ゴリアテの憂鬱さんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

ゴリアテの憂鬱

ゴリアテの憂鬱

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郵便配達は二度ベルを鳴らす(1942年製作の映画)

3.2

ルキノ・ヴィスコンティの長編デビュー作。

本作は〝ネオレアリズモの先駆的作品〟と称されています。
ストーリーは不倫サスペンス。

タイトルが印象的で、いつ郵便配達員がベルを鳴らしに来るのかなとワクワ
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秋刀魚の味(1962年製作の映画)

4.3

小津安二郎の遺作。

妻に先立たれた初老の主人公と婚期を迎えた娘との関わりを、「老い」と「孤独」をテーマに描いた作品。

相変わらず大きな出来事が起こるわけでもなく、戦後の日本の生活の一片を切り取った
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砂の惑星(1984年製作の映画)

3.7

スパイス,スパイス言うからスパイスカレーが食べたくなってきました。

近いうちにカオス スパイスダイナーに行くと思います。

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)

3.6

実際にあったタリス銃乱射事件を、実際に犯人に立ち向かった3人の若者を主演にキャスティングして映画化した作品。

憎しみには 愛をもたらし
いさかいには 赦しを
疑いには 信仰を
絶望のあるところに 希
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友だちの恋人(1987年製作の映画)

4.3

まさか最後にアンジャッシュ的コントまで観れるとは思いませんでした。
アンジャッシュの遥か上をいく会話劇でしたけども。
今ロメールが健在だったなら、どれだけ素晴らしい多目的トイレゲス不倫コントを作ってく
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エルミタージュ幻想(2002年製作の映画)

4.2

世界遺産のエルミタージュ美術館を舞台に、3世紀にわたるロシア近代史を幻想と現実とが交錯して彷徨うかのように90分ワンカットで撮影された驚異の作品。

素晴らしい美術館と芸術品、美しい衣装。
カメラワー
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メッセージ(2016年製作の映画)

4.1

ドゥニ・ヴィルヌーヴの中では個人的に一番好きな作品。

SFだからと言って、何も派手な演出は必要ない。

知的で美しい。

ファーザー(2020年製作の映画)

3.6

少年時代、父が『羊たちの沈黙』をTSUTAYAで借りてきて家で観ているのを隣で一緒に少し観ていた記憶が今も残っています。

その時は幼くてストーリーはあまり理解できませんでしたが、とても不気味な印象を
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冬冬の夏休み(1984年製作の映画)

4.0

母が入院した為、田舎の祖父のもとで夏休みを過ごすことになった冬冬と婷婷。

80年代台湾の原風景ですが、昔の日本の原風景のようでもあり、懐かしい気持ちになりました。

田舎でも年の近い近所の子ども達と
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ミステリー・トレイン(1989年製作の映画)

3.0

二人目の女性が絶妙に嫌な気分になるような酷い目に遭わされていて可哀想でした。

日本人二人の役は、同じ日本人だからか、こそばゆい感じがしてちょっと苦手に感じました。

ママと娼婦(1973年製作の映画)

5.0

本作が今まで観てきた映画の中で一番好きかも知れません。

ブティックを経営する自立した年上女性のマリーと、性に開放的な若き女性ヴェロニカ、そして定職にも付かずマリーの家に転がり込んでいる身でありながら
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エル(1952年製作の映画)

4.4

40歳童貞の金満足フェチ男の、妻を愛し過ぎるが故の妄想と憎悪に塗れた狂気の嫉妬劇。

本作の主人公には自分を投影しているところがあると言ってるくらい、ブニュエル自身もやはりヤバい奴なのでしょう。

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ナイト・オン・ザ・プラネット(1991年製作の映画)

4.2

レトロスペクティブ ジャームッシュ特集の前に久々に再鑑賞しました。

歳を重ねていくにつれて、若かりし頃よりオシャレ映画よりはシネフィル寄りの映画に興味が移行してきましたが、やはりジャームッシュはいい
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ヨーゼフ・ボイスは挑発する(2017年製作の映画)

3.2

ボイス・パレルモ展に行ってきたので、復習を兼ねて。

芸術家であり活動家でもあったヨーゼフ・ボイスのドキュメンタリー。

陰鬱な作品を創るアーティストは、本人もネクラなパターンが多いですが、ボイスは根
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フェアウェル(2019年製作の映画)

3.9

死はパーソナルなものとして扱い、本人が余命を知ることは当然の権利と捉える西洋と、個人の死は家族や社会の一部で余命宣告を本人に知らせないことも優しさとする東洋。
そして、その狭間で苦悩する中国産まれアメ
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冷たい水(1994年製作の映画)

4.3

アサイヤスの自伝的作品。

自分が観てきた(と言ってもそんなに多くはない)青春映画の中でもトップクラスで好きな作品でした。

35mmフィルムで撮られた魅力的な質感と、忙しなく動くカメラワークが、10
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ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)

4.3

果てしなく広がる荒野に、ただ女性が歩いている姿がなぜこれほどにも美しいのか。

今回のライヒャルト特集で、すっかり監督のファンになりました。

独特の閉鎖感と抜群のカメラワーク、そして叙情的で言葉少な
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トリコロール/白の愛(1994年製作の映画)

3.8

トリコロール3部作の2作目。

白の意味するところは〝平等〟

男性の性的能力不全を理由に離婚を突きつけられた主人公の、元妻への溢れる愛が故の一風変わった復讐劇。

元妻役のジュリー・デルピーが「白の
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サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

3.9

彼女と組んでいるメタルバンドのドラマーが急に聴覚障害に陥り、聴力を失う話。

アマゾンプライム制作ということで軽視してましたが、マジ良かったです。

聴力を失って、支援施設で新しい生活の経験を積んだり
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セブンス・コンチネント(1989年製作の映画)

4.5

ミヒャエル・ハネケによる恐ろしいまでの感性と才能が既に存分に発揮されている衝撃のデビュー作。

映像の質感は、個人的には初期の頃が最も好きです。

現代の人間は日常の取るべき行動に支配され、全てを破壊
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DAU. ナターシャ(2020年製作の映画)

3.9

ソ連時代の〝全体主義〟社会の再現に挑んだ作品。

本作は膨大なフッテージから創出された映画化第一弾で、既に6時間越えの最新作も日本で上映されています。

キャストはセットとして当時のままに再建された秘
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ルートヴィヒ 完全復元版(1972年製作の映画)

4.2

芸術を愛する故に建築や音楽に破滅的なまでの浪費を繰り返し、〝狂王〟との異名を持つ第4代バイエルン国王,ルートヴィヒ2世の半生を描いた作品。

実際にルートヴィヒが建てたお城で撮影するなど、その圧倒的な
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家族を想うとき(2019年製作の映画)

3.8

「人間は考える葦である」

哲学者パスカルの言葉ですが、考える時間さえ奪われた人間はあまりにも危うく脆い存在となります。

もちろんお金は大事ですが、時間は(寿命を全うできれば)概ね貧富の差なく皆平等
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気のいい女たち(1960年製作の映画)

4.0

暇そうな電器店で働く4人の女性の退屈そうな勤務中と、刺激を求めて街へ繰り出す終業後のアフターセブンを描く。

4人の女性がそれぞれ魅力的なキャラクターでした。
それに擦り寄ってくる男達は、あまりにも愚
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頭のない男(2003年製作の映画)

3.8

顔を持たない男の、とてもロマンティックな短編映画。

男の仕草も、音楽も、エレガント。

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

4.2

かつての親友との男同士の一日キャンプ旅行記。

一方は気ままなその日暮らし、もう一方はもうすぐ父親になるという、生活環境や人生において二人の関係性に変化が生じていく刹那の空気感を見事に表した作品。
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リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

4.0

これぞ90'sな空気感が最高でした。

ライヒャルト曰く、本作は「ロードのないロードムービーであり、愛のないラブストーリーであり、犯罪のない犯罪映画」である。

20代の大人の青春時代は、誰もがちょっ
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幸福なラザロ(2018年製作の映画)

3.6

外の世界と隔離されたイタリアの小さな村で、伯爵夫人の小作人として暮らす純粋無垢な男、ラザロ。

〝ラザロ〟は聖書に登場するイエスの友人と同名で、本作の主人公ラザロもキリスト教的な価値観で描かれた寓話的
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ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)

4.2

アメリカの最下層社会に生きる主人公ウェンディ。そして、その飼犬ルーシー。

『ノマノランド』よりも過酷な生活。。

全編を通して陰鬱としたムードが漂っていますが、ルーシーの姿から常に希望の灯火が残って
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ANIMA(2019年製作の映画)

3.6

近年のトム・ヨークは、ドイツ表現主義的。

デヴィッド・ボウイもトム・ヨークも、行き着く先はドイツか。

モラン神父(1961年製作の映画)

4.0

ドイツ占領下のフランスのとある田舎町を舞台に、聖職者として結婚を禁じられているカトリックの神父を好きになってしまった無神論者の未亡人の話。

とても美しいモノクロームのメロドラマ。

モラン神父の薪割
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モード家の一夜(1968年製作の映画)

5.0

エリック・ロメールは作品を観る度に、その面白さに引き込まれていっていますが、今作は特に素晴らしかったです。

ブレーズ・パスカルの生誕の地、オーヴェルニュ地方の都市クレルモン=フェランを舞台に、カトリ
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交渉人(1998年製作の映画)

3.4

公金横領と同僚殺しの罪を着せられた〝人質交渉人〟が無実を訴えるべく人質を取って立て篭もり、自身の交渉役にもう1人の敏腕交渉人を指名するというクライム・サスペンス。

ラストまでハラハラドキドキで、アメ
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パラダイス・ナウ(2005年製作の映画)

3.8

イスラエル・パレスチナ問題を題材にした、自爆テロの実行犯に選ばれた二人の若者の物語。

イスラム教の過激派にとって、ジハードによる殉職は名誉ある死とされています。

という割には、実行犯はいつも鉄砲玉
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隣の影(2017年製作の映画)

3.7

隣家に影を落とす一本の木から始まるご近所トラブル。

ブラックユーモアたっぷりのシチュエーションスリラーのような映画。

父が通う合唱部の練習の様子が一番不気味でした。

マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”(2019年製作の映画)

3.9

あのマルタン・マルジェラ本人が語っているドキュメンタリーということで、公開を楽しみにしていました。

本人が映る映像は手元のみ。
「匿名性」を持つことで、自身は街で注目されることもない落ち着いた日常を
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