たくさんの映画レビュー・感想・評価 - 34ページ目

たく

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(1965年製作の映画)

3.8

イギリスの軍事刑務所で長年にわたって行われている懲罰的な訓練に苦しむ囚人たちの理不尽な状況を描く、シドニー・ルメット監督骨太の1作。人物のアップやパンフォーカスを多用した独特のカメラと素早いカットの切>>続きを読む

メイキング・オブ・モータウン(2019年製作の映画)

3.8

モータウンの創始者ベリー・ゴーディーのインタビューをメインに、モータウン・サウンドが当時の音楽界にもたらした絶大な影響を描いて行くドキュメンタリー。とにかく途切れず怒涛のように流れ続けるインタビューの>>続きを読む

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン(2020年製作の映画)

3.8

いろいろあって公開延期されていた本作をようやく観られた。
手紙代筆業のドールとして働くヴァイオレットが自分の中に愛の感情を目覚めさせてくれた少佐への想いを貫く話で、「外伝」から入った自分としてはヴァイ
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マイ・バッハ 不屈のピアニスト(2017年製作の映画)

3.6

20世期に活躍したブラジル人ピアニストのジョアン・カルロス・マルティンスの半生を描いてて、ピアノ演奏をそれらしく見せる演出と、本人が実際に演奏した音源を使うことで音楽がちゃんとしてたのが良かった。これ>>続きを読む

mellow(2020年製作の映画)

3.6

恋の告白をある種のエゴとして描くところに今泉力哉監督らしさを感じた。登場事物がそれぞれ抱える片思いが花屋の夏目を中心に展開していく小品で、最後ほっこりするのが良かったね。

なんだか映画というよりビデ
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ミスター・ロジャースのご近所さんになろう(2018年製作の映画)

3.8

「幸せへのまわり道」で初めてフレッド・ロジャースを知って、映画仲間に教えられて彼のドキュメンタリーを鑑賞。
いや-ジーンと来たね。

彼が決して見せかけだけのいい人じゃなくて、キリスト教の人間観に根差
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花筐/HANAGATAMI(2017年製作の映画)

3.8

太平洋戦争前夜の佐賀県唐津市に生きる若者たちの青春物語。速い編集や左右反転、背景の合成などいつもの大林監督節なんだけど、奇を衒ったところがなく、情感たっぷりの落ち着いた作りが戦争三部作の締めくくりにふ>>続きを読む

もう終わりにしよう。(2020年製作の映画)

3.8

チャーリー・カウフマンといえばなんたって「脳内ニューヨーク」のイメージで、観る前から構えちゃうよね。観終わってやっぱり何だこれは?ってなるんだけど、描き方は「脳内ニューヨーク」と似てて、すべてが老人の>>続きを読む

幸せへのまわり道(2019年製作の映画)

3.8

売れっ子雑誌記者のロイド・ボーゲルが、人気子ども番組司会者のフレッド・ロジャースに出会うことで自身が抱える心の抑圧と向き合っていくという実話を基にした話。地味ながらトム・ハンクスの抑えた演技にジーンと>>続きを読む

巴里祭(1932年製作の映画)

3.8

ルネ・クレールの名作で、はるか昔に一度観たはずなんだけどアナベラの幼い容姿以外にほとんど覚えてなかった‥。

お祭り騒ぎのパリから始まる若い男女のすれ違いの恋模様で、登場人物が悪役を含めてみんなどこか
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幸福路のチー(2017年製作の映画)

3.8

台湾で生まれ育ったチーが、祖母の死をきっかけに幼少からの家族との歩みを夢と現実の堺目を彷徨うように思い出していく話。
素朴なタッチのアニメで、なんてことない良くある家族の話なんだろうけどジーンと来た。
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怪談(1965年製作の映画)

4.2

小泉八雲原作の怪談からなる4話オムニバスで、計算され尽くしたカメラワーク・照明によって完璧にコントロールされた映像が圧倒的。音響面も素晴らしく、あえて音声を抜く演出、不気味に掻き鳴らす琵琶、寒々とした>>続きを読む

最初の晩餐(2019年製作の映画)

3.9

「食」を通して家族の歩みを描くところにいかにも日本的な良さが出てたね。カメラワークが印象的で、会話の切り返しや遠近感など丁寧に作り込まれてる感じがした。ときどき自然の景色を挟むのも効果的で、観終わった>>続きを読む

行き止まりの世界に生まれて(2018年製作の映画)

3.8

イリノイ州ロックフォードに住む仲良しスケボー青年3人組の生態を、そのメンバーの1人であるビンのカメラで追っていくドキュメンタリー。

冒頭ものすごい迫力で疾走する彼らのスケボー姿が、一見楽しそうに見え
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ザ・ピーナッツバター・ファルコン(2019年製作の映画)

3.7

プロレスラーを夢見るダウン症のザックと、兄を失って自暴自棄な漁師のテイラーがそれぞれの逃亡劇から偶然出会って友情を育んでいくロードムービー。とにかくデコボココンビのイチャイチャが微笑ましかったね。障害>>続きを読む

ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019年製作の映画)

3.7

ガリ勉女子二人組が高校生活の楽しみを卒業式前の最後の1日で取り戻そうとする青春コメディ。前半ギャグが寒くて入り込めなかったけど、パーティー参加に消極的だったエイミーがモリーの気持ちを知って奮起する中盤>>続きを読む

母という名の女(2017年製作の映画)

3.5

未成年の娘が産んだ子の面倒を見にきた母親がとんでもないことをやらかす話で、女の貪欲さを描いてた。
ミシェル・フランコ監督らしく淡々としてるんだけど、中年の色気を滲ませた母親がヨガの動画を配信しようとし
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ようこそ映画音響の世界へ(2019年製作の映画)

3.8

音響が映画に果たす役割を映画の黎明期から年代順に追っていくドキュメンタリーで、名作映画のオンパレードに興奮した。音響をオーケストラに見立てて、声・効果音・音楽の3つが「才能の輪」によって相乗効果を発揮>>続きを読む

或る終焉(2015年製作の映画)

3.7

原題”Chronic”(病みつき)が示す通り、終末期看護に病みつきになってる介護士の話で、固定カメラ中心の乾いた映像と説明なしに淡々と進むのがミシェル・フランコ監督らしい肌触りだった。「父の秘密」が衝>>続きを読む

シリアにて(2017年製作の映画)

3.7

アサド政権下のシリアで爆撃に怯えながらアパートで暮らすある一家の1日を描いた密室劇。特撮を一切使わず爆撃音だけで表現する低予算な作りながら、緊迫感が凄かったね。

夫の帰宅を待つ妻が一家を取り仕切って
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奥様は魔女(1942年製作の映画)

3.8

18世紀の魔女狩りで焼き殺された魔族の父娘が遺恨を晴らすため、その処刑者の男に結婚が成就しない呪いをかけて何代にも渉って見張っていくコメディで、80分足らずの駆け足が楽しかった!
いかにもハリウッド映
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メリエスの素晴らしき映画魔術(2011年製作の映画)

3.6

映画黎明期に活躍した映像の魔術師メリエスが1902年に作った「月世界旅行」に幻のカラー版が存在してたってことに驚き。
その15分足らずの修復版がまず流れるんだけど、フィルムの再生速度を調整した人物の動
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屍人荘の殺人(2019年製作の映画)

3.3

これは予告編でミスリードされておいて良かったパターンで、わりと最初の方でビックリ展開になる。そこに推理モノとしての展開が並行して進んでいって、最後に両者が融合する作りはなかなか上手かった。

大学のミ
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はりぼて(2020年製作の映画)

3.7

富山市議会の汚職を追うドキュメンタリーで、2016年に政務活動費の不正受給が発覚してからの嘘みたいなドミノ辞職がほとんどコメディ。
ローカルテレビ局が不正を暴くのがミニチュア版「スポットライト」みたい
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AI崩壊(2020年製作の映画)

3.6

AIの暴走というキャッチーかつ古典的ともいえる題材を、クライムサスペンスの娯楽作として仕上げる入江監督の手腕が見事だった。終盤ちょっとクドいところを含めて同監督の「22年目の告白」を彷彿とさせる。>>続きを読む

2分の1の魔法(2020年製作の映画)

3.8

ピクサーには毎度泣かされる。
監督自身の体験が基になってるためか家族の描き方に説得力があるし、冒険譚の数々の伏線が最後に回収される作りも上手かったね。

かつて魔法で暮らしてた種族が文明の発達と共に魔
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地の群れ(1970年製作の映画)

3.7

敗戦後の佐世保を舞台に、原爆病差別と部落差別、朝鮮人差別が交じり合う醜い群像劇がずっしり重かった。全体に表現主義的な手法が多用されてて、現場の音を拾わずに後から挿入する音響の使い方も独特。「サンダカン>>続きを読む

顔たち、ところどころ(2017年製作の映画)

3.6

アニエス・ヴァルダと写真家のJRが組んで、フランス中を旅しながらそこに住む人々の写真を引き伸ばして建物の壁に貼り付けていく交流プロジェクト。ドキュメンタリーと映画的演出が入り組んだような作品だった。ア>>続きを読む

野のなななのか(2014年製作の映画)

4.0

北海道の芦別を舞台に、亡くなった老人の四十九日(なななのか)を通して日本的な親戚のあり方と故人の秘めた心を描いていく話で、人の生き死にが他の誰かに繋がってるという死生観が大林監督ならではの未来の世代へ>>続きを読む

フルートベール駅で(2013年製作の映画)

3.6

2009年にアメリカで起きた事件を基にしてて、一般人が実際に撮影した衝撃的な映像から始まる。まさにいま起こってるBlack Lives Matterの警察の理不尽そのままで、世の中何も変わってないんだ>>続きを読む

この空の花 長岡花火物語(2012年製作の映画)

4.0

「海辺の映画館」で感動して、大林監督作品をいろいろ観たくなった。
本作はかなり直接的な反戦メッセージに溢れてて、これは果たして映画といえるのかというギリギリの線を踏み越えようとしてる感じ。晩年の大林監
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セデック・バレ 第一部 太陽旗(2011年製作の映画)

3.8

大日本帝国統治下の台湾で1930年に起こった霧社事件を基にしてて、日本と台湾の間にこんな血で血を洗うような凄惨な出来事が起こったのを知ってショックだった。

台湾原住民同士が狩場を巡って勢力争いを繰り
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大地の子守歌(1976年製作の映画)

3.8

黒澤明の名作100選に入ってて、増村保造監督ということで観てみた。
昭和7年の瀬戸内で身寄りを失ったおりんが女郎屋に売られて生き抜いていく話で、デビュー間もない原田美枝子の体当たり演技が素晴らしかった
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星の旅人たち(2010年製作の映画)

3.7

聖地巡礼中に事故で亡くなった息子を継いで、父親が聖地巡礼の旅をしていく話が大人の青春ロードムービーになっててほっこりした。
トムが頑固おやじっぽくて、旅の途中で一緒になる3人の人物と最初ギクシャクして
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タロウのバカ(2019年製作の映画)

3.3

社会に居場所のない3人の男子がつるんで向こう見ずな行動を取っていく話で、不安定な長回しカットとか聞き取れないセリフがあえて観客を不快にさせるような演出になっててちょっと苦手なタイプの映画。
拳銃が「天
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ディック・ロングはなぜ死んだのか?(2019年製作の映画)

3.3

乱痴気騒ぎの末に死んだディック・ロングの真相が明らかになっていく話で、たぶんあえてサスペンス演出をショボくしてて、事態収束にあたふたする男の情けなさをコメディっぽく描いてた。田舎町が舞台で、根は優しい>>続きを読む