たくさんの映画レビュー・感想・評価 - 30ページ目

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生きちゃった(2020年製作の映画)

3.7

自分の気持ちを押し殺して生きてる男がいかに自分に向き合うかという話で、仲野太賀の暗~い演技がどんより重くて最初ついていけなかったんだけど、最後まで観ると大人の苦い青春映画という感じになってた。英語なら>>続きを読む

中国の植物学者の娘たち(2005年製作の映画)

3.5

気難しい植物学者の父をたった一人で世話する孤独な娘が短期の研修生として訪れた女性と惹かれあう同性愛の話で、理不尽な男尊女卑と世間の偏見の中で刹那の愛に生きる二人が切なかった。
時代背景が説明されないけ
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ビューティー・インサイド(2015年製作の映画)

3.7

毎朝起きると別人の外見になってしまう男が一人の女性を愛するラブストーリーで、題名の通り「人の外見じゃなくて中身を愛せるか」っていう寓話的な話にちょっと無理感が漂うんだけど、とにかくハン・ヒョジュが可愛>>続きを読む

シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

4.5

エヴァが終わった。ほんとに終わった。それも神技みたいな見事な終わらせ方で。

TVシリーズを取り憑かれたように繰り返し見て、旧劇でモヤモヤ、序でワクワク、破で胸熱、Qでつまずいていったん冷めたエヴァ熱
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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(2012年製作の映画)

3.8

シンエヴァの前に復習として9年ぶりに鑑賞。当時は内容があまり入って来なくて観終わった後の置いてけぼり感が半端なく、「序」「破」と買い続けたブルーレイも本作は手が出ず。自分の中でエヴァ熱はいったん冷めて>>続きを読む

モキシー ~私たちのムーブメント~(2021年製作の映画)

3.9

内気な女子高生が、白人男子による校内の女性差別に対して偽名を使って抗っていく話に胸が熱くなった。高校生活にアメリカの差別社会の要素を詰め込んだ縮図みたいな感じで、フェミニズム色が強くイデオロギーに傾き>>続きを読む

ジェーン・ドウの解剖(2016年製作の映画)

3.8

斬新なB級ホラーでなかなか面白かった!
ある一家の殺人現場で見つかった身元不明の遺体の死因を探っていく検死官の親子が不思議な現象に巻き込まれていく話で、シンプルなストーリーながらジェーン・ドゥを演じた
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グッバイ、リチャード!(2018年製作の映画)

3.6

ステージ4の癌で余命半年を告げられた大学教授の最期の生き様を6章のチャプター仕立てで描いてて、ジョニー・デップがこんな自然に人間味溢れる役を演じてるのはほんとひさびさ、っていうか「ギルバート・グレイプ>>続きを読む

宇宙でいちばんあかるい屋根(2020年製作の映画)

3.8

少女と不思議な老婆の交流を通したそれぞれの葛藤の乗り越えといういかにも感動路線のストーリーが、一歩間違うと陳腐になるところを役者陣の抜群の演技力でまとめ上げた感じ。綺麗過ぎる現実離れした映像が違和感あ>>続きを読む

夏時間(2019年製作の映画)

3.8

夏休みに実家に居候する一家の日常を固定カメラ中心に淡々と描いてて、驚くほど地味な作品。そのほとんどが娘のオクジュ視点で進み、食べることが生きることの象徴と言わんばかりにやたらと食事シーンが出てくる。こ>>続きを読む

飼育(1961年製作の映画)

3.2

閉鎖的な村社会に敵国の黒人米兵捕虜という異質因子が投入されることで、村社会のおぞましさが浮き彫りになっていく大江健三郎原作の胸糞悪い映画。
セリフの7割くらい聞き取れなくて何が起こってるか分からない場
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ペイン・アンド・グローリー(2019年製作の映画)

3.8

年老いた人気映画監督が、かつての知人たちとの縁を通じて再生していく話をペドロ・アルモドバル監督の自伝風に描いてて、なんだかしみじみした。

様々な身体の障害から創作意欲を喪失し、死んだように生きてるサ
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ぼくとアールと彼女のさよなら(2015年製作の映画)

4.0

自己肯定感の低い高校男子が近所の知り合いの女子の死期に向き合うことで成長していく重めの話を、ポップな演出で爽やかに見せて行くのが良かった。作品全体をグレッグが作ったチャプター仕立てのメタ映画のように一>>続きを読む

この茫漠たる荒野で(2020年製作の映画)

4.0

新聞の読み聞かせで生活してる元軍人が偶然に一人の少女を保護して親戚の元に送り届けようとするNetflixオリジナルのロードムービー。邦題がいかにも西部劇って感じだけど、原題"News of the W>>続きを読む

在りし日の歌(2019年製作の映画)

4.0

文化大革命と一人っ子政策の時代を生きた中国の夫婦が一人息子の死を受け入れていく話で、3時間じっくりかけた映像に時の流れを感じさせてジーンと来たね。

時間軸をシャッフルさせた作りになってるのが分かりに
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ソワレ(2020年製作の映画)

3.5

孤独な若い男女の偶然のいきさつからの逃避行の話で、あえて無知ゆえの未熟な行動として描いてるのがちょっとイライラして今一つ乗れなかった。売れない役者の翔太と父親から性虐待を受けてたタラカがそれぞれ自己を>>続きを読む

明日への地図を探して(2020年製作の映画)

3.7

爽やかな青春映画の雰囲気に乗せて、単なる恋愛モノにせずタイムループを人生の停滞の象徴として描いてたのが良かったね。
たいていのループモノは自分がいつのまにかループにハマってることに驚くくだりがあるんだ
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人情紙風船(1937年製作の映画)

3.7

貧乏長屋で暮らす庶民の生態を裕福な武家の婚礼話と絡めながら描いた山中貞夫監督の遺作。
長屋での首括り騒動から通夜で盛大に盛り上がるところに祭り本来のうっぷん晴らしの様相を見せて、浪人に落ちぶれた又十
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風の電話(2020年製作の映画)

3.8

東日本大震災で家族全員を失った少女が、8年ぶりの帰郷の旅で喪失した心を取り戻していく話。主演のモトーラ世理奈の素人っぽい無感情な演技がかえって喪失感を自然に演出してたし、時に見せる感情爆発との対比が活>>続きを読む

アングスト/不安(1983年製作の映画)

3.5

傑作なのか駄作なのか何とも言い難い作品。
1980年に実際に起きた殺人事件を基にしてて、残酷な犯行の様子を克明に追いつつ、犯人の内なる声がまるでその事件を起こすことを必然のように語っていく作り方に当時
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藁にもすがる獣たち(2018年製作の映画)

4.0

面白かった!
借金苦や生活苦に追い詰められ大金に目が眩む男女4人の群像劇がチャプター仕立てで描かれて、最後まで息つく暇なく楽しめたね。容赦ない残酷展開にちょっと引いたんだけど、金をめぐる人間の愚かさを
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国際市場で逢いましょう(2014年製作の映画)

3.8

朝鮮戦争で生き別れになった父の代わりに家長として家族を守り抜く男の年代記にジーンと来た。
男が大黒柱として家族を守るっていうのは昨今のジェンダーフリーの価値観とズレる気がするけど、守るべき存在を持つ人
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ヒート(1995年製作の映画)

4.0

面白かった!
アル・パチーノとロバート・デ・ニーロの二大名優の競演という話題性に腰が引けちゃって、ずっと観てなかった作品。約3時間のクライム・アクション大作を、ぐるぐる動き回るカッコいいカメラワーク
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はじまりのうた(2013年製作の映画)

4.0

評判通りすごく良かった。
落ちぶれかかってる大物音楽プロデューサーが、偶然自作の曲を聴いた一般女性に音楽家の金の卵の資質を見出すという「スタ誕」を思わせるプロットに、二人がそれぞれ人として自信を取り戻
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(2020年製作の映画)

3.7

中島みゆきの「糸」を基にして、男女の出会いと別れから18年にわたるそれぞれの人生を、互いに糸をつむぐようにして描く物語。二人のすれ違いが「 弥生、三月 君を愛した30年」にちょっと似てたのと、平成を年>>続きを読む

静かなる叫び(2009年製作の映画)

3.6

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督初期の中編で、1989年にモントリオールの大学で起きた銃乱射事件をモデルとした事件当日の描き方が「エレファント」を思わせる。

フェミニストに対する憎悪が事件の動機になってて、
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

4.5

いやー良かった!
出所した元ヤクザの人生再生物語で、世知辛い世の中をユーモアと暖かさを交えて描く西川美和監督の手腕がもう職人の域と言えるほど見事。ヤクザが反社として世間から爪弾きにされるのは「ヤクザと
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私というパズル(2020年製作の映画)

3.7

Netflixオリジナル。
自宅出産がうまく行かなかったことによる感情喪失から周囲との人間関係がこじれていくマーサを描いてて、冒頭20分くらいの出産に至る長回しシーンがアルフォンゾ・キュアロン監督の「
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君が世界のはじまり(2020年製作の映画)

3.6

それぞれ事情を抱える高校生達が時にぶつかり合いながら自分自身に向き合っていく青春群像劇。冒頭の事件のシーンから不穏なサスペンスを漂わせておいて、続く琴子と熱血教師の追いかけっこのマンガ演出になるのが面>>続きを読む

リトル・モンスターズ(2019年製作の映画)

4.2

すごく良かった!
ゾンビモノと知らずに観たので、自分勝手なクズで恋人と喧嘩ばかりしてるデヴィッドの様子が延々流されるオープニングにいきなり戸惑ったんだけど、まさかの展開で感動した。

デヴィッドを慕う
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花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

3.4

評判良いので観てみた。
恋愛の理想と現実を互いの日記を読み交わすように年代記として描いていく話がリアルで、主役二人の自然な演技が素晴らし過ぎる。それだけに、人物の心情をモノローグで説明しまくる邦画お馴
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ミッドウェイ(2019年製作の映画)

3.5

日本軍の真珠湾攻撃からミッドウェー海戦までを時系列通りに派手な戦闘シーンでエンタメ的に見せて行くという、エメリッヒ監督らしい作品。そこに男の試練や友情、家族愛などヒューマン要素が挟まれていく展開で、そ>>続きを読む

ナンシー(2018年製作の映画)

3.9

なんか泣けたなー。
毒親のシングルマザーに育てられた虚言癖のあるナンシーが、ある日テレビで偶然見かけた富裕層夫婦の失踪した幼い娘の成人した合成画像と自分がそっくりなことから、その夫婦に娘と偽って取り入
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ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)

3.8

一人のヤクザの生き様を軸に義理人情で成り立ってた古き良きヤクザの世界が終焉していく様子を描いてて、ちょっとテレビドラマ臭さはあったけどジーンと来た。

綾野剛がカミソリみたく尖った若者から枯れた青年ま
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天国にちがいない(2019年製作の映画)

3.7

人間の滑稽さをスレイマン監督自身の視点で人間観察的に描いていく話で、登場人物たちのシュールな行動にちょっとロイ・アンダーソンを思わせた。終始無言のスレイマン監督が一箇所だけ喋るシーンがあって、パレスチ>>続きを読む

パブリック 図書館の奇跡(2018年製作の映画)

3.7

記録的な寒波が襲うシンシナティ市で寝床のないホームレスたちが図書館を占拠する話で、地味ながらも底辺生活者の実態を図書館員の目を通して暖かく描いてたのが良かったね。
主演のエミリオ・エステベスが監督・脚
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