akubiさんの映画レビュー・感想・評価 - 14ページ目

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ジェイン・オースティンの読書会(2007年製作の映画)

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うまくいかない日々のパレードから始まる読書家たちの映画が、愛おしくないわけがない。寂しさと秘めた孤独を持ち合わせた魅力的なひとびと。

困難とおもえることに向き合い、踏み出してみるはじめの一歩。

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アイ・ソー・ザ・ライト(2015年製作の映画)

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美しすぎるトムの横顔と首すじ。頑張ったアメリカ南部なまり。
を、見ているだけでなんとなく時間はすぎます。

いろんな場所で射す陽の光が、とてもきれいであたたかそうだった。
I saw the ligh
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オール・ザット・ジャズ(1979年製作の映画)

3.5

狂気と歓喜と哀愁と苦悩。ポップでサイケでキュート。
『It's show time.』

彼の唯一の真実を歌う舞台へ。
『バイバイ、ぼくの人生。』
寝ても覚めても、素敵なたくさんのおっぱいにかこまれて
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何も変えてはならない(2009年製作の映画)

5.0

わたしたちは 音 で対話する。閉じ込めていた言葉たちを歌声にのせて、語れない想いをギターで響かせて。自らを搾りだすように、空気を震わせて別世界の扉を見つけるみたいに。

たくさんの切りとられた刹那に情
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永遠と一日(1998年製作の映画)

4.3

曇天の下の花嫁。霧の向こうの闇。避けられない終わり。たぐりよせる悔恨。よごれた歴史。詩人の哀愁。
こどもたちの嘆きの詩は弔いの火とともに哀しみの夜空にとけた。
見えない未来を託したい、ちいさな希望たち
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ギミー・シェルター(2013年製作の映画)

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どうして助けてあげられないのだろう。なにもかなえてこれなかった、こんなに儚くて小さくおびえた娘の、たったひとつの願いを。ひとを信じることができずに誰にも「助けて」の言えないこごえた娘を。

どんどん綺
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バーディ(1984年製作の映画)

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間違ったいれものに入ってしまった魂をもて余す君は、海のなかを「飛ぶ」といった。
今度生まれ変われたら、ほんものの羽がはえていたらいいね。重力に逆らって、運命をも自ら切り開くことのできるような、自由な翼
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フィッシャー・キング(1991年製作の映画)

3.9

痛みを恐れる孤独なおとなたち。
『Forgive me!』が呪いのように耳で鳴っていて、いつもギリギリで生きている。みんなちがってみんな狂ってるから。

人生なんてとるに足らない。うまくいかないと悩む
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レイチェルの結婚(2008年製作の映画)

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よそよそしい視線。自分だけ知らされていない事実。わたしの居場所はどこ。

家族という呪いのお話。どうしてこんなにも求めてしまうのだろう。どうして憎むかわりに抱きしめ合えないのだろう。
家族 だからと、
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レス・ザン・ゼロ(1987年製作の映画)

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大人 になるのがはやすぎた彼に必要だったのはクスリじゃなくて愛のこもったバグだった。
背伸びして生きる息苦しさをパイプの煙と吐き出して、からからに渇いてゆく心と身体。
声にならない 助けて がずっと聴
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チャイルド・イン・タイム(2017年製作の映画)

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ずっと胸がはりさけそうだった。小さな手の温もりは、まだこの手のなかにあるのに。悔やんでも悔やみきれなくてきっと一生自分を許せない。

「あのこはきっとどこかで生きている」ってそんなふうにゆってくれるけ
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君を想って海をゆく(2009年製作の映画)

3.5

フランスからイギリスへ泳いで渡ろうとする難民の少年と離婚調停中の孤独な中年の間にうまれた小さな愛の欠片。

わたしたちだけじゃあどうすることもできない巨大な波で飽くことなく揉みくちゃにされる。
死者に
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旅芸人の記録(1975年製作の映画)

4.3

冷たく乾いた音のする過去が記憶の中をゆっくりとたゆたう。
血のにおいのする大地に降りたって、永遠の居場所を探しながら、宿り木をあちらこちらへと。時代の流れを詩にこめてうたいながら。
砂浜についたいくつ
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ファイブ・イージー・ピーセス(1970年製作の映画)

3.5

深夜のカフェで泣きつづける赤ちゃん。地獄の底から響く悪魔のような笑い声の男たち。
なにかが噛み合っていない気持ちわるさがずうっとつづいていた。まるでこの男の人生みたい。
みんながみんな絶妙に不気味な表
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ホモ・サピエンスの涙(2019年製作の映画)

3.8

陰鬱で美しい詩。天使が見た人類の喜怒哀楽。不条理はいつまでも厚い雲のように世界を覆っている。
滑稽だった。??
空からみたらこんなにも ちっぽけ だもの。
果てしもなく続くような道の途上で、どうにもな
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テリー・ギリアムのドン・キホーテ(2018年製作の映画)

3.5

浪漫と哀愁に満ちたさいこうにキュートなコメディ。
この世の不条理を積み上げて燃やしても、雨がすべて濡らしてしまう。
だから夢を見つづけていたほうが幸せだったなんてゆわないで。演者が変わっても世界は回り
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ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん(2015年製作の映画)

4.0

夢中になるとはらりとおちる一筋の前髪。流氷の軋む音。海鳥たちの鳴き声。氷の大地にふきつける風の唸り。
この世界の果てしもないロマンと同時に在る残酷さ。その冷たさと温かさを放つ神秘に酔いしれる。

音と
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FLIRT/フラート(1995年製作の映画)

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愛を定義しようとすると気づけば、哀しみと憎しみの渦のなか。いつだってそう。
あの キスの捉え方だって、正解なんてわからない。わたしたちは曖昧さの中に生きて、そのみえないものの正体をいつも探して、そのロ
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WEEKEND ウィークエンド(2011年製作の映画)

3.5

息苦しさに耐えきれずに駆けだした。一夜限りのぬくもりを手にして、だけども余計にさびしさはつのるばかり。
おなかの上を拭いているときのせつなさ。本気で愛してしまうことを恐れるようにそっとする別れ際のキス
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レイニーデイ・イン・ニューヨーク(2019年製作の映画)

3.5

人生はまさにJAZZみたい、なんて。
この偶然の奇跡における心臓のたかなりと地面をうつ雨粒の音のハーモニー。さまざまな人びとの苦悩とちいさな喜びがぽろぽろと零れるピアノにのせて、楽しげに弾む。

みん
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レ・ミゼラブル(2019年製作の映画)

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どうしてわたしたちは、こんなふうにしか生きられないのか。 もう救いようのないこの世界でなにも信じずに生きてゆくのは心もとないし、優しさだけを武器に生きてゆくのにはとても勇気がいる。
憎しみの連鎖は絶
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ブルータル・ジャスティス(2018年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

空回る正義感をもて余す初老の哀愁がせつない。

キッチンのシンクに放置された汚れた洋服。寝室に漂い洩れるバスルームからの湯気。婚約者のいる若きアンソニーを巻き込もうとするブレットの心情。正面玄関から出
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1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)

4.7

こんな戦場で、美しい瞬間があるなんて、それを美しいだなんて思ってしまうなんて。無情で無惨なこの場所で囁かれる優しさと煌めく命の尊さ。

俯瞰したひとつの目から映しだされる彼の表情と情景が、だからこそま
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M★A★S★H マッシュ(1970年製作の映画)

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ひっちゃかめっちゃか血まみれのお祭りさわぎ。だれもがそぞれ違う言語を話しているような、だれもが各々独り言を愚痴ているような、常軌を逸しているこの舞台で正気を保ってなんていられない。

この可笑しみがこ
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酔いどれ詩人になるまえに(2005年製作の映画)

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奥底で燃盛るプライドを酒と煙草とギャンブルでなんとかふき消して。
みんな幸せなふりをして生きている。
そうか。野心 や 気力 のないことがわたしにはうらやましかったんだ。
いっこのきちんとした自尊心と
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在りし日の歌(2019年製作の映画)

4.0

苦しくて。悲しくて。そんなことおこがましいのだけれど。
生きづらさの中でもがきながら溺れそうになりながらただ、時が流れるままに流されてそれでも、ほんの少しの幸せをみつける。

ふいに甦る記憶のようにぽ
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白いリボン(2009年製作の映画)

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じくじくとした不気味さが浸食してくる。
子どもたちの小さな叫びは、おとなたちには届かない。 こころの中で膨れてゆく闇はやがて村を覆っていって、何世代もの子どもたちの涙で村が沈んでゆく。
染まるか逃げる
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サージェント・ペッパー ぼくの友だち(2004年製作の映画)

3.5

ホームアローン的どたばたコメディ。なのだけど、それぞれがかかえる闇や過去、人間の愚かさと愛おしさをふんわり優しくつつんでくれる。

どこまでもかわいい子どもたち。名演技のわんこたち。ときたまあらわれる
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アイム・ヒア(2010年製作の映画)

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冷たいカラダにとじこめたあたたかで優しい夢。
簡単にはつながれない彼らはだからこそとても深くつながる。

You were there, and I'm here.

今も ぼくは きみノ ナカデ。
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天井桟敷の人々(1945年製作の映画)

4.2

夢から醒めたバティスト。夢の中の彼を愛したナタリー。こころに永遠の鍵をかけてしまったガランス。
こわくて掴めずに、指の間からするすると零れてしまう愛をだれもがそっと眺め、憂う。
夢の外は陰鬱な人生。こ
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有りがたうさん(1936年製作の映画)

4.3

小路を通る自動車。車外で鳴るクラクション。車内で広がる人間模様。ときたま響く『有りがたう!』がとても心地のよい。

揺れる車。打ち寄せる波。陽射しを浴びた段々畑。揺蕩う煙草のまあるい煙。『有りがたう』
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旅の重さ(1972年製作の映画)

3.5

白いズボンに体操服と麦わら帽子。輪袈裟のかわりには長くて黒い髪の毛を胸の下までたらし、お経のような唄を笑いながら口ずさむ。
おとなになるって、みじめなことなんだよ。みっともない自分を受け入れて、愛して
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左利きの女(1977年製作の映画)

5.0

彼女の孤独がじんじんと、しもやけみたいに痛かった。あの刹那の記憶は遠くに見えたたき火と終わりのないような並木道。言葉にできない色の空。
ときたま目に写る他人の陰鬱が、わたしのこころを慰める。孤独の共鳴
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フォロー・ミー(1972年製作の映画)

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素っ頓狂でキュートなストーリーの影にひそむ恋の儚さと愛のむずかしさ。

結婚なんてなんのためにする(した)のかな。なんて何度おもったことだろう。
発作のように訪れる空虚な孤独と、煩わしさのなかにあるあ
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ジョン・F・ドノヴァンの死と生(2018年製作の映画)

4.0

あの記者のような気持ちで観はじめるわたしち。ぜんぶ見透かされているのね、むしろわたしたちがさ。
踊らされる彼らを外側からみて、他の星の話みたいだね なんてごにょごにょ囁くのが聴こえる。一瞬で通りすぎて
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カイロの紫のバラ(1985年製作の映画)

4.4

彼の映画にでてくる人びとはいつもとてもチャーミングで、こころがほくほくする。
ロマンチックな夢物語と可笑しいアイロニーに満ちた極上のコメディ。
ままならない人生における夢のようなひととき。いやあ、映画
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