真魚八重子さんの映画レビュー・感想・評価 - 23ページ目

真魚八重子

真魚八重子

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盗撮リポート 陰写!(1991年製作の映画)

5.0

久々に佐藤寿保を観た。

ブルーグレーがかった映像、粗く無機質なビデオの画質、感応。夕陽に差し出されるカッターのエモーショナルさにグッとなる。
オイディプス王のように、失明はさせられるのではなく、みず
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アントラーズ(2021年製作の映画)

4.0

『ブラック・スキャンダル』『荒野の誓い』『ファーナス 訣別の朝』のスコット・クーパーが、ギレルモ・デル・トロのプロデュースで撮ったホラー。監督として、とびぬけて好きとまではいかなくても、毎回結構いいな>>続きを読む

地獄のデビル・トラック(1986年製作の映画)

4.0

時間はあるんだけど何が観たいか浮かばなくて、いろんな配信サイトを巡って、白黒の気分じゃないな~、サスペンスは面倒だな~とか15分くらい悩みまくって、結局観たのがこれ。

ほんとに初歩的な設定ですごくい
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春画(1983年製作の映画)

2.5

個性派で一人芝居ができる趙方豪と、藍とも子の話題性で持つと思ったのかなあ。ボクシングでいい線までいっていたのに挫折して、やさぐれている男。何か話が生まれそうでありつつ、実はやっぱりその一挙手一投足を描>>続きを読む

赤い禁猟区 ハードコアの夜(1986年製作の映画)

3.0

土地持ちってくらいしか取り柄のなさそうな大学教授の夫が、80年代に入ってなお妻妾同宅する。麻生かおりはそれを責めるでもなく、家では夫にかしずく古めかしい妻だが、昼間は魅惑の変身~フォンテーヌって感じに>>続きを読む

夜は千の眼を持つ(1947年製作の映画)

4.5

見世物の透視術をやっていた男が、本当に予知能力を身に着けてしまう。ところが彼は事故や死を予見しても、それを防ぐことはできないのだ。ただ気が付くことしかできない。彼はそんな自分の能力を嫌って、人付き合い>>続きを読む

アレンジメント/愛の旋律(1969年製作の映画)

5.0

偏愛する映画をメモしておく(no.16)

やっぱりフェイ・ダナウェイが好きだったんだなと思う。
この映画を観たのとほぼ同じ頃に、沖雅也の晩年の話を読んでいて、京王プラザホテルから飛び降りる一週間ほど
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三十九夜(1935年製作の映画)

3.5

初期のヒッチコックを見直す。

主演のロバート・ドーナットの甘い顔立ちが苦手。和田夏十はファンで、ペンネームをドーナットから取っている。
この映画も無実の殺人疑惑をかけられた男が、手錠でつながれてしま
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アフター・ヤン(2021年製作の映画)

4.2

A24らしい作品。小品で、すごく大きな起承転結があるわけでもない。人型ロボットが家庭に溶け込んでいる時代。養子の中国系の娘ミカのために、兄となるような中国系のヤンというロボットがいるジェイクの一家。し>>続きを読む

キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱(2019年製作の映画)

2.7

マルジャン・サトラピ監督作品。なので老人ばかりの学会は自民党みたいな景色だが、研究者仲間の青年たちは研究や功績で人をみるので、女性だからと差別はまったくされない。
放射能の扱い方は杜撰。杜撰であったこ
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ドライビング・バニー(2021年製作の映画)

2.5

苦手だった…。

とある過去の過ちから、子どもたちと引き離されて暮らしているバニー。貧乏で、信号で止まった車の窓ふきで小銭を稼ぐ日々で、妹夫婦のもとに居候させてもらっている。里子に出されている子どもと
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残穢 住んではいけない部屋(2016年製作の映画)

5.0

『リング』に並ぶ出色のジャパニーズホラーじゃないだろうか。中村義洋監督は楽しいミステリー映画も撮れるし、もうちょっといい企画を振ってあげてほしい。
古地図、昭和初期の殺人を報じる新聞の滲み、当時の座敷
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事故物件 恐い間取り(2020年製作の映画)

2.5

中田秀夫にもはやなんの期待もせず、新しい恐怖描写も一切なく、ただ日曜の夜を(仕事の案が浮かばずイライラしながら)観てすごすには、ちょうどいいくらいの映画だった。中田作品を劇場で観るのはちょっと前の貞子>>続きを読む

紅い服の少女 第二章 真実(2017年製作の映画)

2.5

1作目と比べて、なぜごちゃごちゃしているんだろう。女性が母となったとき、多かれ少なかれ、完璧には育てられないという罪の意識を感じさせる。
大団円というにしても、犠牲が多すぎて気が晴れない。

紅い服の少女 第一章 神隠し(2015年製作の映画)

3.5

結構怖いし、一瞬だけ見せるショック描写もうまいなと思った。老人が順繰り行方不明になっていくことと、都会的な若いカップルの対比もいいんじゃないだろうか。

地下室のヘンな穴(2022年製作の映画)

3.5

マジで、どこにブノワ・マジメル出てるのかな~って思いながら見終わった。記憶の中のブノワよりオッサンすぎて気づかなかった…。

この世のシュールな出来事に、ハマる人もいればなんとなく関心がなかったり、距
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よだかの片想い(2022年製作の映画)

5.0

悲しいです。胸が痛いです。でも人を愛するとはそういうこと。

監督はわたしの安川有果! 脚本は天才、城定秀夫のコンビ!

ラストの長回しのあまりのすばらしさにガン泣き。屋上で二人の女性が踊りつつ、不意
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プース・モーメント(1949年製作の映画)

5.0

高校生のときに『マジック・ランタン・サイクル』を観て、その中でも席でフワーッと高揚するくらい好きだった作品。ドレスがヒラヒラしているだけで、涙が出そうに幸せな気持ちになる。
久々に観たけど、何度も何度
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ズームアップ ビニール本の女(1981年製作の映画)

3.8

菅野隆はいつも同じ主題を繰り返しているのだ。行き着くところへ突き進んでいく女。男が付き合えるかはわからない。
ロケ地が荒野も廃墟も現実味に乏しくて、菅野監督らしい。

あそばれる女(1981年製作の映画)

3.7

タイトルバックの違和感が最高。
いやな話なのかと思いきや、どこか牧歌調というか、恐怖心で人を縛り上げるような話ではなくて奇妙な雰囲気がある。
ヘッドホンをしている女の子の目、いまならみんなアイプチが整
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警官の血(2022年製作の映画)

4.2

うおー、1回では理解できなくて2回観た。もうちょっと「こういう理由でこうなってます」をセリフで説明してほしい。

中年と青年刑事のバディもの。中年刑事のパク・ガンユンは華々しい逮捕歴を誇るが、同時に裏
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団鬼六 人妻なぶり(1987年製作の映画)

2.5

同意のないSM行為を観るのが苦手だなあと、感じてしまう。襲っているのが不気味な狂人的な人たち(たとえば『インフェルノ 蹂躙』や『ボーグマン』)で、目的がわからないと面白いんだけど、ただ嗜虐的に尊厳を傷>>続きを読む

クライマックスレイプ 剥ぐ!(1979年製作の映画)

3.5

息子と恋人の仲を裂くため、最悪な方法をとる金満家の父と姉。その非道な現場を手伝わされる青年は、恋人が輪姦されたばかり。
カーッとなった青年は、弾が無尽蔵のショットガン撃ちまくり。それが良心じゃなくて他
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シンデレラ・エクスタシー 黒い瞳の誘惑(1988年製作の映画)

3.3

先日観た韓国ホラー映画の『赤い靴』も、女性が一目見ると心惹かれてしまい、しかし手に入れると災いをもたらす靴だった。赤い靴が綿々と女性にもたらす悲劇。赤は情熱的な色だから、自発的に女性が求めるとその自由>>続きを読む

団地妻 ニュータウン暴行魔(1987年製作の映画)

4.5

filmarksにデータページがなかったので、リクエストしちゃった。

15年くらい前に一度観ていて、そのときはすごく塚本晋也の『六月の蛇』に似ているのにビックリして、ネタ元かなあと思いつつ、それっき
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暗殺者の家(1934年製作の映画)

3.5

初期のヒッチコックを見直す。

オリンピックのスキーハイジャンプの会場に、犬とそれを追いかけた少女が飛び出してあわや…!という出だしはインパクトがある。これがおやおやという笑い話。妻とダンスを楽しんで
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バルカン超特急(1938年製作の映画)

3.8

初期のヒッチコックを見直す。

ホテルのドタバタ。お高くとまった令嬢と、人騒がせな青年が喧嘩になり、翌日の汽車に二人が乗り合わせる。令嬢が話していた老婦人が車内から姿を消し、青年だけが半信半疑で捜索に
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暗数殺人(2018年製作の映画)

4.2

こういう、地味で後味の悪い映画は忘れたころにまた観たくなる。

服役中に7人の殺人を告白する犯人。みんな相手にしないが、ある刑事だけが取り合って、ちょっと融通をきかせて物を与えたりなどしながら、遺体の
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コールガール(1971年製作の映画)

3.5

この頃の内面の動きでつながない、独特な編集法ってやはり好きだなと思う。最初の会食のシーンも盛り上がっているのか、そうでないのかわからない。
男と女も言葉で感情は表現はしない。表現できる形になったものが
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エビデンス-全滅-(2013年製作の映画)

3.0

この監督の『THE 4TH KIND フォース・カインド』が好きだったので、観てみた。
まずPOVで捉えた大量殺人の現場があり、その映像を解析する警察の視点で事件が回顧されていく、という複層性の持ち方
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哭声 コクソン(2016年製作の映画)

5.0

もう何回も観てて、今週もまた仕事の都合で観たんだが、やはり辻褄の合っていない映画であるのは間違いないと思う。
ナ・ホンジンは現場でアイディアが湧くと、どんどん追加撮影してしまうらしいので、それが脚本に
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のけぞる女(1980年製作の映画)

4.2

風間舞子の問答無用さ。性欲が存在の証。
さすらっていく女に、底辺を覚悟すれば何かしら受け皿のある世界。『愛に濡れたわたし』のラストを見せてしまう映画館のシーンに、目くらましを食らったように感じる。
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濡れて泣く(1977年製作の映画)

3.7

『中山あい子原作未亡人学校より 濡れて泣く』というタイトル込みで良い。

窓の外から徐々に輪郭が明確になる葬儀。こういう演出に掴まれる。

未亡人の愛と性の彷徨。経済的余裕があって、未亡人専用の男を買
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スリープレス(2001年製作の映画)

4.5

封切り以来久々に観た。2000年代以降のアルジェントは非常に下品になっていくのだけれど、これはまだいままでの作風を維持している作品。
孤独な元刑事のマックス・フォン・シドーがオウムを飼っているのが、『
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