優しいアロエ

ホワイト・ボイスの優しいアロエのレビュー・感想・評価

ホワイト・ボイス(2018年製作の映画)
3.8
〈驚きの転回にジョーダン・ピールも腰を抜かす、痛快&変態の社会諷刺コメディ〉

 軽妙で余裕を感じさせる白人らしい声〈ホワイトボイス〉を巧みに駆使し、テレマーケティングで業績を上げていく主人公カシアス。しかし、仲間内から一歩抜き出ることで疎外感を喰らってしまうというジレンマに衝突する。

 さらにカシアスは、借金返済が完了してもなお富を求め、高みを目指していくが、そこでは家畜同然の搾取が。鮮烈なビジュアルを以って、カシアスは資本主義の恐ろしいシステムにようやく気づき、元いた場所へと戻っていく(だが、時すでに遅し)。

 テレマーケティングの職に就く→ストに誘われる→昇進する、といった流れが駆け足だったことと、ケレン味のある演出が多すぎたことが惜しかったが、社会問題をエンタメを通して打っ込む近年の波に乗った秀作。

 監督のブーツ・ライリーという名前に聞き馴染みがなく、ググったところ、普段はThe Coup、Street Sweet Social Clubとして活動するラッパーだそうで、これがそこそこの馬顔であった(笑えない)。
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