otomさんの映画レビュー・感想・評価 - 35ページ目

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七番目の道づれ(1968年製作の映画)

5.0

混乱の中で一蹴される良識。ってだから混乱なんだけど。大きな力の前では無力な小さな小さな存在。そんな個人の無力感を主人公を含めた様々な登場人物のうちに垣間見る事ができる。反発は死を意味する時代で、ある者>>続きを読む

さすらい(1957年製作の映画)

4.2

さすらってるイタリア人と激しいイタリア人たち(特にガス屋の女、ドリアン・グレイ! 凄いネーミング)。不毛かつ荒涼とした風景の中を行く孤独。見方を変えて目の前の現実に満足できれば、あるいは幸福にもなれる>>続きを読む

暗殺の詩/知りすぎた男どもは、抹殺せよ(1973年製作の映画)

4.0

先日の『追想』と同様に古城の主でほっこりなフィリップ・ノワレ+赤毛のカミさん。と、精神病院脱走後に迷い込むトランティニャンに乗せられて、なんだか無理のある逃避行へと発展する。一応は重大な国家秘密を知り>>続きを読む

おいしい結婚(1991年製作の映画)

4.2

秋日和はともかくとして、景気の良さとあまりにあんまりなトレンディ具合に閉口する。公開当時、中学生じゃこんな大人の話は良く分からん。全体的には良くも悪くも森田芳光。で、これまた景気が良い頃のASKA!!>>続きを読む

ガラスの城(1950年製作の映画)

4.0

まさに禁じられた遊びをするパリの恋人たち。の、よくあるどころか超レアケース。含みのある台詞の多用や嫉妬の布石の回収がモヤっとするものの、アクロバティックな時間操作と黒澤作品かってくらいのキレのある照明>>続きを読む

ダニエラという女(2005年製作の映画)

4.8

泣く子も黙りそうなS級娼婦のモニカ・ベルッチを籠絡し、撃沈し、籠絡する為の超高度なあれやこれ...の風でいて蓋を開ければ愛に満ち溢れている。愛されて愛すると云う幸福の為のシンプルな絶対条件を映画の中で>>続きを読む

ハイジ アルプスの物語(2015年製作の映画)

3.8

尺的に無理がある。各エピソードから山小屋の間取りに至るまで、高畑版ハイジをベースにしていると思われる。50話程度を詰め込んだもんだから、展開が超爆速。最初はアドルフ入っているブルーノ・ガンツも段々と慣>>続きを読む

サスペリア PART2/紅い深淵(1975年製作の映画)

4.5

PART2じゃない2作目。なんでそんな事を思いつくかなってレベルのあらゆる痛い!!!で体の色んな部分がキューっとする。後の無印サスペリア同様にロケーションや小道具、撮影なんかのお洒落度はかなりのもので>>続きを読む

影なき殺人(1947年製作の映画)

5.0

魔女狩りに赤狩り等々、正義の名のもとに善良な市民を時として文字通り鬼にさせる結構あるあるな冤罪系事案。わりと最近ではハネケの『白いリボン』でも似たような感じだったな。今作に至っては、更に事件を利用する>>続きを読む

赤毛のアン(2015年製作の映画)

3.5

うーん、雑。完全にアニメ版に毒されているので、尺が足りない感じ。マシュウがマーティン・シーンでも良いんだけど、そうさのぉ...くらい言って欲しかったな。妙なCGとか全体的にいまいちなんだけども、ポン・>>続きを読む

Mの物語(2003年製作の映画)

4.3

SF(すこしふしぎ)どころじゃない。日本風に云うところの地縛霊って訳でもない自在さ。割となんでもアリ設定な雰囲気ながら、せっせと作り上げていく部屋の下りなんかはなかなかギョっとするものがある。で、各々>>続きを読む

神に選ばれし無敵の男(2001年製作の映画)

4.4

嵐の前の静けさの如く。ヘルツォークっぽい火山的ロケーションで潰されてるカニ、カニ、カニ。ユダヤ人は蟹食わないらしいけども、なんでこの描写なのかは良く分からん。呆気ない幕切れながら、広く英雄視されてる事>>続きを読む

極道の妻たち 三代目姐(1989年製作の映画)

4.5

三田佳子かよと正直全く期待してなかったら、とんでもない力作だった。主役食いまくりかつ、出てくるだけで場が締まるショーケンと成田三樹夫に充分張るくらいの熱演で胸熱。曲からしてゴッドファーザーっぽい内容だ>>続きを読む

召使(1963年製作の映画)

4.2

支配の定義。境遇と能力とは比例しないと云う冷ややかな視点。労働者階級側からっぽい感じでわりとステレオタイプ過ぎる気もしなくはないけれども、ある意味時代を反映してるんだろね。遠近、反転、影等々の多種多様>>続きを読む

極道の妻たち II(1987年製作の映画)

3.9

結構投げっぱなしな所とか速攻でログアウトする奴とかが多々あるものの、あえて多くを語らない作りって事で解釈しておこう。懐かしの絶望的にバブリーな風俗含めて全体としてはなかなか面白いし、ほわっとした十朱幸>>続きを読む

バレエ・カンパニー(2003年製作の映画)

4.0

現場あるある風の群像劇でいて、わりとほんわかした下克上。昨日と今日の意見は違うんだよとテキトーっぽいところとか資金繰りやら組織そのもののそれ。でも仕事はきっちりこなすってのがやっぱりプロの世界なんだね>>続きを読む

恐るべき子供たち(1950年製作の映画)

4.5

動物的なまでにテリトリーを守るねぇ。細かい描写のコクトーの原作と萩尾望都のお陰か、オレは預言者かってくらいに映像が先読みできる。コクトーのナレーションがいささかウザいものの、幻想的かつデカダンスな雰囲>>続きを読む

浪人街 RONINGAI(1990年製作の映画)

4.4

侍にはつらい時代のお話。もはや演技と云うか、この人ってこんなだよねと、各人の地が役になった感じ。そんな善悪共に濃過ぎる面子をそれぞれに絶妙な配置をした黒木和雄。チョイ役の琵琶と天本英世なんかも然り。と>>続きを読む

ゆきゆきて、神軍(1987年製作の映画)

4.0

『軍旗はためく下に』のその後みたいな。やや過剰なドキュメンタリーかと思いきや、安定の今村プロダクション。粘着タイプの自己正当化男、奥崎謙三なる最悪の人物に睨まれたら最後な感があるな。戦時下の惨劇も当然>>続きを読む

ビューティフル・デイ(2017年製作の映画)

4.5

設定やら鏡やら撃ち抜くところまでかなりタクシードライバー風なんだけども、社会的立ち位置、行動原理なんかは割と対称的ではある。そして外的か内的かのルートは違えどなかなか共通点のあるラスト。って事でなんだ>>続きを読む

バタリオン ロシア婦人決死隊VSドイツ軍(2015年製作の映画)

4.0

なんと云うひめゆり。フルメタル・ジャケット的なキャラ設定でありながら、蓋を開ければかなり熱い女子のスポ根ものな雰囲気。からの重く生々しい戦闘。国の為に散っても、その後に控えた内戦と云うこの頃の恐ロシア>>続きを読む

愛のめぐりあい(1995年製作の映画)

4.0

出て来る連中の大半の様子がおかしい。ユーロ圏における脈絡ぶっ飛ばした恋に落ちる瞬間。の、それは文化的な違いのせいか理解不能なものの、心と肉体が別な現代の愛の不毛さは何となく伝わってくる。不毛どころか剛>>続きを読む

追想(1975年製作の映画)

4.4

復讐の合間にこれでもかってくらいに思い出しまくる。スイッチ入ってからの異常な冷静さが余計に怖いフィリップ・ノワレ。勝手知ったる所有の古城と云う条件+編集マジックで火炎放射器からもまんまと姿をくらます無>>続きを読む

ファントム・オブ・パラダイス(1974年製作の映画)

4.2

うーん、ロック・オペラ。デ・パルマの好き要素を詰め込みまくった感がある。ファウスト、オペラ座の怪人は勿論の事、サイコっぽいところやらドリアン・グレイまでやりたい放題。メフィストフェレスなのかマモーなの>>続きを読む

復活(2001年製作の映画)

4.0

できればボンジョルノよりズドラーストヴィチェでお願いしたかった。原作読んでないけど、トルストイらしいてんこ盛り感で風呂敷を広げまくり、贖罪が社会レベルのとんでもない大きさに変わる。許しを得る為のやや盲>>続きを読む

禁断のエチュード マルグリットとジュリアン(2015年製作の映画)

4.0

まぁトリュフォーが撮ってたらどうなってただろうと思わせる題材ではある。足フェチどころじゃないぞ。テーマは過激だけども露骨な露出も(何がなんでも)少なくさせる事でかえってエロティシズムは増していたと思わ>>続きを読む

悪夢の惨劇(1987年製作の映画)

3.3

割とダルダル。タイトルでネタバレしてエンドロールのSweet Child o' Mineで妙に合わせてくるみたいな。VHSとCDとMTVがあるゼって台詞が爆発的にツボった以外は、まずまず。

雨のしのび逢い(1960年製作の映画)

4.6

原作のモデラート・カンタービレは読んでないけれど、どこを切ってもどうしようもなく漂うアンニュイなデュラス感。桟橋も何やらメコン川に見えてくる。映画史に残るレベルの笑っちゃうくらいにさりげない登場のジャ>>続きを読む

影の軍隊(1969年製作の映画)

4.3

絶望的に寒い。暗い画面と共に描かれるハードな状況。その全てが傍観者的視点から淡々と描写されるのにもかかわらず、簡単には風と共に去らんぞと云うグツグツした不屈の闘志を感じさせる。ものの、何やら観た後は虚>>続きを読む

カンザス・シティ(1996年製作の映画)

4.6

いや可愛いな、ジェニファー・ジェーソン・リー。超物騒な感じなのに陽気なジャズが流れてるだけで平和な雰囲気になる。アルトサックスバトルを見守る少年が後のバードとか、ちょっと胸熱。ヴィト・コルレオーネっぽ>>続きを読む

レディ・バード(2017年製作の映画)

4.7

OPが怒りの葡萄ラストで号泣するとこからってのが冴えてる。まず行き場を失った人々を描く怒りの〜から始めといて、実は自分のホームを持っているのに隣の芝が青く見えちゃう少女の回り道を描くと云う絶対的なセン>>続きを読む

悲惨物語(1973年製作の映画)

4.6

サド原作をベースにしたって事だけども、なんか話が近いような遠いような。とりあえず母親は出てこないし、映画としては途轍もなく悲惨な出来な気がしなくもない。ものの、しつこく流れるお洒落ラウンジと体育座りと>>続きを読む

Ryuichi Sakamoto: CODA(2017年製作の映画)

4.3

平和じゃないと音楽ができないってところから始まって、ちゃんと行動しているからこその説得力。教授に対してのシンセで電気使ってるだろって反論はあまりに低次元になるわな。過去の映画音楽に加えて、近年(ちょっ>>続きを読む

ダーティ・セブン(1972年製作の映画)

4.1

ザコキャラたちの扱い的に、とりあえず邦題はよろしくないなぁ。要塞奪回までの流れは良くも悪くも割とまったりで緊迫感はない。銃撃戦もなんだか雑な感じなんだけど、最後のジェームズ・コバーンの死ぬほど格好良い>>続きを読む

黒いジャガー/シャフト旋風(1972年製作の映画)

3.3

一応、グルーヴィ。ファンキーでお洒落な踊り子やら前衛的な濡れ場等々の楽しいシーンは沢山あった。ちょいと長めなアクションもバイィンとなるテンプレっぽいカーチェイス含め良いのではないかと思われる。ものの、>>続きを読む

三国志(2008年製作の映画)

3.0

げぇっ! 俺の知っている三国志じゃない。士官のシーンからめちゃくちゃでいささかゲンナリする。お前は呂布かってなくらいに小物感丸出しの関羽&張飛の二人を相手にする。時代は端折りまくるわ、あんまり頭が切れ>>続きを読む