停滞さんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

停滞

停滞

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美味しい美女/グルメな歯医者(2017年製作の映画)

3.6

話の展開は野菜恐怖症の男がベジタリアンの彼女とヴェジタブルを食べるって感じだけど、ショートフィルム的なチープさは一切なくポップでキュートな世界観がいい。

浪華悲歌(1936年製作の映画)

4.0

構図、被写体との距離に作家性を感じさせる。斜め45度&ちょい高めからのショット、障子越しに覗くようなショット、空間が生きる構図、日本家屋との相性がいい。さらにはぐるりと回るこのカメラどうなってんだって>>続きを読む

ストローク(2017年製作の映画)

3.5

すごい現代的な利便性を享受シーン嫌いじゃない、そのあとの髪型と潔癖感にビッグバン・セオリーのシェルドン・クーパーPhDを思い起こしてしまった。台詞なしのためファーストカットに象徴されるように目のアップ>>続きを読む

エルミタージュ幻想(2002年製作の映画)

4.2

不世出の超大作、初ソクーロフ。ヒッチコックのロープなんて比較にならぬほどの超絶ワンカット。(技術的制約はあれど)移動撮影(カメラマン)がすごすぎる。体に固定&台車に載せたりであれが撮れるとは。

エル
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ジェラシー(2013年製作の映画)

3.6

あっさり系というのか、なんかつかみどころがなかった。衝突するというより緩やかに解けていくような感じ。んむぅ、眠かったからかな。ひたすら白黒の映像美を味わっていた。あとは娘のキックがいいですね。あれなら>>続きを読む

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)

4.7

傑作コメディ、徹頭徹尾おかしい、ロマンチックのロマん?ってところで笑いが壊す。ヨシカという異常にひねくれた存在をアンモナイトの異常巻きに例えるところ、そして化石を買っちゃうあたりが好き。異常巻きを買え>>続きを読む

愛の残像(2008年製作の映画)

4.0

愛の誕生を見てガレルイマイチかなーと思ってたらこれ。瞬間でなく状態を差し出すラストは思考だけでなく観るものの息の根すら止めてしまいそうな強度。

自分をはっきりとさせず曖昧なままに人と対峙し、後から自
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熱波(2012年製作の映画)

3.9

歴史的背景を知っていた方が味わいが増すタイプの映画なきがする。

とはいうもののパート現代の陰影に富んだはっきりとした表現からパート回想になり、若干淡くなりながらもそれと独白が合わさって時系列ではあり
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自由が丘で(2014年製作の映画)

3.6

これわからん、普通感が前面に出てる。冒頭の方で手紙を落としてシャッフルされてるみたいだけど、物語的に不可逆に進んで行くわけでもなく、注意して見なければ不自然な点を見過ごすんじゃないかな。なんだかホン・>>続きを読む

(2015年製作の映画)

3.5

予想外のサイレント、追うものと追われるものの緊張関係、いや音の復権!

P.S. あ、髪が長いと雰囲気違いますね

ひとつのバガテル(2015年製作の映画)

3.7

演技は立派な大根、でも物語含めそんなの全く気にしてないっすね。伏線は回収されないし、写真撮ってる人の言葉に表れるように「映画において音は虐げられてきたんだ!」って言いたいかのよう。

記憶に残るのは部
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ノー・ドロウニング(2016年製作の映画)

3.6

Pour voir la fin, inseréz une piece. あ、無料と見せかけて課金必要なやつ?と一瞬騙された。
人魚が素敵、じゃないっすか?
最近はキャッシュレスになってるけど、こう硬
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バルタザールどこへ行く(1964年製作の映画)

3.8

映画史上他に類を見ない(と思っている)ロバ映画。ロバロードムービー。無表情のくせにこのロバの瞳が人間の屑加減を静かに力強く感じさせる。断片的に切り取り純化させ音で想像させるシーンや、監禁の大胆な省略も>>続きを読む

さらば、愛の言葉よ(2014年製作の映画)

3.8

まず印象として、この映画長いと感じた、サイレントに感じる長さ。

冒頭、想像力を欠いて現実(言葉)に逃避し、考えないのが思考に悪影響を及ぼすかわからない、と。言葉とそれに紐づいた論理でガチガチに縛られ
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サマードレス(1996年製作の映画)

3.8

これはいいっすねぇ、瑞々しさと爽やかさがいい具合に調和している。それによりセックスがいやらしいものに映るわけでもなく、彼女がビッチに映るわけでもなく、彼らが変態的ゲイ(バイ)に映るわけでもなく、そこに>>続きを読む

フォーゲルエート城(1921年製作の映画)

3.9

1921年のミステリー。過去の内容もあるため映像だけで語りきるのは厳しいらしく、物語の大事な筋は字幕で示される。サイレント独自の動きを表現する映像と音楽はもっぱらその世界観と人物の心理描写に注がれてい>>続きを読む

ぼくの伯父さん(1958年製作の映画)

3.9

シュール、毎度噴水を出すのといい柱に当てるゲームといい、このどうだ、笑えるだろ!って見せつけないとこがいい。
一番好きだったのは、夫婦が隣家の庭を覗いたら三輪車みたいなのマダムがこいでたとこです。

君の名は。(2016年製作の映画)

4.2

新海誠の作家性として思ったのは、現実を模倣した写実性や美麗な画面づくりではなく、ここじゃないどこか、自分じゃない誰かを想うことにより生じる意味、表象されざる部分にまで伸びていくダイナミズムではないだろ>>続きを読む

ヘウォンの恋愛日記(2013年製作の映画)

3.8

前二作に比べると単調というか長回しに代表されるようによりリアリズムに寄せてきてる感じがする。相変わらず人物の感情は強調されておらず、ひたすら会話という音がぶつけられている。内容だとか映像というよりは会>>続きを読む

愛の嵐(1973年製作の映画)

4.0

胸に手を当てるイメージが焼きつく、言葉にするのが難しいが、そのシーンは、女の肉体がもつ美しさとそこに体現される男らしさのアウフヘーベン的官能性があり、それはもうググッとくる。それだけでいい映画。

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ソニはご機嫌ななめ(2013年製作の映画)

4.0

これも面白いんだ、長回し&ドスンと構えたカメラでセリフのやりとりとしての一対一の会話を生み出してくる。正直、それぞれのシーンが断片的でソニを含め連続性を持った心情はほとんどわからない。

だが良い、三
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3人のアンヌ(2012年製作の映画)

4.2

ロメールのようでそんないいもんじゃない会話、勝手にしやがれのジーン・セバーグを思い起こす外国語でのやりとり、レネを思わせる反物語。映像美もクソもないし突然のズームとか「へぇっ?」って笑っちゃう、いや、>>続きを読む

奇跡(1954年製作の映画)

3.8

もろにベルイマンに影響与えてるっしょ、内容は対称的だが処女の泉的な感じしませんかね。
それはさておき、裁かるゝジャンヌとは対称的にアップのショットがないので人物の心理に入りづらい。ヨハンネスは特にそれ
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早春(1970年製作の映画)

4.0

ベースにあるのは少年の狂気と表裏一体となった純粋さであろう。狂気が表出した思春期のエネルギーが年上女性へぶつかる、またはするりと躱される、その様が原色を用いた強度のある色彩を織り交ぜ映像化されている。>>続きを読む

わたしたちの家(2017年製作の映画)

4.1

2018/2/4on青山シアター
ツリーの電源を大地にさすのとラストのシークエンスが好きになった、フーガにより否応なしに高められる緊張感と重層性、その解放。音により流れ込んでくるイメージ。そして誕生日
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マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)

4.0

正直全編を通して何も感じない、いや何を感じても正しい、意図的なメッセージが抜かれた映画。マリア・ブラウンという一人の女性の姿を描いているわけだけど、最初から最後まで結婚証明書くらい薄っぺらい愛に支えら>>続きを読む

M(1931年製作の映画)

4.0

Mを見たときのあの表情が忘れられない。白目に浮かぶ狂気を宿した黒目のぎょろっとした強度はキューブリックに受け継がれているのではないか。

しかしこの映画の真骨頂はひとえに恐怖ではないか。影、人の手を離
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ヌーヴェルヴァーグ(1990年製作の映画)

3.9

正直眠かったのもありゴダールの決別並みによく分からなかった。しかし村上龍との対談も含めて良かった。
この「(映画が)分からない」というのは、物語として話の筋として自分の頭の中で整理されていないことと認
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ヒア&ゼア・こことよそ(1976年製作の映画)

3.6

わかりやすくはないが説明的でこれも映画だけどもはやゴダールの宣言のよう。

タイトル的にはici(フランス)とailluers(パレスチナ)を対置しているが、そのほかにも空間と時間、映像と音などを対置
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少年と自転車(2011年製作の映画)

4.0

主人公的側面では「大人はわかってくれない」っぽいけど逆の側面では「自転車泥棒」的な匂いも。でも実際それらのどちらとも異なっていて全体としても全く異なる。

特徴的に感じたのはシリルの身体性。自転車に乗
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アンティゴネ~ソポクレスの《アンティゴネ》のヘルダーリン訳のブレヒトによる改訂版1948年(1992年製作の映画)

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ソポクレスのテクストをフェルダーリンがおりゃってやっちゃって、それをブレヒトが伝承と同時に創造したものを忠実に再現したらしいが、この上なく眠い、というか一時停止して寝た。

回想を挟むわけでなく圧倒的
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誰も知らない(2004年製作の映画)

4.1

兄弟姉妹の面倒を見る子供の姿、無邪気な子供たちの姿、そして街に溢れる機械的な音、それらが画面に現れない母親の人間性を想像させる。それは共同体が失われ金銭を媒介に繋がる社会である。

冒頭に顕著な子供た
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みじかくも美しく燃え(1967年製作の映画)

3.8

19世紀のスウェーデン、実話を基にした物語というのか、カットの切り替わりがバチリバチリと連続性を断つかのように断片的で、もはや連続する絵画のよう。
画は自然光が見事に盛り込まれ美しく光り輝いている。時
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パリ、テキサス(1984年製作の映画)

4.1

ロードムービーであり近代の映画。
前半のトラヴィスはロードムービーらしく脚本に縛られない自由な動きでリアリズムを生みつつ、荒涼とした砂漠の光景、引きのショット、無口や記憶のあやふやさ荒唐無稽さそして我
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ヒロシマモナムール/二十四時間の情事(1959年製作の映画)

4.2

「見る」「忘却」「記憶」
見るとは何か?映像や資料で事実を見たところで表象を撫でるだけなのではないか。男に「君は何も見ていない」と否定される。

女は男と出逢い解体された時系列で回想(意識が過去を遡る
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冬の光(1962年製作の映画)

3.8

ベルイマンの宗教系のものはどうもしっくりこない。もはや神を信じていない牧師はモラン神父の対極みてーなやつだ。
冒頭の聖体拝受はシンメトリーで綺麗な構図、からの会話、会話。トマスの微妙な目のそらし加減、
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