Naoto

LIFE IN A DAY 地球上のある一日の物語のNaotoのレビュー・感想・評価

3.9
過去から現在へ、現在から未来へ、直線状に時間は伸びているという一般の時間の考え方に一抹の疑問を持った事はアウグスティヌスの思索に触れたことがきっかけであった。

彼は言う、
時には、過去における現在と、現在における現在、未来における現在の、三つの種類があると。

つまり、過ぎ去った時を記憶として生み出している現在の自分がいて、未来に思いを馳せている現在の自分がいて、今を生きる現在の自分がいる、ということになり、直線状に伸びた時間の中に自分がいるのではなく、自分の頭の中に円環する三つの今という時間がある、ということになる。

だとすればもはや今の自分からは良くも悪くも逃れられないことになる。
とどのつまりは今の自分を愛する以外にない。

そこはかとなく去来する悲しみに慟哭する月の夜も、神経をすり減らすアトリエの昼も、明日の夢を見る日曜日の朝の食卓も、全部ひっくるめて、今の自分の全てだ。

1日1日を丁寧に生きよう。

本作を観終わった後に浮かんだ感想は、こうした小学生の学級目標のような言葉であった。
いや、過去における現在、小学生の頃のような純粋無垢な感情を伴った現在が、僕の前に円環を伴って恩寵のように現れたのだろう。

"汝の今日は永遠である"

(告白/アウグスティヌス )

今日一日を丁寧に頑張った人はただその事だけで誇りを持っていいのだと思った。
Naoto

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