ひろさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

風に濡れた女(2016年製作の映画)

2.5

小賢しい。神代辰巳を真似しても、激しく動き回っても、そこから何もエモーションが起きない。
やっぱりロマンポルノリブートなんて塩田明彦はやらない方が良かったんだ。『月光の囁き』というエロティックな傑作を
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ばしゃ馬さんとビッグマウス(2013年製作の映画)

2.0

「パスタ冷めちゃう」を繰り返して、最後にそれを言った時にシーンをぶった切る編集は、バラエティ番組でよく見られる。映画でやる必要があるのかは謎だが、本作のココでの使い方は全く面白くない。

主人公は、シ
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僕らのごはんは明日で待ってる(2017年製作の映画)

2.3

全体的にセリフが堅い。万田邦敏の『接吻』や『UNloved』みたいに、論理的なセリフを俳優が不自然に発するのとも異なり、本作のセリフの不自然さは意図が見えない。小説のまま飛び出して来たような感じで映画>>続きを読む

散歩する侵略者(2017年製作の映画)

3.4

『トウキョウソナタ』と『贖罪』で全ての才能を使い果たしたのか、2013年からは才能の出涸らしで撮ったような作品ばかりだったが、今回はまあまあ面白い。
人間が持つ「概念」を、ふてぶてしさとデタラメさ全開
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三度目の殺人(2017年製作の映画)

2.9

生真面目な映画だった。
傍聴を希望する人々の列が、テオ・アンゲロプロスの映画みたいに、不自然に立ち尽くしていて動かないとかをやってくれたら、とても面白いのだけれど、そういう事をやったら是枝裕和さんでは
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がんばっていきまっしょい(1998年製作の映画)

3.1

色々と考えたが、やっぱり冒頭の現在シークエンスは要らない。

スパイ・ゲーム(2001年製作の映画)

4.1

ドイツでの仕事で、協力者に情を持たないように言ったロバート・レッドフォードが、ブラッド・ピットを助けようとするのは何故か。
CIAとして最後の1日だったから、それまでのプロ意識にこだわる必要が無いと考
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湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)

2.4

赤が弱い。赤が綺麗でない。鮮やかに撮ることが出来ないなら、赤をフィーチャーしなくて良い。
序盤で、宮沢りえが杉咲花に「好きな色は?」と聞き、「水色」と杉咲花が答えた後、宮沢りえが「私は赤色」と言う。言
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国道20号線(2007年製作の映画)

2.4

国道20号線を横切って渡る描写が何回か出てくる。主人公が、とても大きな決断をした時に、国道20号線を横切るとかで物語が大きく動く……というわけでもない。
国道20号線を破滅へ向かう道として描いて、国道
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クレールの膝(1970年製作の映画)

4.4

クレールの膝を触りたいという欲求を満たすなどというどうでもいい話が、こんなに面白くなるんだから、映画は不思議だ。
初めて膝を触る瞬間の驚きと妙な喜び、クレールを慰めながら膝を触る時のサスペンス&視線が
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昼顔(2017年製作の映画)

4.1

斎藤工が初めて現れる時、音(話し声)から画面に入って来るのだが、その時のドキドキとワクワク感が凄い。ココは彼の声質が活かされてる。低くてエロい声だからこそ引き立っている。
数ヶ月後になった直後のシーン
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博徒外人部隊(1971年製作の映画)

4.4

冒頭、刑務所前の落ち葉が舞う道を歩いてくる鶴田浩二のローポジションからのロングショットが凄まじくキマってる。落ち葉の舞い方も見事。「肌寒い」という鶴田浩二の声の後、裸足に下駄で歩くアップのカットになる>>続きを読む

SYNCHRONIZER(2015年製作の映画)

4.0

マウスと自分の脳波を同期させたら、マウスの脳の萎縮が解消されたので、主人公は認知症の母の脳と自分の脳を同期させて、認知症を直そうとするっていう話。
何のこっちゃ……って話だが、これが不思議と面白い。
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鉄砲玉の美学(1973年製作の映画)

4.3

冒頭の飲食ショットやウサギが餌を頬張るショットから怠惰な生活を批判的に映し出して、鉄砲玉として宮崎へ行った渡瀬恒彦の生活そのものを嘲笑ってるようなのが面白い。

帰宅した渡瀬恒彦が、ウサギに餌をやった
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大悪党(1968年製作の映画)

4.0

本作の裁判シーンは、被告と弁護士と検察の攻防だから、傍聴席の人々が一切印象に残らない。ほぼ傍聴席のショットは無い。
裁判シーンでは、画面奥に田宮二郎、真ん中に緑魔子、画面手前に北村和夫という配置のショ
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イヌミチ(2013年製作の映画)

3.5

セックスシーンの無いポルノ映画的で面白い。

犬になる催眠術をかける時、一度目は催眠術アイテムのコインをメインに撮っているが、二度目は催眠術をかける男と催眠術をかけられる女を撮っていて、コインは一切撮
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殺人者(1946年製作の映画)

4.4

冒頭から陰影の効いたショットの連続で最高。

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)

2.2

エマ・ストーンとライアン・ゴズリングが2度目に出会った時、ライアン・ゴズリングがJ・K シモンズと話した後、ライアン・ゴズリングが画面奥の店の出入口付近に居るエマ・ストーンをチラッと見るのだが、その時>>続きを読む

階段通りの人々(1994年製作の映画)

4.5

バレエダンスを挟んで、時間の流れをすっ飛ばす大胆ぶり。こんな事を出来るのが凄い。
大勢の人々が階段を一斉に登り下りするだけのシーンがめちゃくちゃ良い。曲も面白い。

メゾン ある娼館の記憶(2011年製作の映画)

2.8

一言で言うと苦手。漆黒の画面の中に浮かび上がるように男女が話してるショットは良いのだが、それ以外のショットが、絵画コンプレックスみたいに見えてしまうから苦手。

ローラーガールズ・ダイアリー(2009年製作の映画)

4.6

最高に興奮するローラースケート競技と青春ドラマぶりに感動した。
ピントが合ってない画面奥で、登場人物が何かしてるのは「加藤泰かよ!」とツッコミたくなる嬉しい驚き。例えば、店でアリア・ショウカットとカル
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女教師 汚れた放課後(1981年製作の映画)

3.6

世捨て人に優しい眼差しを向ける映画。
「昔のことだから忘れた」と言って、風祭ゆきを気遣う三谷昇の優しさが辛い。被害者だけど加害者意識も持ち合わせる風祭ゆき、イイ人なのに転落人生を歩んでしまう三谷昇、2
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侠女/俠女 第二部:最後の法力(1971年製作の映画)

5.0

信じられない。それまでの展開とはまるで別物で、ひと続きの作品とは思えない。
超絶武闘派坊主は金色の血を流すし、色は反転するし、ストーリーを語ることから解き放たれた(放棄した?)この終盤は、唖然と感激と
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侠女/俠女 第一部:チンルー砦の戦い(1971年製作の映画)

4.4

アクション観てるだけで楽しい。
亡霊の件がバカバカしくて面白い。
冒頭でそびえ立つ山などのショットを繋いで、舞台の村の辺境っぷりを説明してるのだけど、それが長い。

いかさま博奕(1968年製作の映画)

4.1

博奕場面が緊迫感たっぷり。相手の札や手元を無言で見つめる視線のやり取りは、緊張を煽りながら物語を進めて行く。
停電して、灯火で照らされる若山富三郎が不気味でカッコいい。
天津敏が倒れる瞬間、襖が先に倒
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月光の囁き(1999年製作の映画)

4.1

『月光の囁き』を観るとロマンポルノリブートなんて要らないんじゃないかと思う。これを75分で、もう1人、女性を加えて濡れ場を作れば、それでもうロマンポルノになるんじゃないかと思わずにはいられない。

9
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捕えられた伍長(1961年製作の映画)

4.0

登場人物が皆、魅力的で面白い。何度も脱走して失敗する姿も、フランスびいきの酔っ払い爺さんに絡まれるのも、ハプニングが全部笑える。
画面奥で脱走する為に鍵を開けてるのを照らす光と、画面手前でそれを見つめ
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ドカベン(1977年製作の映画)

4.5

極めて楽しくて愉快な作品。ひたすらドタバタしていて、バカバカしさが群を抜いてる。
序盤、岩鬼が山田にパンチを避けられた時に、本来の立ち位置とは全然違う地面に腕がハマっているなど、カットが変わる度に、そ
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阿賀に生きる(1992年製作の映画)

4.3

水俣病の話だと思って見始めたが、これは映画名の通り、「阿賀に生きる」人々の話だった。
川にまつわる「川船頭」や「船大工」の人などが描かれることからも分かるが、水銀が流された「川」も主役だった。

川船
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海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)

4.6

セクシーがダダ漏れ。水着の後ろ姿や上半身裸でウロウロしてる登場人物の姿だけで、セックスの予感がプンプンしてる。
ラストのマリオンの言葉こそ、恋愛も人生も円滑にやり過ごす秘訣なんだと妙に納得させられた。
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ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅(2016年製作の映画)

2.2

主人公スキャマンダー、魔法使い反対家族、魔法使い政府の3つが同時に進行していくが、上手くいっていない。それに加え、「実はこの件は◯◯でした!」という驚きを演出する気も無く、ただひたすら「この人が怪しい>>続きを読む

軍旗はためく下に(1972年製作の映画)

4.2

戦争へ行った夫の死んだ真相を妻が調べる作品で、真相を知っていると思われる4人の男性に会いに行って話を聞くのだが、4人がそれぞれ別の事を言う。
『羅生門』的で、ちょっとした謎解きの面白さがある。
過去と
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大地の子守歌(1976年製作の映画)

4.6

台詞のテンポが良い。
暴れまくる原田美枝子に、塩田明彦『カナリア』の石田法嗣を重ね合わせた。
動きまくる原田美枝子が、泣きながら初潮を嫌がる姿に感情移入する。
原田美枝子を見送る田中絹代の顔が美しく白
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河内カルメン(1966年製作の映画)

4.5

語弊はあるが、陽気な『西鶴一代女』か。陽気という程でもないが。
野川由美子の美しさと色気とカッコ良さがずば抜けており、序盤のあどけなさの残る表情から、五右衛門風呂から上がった時のハイポジョンからのハイ
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ダゲレオタイプの女(2016年製作の映画)

2.9

冗長。ダレる。黒沢清に120分以上の作品を撮らせてはならない。
屋敷は不気味さが足りない。どうせなら、屋敷内をもう少し暗くして、強制的に不気味さを漂わせて欲しい。
カーテンや電球を揺らすのも、暗闇から
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ハドソン川の奇跡(2016年製作の映画)

3.3

操縦士が操縦士でしかない。妻が妻でしかない。客室乗務員が客室乗務員でしかない。変な正義感で動かないのが強み。だから感動出来る。
とはいえ、観る側に「墜ちろ……」と感情を煽るゲスの極みぶりに白けて行き、
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