ゴリアテの憂鬱さんの映画レビュー・感想・評価 - 11ページ目

ゴリアテの憂鬱

ゴリアテの憂鬱

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交渉人(1998年製作の映画)

3.4

公金横領と同僚殺しの罪を着せられた〝人質交渉人〟が無実を訴えるべく人質を取って立て篭もり、自身の交渉役にもう1人の敏腕交渉人を指名するというクライム・サスペンス。

ラストまでハラハラドキドキで、アメ
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パラダイス・ナウ(2005年製作の映画)

3.8

イスラエル・パレスチナ問題を題材にした、自爆テロの実行犯に選ばれた二人の若者の物語。

イスラム教の過激派にとって、ジハードによる殉職は名誉ある死とされています。

という割には、実行犯はいつも鉄砲玉
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隣の影(2017年製作の映画)

3.7

隣家に影を落とす一本の木から始まるご近所トラブル。

ブラックユーモアたっぷりのシチュエーションスリラーのような映画。

父が通う合唱部の練習の様子が一番不気味でした。

マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”(2019年製作の映画)

3.9

あのマルタン・マルジェラ本人が語っているドキュメンタリーということで、公開を楽しみにしていました。

本人が映る映像は手元のみ。
「匿名性」を持つことで、自身は街で注目されることもない落ち着いた日常を
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不安は魂を食いつくす/不安と魂(1974年製作の映画)

4.3

ファスビンダーが撮ったメロドラマ。

歳を取った未亡人の主人公と褐色肌の若者という風変わりな恋愛劇に、移民問題や人種差別も写し出す。

タイトルも良い。
パニック症を患った(今はほぼ完治)ことがある自
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アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男(2015年製作の映画)

3.1

ナチスの最重要戦犯のひとり、アドルフ・アイヒマン逮捕に至るまで、ドイツ国内で尽力したフリッツ・バウワー検事長の話。

戦後のドイツにおいても、A級戦犯が国外逃亡したり国内でもナチス親衛隊だった者達が普
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わるい仲間(1963年製作の映画)

3.7

うだつが上がらない男二人が街へナンパに繰り出す話。

まだ『ママと娼婦』は観てないですが、ユスターシュの映画が退廃的だと言われる所以が本作を観てわかりました。

男が鏡を見ながら自分の容姿を自画自賛し
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沈黙(1962年製作の映画)

4.2

空には戦闘機が飛び交い、道には戦車が列をなす言葉も通じない異国の地。

姉の体調不良により汽車を途中下車してホテルに滞在することになった、姉妹と妹の息子の3人による物語。

身体を壊しても酒やタバコ、
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ゆきゆきて、神軍(1987年製作の映画)

4.0

太平洋戦争で地獄の死地と化したニューギニア戦線で生き残りであり、狂気のアナーキスト奥崎謙三の狂気のドキュメンタリー。

もの凄いドキュメンタリー映画でした。
一級品のサスペンスよりも怖かったです。

顔のないヒトラーたち(2014年製作の映画)

3.6

ドイツでは戦後10年くらい、アウシュビッツでのナチスの残虐な行いについて蓋を閉じていました。

本作の主人公の検事達の奔走によって、後のアウシュビッツ裁判が行われ、ドイツ政府は本格的に過去の戦争の過ち
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袋小路(1965年製作の映画)

4.2

もの凄いアイラインの入れ方。

満潮になると道が無くなり孤立する古城を舞台にしたサスペンスと登場人物の心理模様。

カトリーヌ・ドヌーヴの姉であるフランソワーズ・ドルレアックの存在感がモノクロの映像で
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シリアスマン(2009年製作の映画)

3.1

『バートン・フィンク』が困難やプレッシャーと必死に戦ってる頃のコーエン兄弟の心理だとしたら、この頃は随分図太く構えられるようになったのだろうなと思うような内容でした。

有名になる程に、大変なことは増
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ファニーゲーム(1997年製作の映画)

3.2

ジワジワと迫るアンモラルの強要。
体裁の善は、非倫理感の暴力の前で圧倒的に屈し、やがて後者が支配する。

暴行犯が時折みせる視聴者に語りかけるようなセリフや目配りは、この映画が〝胸糞〟ではなく〝痛烈〟
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青いパパイヤの香り(1993年製作の映画)

4.2

異国情緒溢れる、美しい映像美。

格子越しに映し出される室内の様子。

演者の表情を映しているかと思えば、流れるようなカメラワークで手元の繊細な動きを映し出す。

長回しで動き続けるカメラのカットが、
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あなたの名前を呼べたなら(2018年製作の映画)

4.0

「てんは ひとの うえに ひとを つくらず ひとの したに ひとを つくらず」

息子が最近、毎日夜にしている音読トレーニングの例文として、ちょうど昨日の夜に耳にしたところです。

世界中で差別をなく
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危険な戯れ(1975年製作の映画)

3.9

DVD版のジャケットはファスビンダーっぽくて、そっちの方がカッコイイです。

キューブリックの『アイズワイドシャット』を映像的にはもっと格調高く、内容的にはより変態チックにしたような作品でした。

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ロックンローラ(2008年製作の映画)

2.7

ガイ・リッチーによるクライム群集劇。

少し前に上映されてた『ジェントルメン』が面白そうだったので(観てはないですが)、まだ観てなかったこちらを代わりに鑑賞。

『ロック、ストック〜』、『スナッチ』あ
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燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

4.3

ギリシャ神話に登場する詩人オルフェウスとエウリディケの物語になぞらえた、望まぬ結婚を控えた貴族の娘と、彼女の肖像画を依頼された女性画家との恋愛物語。

文化的で芸術的なとても美しい映画でした。

映画
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走り来る男(1989年製作の映画)

4.4

「クレールの膝」に魅了されたばかりの僕が今回魅了されたのは「ローランの禿頭」

電撃ネットワークの南部虎弾さんを彷彿とさせる、それは見事な禿げっぷりでした。

劇場鑑賞者の思いを一心に受けてか否か、最
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インサイド・マン(2006年製作の映画)

3.2

綿密に準備された銀行強盗。

その真の目的はお金ではなく、別のもの。

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

4.9

本作の存在を知ってから、観たいと思いつつもなかなかその機会がなく、今回カンヌ映画祭の女性監督特集でやっと観ることができました。

主人公ジャンヌ・ディエルマンの3日間を3時間を超える長尺にて描いた作品
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キングスマン(2015年製作の映画)

2.7

MIBみたいなエンタメ性を持つスパイ映画でした。

個人的にはだいぶサブいと感じるセリフや演技が目白押しでしたが、それもギャグのうちということでしょうか。

サヴィル・ロウのオーダースーツは、長年の憧
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ミナリ(2020年製作の映画)

3.7

ミナリとは韓国語で「セリ」という意味で、たくましく地に根を張り、2度目の旬が最もおいしいことから、子供世代の幸せのために、親の世代が懸命に生きるという意味が込められてるらしいです。

そういった意味が
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オマールの壁(2013年製作の映画)

3.4

エリック・ロメールの『クレールの膝』を観たところなので、なんとなく語呂の近い『オマールの壁』を鑑賞。
近いのは語呂だけで、ジャンルは全然違うんですけど。

こちらはパレスチナにある高い壁を乗り越え行き
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クレールの膝(1970年製作の映画)

4.5

今回、エリック・ロメールの瑞々しくも一際歪んだエロティシズムのテーマとなったのは、まさかの〝膝フェチ〟

クレールの膝も美しかったですが、主人公ジェロームの顎ヒゲも相当な存在感でした。

ロメールは、
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プラットフォーム(2019年製作の映画)

2.1

CUBEのような半密室のSFシチュエーションスリラー。

スリリングな設定は興味をそそられたのですが、こういった類の映画はシチュエーションの面白さで期待値が上がる分、なかなかその期待を内容が上回るのは
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天才画家ダリ 愛と激情の青春(2008年製作の映画)

2.6

自分が小学生の高学年の頃、父が買ってくれた最初の画集がサルバドール・ダリのものでした。

それから大人になって結婚して、新婚旅行に自分の両親を誘って(奥さんも快諾してくれました)パリに行き、ポンピドゥ
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すばらしき映画音楽たち(2016年製作の映画)

3.8

映画において音楽はとても大事な役割を果たしてきたのだなと改めて感心させられるドキュメンタリーでした。

トレント・レズナーがデヴィッド・フィンチャーからサントラのオファーもらった時の話をしていて、デヴ
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シザーハンズ(1990年製作の映画)

3.7

この頃のティム・バートンは大好きでした。

自分が美容師なこともあってお客様からエドワードに似てると言われたことが何度かあります。

言われる度に自分はそこまで病的に見えてるのかと不安になりましたが、
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ヴァンダの部屋(2000年製作の映画)

3.9

リスボンにあるスラム地区が日々解体されていく中で、引きこもりドラッグに溺れる日々を過ごしている女性,ヴァンダの日常を映し出したドキュメンタリー。

集中力が続かず、これなら徹子の部屋の方がまだ観てられ
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オアシス(2002年製作の映画)

4.0

前科3犯の主人公と脳麻痺を抱える女性の恋愛物語。

確かに社会で生きていくにはなにかと問題がありそうな主人公だが、一家を支える優等生風の長男と主人公ではどちらが真のクズだろうか。

脳麻痺の女性の後見
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エッセンシャル・キリング(2010年製作の映画)

3.1

米兵を殺したアラブ人テロリストの極寒の雪山での逃亡劇。

ヴィンセント・ギャロの言葉なしで使える迫真の演技に鬼気迫るものがありました。

知的な『逃亡者』よりも断然リアルで、極限状態の逃亡とはこういう
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ザ・ライダー(2017年製作の映画)

4.5

アカデミーを獲った『ノマノランド』より、こちらの方が断然好きでした。

大怪我をして馬に乗れなくなってしまったロデオライダーの葛藤を描いた作品。

主人公のブレイディは、実際に怪我をしたカウボーイで、
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ハーピア(1979年製作の映画)

3.8

1979年に製作されたショートムービー。

「ハーピア」とは、ギリシャ神話に登場する女面鳥身の伝説の生き物で、〝掠める者〟を意味する名だそうです。

シュールでおどろおどろしい感じが恐怖ですが、人間の
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Ryuichi Sakamoto: CODA(2017年製作の映画)

4.1

坂本龍一さんの、特に歳を重ねてからの生き方や考え方をリスペクトしています。

ストイックな音作りは勿論、弱きに寄り添い、権力には静かに抗う姿勢も素晴らしいです。

でも、(撮影当時は今ほどミーハーには
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