ちぐはぐな家。ちぐはぐな関係。恥ずかしげもなく自分をさらけ出して気持ちよくなるための正当性みたいのを説かれても。快楽に溺れる女に人の道筋を示されても。
これ、あの地震も3日前にわかっていたのかもしれな>>続きを読む
可笑しくてくだらなくてセンチメンタルで、朝の憂鬱を笑って吹きとばした。
不幸にしてるのは自分なのだけど、自分を責めたらふりだしにもどっちゃうし。
青春のただ中の生きづらさをユーモアでやさしくつつみこむ>>続きを読む
屋敷に着いてからが特に、コントみたいで(あーおもしろかった!)とても好き。何千年も生きなければならないなんてことを考えるとゾッとして、やっぱり吸血鬼には同情しちゃう。
ネズミもコウモリも彼(吸血鬼)も>>続きを読む
捕らわれたクジラを追いかけていたら、なんだか違う星に辿り着いたみたいだった。夜空に大きすぎる黄色い月が、ぽっかりと浮いていた。その美しいクジラは、どこかへ帰りたがっていた。
この物語は。舞台で観てい>>続きを読む
蝶を愛するツンデレ偏屈じいちゃんと育児放棄されている小生意気な少女。
はい。そうなのです、ふたりの会話はとんでもなくキュートなのです。
小鳥のさえずり。ふたりのおしゃべり。
森の中でそよぐ風とふたり>>続きを読む
便利 に順応するのは簡単だ。もう充分であるのに、人間は強欲だ。失ったものの大きさに気がついたときにはもう手遅れ。 妖精も神さまももう匙をなげた。
じぃは水面を真剣な眼差しで見つめる。まるでお魚といっ>>続きを読む
あなたの棘のある言葉がずぶずぶとわたしのこころに刺さってゆく。壊死した心を抱えたまま前には進めない。
そんな彼女の決心を、わたしは格好いいとさえおもってしまった。そしてグロテスクなまでの義父の優しさ>>続きを読む
『愛してる』の意味など考えなくてもいいくらい、その言葉をそのまま纏うように恋をして、恋を中心に世界が回り目が回る。
近づけば近づくほど本音がいえなくなる、みたいな真理は置いておいて、恋は盲目、映画バカ>>続きを読む
ヴァカンスのある1日。今日はおばあちゃんの誕生日。大家族のパーティーに招かれたような楽しい心地のなかで、少しずつみえてきてしまう戦争の傷痕。
怒鳴りあう大人たちと、掴み合う子どもたち。子どもたちの笑い>>続きを読む
そんなに護りたいのだったら、外部から呼ぶ人間に勝手をさせなきゃいいのに。といろいろとおもうところはあるけれど。
彼らはグロテスクで可哀想であるのか。無知な幸せであるのか。
憐れで滑稽で弱く儚くて好奇心>>続きを読む
『みんな本当のことを言ったら戦争になる!』
『もう、なってるよ。』
世界は理不尽だよね。どうして人間はこんなにも酷いことができるのだろうね。
君のおおきな瞳から零れる涙で、溺れそうになった。大人って>>続きを読む
失われゆく草木や削り取られてゆく大地を憂い、罪を犯したものは日々精神をすり減らし、心を枯らしさらなる罪をかさねてゆく。
切迫感と焦燥感に砕けそうになりながら、世界はこんなふうに壊れてゆくのだなと、静寂>>続きを読む
ボートの上で語り合う過去。初めての解放した自分。ベッドの中での他愛もない会話。
マンハッタンで煌めく光に紛れてしまったら、もう二度と君を見つけることができないとおもった。
もうすぐわたしが粉々に壊れて>>続きを読む
変化 を教えながら変化をなによりもおそれている、優しく脆いひとつの孤独は、後ろめたさを孕んだもうひとつの孤独と静かに寄り添う。
抜け出したくても抜け出せない毎日の中で、お互いがそれぞれの出口の向こう>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
初対面の美人の上司のことを彼女に「クソ男」といったり元カノのことを「クソ女」といったり、頭金のめどもたってないのに銀行に融資を受けにいったり(融資の審査があますぎる。これがそもそもの元凶)、はじめから>>続きを読む
変わり者で陽気なママは笑いながら、泣いていた。その頬に落ちる粒を、うつくしいとおもっていた。
ひとって簡単に死んでしまえるのだよ。生きているのが不思議なくらいに。
大人はすべてを 神 でごまかそうと>>続きを読む
バケツに浮かぶまんまるの月。海へ出た小舟。ご褒美の赤いバッヂ。あの子の白いリボン。びしょ濡れのノートブック。
語らずとも雄弁な大地とその情景。ユスフの内で紡がれてゆく言葉たちと夢。
ミルクを全部飲み>>続きを読む
滴るザクロ。そよ風にゆれるカウベル。君の書いた詩。銃声。 発作。
語られずに魅せるひとつひとつの人生。
空を仰いで、たよりない日々と未来を憂う。
みんな気持ち良さそうに夢をみている。そんな彼らにぼく>>続きを読む
くすんだ車窓から見える景色。卵が見つからない朝。
なんとなく流れてゆく時間に置いていかれないようにしようとも、いつも自分だけ取り残されているような気がしている。
森のなかでうずらの卵の割れる音を聴い>>続きを読む
あるパリの1日。美しく華やかなパリの光と影。
心配事のつきない日々のなかで歌い笑い、知らないうちにだれかを傷つけそして救いながら、セーヌの流れのように人生をたゆたう。
陰鬱とともにあるひとびとの笑顔と>>続きを読む
倦怠と歓びを同じくらい秘めた瞳は、ときおり悔しくて涙を溢す。ままならないながらも生きてゆく誇り高き女たち。たくましい、なんてゆわないで。ほんとうはすぐにでもだれかの肩に頬をよせたい。孤独を打ち消すよう>>続きを読む
『無限な宇宙の廣さのなかに
人間の哀れな営々としたいとなみが
渡士はたまらなく好きなのだ』
みんなはわたしを「幸せそう」という。わたしは幸せなのだろうか。どこかに転がっていた 幸せ を、わたしは見落>>続きを読む
「嫁にいく」ということはそれだけ覚悟がいることで、その概念も時代と共に少しづつ薄れていっているようにおもった。わたしが彼女の立場だったらいずらくて、義妹から縁談の話なんてもってこられたらすぐさま出てい>>続きを読む
冒頭から、英文科でてそのアクセントかとげんなりしてしまったし、過失とはいえひとを轢き殺してしまった男がひょうひょうと暮らし葬式にも現れるという、コメディホラーの様相。
とおもったのだけれど、加山雄三の>>続きを読む
ひとは、零れてゆくものを必死で守ろうとする。落とし物にも気づかずに、今日も街はぴかぴか明るくて眩しすぎる。
わたしたちは痛みを、完璧に分けあうことはできなくて、息のできる場所をいつも探してしまう。>>続きを読む
心に傷を負ったパンクでクレイジーな中年男と、トルコ式しがらみから逃げだし壊れてゆく女 のものがたり。
冗談ではじまった「愛してる」がいつしかほんとうになるという普遍からふたたびはじまるスペクタクル。>>続きを読む
軽蔑と劣等感とその痛みの隙間からのぞくあたたかな記憶が煌めいていた。
陽光をうけてきらきら光るバケツにたっぷりのミルク。静まり返った夜に鳴る音。凍ってしまったミルクでつくる即席のアイス。
この閉ざされ>>続きを読む
窓越しの親密さ。舞台袖のよそよそしさ。こごえているもの盗り。
孤独を抱きしめるひと。孤独をもて余すひと。孤独を憎むひと。
色とりどりのそれらが音を奏で、やがてほんものの自分自身へと帰ってゆく。なにも>>続きを読む
細やかなギミックがかわいらしので、顔つきで伝える緊迫感にとてもナーバスになる。
美しさと恐ろしさはいつだって紙一重。それが人類に与えられた罰だとわかっていても、あまりに残酷。
だからこそのこれはきっと>>続きを読む
長いものには巻かれる臆病者たち。正義をふりかざす欲望が暗躍する。
『目を覚ませ!』って覚めちまったらまともに生きられやしないから。
だんだんと明かされるあなたの過去。知りたくなかった真実。
それでも立>>続きを読む
原作の小説がとてもすきなので、違うとものとして楽しまなくてはいけないのに、どうしても小説と比較してしまうくせがぬけません。
けれど、情景や馬たちは美しいし、息苦しくなるくらい痛々しい場面は柔らかく、若>>続きを読む
重くて息苦しい雨の夜。あんこはとてつもなく甘そうで、がらがらの映画館でかかっている歴史映画はなかなか終わりそうもなかった。どこかで蟹を食べてるきたない音がする。
居場所の喪失を恐れるかのごとく磁石のよ>>続きを読む
ひとびとの欲望を綴じこめた、赤くてまあるい果実。中から溢れるのはどろりとした甘い愛。
きみは愛を、窓からすてたけれど、代わりにくれたのはなんだったろう。小さくなってゆくきみを受けとめて、わたしは途方に>>続きを読む
死者を弔う厳かなしきたりにふりまわされて、ゆっくりその喪失に浸り悼むこともできやしない。
台湾の文化をよく知らないわたしは、ただただ少しの美しい情景と滑稽な可笑しみをみつけた。
お葬式にはまるで興味>>続きを読む
ちょっぴり気まずいノスタルジーと、ままならない大人たちの苦い痛みが爽やかにつきぬける。
ずっとこんなふうにだきしめてほしかった。『愛されている 』をきちんと肌で感じてみたかった。
自分のこともよくわ>>続きを読む
夕闇へととけゆく空と船の陰影と嬉しそうに吹き出す黒い煙がとても美しくて、船員たちの不安などどこふく風。
自ら意思を持ったような密林のなかで、高らかに響くオペラ。そしてわたしたちが奪おうとしているものの>>続きを読む