まともな生活がしたい!!
ざらついた質感で映し出される貧困がえげつなくリアルな作品。
そしてケンローチ同様、めちゃくちゃわかりやすく作って本気で伝えにきてる。
母親はアル中、頑張って働いても理不尽>>続きを読む
倫理学の体系を打ち立てたアリストテレスが言っているように、人間の究極の目標は幸福になる事であるというのはまず間違いのない事だと思う。
そして最も幸福に近づく生き方は、本質を把握しようとする"観想的生活>>続きを読む
イギリスの福祉制度に対して強烈なミドルシュートを叩き込んだ作品。
プレミアで一番好きな選手はチャーリーアダム!
細かすぎて伝わらないボケ!
ケンローチの作品はブレることなく、メッセージを投げかける先>>続きを読む
ホドロフスキー入門。
噂に違わぬ狂いっぷり。
序盤から波濤のように押し寄せる流線形のマジックリアリズムに、眼は喜び頭は悲鳴をあげる。
とりあえずマジックリアリズムは真面目に付き合いすぎず、ざっくり大>>続きを読む
貧困層の家庭の生活を詳らかに描くことによって新自由主義経済に大鉈を振るった作品。
初ケンローチ作品だけど、純度100%の怒りに触れてしばらく言葉を失ってしまった。
スコアとかつけれる代物ではない。>>続きを読む
僕は「ローマ」のレビューで記憶は時間を伴わないので永遠のものだと書いた。
これはあくまで純粋に記憶だけに限った話だった。(「ローマ」と「アマルコルド」は記憶の話)
ところが記憶は肉体を通して想起され>>続きを読む
当時けたたましく叫ばれたフェミニズム運動を基に性に対する思考実験を行った作品。
物語は変態オヤジ、スナポラツが電車の中でナンパするところから始まる。
「あぁ、君に恋してしまった…。」
「妻はいないん>>続きを読む
18世紀のヴェネツィアに生まれた肩書きが多すぎな男ことカサノバの一生を描いた作品。
歴史、政治、経済、文学、哲学、魔術とあらゆる分野の学芸を収める該博なカサノバ。
そんなカサノバが終生追い求めたのが>>続きを読む
ローマ三部作の三作目。
これまで現代のローマ、古代のローマを描いてきたフェリーニ。
次に写したのは自身の記憶の中のローマ。
記憶には時間が流れてないので、永遠性がある。
例えば、小学生の時の記憶は>>続きを読む
ローマ三部作の二作目。
原作はネロ帝臣下で"趣味の権威者"の名を冠したペトロニウスの同名小説で、人類初のピカレスクロマン(悪漢小説)とされている。
三部作一作目の「甘い生活」が現代のローマの退廃と>>続きを読む
前作「8 1/2」で遂に実存の問題にケリをつけたフェリーニ。
次に向き合った問題が、風雲急を告げる家庭内問題の解消だった。
「浮気はするけど愛してるから許してねジュリエッタ映画」である。
初恋の人>>続きを読む
純粋を証明するためには純粋を論拠にしなければならない。
70%ぐらい純粋なものを論拠にすると、30%証明され得ない。
なので、純粋なものを証明するためには、無限に純粋なものが必要になってくる。
そこで>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
詐欺師が純粋な魂に触れて改悛、罪を清算する物語。
冒頭、いきなり詐欺のシーンから始まる。
貧しい人々のなけなしの金を司祭に化けて騙し取るアウグストとその仲間たち。
どう見ても不自然な金の要求の仕方>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
フランスの田舎町で郵便配達をしているシュバルという男の一生を描いた物語。
毎日せっせせっせと山越え谷越え郵便配達に勤しむシュバル。
南仏の畦道を歩いていたある日、謎の石に躓く。
そしてその石の不思>>続きを読む
フェリーニのローマ三部作一作目。
物語はイエス像がヘリコプターに吊るされて運び出されるシークエンスから始まる。
荒業に身をやつしたあなたのような生き方はこの映画にはありませんとでも宣言しているようだ>>続きを読む
史実では父帝マルクスアウレリウスの寵愛を受けたコンモドゥスは歳若くして皇帝に即位している。
"歴史上唯一の哲人皇帝"、"五賢帝"などと呼ばれ、著者である"自省録"は世代を超えて読み継がれるなど、なに>>続きを読む
元々1人であった男性と女性の両方の性質を持つ人間がゼウスによって1人の男と1人の女にパックリ裂かれて以来、人間は失われた半身を探し求めている。
的なことをプラトンは師であるソクラテスの口を借りて滔々と>>続きを読む
過去から現在へ、現在から未来へ、直線状に時間は伸びているという一般の時間の考え方に一抹の疑問を持った事はアウグスティヌスの思索に触れたことがきっかけであった。
彼は言う、
時には、過去における現在と>>続きを読む
アーティストが表現していることの根源は1枚目のアルバムに詰まっていると聞いたことがある。
とすれば、2枚目、3枚目と様々な創意工夫を凝らして生み出された作品も、全ては1枚目のアルバムの別の様態に過ぎ>>続きを読む
なんて優しい映画なんだろう。
一貫して、負けとは何かという答えの無い問いに対する、瑞々しく、愛おしい回答だった。
ビジネスに失敗しても、
夫がウザくてタバコがやめられなくても、
プルースト研究の1>>続きを読む
朝靄の立ち篭める川に小鳥の囀りが反射する中、小舟を漕ぐ老人が1人。
彼は川の真ん中にひょっこり姿を現した中洲に上陸する。
ゆっくり辺りを歩き、土を舐め、少し地面を掘り起こしてみる。
彼はこの中州>>続きを読む
朝起きると、ドタバタと用意して職場に向かう。
仕事は楽ではないが、夢がないよりはまだマシだな、と思いながらこなしていく。
家に帰ると、趣味の語学をさささっとやった後、プルーストの時間の世界にのめり込ん>>続きを読む
遂に入村。
なんて罪深い多幸感なんだろう。
罪深い多幸感なんて言葉、多分今後一生使わないだろうし、そんな言葉使わせてる時点でアリアスター凄い。
なんてとんでもない祝祭だ…。
と、暫く放心したあと、>>続きを読む
今日は中秋の名月。
今年は月を眺めるだけでなく、声も聞いてみようと思って観たフェリーニの遺作。
月の声を聞こうとする狂人とその周りの人々の愉快なやりとりをドンキホーテになぞらえて描く作品。
物を>>続きを読む
前向きな人間であることはとても難しい事だと思う。
なぜなら、右にも、左にも、後ろにも、下にも世界は広がっているものだし、前以外に目を向けさせられるような強制力が、世界には働いているように思われるから>>続きを読む
映画には現実の世界では得られない物を無意識に求めるという話を聞いたことがある。
肉体的に強くなりたいがそうでない人はアクション映画を無意識に観てしまい、恋をしたいができない人はラブストーリーを無意識>>続きを読む
凄かった…。
これは何かとんでもないものを見てるな、と思いながらみたけど、観賞後、"逆行"、"エントロピー"、"アルゴリズム"みたいな、断片的なワードと、圧倒的なスケールの映像以外何も残ってない。>>続きを読む
映画、文学、音楽、絵画。
いわゆる芸術と呼ばれる物には、いろいろな側面があると思うが、その一つに、意味を定義付けせずに、曖昧な形のままにしておけるという側面があると思う。
そして、意味が決定されてい>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
人間関係にまつわる煩雑な物事を避け、静かに余生を過ごす事をよしとする孤独な老教授。
美しい絵画、おおよそ読み切ることは叶わないであろう厖大な書籍、甘美な音楽で部屋を絢爛に装飾し、こちら側から鑑賞しなけ>>続きを読む
初めて会う人と喋る時、目元を一瞥しただけで、
「あ、この人は魅力的な人だな」
という、予感とも直感ともつかない感覚を覚えることがある。
あの魅力は一体どこから湧いてくるのだろうかと思う。
ちょっと>>続きを読む
特に望んだわけでもない見合いの席。
特別にいい人と思ったわけでもないが、特別に悪い人とも思わない。
なんとなく、
嫁ぐ。
嫁ぎ先、呉での生活もいいとも悪いとも思ったわけではない。
なんとなく、>>続きを読む
再再再鑑賞
一人旅に出るのが好きだったりする。
仕事が忙しかったり、友達と遊ぶ予定が詰まりすぎたりすると無性に旅に出たくなる。
まだ行ったこともない土地で、全く知らない人と喋っている時、名前、職>>続きを読む
黒人作家ボールドウィンの原作を元に、アメリカの人種差別問題の歴史に迫ったドキュメンタリー。
マルコムX、キング牧師、メドガーエヴァースなどの錚々たる黒人指導者の暗殺されるに至るまでの生涯につかず離れ>>続きを読む
歴史に思いを馳せ、そこから何かを学んだり、感じ取ったりするという行為は、誰であれ経験したことがあることと思う。
ある時は、初めて訪れる土地で今まで知らなかった文化に触れ、もはや損なわれてしまった文明>>続きを読む