Naotoさんの映画レビュー・感想・評価

Naoto

Naoto

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Mile...mile&a half(原題)(2013年製作の映画)

4.1

JMTスルーハイク。
こんなドキュメンタリー映画あったのか。
タイトルの"mile…mile&a half"のざっくりした意味は、
「頂上ってどれぐらいで着きますか?」
に対する、
「あぁ、もうちょい
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フェリーニのアマルコルド(1974年製作の映画)

5.0

再々鑑賞。

実現できるかできないかは度外視して、穴が開通するまで地球を下に掘り続けていく人間がいたとする。
来る日も来る日も暗い穴を掘り進め、下部マントルを越え外殻を通って内核へと至る。
そして内核
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風が吹くまま(1999年製作の映画)

4.3

小さな小さな村で行われる風変わりな葬式を取材しに来たテレビクルー達。
彼らの仕事は危篤状態の老婆が亡くなってから始まることになるが老婆は一向に亡くならない。

働き盛りの若者達は畑仕事に出ているので村
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桜桃の味(1997年製作の映画)

4.5

自殺志願者の主人公バディが自殺の手伝いをしてくれる人を探す物語。

ただ車を走らせて、そこら辺の人に話しかけて話を持ちかけては断られる。
バディは何故悩んでいるのか、そして何故死にたいのかを全く明かさ
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ロスト・ハイウェイ(1997年製作の映画)

4.3

人間が感覚する物事は元来意味や整合性、合理性といったものはないのだと思う。
そこにはただ視覚を通して脳内に映し出されたイメージのようなものがあり、聴覚を通して脳内に流れてくる音のようなものがあり、触覚
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カラマリ・ユニオン(1985年製作の映画)

3.3

フランクがいっぱい。
総勢15名のフランク。

街での暮らしにうんざりしたフランク達はエイラを目指して旅に出る。
なぜ街での暮らしにうんざりしたのかの描写はほぼなし。
とりあえず貧困が凄いっぽい台詞だ
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パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)

4.0

ゴミ収集人とスーパーのレジ打ち係の恋の物語。

ゴミ収集人ニカンデルはほとんど空白の人生を生きている。
決められた時間ゴミをゴミ収集車に放り込んで、それが終われば適当に一杯呑んでまた次の日を迎える。
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永遠と一日(1998年製作の映画)

4.5

永遠とは始まりもなく終わりもないものである。
そして始まらず終わらないものは絶対に疑いをかけれないもの、言い換えれば必然的なものだと言える。
なので永遠とは必然的なものであると解釈できる。

例えば、
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レッツ・ロック・アゲイン!(2004年製作の映画)

4.3

人間が妥当な権利として自由を欲求し、それを享受することが阻害されたときに、人垣の中から時折音楽に似た咆哮が聞こえて来る。
世間ではそれをパンクロックと呼び習わす。

本作はそんなパンクロックのレジェン
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暗殺のオペラ(1970年製作の映画)

3.7

主人公アトスはある町を訪れる。
その町は20年前、アトスがそっくりそのまま名前を受け継いだ父が何者かの凶弾に倒れた町だった。
父アトスは反ファシズム運動の有力者であり、暗殺されたことによって英雄化して
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タレンタイム〜優しい歌(2009年製作の映画)

5.0

自分のために作られた作品だと思った。
初めてバッハのゴルトベルク変奏曲やマタイ受難曲を聴いた時のように、初めて須賀敦子やダンテの筆に魅入った時のように、初めて山本耀司の服に袖を通した時のように、この作
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東京物語(1953年製作の映画)

4.8

前レビューにいいねくださった方々ごめんなさい、再鑑賞してちょっとテンション上がってどこかに吐き出したいので再投稿します。

前回鑑賞した時は人と人との繋がりの中に人間らしさを見出し、今は昔と変わってし
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麦秋(1951年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

「今、チボー家の人々を読んでるんです。
まだ四巻の途中ですが、面白いですよ」

そうか、と思った。
家族とは終わりなきもの。
どこまで読み進んでも読み終わる気がしないチボー家の人々のように、何度も何度
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息子のまなざし(2002年製作の映画)

4.9

職業訓練所で働くオッサンであるオリヴィエを映し出す作品。

オリヴィエの日常は非常に淡々としている。
生徒に木工の技術を教え、時間が空いたら5回ぐらい腹筋をする。
ジャンクな食事をして、また木工の技術
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ディア・ドクター(2009年製作の映画)

3.7

ふらっと横にいる人が倒れたとする。
すると僕は条件反射的に「大丈夫ですか!」
と駆け寄って助け起こす。
これを正しい手続きを踏んでいないとして罪として裁いてもいいのか。

本作においてふらっと倒れた人
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ゆれる(2006年製作の映画)

4.0

兄弟間の隔絶を描いた作品。

東京でカメラマンとして生活している猛は母の一周忌で実家に帰省。
実家には家業のガソリンスタンドを継いだ兄の稔がいる。

猛は非常に奔放な性格で、自分の行動が他の人に影響を
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

4.1

人は無意識のうちに何かから影響を受けているということを表す禅語に、
"霧の中を行けば覚えざるに衣湿る"
という言葉がある。
本作の主人公である三上もこの例に漏れずに無意識に自己を決定された人間なのだと
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魔笛(1974年製作の映画)

3.8

モーツァルト歌劇「魔笛」をベルイマンが映画化した作品。
フリーメイソンとの関連性を指摘される箇所はカットされている。

ベルイマンとは幼少期の経験から解離性人格障害のような苦しみ方をしてきた人だと思う
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ミステリー・トレイン(1989年製作の映画)

4.0

再再再鑑賞。

何度でも電車を乗り継いでここに来る。
ここに来さえすれば全てがフラットになる。

カールパーキンスに憧れる永瀬正敏がツッパって、ストラマーが落ちぶれて、スクリーミンがのっぺらぼうのよう
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パターソン(2016年製作の映画)

5.0

再鑑賞。

ジムジャームッシュという人は初志貫徹、ひたすらに自由を追い求めてきた人だ。
そして本作は、彼が長い旅路の果てに遂に手にした自由が存在していた。

彼が旅装を整える間も無く旅路に着いた時、自
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ヴァーサス/ケン・ローチ映画と人生(2016年製作の映画)

3.8

ケンローチのドキュメンタリー。

左寄りの政治思想を吐き捨てるかのように主張し、同時にすぐ隣にいる人間への思いやりを常に忘れない。
そんな作品を一貫して作り続けてきたローチの原動力の一端を垣間見れた作
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ケス(1969年製作の映画)

4.2

ケンローチ初期の代表作。
ビリーという少年の日常を切り取ったなんともえげつない内容の作品。

ビリーの生活には経済面にしろ、精神面にしろ、基本的に余裕がない。

父は蒸発して登場すらしておらず、母親は
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フルスタリョフ、車を!(1998年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

思い出しレビュー。

監督、アレクセイゲルマンは作劇においてドストエフスキーとの類似性を指摘される事が多い様に感じる。
なるほど、確かに登場人物がポリフォニック(多声楽的)に会話や思想をぶつけ合う物語
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サウルの息子(2015年製作の映画)

4.2

アウシュビッツ収容所にはゾンダーコマンドと呼ばれる人がいたらしい。

それが、強制的にユダヤ人の同胞達の死体を処理して掃除する為に働かされ、一定期間が過ぎれば自身も処理される人達のことを指すというから
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ジミー、野を駆ける伝説(2014年製作の映画)

3.9

アイルランド独立戦争から10年後、腐敗した権力と戦った実在の人物ジミーグラルトンの物語。

毎度毎度、ケンローチの作品には頭の下がる思いだ。
自由を搾取する権力に厳しい弾劾を加える一方、その声は怒りに
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オマールの壁(2013年製作の映画)

3.9

物事を知らないということのなんと恥ずかしいことだろう。
そして知らない事をこれから勉強していける未来があることのなんと幸福なことだろう。

本作の舞台であるパレスチナを生きる若者たちには、これからゆっ
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シカゴ7裁判(2020年製作の映画)

3.7

アメリカ陣営とソ連陣営に分断され、代理戦争がベトナムで行われていた時代、世界は混迷を極めた。

そんな情勢にR&Bシンガー、マーヴィンゲイは声を発する。

「What's going on」

多くの
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道中の点検(1971年製作の映画)

3.6

篠突く雨の中、茫洋たる面持ちの男が2人映し出される。
その表情は何かを言いたげではあるが、読み取ることはできない。
縫い目なくカットは継がれ、兵士が泥土の中の物体に何らかの液体を注ぐシーンに切り替わる
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神々のたそがれ(2013年製作の映画)

4.8

再鑑賞。

地球より800年程文明の遅れがある惑星の王都アルカナルに派遣された学者達30名。
そこでは大学は破壊され、有識者たちは次々に狩られていくおぞましい光景が広がっていた。
学者達は惑星で行われ
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イゴールの約束(1996年製作の映画)

4.1

善という物は人それぞれによって取る形を変える。
もし善が誰にとっても同じ形を取るのであれば、絶対善を思惟する一神教が数多く存在し、宗教戦争が数多起こってきた説明がつかない。

そして善は、対立項として
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気狂いピエロ(1965年製作の映画)

4.5

映画、文学、音楽、絵画などという事柄は基本的に知性を使って知覚する物だと思う。
そして知性は最大多数を推し量ろうとするので普遍的な物だ。
(どれもより多くの人の共感や感動を呼ぶことを目指している)
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ルーブル美術館の夜 ―ダ・ヴィンチ没後500年展(2020年製作の映画)

3.8

誰もいない夜のルーヴル美術館でダヴィンチを巡る観光案内。
これはたまらない。

浅学にして芸術に対しての理解が浅いのだが、ルネッサンス芸術という物に強く惹かれている。

古代ギリシア文化を取り戻すこと
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ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還(2003年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

一大断捨離冒険譚ついに完結。

冒頭、前指輪の所有者スメアゴルの挿話から始まる。
指輪を持つことの恐ろしさを再確認させられると共にフロドの未来を暗示するかのような不穏な幕開け。

サウロンの一軍が侵攻
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ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔(2002年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

年が明けても指輪の魔力に魅入られて中つ国の旅に赴く。

装身具を身に付ける華奢を潔しとしないミニマリスト達の指輪捨ての旅の激しさは前作よりさらにヒートアップ。

前作で散り散りになった仲間たちは各々の
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ロード・オブ・ザ・リング(2001年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

時間があるこんな時にしか観ない一大冒険譚。
なんとなく見たくなって鑑賞。

冥王サウロンの作り出した世界を破滅させる力のある指輪を捨てにいくために集う仲間達がとにかく魅力的。

以下、種族•特徴列記
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アメリカの息子(2019年製作の映画)

3.5

アメリカの息子。
そのタイトルはアメリカ人の家庭に生まれた男の子という意味ではなくて、アメリカに巣食う人種差別が生み出した物という意味だった。

大陸から移り住んだイギリス人達が労働力としてアフリカ大
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