ふかいさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

やくたたず(2010年製作の映画)

3.7

3人がわちゃわちゃしてる後ろで電車がバーっと通るショットとかもろ「ケイコ」に受け継がれてるし、集合写真のセルフタイマーがうまくいかないところも同じ(元を辿れば「東京物語」の構図)
車を奪われたところか
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戦場のメリークリスマス 4K 修復版(1983年製作の映画)

4.3

高校生ぶりの再見、劇場は初。
坂本龍一のクッキリ二重が劇場で見ると倍すごい。たけしのクローズアップで始まり終わる円環構造。
裁判のところの坂本龍一とデヴィッドボウイの切り返しから俳優の顔力が物凄い。
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クレールの膝(1970年製作の映画)

3.8

映画の中盤までクレールを出さずに会話の中でだけ登場させる焦らし構成が上手い。ここでも男は「道徳に反する」とか何とか口にしてた。元カノへのマウンティングをしてるつもりが自分が欲に踊らされるだけだったとい>>続きを読む

愛の昼下がり(1972年製作の映画)

3.6

こちらもポリアモリー研究として惹かれる主題。例によって男性側が「一夫多妻制は野蛮」「今の社会ではこうする(妻だけを愛する)しかない」とambiguousなルールに縛られている一方で女性側は「寝たい人と>>続きを読む

コレクションする女(1967年製作の映画)

3.8

同じロメールでも撮影によってこうもルックが変わるのか。丁寧なフィックスショットと壮観なロケーションで繋いでいく上質な作品。
ポリアモリー研究を自主的に行なっている身としてはアイデの言動は興味深い。男側
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モンソーのパン屋の女の子(1963年製作の映画)

3.6

後期ロメールとはやはり異なるカメラのダイナミックな動き、ジャンプカット、ズームの多用が若々しい

密使と番人(2017年製作の映画)

3.2

一面の雪景色と「きみの鳥」に通ずる陽光を捉える四宮のカメラは冴え渡っている。が、特に魅力的なショットは存在せず、俳優達の魅力もあまり伝わってこない。カメラの存在に慣れていない石橋静河の顔は強張っている>>続きを読む

優しさのすべて(2021年製作の映画)

3.6

要所要所で滲み出る監督の趣味嗜好には共感しかない(お金の受け渡しのブレッソン感や、男女が並んで歩くところを長回しで捉える場面は「親密さ」ぽい)のだが、全体で見ると表現したいことがボヤっとしている印象。>>続きを読む

エストラパード街(1952年製作の映画)

3.5

1.5倍速で見てるのかと思うほど展開が早くてセリフも早口。バルコニーでの攻防と、パーマ器具付けながらのズーム、絶妙なタイミングで階段を上がってくる夫を捉えた大胆なカメラワークが好きだった。
フランス映
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ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY(2022年製作の映画)

4.3

スターダムへののし上がりからマスコミの横暴な取材、ブラックネスを問われる批判、私生活の乱れによって身体がドラッグに蝕まれていく様子を一人で演じきってしまうナオミアッキーの素晴らしさ。
どこまで史実なの
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さよなら、私のロンリー(2020年製作の映画)

3.8

あのイナバウアー歩きを誘うロケーションを見つけただけで勝ちだと思う。「万引き家族」では擬似家族故の結束力があったが本作はかなりタチの悪い毒親で常に個として存在している。そこに割って入る一種の外部存在に>>続きを読む

風の中の子供(1937年製作の映画)

4.7

「割を食うのはいつも子供」映画の最古?成瀬「秋立ちぬ」ばりにビターな展開と、「おかあさん」でも出てきたような軽々しすぎる子供の贈与が心苦しい。
室内の横移動はどれも素晴らしいタイミングだし、お母さんが
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有りがたうさん(1936年製作の映画)

4.2

狭い一本道で向こうから歩いてくる人や馬車を写した後に、上原謙の「有りがとう〜」という声を挟んでバスの後方へと去っていく姿を写す一連のシークエンスが劇中で何度も反復される。常に一定のリズム感と登場人物の>>続きを読む

RUN/ラン(2020年製作の映画)

3.5

移動の仕方が制限されているからこそ映画的に華やかな見せ方が出来る前半部のきびきびした動きは素晴らしく、これは車椅子当事者だからこそ映えるよなあと思いつつ好印象だったが、謎が明らかになっていく後半部から>>続きを読む

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.4

前半のバスケのシーンとか半分寝ながら見てたんだけど、後半になるにつれて没入感が増して行き靴が擦れる音、ボールをキャッチするときの音などのリズムがこちらの緊張感と一体化していく感覚が堪らなく気持ち良い。>>続きを読む

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

5.0

計3,4回目だが見る度に評価が上がってきて凄い。出会いと別れに肘をツンとする石橋静河のニクさは、初っ端の「心が通じたね」という非口語的な台詞で一気に自分のフィールドへ持っていってしまう。
「ケイコ」と
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Playback(2012年製作の映画)

3.0

オールナイト2本目という一番朦朧としてる時間帯にこれはちときつい。掴みどころのなさがポイントなんだろうけど本当に掴みそこなかったまま終わってしまった感。時系列の組み替えとジャンプカットの多用は「気狂い>>続きを読む

THE COCKPIT(2014年製作の映画)

4.3

最高。トラックメイカーの"あるある"が詰まった映画?後ろから見られてると集中できない、話してても良いけどメロディーは歌わないで、一服しようと思った隙にいい感じのグルーブが出来上がる…など
BIMの子分
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そばかす(2022年製作の映画)

2.4

「silent」もそうだけどマイノリティに向かって無自覚な他者が差別的行動をとる構図を長々と見せられるのはもうウンザリだし、正直今更これか…感は否めない(これと比較すると「恋せぬふたり」はまだまともだ>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.9

16ミリフィルムのザラザラした質感は普段自分が目にしている視界と全く異なるはずなのに、登場人物全員がたしかに"生きている"、そしてなぜか日常よりたしかに"リアル"なものとして感じられるのだ。
普段見慣
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みな殺しの霊歌(1968年製作の映画)

3.7

フェミサイドを描いた作品かと思いきや…その裏には許し難い事情があり、男性の性被害の軽視もしっかり描かれている。
冒頭の殺害シーンからのタイトルバックまでの流れが気持ち良すぎ。

お嬢ちゃん(2018年製作の映画)

4.4

「みのり」という役名でヒロインと同化する萩原みのりの圧倒的な魅力はあまり映画で目にしないタイプのもので、強いて言えば「プロミシングヤングウーマン」を先取りしていたとも言える芯の強さ(交際を断ったら「ヤ>>続きを読む

偽大学生(1960年製作の映画)

3.8

大学落ちる→母ちゃんの手紙を読んで「ゴウカクシタ」という嘘の手紙を書く→「偽大学生」というタイトル表示までの一連のシークエンスが格好良すぎて泣きそうになる。ただそれ以上の感動は無かったような。ジュリー>>続きを読む

空に住む(2020年製作の映画)

4.1

タワマンの40階という現実から遊離した空間にてさまざまな非現実的出来事が起こる。スターの岩ちゃんが家に来る事より管理人のおばさんが勝手に家に侵入してくる方がやばいよね。花をちぎって食べる異常さ。岸井ゆ>>続きを読む

おかあさん(1952年製作の映画)

4.3

成瀬特有の暗すぎる話の中に放り込まれるユーモア。「捕虜おじさん」と呼ばれる加東大介がいちいち面白い。「レクリエーション」を「リクリーニング」と言い間違える。色が落ちてしまった帽子を「シックモード」と言>>続きを読む

あのこと(2021年製作の映画)

4.0

スタンダードサイズでしかもフィルム撮影(実際はどうかわからない)のような手触り。必然的に画面に映るのはヒロインの表情が大半を占める訳だが、ヒロインの動きに合わせてあくせくと動くカメラはラースフォントリ>>続きを読む