【過去鑑賞作品 71】
〈娘は束縛の衣装を脱ぎ捨て、魔女へと生まれ変わった〉
17世紀、イングランド。キリスト教社会において、魔女は悪魔の契約者として忌まれた。信仰上の相違から僻地へと追いやられ>>続きを読む
〈無知で純粋なカビリアは、目の前のすべてを享受する〉
カビリアは疑うことを知らない。彼女は不連続な試練にまんまと呑まれ、そのたびに感情を揺さぶられ、倒れ、だが必ず “起き上がり小法師”のようにケロ>>続きを読む
〈ケイト・ブランシェットの案内とともに、奇跡の星を巡る無限の旅に出てみよう🌏〉
テレンス・マリックがドキュメンタリーを撮った。そのテーマは地球の誕生と歴史、そして自然の尊さだ。まさに『プラネットア>>続きを読む
〈モン・サン・ミシェルから始まる激しい恋〉
タイトルの“To the Wonder”は、モン・サン・ミシェルの異名である“Wonder of the Western World(西洋の脅威)”に由>>続きを読む
〈入植者と先住民の純愛を雄大な自然が包みこむ〉
1607年、北アメリカ大陸開拓の黎明期。後の歴史を知っている我々からすると、本作の様々なシーンが「強者による弱者への支配」の象徴に見えてしまうもしれ>>続きを読む
〈“Where is my mind?”なニヒル男が主人公と来れば、私の大好物であるはずなのだが...〉
タイトルの通り、「初恋」が主人公の感情を解放させ、生きる実感を与えていく。それ自体は大いに>>続きを読む
〈爆発の危機に瀕した“花の都”の裏側〉
パリ郊外、モンフェルメイユ。ヴィクトル・ユゴーの大河小説『レ・ミゼラブル』の舞台でいま、怒りの泡がふつふつと沸いている。
パリといえば華やかで洗練された>>続きを読む
テレンス・マリックの自己陶酔が傑作と駄作のどちらに転ぶかは紙一重のようだ。
本作のクリスチャン・ベイル扮する主人公からはまるで人間味を感じなかった。あの彼はおそらく体温が33℃ほどしかなかったろ>>続きを読む
〈こちらへの一瞥もくれない壮大な独りよがりか。それとも僕らを遍く包みこむ癒しの陽光か〉
Filmarksの評価がすこぶる低い。パルムドール受賞作であるが、カンヌでも賛否はハッキリ分かれたという。理>>続きを読む
〈麻薬的な高揚感も効き目が切れた最前線〉
戦争の恐ろしさは、怯える人間からこそ見えてくる。『プライベート・ライアン』冒頭のオマハビーチのシーンを彷彿とさせる無謀な攻略作戦を、本作はもっと長時間に渡>>続きを読む
〈それでも、あそこは天国だった〉
20世紀初頭。開拓途上のテキサスを訪れた人々は、期待と共にどこか不安げな表情を浮かべている。語り部の「代わりはいくらでもいる」というセリフの通り、彼らはアメリカン>>続きを読む
〈群像的な熱気と主人公の内省。この対比がフェリーニは面白い‼︎〉
前半1時間は驚くほどノレた。私はマルチェロ・マストロヤンニという俳優がどうも好きなようだ。大人の色気と社会的な地位を備えているが、>>続きを読む
〈私的創傷とローカリティの化学反応〉
アリ・アスターの「土着信仰×???」企画第2段は、世のカップルに浄化作用があると噂の白昼夢。闇を抱えた女に居場所を与えたのは、白夜の祝祭でした。
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ドキリとした。
セクハラを受け、告発を決起する女性たちの側に立つ思いで鑑賞していた。だが、マーゴット・ロビーがセクハラを受けるシーンで「おっ‼︎」と昂ってしまったのだ。
FOXを肥やすバカな>>続きを読む
〈ロジャー・ディーキンスを“手段”ではなく“目的”に。戦争をアトラクション化した功罪〉
全編疑似ワンカットによる戦争没入体験。ディーキンスのカメラワークは流麗で自由自在だ。構図や陰影、ロケーション>>続きを読む
〈世間知らずの若者たちが戦争に憧れ、へし折られ、忘れ去られるまで〉
第一次世界大戦から100年。帝国戦争博物館に保存されていた実録映像が、デジタル修復によってカラーで蘇った。監督のピーター・ジャク>>続きを読む
〈5時間越えのスルメ映画〉
クリスマスイブの夜。裕福な大家族は食卓を囲み、大広間で読み聞かせに集まる。これらは『野いちご』や『叫びとささやき』などにも見られたが、ベルイマンの心象風景なのだろうか。>>続きを読む
〈どこか不穏な幕引きとなった『卒業』のその後〉
なるほど、これは『マリッジ・ストーリー』によく似た作品だ。離婚を決め、逆方向へと進んでいったはずの2人が、「離婚」という共通のゴールへ肩を寄せあって>>続きを読む
〈生熟れの青年が間一髪で気づく、社会が用意した「理想的な人生」の限界〉
冒頭から、サイモン&ガーファンクルの『サウンド・オブ・サイレンス』が流れる。青年のよこがおは、不安と鬱屈に満ちている。卒業を>>続きを読む
〈男たちは改造を施したハーレーに跨がり、自由と変革の風を吹かせた〉
画面いっぱいに溢れる開放感はこちらにまでビシビシと伝わり、あたかも彼らの後ろに同乗しているかのような気分になってくる。だが、出し>>続きを読む
〈ニューヨークの寂れた裏側〉
トラウマを抱えた脆い男は、「理想の男性像」たるカウボーイの衣装に身を包み、単身ニューヨークへとやってきた。
だが、飛び込んでみてようやく気づく理想と現実のギャップ>>続きを読む
BUTCH CASSIDY & THE SUNDANCE KID
バート・バカラックの『雨に濡れても』が流れ、ブッチとエッタが自転車を気ままに乗る。このシーンが西部開拓時代の終焉とアメリカンニュー>>続きを読む
〈クリスマス映画と社会問題の完璧な融合〉
「民族の分断」という現代盛んに扱われるテーマと郵便配達員の成長が結びつき、ぼくたちの知っているサンタクロースの寓話へと繋がっていく。
対立するふたつの>>続きを読む
〈思想は違えど、友情は生まれる〉
若き日の使命感を失った熟年の司祭が、時間をかけて追憶に耽り、「赦す者」の重荷から一時の休息を与えあう。「感情移入できなさそう」の塊たるローマ教皇を万歩計やサッカー>>続きを読む
アカデミー賞受賞式で、本作のシャイア・ラブーフとザック・ゴッツァーゲンが賞を読み上げていましたね。
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「ダウン症の人に光を当てた枠」かつ「タイトル美味しそう枠」として、『チョコレート>>続きを読む
ゲイカップルがダウン症の男の子を引き取る。初めはその動機が弱い気もしたが、同じマイノリティとして放っておけなかったのかもしれない。心温まる一品。
〈伝統の破壊者ライアン・ジョンソンが、今度はアガサ・クリスティにハッタリのナイフを突きつけた‼︎〉
ベタベタな音楽・豪邸・探偵・容疑者でミステリー映画の雰囲気をつくりだし、それをコメディで崩す崩す>>続きを読む
〈抱くべきは男じゃなくて札束よ〉
昨今のフェミ映画の潮流に乗った一本であるが、『マネー・ショート 華麗ではない副題』よろしく経済実録をテンポよく暴露するあたり、プロデューサーに就いたアダム・マッケ>>続きを読む
〈健全を履き違えた純白の世界が、ふとした隙間から滲み出す〉
無垢を強いられた人間が、性的本能やスリルへの関心といった人間の本質をようやく発現していく姿は実に尊く、逞しい。
人間としての本質の自>>続きを読む
〈冷たい戦争に引き裂かれたふたりは、叶わぬ恋に燃えあがる〉
男は共産主義国家による音楽の規制に際し、パリ、ユーゴスラビアへと亡命。そこではジャズと映画音楽が彼を迎え入れ、無難にも新しい生活が始まろ>>続きを読む
現代人の(具体的すぎる)疲弊のシンクロから抜け出した男は、全体とは違う方向・違う動きをとり続け、流されまいともがいていく。
しかし、彼の目の前に突如ひとりの女性が現れる。彼女は彼と双方に癒しあう>>続きを読む
〈自由と変革の60年代に取り残されたヒッピー探偵の未練タラタラ捜査劇〉
『ロング・グッドバイ』の系譜をたどるL.A.漂流捜査モノの一本とされ、ゆえにモブキャラ同士で無数の相関が生まれていく独特の難>>続きを読む
〈戦争でこころを蝕まれた男には、生きる行程を照らす圧倒的な「正しさ」が必要だった〉
主人公フレディは、自分の奥底から湧き上がる懊悩に苦しみ、自滅的になっている。そこから逃げ出せるなら、方法など取る>>続きを読む
〈宝石商の奇妙な冒険 ダイヤモンドは出てこない〉
サフディ兄弟の「ニューヨーク奔走三部作(私命名)」三作目は、妖しく光るオパールがもたらす逃走と追跡の綱渡りだ。
ラジー賞俳優の救世主・サフディ>>続きを読む
路上生活時代の手記をもとにした、主演アリエル・ホームズの自伝的作品。
ゆえに、『グッド・タイム』にも優ってドキュメンタリックな作風。迫真の表情を見せたアリエル・ホームズも、演技というより素の振る>>続きを読む
〈驚きの転回にジョーダン・ピールも腰を抜かす、痛快&変態の社会諷刺コメディ〉
軽妙で余裕を感じさせる白人らしい声〈ホワイトボイス〉を巧みに駆使し、テレマーケティングで業績を上げていく主人公カシアス>>続きを読む