「現実の自分」と「虚構の自分」の間とで生じる分裂は、終盤のカサヴェテス/ローランズ夫妻による怒涛の即興演技合戦に収斂される。ここで重要なのは、ローランズ演じるマートルは舞台女優で、映画の半分くらいはま>>続きを読む
久しぶりに見返したがやはりエンタメとしての密度の濃さが凄まじい。計算され尽くしたカメラワーク、BGMの入れどころ。カーチェイスもしっかり凝って作られてる。エレベーターのシーンはもろヒッチコックてか「殺>>続きを読む
もはやこの世界に居場所など無いということに気づいてしまったおじさんの悲哀。もう少し感謝してくれても良いだろ!と声を荒げた直後に膝をついて謝罪する。身に染みついたマスキュリニティを振りかざすことが許され>>続きを読む
「今日はごめん」「こっちこそごめん」からのスニーカー交換があまりにも美しすぎて嗚咽しちゃった
日本における「目に見えない生きづらさ」がこの映画には全て詰まっている。アクティビズムに対する諦め。自分が枠に収まれるかもしれないという高揚感と、その枠にうまくはまらないと思った時の絶望感。性経験の少な>>続きを読む
冒頭の視線の交わらなさのシーケンスからもう好き。
かつて好きだった人から言われた「私と関わる人はみんな不幸になる」という台詞が劇中でそのまま反復され、その重い扉をこじ開けようと腐心していた日々を思い出>>続きを読む
久しぶりに衝撃で席を立ち上がれなくなる体験。映画というフォームでしか有り得ない資格体験は安易に神秘的という言葉を使ってしまいたくなるほど素晴らしく、ブレンドン・フレイザーの経歴を重ねると本当に泣けて泣>>続きを読む
自然光をうまく利用したライティングの作り込みだけでニヤニヤしてしまう。性加害的な発言をした男性と徐々に親しくなるという展開にはやや古臭さを覚えるが、ラストの彼女の笑顔にはやはり心動かされてしまう。願わ>>続きを読む
結構楽しんで観たはずなのに終わってみたら何も言いたいことが残らない不思議な映画。みんなが言うほど酷くないじゃん!という擁護したくなる気持ちと、かといってベスト級かと言われればうーん…となる
ミシェル・>>続きを読む
カメラという光学機械が持つ「目の前の人・ものを否応なしに一つの箱(映像)の中に閉じ込めてしまう」残酷な一面と、「全て自分のコントロール下で生み出したイメージを何億人もの人が目にする」魅惑的な一面をこれ>>続きを読む
「今度行きたい所があるんです」の後列車がカメラの奥と手前で交差して話し声がかき消されるタイミングの絶妙さ
正直映画の形式的な部分は個人的な好みから程遠く、終始動き続けるカメラには酔いこそしなかったものの見ているのが苦痛ではあった。引き合いに出されるのはダルデンヌ兄弟だが、むしろこの不快感はドグマなんとかを>>続きを読む
カットの終わりとカットの始まりを同アクションで繋げるというともすれば陳腐になりかねない演出を軽やかに見せていく。これはパクチャヌクという確立されたブランドと実績があるからこそ為せる技で、展開もとにかく>>続きを読む
妻が扉をちょっと開けたら奥の方で夫と知人が喋ってる構図や、屋根の上に細長いアレを上げる時のクレーン撮影、ラスト一瞬振り返るロバの驚異的な演技力(言うまでもなくブレッソンを想起させる)など見所は沢山あっ>>続きを読む
「愛妻くんこんばんは 第33話 ある決闘(26分/デジタル)」(1968)
「結婚 陣内・原田御両家篇(45分/デジタル」(1993)
がfilmarksに無い…
「ある決闘」大傑作!白昼夢というテ>>続きを読む
展開がとにかく早い。お母さんが今の生活で大変だから子供を産むのは辞めなさいと言った次の次のカットくらいではもう子供が産まれている。とにかく子供の耳が聞こえるかどうかに執着する小林桂樹(ヤカンとラッパの>>続きを読む
パンフレットの主演女優のインタビューで、バーボーベンの「自分の欲望を否定しないように」という言葉が印象に残っているという話で、まさに我が意を得たり!というか、バーホーベンが常に描いてきた女性像はまさに>>続きを読む
それまでは無邪気に芸術を楽しんでいたのに、結婚してから妻としての規範を押し付ける夫に対して嫌気が差すというプロットの映画が他にもあった気がするのだが思い出せない…強いて言えばブレッソン「やさしい女」を>>続きを読む
これは好きな長回し。セリフが殆ど聞き取れないのに退屈せず観れる不思議。マグロ釣りのシーンはどれも最高、空ゲロしまくる佐藤浩一。ワイヤーが顔に巻き付いて血ブシャーのショットで笑ってしまうが、その後の緒形>>続きを読む
ベッケルの演出力って何がそんなに秀でてるのか理解できてないのだが、脚本と登場人物の関係性がしっかり作り込まれているから退屈せず観れる。暗黒の画商と付き纏う死の影。絵のモデルのポン引きみたいな男と仲良く>>続きを読む
映画として必要のない登場人物のエピソードが長かったりするんだけども、その冗長さも含めて好き。木下のアバンギャルドな演出というよりはディテールの作り込みが印象に残る。佐田啓二がガチガチ噛み噛みの演説をし>>続きを読む
なぜこれほどまでに電車が通るタイミングが完璧なのか。やはり構図が凝りに凝っていて凄い、弁当箱頭に乗せるの可愛い、甲が申になってるところが面白い
序盤は面白いのに三船敏郎と香川京子が対話するあたり、完全に間延びしてて辛い。全部セリフで説明しちゃう黒沢の悪手。藤原釜足が幽霊的に出てくるとことか本当良いのになあ。椿三十郎と同じくらいの尺であれば傑作>>続きを読む
子供たちの遊び場である"森"と、大人たちが居住する"街"の対比。「秘密の森のその向こう」にも通ずる規範から解放された地で主人公はセクシュアリティの流動的な移行を試みるが、大人たちによる規範の持ち込み(>>続きを読む