アラシサン弐さんの映画レビュー・感想・評価 - 15ページ目

ミッション:インポッシブル3(2006年製作の映画)

3.9

イーサン・ハントを1,2で完全無欠のヒーロー像に創り上げたからこそ、冒頭の絶望具合が凄まじくて一瞬で引き込まれてくし、何があってそのシーンに至るかと、そのシーンの後に何が起こるかの二重でハラハラさせら>>続きを読む

ミッション:インポッシブル2(2000年製作の映画)

3.5

細かいことには何もツッコミを入れずノーヘルグラサントムクルーズのスタントにガッツポーズするのが正解の映画。

本人が制作指揮だからか、前作よりアクションの無謀さに磨きがかかってる感じがした。冒頭の崖登
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ミッション:インポッシブル(1996年製作の映画)

3.7

顔マスク変装とか宙吊り潜入とか、他のスパイ物で似た描写が出てきたら「ミッションインポッシブルのアレね」となるくらいアイコニックな場面が沢山。

ブライアン・デ・パルマが監督してるの知らなくて、血生臭い
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気狂いピエロ(1965年製作の映画)

4.0

破綻してそうでギリギリ成立してそうで、
入り込めそうでギリギリ突き放される作品。

時が止まって欲しい男と前に進みたい女。
男の詩を女は理解しないし、
女の詩を男は理解できない。
最後までぜんっぜん分
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(1960年製作の映画)

4.2

“バレないようにひたすら穴を掘る”だけなのに異様にスリリング。

穴を通して向側に行く→道具が要るから来た道を戻る→起床時間だから穴を隠すなど、一連の行動の中に刑務所ならではの音や時間の制約、さらには
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女と男のいる舗道(1962年製作の映画)

4.0

芸術家志望の貧困層が、身体を売る仕事に没入して気づけば夢や目的も見失っていく様は、どの時代に切り取られても切ない。

アンナ・カリーナは「女は女である」でのアホの娘的な可憐さから一転して、章が進むごと
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8 1/2(1963年製作の映画)

3.8

何一つ理解が追いつかなかったのに全てのシーンが脳裏に焼き付いてる不思議な映画。

一回目の鑑賞で何も理解できず、
解説等を拝読してからの二回目でクリエイター生活の苦悩の一端と、それに対する監督の自問自
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女は女である(1961年製作の映画)

4.0

「半熟卵いる?」
「つくってくれ」
「条件があるの、子供が欲しい」
なんだこのやり取り。
どうやったら思いつくんだこれ。

カップルの割とどうでもいい日常に、男女の価値観のもつれで三角関係が出来上がる
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フレンチ・コネクション(1971年製作の映画)

3.6

日常的な風景から唐突に暴力が生まれる場面がかなり怖い。
ゲリラ撮影ゆえのリアルな街並みに潜んだ悪意の緊張感や生々しさがある。

ただ、平穏な裏で麻薬が平然と出回って悪い奴が暴力を行使してるという恐怖よ
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ダーティハリー(1971年製作の映画)

3.8

犯人の正体とか事件のトリックではなく、ハリーVS犯人の対決をずっと追っていく話。
途中でメディアや法律の壁なんかに邪魔されはするものの、関係なく真っ向からブチのめしに行く泥臭さが分かりやすい。

暴力
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ハズバンズ(1970年製作の映画)

3.7

家庭も仕事もあって、それでも何かのきっかけで全て投げ捨てて爆発させてしまう中年達の悲哀が見てて辛い。
もう周りが見えずに自分達だけではしゃいでハッピーになっちゃうオッサンいるよなあ。

常軌を逸した行
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アメリカン・グラフィティ(1973年製作の映画)

3.7

アメリカに憧れを抱く外国人が撮ったんじゃないかと思うほど純粋無垢なアメリカ。

青春と呼んで間違いない一夜を過ごすアメリカの若者達からは、ベトナム戦争の影もヒッピーカルチャーの混沌も、ブリティッシュイ
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都会のアリス(1973年製作の映画)

4.0

アリスと主人公が互いに寄り添い過ぎず突き放し過ぎず、何となく相手の事を思ってるその「何となく」具合が良い。

決して派手な演出や劇的な展開がある訳ではないけど、回転扉でグルグル遊んだり、空港でサンドイ
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ほとぼりメルトサウンズ(2021年製作の映画)

3.9

何気なく入った回が舞台挨拶付きで、監督のお話が興味深かった。

「xiangyuの友達のドヤ街に住んでる爺さんのコラム」っていう割とツッコミどころ満載なところから着想を得たらしく、確かに高齢者の貧困を
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お嬢ちゃん(2018年製作の映画)

3.5

鎌倉ヌーヴェル・ヴァーグ。
途中までジェンダー論を問う作品だと思ってたけど、鑑賞後はどうやらそれだけではないのかなと。

最初は主人公の攻撃がポリコネ作品にしては「やり過ぎてない」ように感じて、

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ゆるキャン△(2022年製作の映画)

4.5

日常アニメの終わりの寂しさにまさかここまでハッとさせられるとは思わなかった。
鑑賞後に少なくとも自分は、今過ごしている日常に少しだけ優しくなれるような気がした。

確かに社会人となれば、趣味に対する楽
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オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

3.6

おっさん二人のゆるキャンを淡々と見守るだけの映画。

これといったアクシデントも起こらず、何となく気まずい関係ながらも癒やしを浴びる二人の姿から、情報を拾うというより感じるというか、ある意味では難解映
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デスプルーフ in グラインドハウス(2007年製作の映画)

4.3

ギャルの駄話に唐突のバイオレンス。
大声でギャアギャア泣くおっさんってなんでこんなに笑っちゃうんだろう。

めちゃくちゃ馬鹿みたいな話なのにカースタンドが凄まじすぎてまんまと手に汗握らせられるのが悔し
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オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ(2013年製作の映画)

3.7

夜道をドライブして、ダンスを踊って、部屋でダラダラと気怠い会話を紡ぐ二人の姿は、ヴァンパイアの日常アニメでも見せられてるかのような穏やかな映像ながらも、そこからは長いこと生きてきたからこその人間に対す>>続きを読む

水の中のつぼみ(2007年製作の映画)

3.7

これぞフランス映画という感じだけど、少女達の不安定さが交差する様は青春映画の雰囲気があるし、ラストカットは清々しさすら感じる。

「燃ゆる女の肖像」に感じた、視線と表情から心理状態を発信していく演出は
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エレファント(2003年製作の映画)

3.9

緊張感と圧迫感が凄まじくて苦しい。

思えば学校生活で湧き上がる鬱屈さって、いつでも暴力の加害者と被害者が生まれる要因があるなと再認識させられてしまう。

家庭の問題を学校に言えずに涙する姿や、周囲か
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リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

4.0

画も人も台詞も展開も笑っちゃうほど華がない。凄く良い意味で。

撮影料が払えなくて圧力かけられながら隠し撮りしたなんていう面白すぎる逸話の緊張感なんて微塵も感じないほど、2人の退屈な人生を体現したかの
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スモーク(1995年製作の映画)

3.9

登場人物達みんな嘘ばっかついてるのになんか不思議と柔らかくて優しい映画。
大都会のそんなに栄えてない煙草屋って舞台から漂う何とも言えない老練さがもう優しい。

その場をやり過ごす為や自分を取り繕う為の
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ターミネーター ニュー・フェイト(2019年製作の映画)

3.9

舞台のメキシコに合わせてデデンデンデデンがラテンアレンジになってるの笑う。

冒頭、自動化機械に失業させられそうになる主人公たちの姿が、ターミネーターシリーズが背負ってる「機械に取って代わら
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ターミネーター:新起動/ジェニシス(2015年製作の映画)

3.8

シリーズモノのお祭り雰囲気やパラレルワールド展開にアレルギーがなければ、言われてるほど酷く感じないしそれなりに楽しい作品だと思う。

自分達の息子になる存在と敵対することで、既に決定してる未来を否定し
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ターミネーター2(1991年製作の映画)

4.2

もう前作が全て布石なんじゃないかと思うくらい完成してる。
相変わらずやたらと爆発するし、やたらと窓ガラス割るけど、VFXの進化で映像の説得力は段違い。
敵も怖い。

前作で絶対的な存在だったシュワちゃ
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ターミネーター(1984年製作の映画)

3.8

ショットガン二丁持ち大男はロマン。

CGだけに頼らず特殊メイクやストップモーションを使う撮影班の根性を感じる。

ボイリング・ポイント/沸騰(2021年製作の映画)

4.3

言ってしまえばクソ忙しいレストランの営業を見守るだけの映画なのだけど、94分全編ワンカットというイカれた撮影方法が凄まじい緊張感を生んでる。
どこまでが台本通りなんだろ。
ヤケドだいじょうぶか?

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RUN/ラン(2020年製作の映画)

4.0

よくある監禁からの脱出モノを、脚が不自由っていう設定のアイデアの押収でここまでエンタメにしてしまうのはお見事。

なんかヒッチコックぽさも感じる。
けど車椅子設定が入るだけで格段にスリリング。

車椅
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Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)

4.0

痛い。
でもホラーかと思ってたら、抑圧された女性が自分の意思で新しい人生を歩み始めるまでを描いた話だった。

異物を呑むシーンはリストカットとか外的な自傷とは違う、内側からゾワゾワしてくるような、見て
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鉄男 TETSUO(1989年製作の映画)

3.8

世界観がめちゃくちゃカッコいい。
なんか昭和特撮のニュアンス感じると思ったら、監督がウルトラQの影響受けてるのね。

テーマや芸術性云々ではなく、まともな状態が一つもない映像と尋常ではない数のツッコミ
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ザ・ブルード/怒りのメタファー(1979年製作の映画)

3.8

変態的親権争い。

自分が産み出した異形の子を使って自分の実の娘を奪おうとする鬼畜嫁から、離婚や親権問題で浮き出る人間の精神的露悪を表現してるのか。
それと夫を対峙させるのもドS。
多分、一番怒ってる
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ナイト・オブ・ザ・リビングデッド 4K リマスター版(1968年製作の映画)

4.0

もう今日までのゾンビ映画で描かれてることの全部が詰まってるんじゃないかと思うほど、娯楽映画として確立されてると思った。

いつの時代も一番やっかいなのは極限状態の人間同士の争いなのね。

ゾンビが初め
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台風クラブ(1985年製作の映画)

3.7

脚本なんて存在しないのではないかと勘ぐるくらい、とても監督がシラフだと思えない。

生徒達の行動すべてが突拍子もなくて、それが思春期の不安定さとか鬱屈さを通り越して、ラリってるとしか思えない謎のバイタ
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