HidekiIshimotoさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

まわり道(1974年製作の映画)

4.0

冒頭でThe Troggsのレコードかけて窓ガラス叩き割る主人公は、元は音楽ジャーナリストだったヴェンダースのこの頃の気持ちの投影なんだろう。ひたすら真っ直ぐ真面目に自己表現に悩んでるこの感じは、ひん>>続きを読む

三つ数えろ(1946年製作の映画)

4.5

知る限り最強ハリウッドカップルのボギー&バコール。オープニングタイトル映像もそう告げている。ノワール映画代表の一つとかよりボガード×バコールの愛映画として映画史に刻まれてる感。さらに気付いたのはちょい>>続きを読む

ローマ法王の休日(2011年製作の映画)

4.0

新法王選挙のコンクラーヴェが映画で描かれるとクリスチャンでもないのになんか萌える。偉いよぼよぼおじいちゃん達がやけにポップで可愛らしい服で並んでるのにも萌える。偉いと自称の脂ぎったおじいちゃん達の某国>>続きを読む

HERO(2002年製作の映画)

4.0

この映画でゴージャス武侠に走る前の、『菊豆』や『紅夢』の頃のチャン・イーモウは圧倒的だったよなぁと今でも思ってる。けどこれ久しぶりに観たら別の感じに圧倒的だし、なかなかジンときた。それになかなか黒澤明>>続きを読む

コレクター(1965年製作の映画)

4.0

オチ思い出せなくてまた観たら本気で怖かった。「愛してる」と言い「尊敬してる」と繰り返しつつ美女を監禁する怖い恐いテレンス・スタンプ。今はただ美女に生まれなくて良かったしか思えねえ。見どころはストックホ>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

3.5

もっと映画の映画かと思ったらかなり家族の映画だった。赦しの映画にもみえたし復讐の映画のようにもみえた。けど150分もかける家族内容か?とも思った。ここまでモロ自伝を自分で撮るとか映画の神となった今のス>>続きを読む

不都合な真実2:放置された地球(2017年製作の映画)

-

"環境"の対義語はたぶん"自分"。なので環境問題について気にすることが出来るのは、自分問題があまりない人、もしくはあっても気にしない人ってことなのかも。で自分問題の大半はお金問題と愛情問題のように見え>>続きを読む

アンネ・フランクと旅する日記(2021年製作の映画)

4.0

イスラエルやパレスチナで何がどうなってんのかは不勉強で未だよく解らないんだけど、そんな無知俺よりさらに何がどうなってんのか分かりようのない年齢の子供達が、分かってんのか解ってないのかよく判らない大人達>>続きを読む

エクソシスト(1973年製作の映画)

5.0

俺の庭井の頭公園は昨晩濃霧に妖しく包まれ、樹々を透かす街灯がめっちゃエクソシストしてたのでついまた観た。イランの古代遺跡発掘現場から始まる導入といい、緩急のツボをついた画面転換といい、何度観ても最高に>>続きを読む

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

-

wiki文いじくって要約するならば、リトアニア系ユダヤ人で犯罪専門ジャーナリストの父とピアニストの母のもとにカナダで生まれ、大学では生化学と生物学と英文学を学び、バロウズやナボコフを耽読し、極めて優秀>>続きを読む

いいかげん馬鹿(1964年製作の映画)

3.5

俺的には志麻さま映画の極致だった…。いきなりセーラー服でるんるん登場で、見た瞬間俺の頭ちゅどーんと吹っ飛んだ。なななんて可憐なんだ…。その後も志麻さまアップになるたび、微笑むたびに俺の心臓は止まったり>>続きを読む

馬鹿が戦車(タンク)でやって来る(1964年製作の映画)

3.5

志麻さま見たさに観てみたら3つある"馬鹿シリーズ"の1つだった。ポリコレなんて言葉のない頃のシリーズ名。どうやら邦画界最後の巨匠、巨匠というより職人の印象の山田洋次。wikiの年表見てみたらこのシリー>>続きを読む

桜桃の味(1997年製作の映画)

5.0

ジグザグ道にもちょっと飽きたな4くらいかなとか思ったやつだけど、神のみわざを飽きたとか言うとバチあたって目が潰れて映画観れなくなるので5。初期作で子供中心に撮ってたのは実はイラン政府の規制が厳しかった>>続きを読む

イノセンツ(2021年製作の映画)

4.0

ますます地道に盛り上がってる北欧ホラーの最新作。監督は相当好きだった『テルマ』の脚本のエスキル・フォクトって人。名前だけじゃ男か女かも分からない人。テルマの静謐なサイキックを静謐なまま若年化凶暴化させ>>続きを読む

ザ・ブルード/怒りのメタファー(1979年製作の映画)

4.0

クローネンバーグ初期のサイコロジカルホラーはほんとサイコロジカルに怖い。目でじゃなく自分の脳内で見ちゃった悪夢みたいな怖さなので、観直すのにも思い切りが必要。初期作品にはまだスターもスター性のあるキャ>>続きを読む

クラッシュ(1996年製作の映画)

-

クローネンバーグだあと封切りで観に行った記憶。確か品ある銀座の品ある映画館。確かけっこう混んでて、さすがクローネンバーグと思いつつ見渡せば、なあんかオジサン多いような…それもクローネンバーグ臭とは別の>>続きを読む

スキャナーズ(1981年製作の映画)

4.5

AKIRAの7年も前の超能力バトル映画。こんなに面白かったっけ?最高やんけ!だった。頭バーン💥のハゲおっちゃんの🤯までブルブルが上手すぎで毎回ビクッとなる。けどただのバトル映画じゃあない。設定が細々面>>続きを読む

イースタン・プロミス(2007年製作の映画)

5.0

異形感を保ったまま普遍に拡大したこの感じは、ヴィゴのおかげか本人が拡大したからか?新SWやるまでに拡大した脚本家のおかげかな?観直しても一部の隙もない映画だと感じる。珍しくはないノワール題材が、何を見>>続きを読む

ヒストリー・オブ・バイオレンス(2005年製作の映画)

4.5

クロ×ヴィゴの記念すべき第一作。やっぱりクロ新境地だと思うし、これで世間のヴィゴ感は塗り替えられ、離れた人とほんとのファンになった人に分かれた気がする。俺もちろん後者。因縁の敵役はエド・ハリスとウィリ>>続きを読む

フォーリング 50年間の想い出(2020年製作の映画)

4.0

キングオブ異形クローネンバーグ監督を普遍に引き寄せ一段高めたのは、やっぱりヴィゴ・モーテンセンなのか?と思い、ヴィゴ監督作とやら観てみた。らボケ老いた父親とのよくある邂逅、とかじゃないレベルの地獄おや>>続きを読む

ヴィデオドローム(1982年製作の映画)

4.5

枠からはみ出た映画好き者には特になこれ、何度か観てるのにどんな話だったのかよく解らないでいるこれ、久々でまた観たらわかるんだけどやっぱりよく解らないということがよくわかった。話はまあわかるよ。けどなん>>続きを読む

欲望の翼(1990年製作の映画)

3.5

あの頃、ウォン・カーウェイは世界で一番イケてた監督だったと記憶。他にも沢山のイケてる中国香港映画が今の韓国映画みたいに、あの頃はあったと覚えている。あの頃とは香港が中国に返還される前ってことになるのか>>続きを読む

好人好日(1961年製作の映画)

4.0

なかなかに小粋な昭和のコメディ。タイトルロールから小粋。もう粋消滅社会だもんで小粋なんて言葉久しぶりに使ったぜ。これ観てこの世で一番好みの身姿だと確認の岩下志麻。こんなコメディエンヌな志麻ちゃん初めて>>続きを読む

声優夫婦の甘くない生活(2019年製作の映画)

3.5

"鉄のカーテン崩壊でソ連のユダヤ人は出国を許された"と冒頭のキャプション。ついに"祖国"イスラエルに降り立ち飛行機のドアが開くのを待っている彼らの表情。期待なのか緊張なのか、俺らには計り知れない想いの>>続きを読む

アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)

4.0

久しぶりに観たらすごく良かった。封切りの頃はトレンドなレア・セドゥに気がとられたけど、アデルの生々しい存在感に目が釘付けで3時間の長尺も瞬く間だった。激エロシーンも『愛のコリーダ』並の本番感で、デビュ>>続きを読む

大人のためのグリム童話 手をなくした少女(2016年製作の映画)

4.0

おフランスだけあってなんかモネが作ったみたいな印象派なアニメだった。グリム童話が実はエグいグロいことは何となく知ってたけど、なるほどエグい物語。けど美しい物語。岡本太郎が名著『沖縄文化論』の冒頭で紹介>>続きを読む

マルセル 靴をはいた小さな貝(2021年製作の映画)

3.5

五年ほど前、おぼこい形のガラス容器にウォーターマッシュルームという愛らしい水草を入れて窓辺で育て始めた。容器の底にはいつの間にか泥みたいな泥が溜まり、なんか小さな沼みたいになってた。去年の夏、水草の繁>>続きを読む

ビギナーズ(1986年製作の映画)

3.5

20代前半の頃、500歳くらいまで生きたいと密かに思ってた。理由は貧乏芸術家を50年くらいやったら、次はサラリーマン人生も20年くらい経験してみたい、次の50年は保守政治家やって税金ネコババして、その>>続きを読む

ドント・ブリーズ(2016年製作の映画)

3.5

新作エイリアンの監督に抜擢と知り、確かスマッシュヒットだったこれ観てみた。つまらないからでも怖いからでもなく、息苦しい緊張感のあまりに途中で観るのよそうかと思った。怖い盲目元軍人爺の家からというより、>>続きを読む

モガディシュ 脱出までの14日間(2021年製作の映画)

3.5

国のバックアップでハリウッド仕込みの韓国映画。とうとうアフリカ舞台のこんな実話を、この規模で映画化できるとこまでいっちゃったのか…って感じ。デリケートなはずの南北問題まで盛り込みつつ、エンタメ性も充分>>続きを読む

ターミナル(2004年製作の映画)

3.5

この壮大な室内劇はいかにもスピルバーグがやらかしそうなやつ。でっかい空港ロビー内を縦横無尽に動き回るカメラすげーなの記憶だったけど、撮影監督ヤヌス・カミンスキーだった。でなんと全部セットだった。なんち>>続きを読む

スポットライト 世紀のスクープ(2015年製作の映画)

4.0

冒頭actual event(実際の出来事)の文字。教会の影響力と権力が強大なアメリカで、この映画化は途轍もなく重要な出来事。これを撮ろうとする人がいて、それに資金出す人がいて、それをハルクの人やDr>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

-

公開して間もないのでスコアも控え、一部のおっさん以外何だかわからないレビューにしてみる。
なんだかZepのO2アリーナでの再結成ライブみたいだった。オープニングのgood times bad time
>>続きを読む

社葬(1989年製作の映画)

3.5

このタイトル見たほとんどの人が国葬を思い浮かべるかと思う。観た人の何割かはこの大新聞社内派閥抗争のぐちゃぐちゃを観て、あの国葬の裏でも同じぐちゃぐちゃがあったと確信すると思う。wikiの制作背景が面白>>続きを読む

価値ある男(1961年製作の映画)

4.0

なんと三十郎時代三船敏郎のメヒコ映画。男の価値を求めて飲む打つ買うの猿三船が痛ましくも輝いてる。そして浮かび上がる我が美大一年生時代の痛ましき記憶。価値ない俺を痛感したある日の記憶。じっとしてられない>>続きを読む

幕末太陽傳(1957年製作の映画)

3.5

いくつかの観たことある川島雄三映画は、どれもしたたかな人達物語って印象。一番有名なこれも花街物語だからしたたかで当たり前なんだろうけど、他巨匠たちの花街映画にある印影はカケラもないあっけらかん花街コメ>>続きを読む