映画)

3.8

「SHOA」の終盤で語られた強制収容所におけるユダヤ人による武装蜂起に至るまでのドキュメンタリー。

本作は、その武装蜂起の実行者であり、生存者でもあるイェフダ・レルメルによるインタビューとなっていま
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SHOAH ショア(1985年製作の映画)

4.5

クロード・ランズマンによる、ホロコーストのユダヤ人被害者,ナチス側の加害者,そしてナチスの手下となって生き残る道を選んだユダヤ人など、あらゆる立場で生き残った者達に証言インタビューを試みたドキュメンタ>>続きを読む