Sachikaさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

チケット・トゥ・パラダイス(2022年製作の映画)

3.7

前略、南の島はいかがですか?
こちらの天気は快晴、島への一歩が"トロイの木馬作戦"開始の合図。

卒業旅行先のバリで出会った運命の相手と、スピード結婚を決めた娘を阻止する為、険悪な元夫婦が手を組み、様
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ノベンバー(2017年製作の映画)

4.2

十一月の暗く冷たい空気、死者の日を迎えるエストニア。
亡くなった母が物言いたげに佇む。
悪魔、魂、血の契約。
魔女は言う、彼女を殺せばあの人は戻ってくると。
満月の夜に狼が吼える。
彼の目にはあの娘し
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恋人はアンバー(2020年製作の映画)

4.0

閉鎖的なアイルランドの街、ゲイをカミングアウトできないエディとアンバー。
卒業までの期限付きカップルのフリ、マイノリティは苦しい。
2人の友情がずっと愛おしくて、同時に痛々しくて、どうにか2人が幸せに
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奈落のマイホーム(2020年製作の映画)

3.7

韓国発のディザスターパニック映画。

ソウルに構えた念願のマイホーム。
快適で充実した日々の始まりに胸を膨らませていた矢先、起こる悲劇。
転がるビー玉、ひび割れ、断水、そして地下500mへの落下。
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デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム(2022年製作の映画)

4.2

IMAX映画祭 in TOHO日比谷で、3月公開のデヴィッド・ボウイのドキュメンタリーを。
442年ぶりに皆既月食と天王星食が同時に起きた、奇跡みたいに宇宙が重なる日に相応しい、本当に"神がかり"的な
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ビー・ジーズ 栄光の軌跡(2020年製作の映画)

4.0

名曲と共に語られる彼らの軌跡には、多様なカルチャーの変化と、それに伴う"浮き沈み"があって、最良の瞬間も苦しい時も、兄弟が居たから分かち合い・乗り越えてきたんだなという事がよくわかる。

イギリスのバ
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あちらにいる鬼(2022年製作の映画)

3.9

一人の男を愛する、女性たちの信念。
不倫と容認、禁忌的なのにどこか美しく、キャラクターの誰にも共感できないと思っていたのに、不思議と全員の気持ちに歩み寄る事ができる作品だった。
妻と不倫相手、通じるは
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イーディ、83歳 はじめての山登り(2017年製作の映画)

3.7

ずっと不幸だった。
愛のない夫の介護に人生を費やし、夢見た父との登山は果たせぬまま。
後悔の中ずっと生きてきた女性が、一大決心、83歳で憧れのスイルベン山の初登頂を目指す。
誰だって、いつだって、いく
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泣いたり笑ったり(2019年製作の映画)

3.8

2021年イタリア映画祭にて

裕福で利己的なトニの家族と、保守的な漁師のカルロ一家。
物語は、夏の別荘を共に過ごす、二家族に起こるひと騒動。
 
誰かを愛する為には、泣いたり笑ったり、様々な事が起こ
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ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド(2020年製作の映画)

3.5

シタールの音と瞑想、記憶の回廊、トリップ。
名盤『ホワイト・アルバム』を生んだ かの国インドで、一人の若者がファインダー越しに見た人気バンドの素顔とは。
映し出されるお宝写真の数々と、当時の秘蔵エピソ
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雨を告げる漂流団地(2022年製作の映画)

3.5

雨音と共にやってくるディストピア。
夢か現実か、思い出の詰まった団地は、果てしない海原を進んでいく。
時にお互いを傷つけ、大切な事に気づいていく。
子供たちの友情と成長の物語ではあるけど、自分の中の大
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靴ひものロンド(2020年製作の映画)

3.8

夫の浮気から家族の崩壊が始まった。
靴ひもは解けたら何度でも結び直せばいいけど、一度解けてしまった家族の"繋がり"を結び直すのは難しい。
綻んだ家族の絆から、当時子どもたちが学んだ教訓に胸が痛い。
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アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台(2020年製作の映画)

3.8

いつまで経っても来ることのない"ゴドーを待ち続ける物語"は、塀の中で待つ囚人達が演じるのに、ぴったりの演目だった。
エチエンヌの演劇への想いに、囚人たちの演じる姿に、誰もが心を動かされる。
ラストの衝
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ONE PIECE FILM RED(2022年製作の映画)

4.2

ONE PIECEじゃなくてもいいことを、ONE PIECEの映画でやる。
少年漫画・冒険漫画の未来を変える、"新時代"的な映画だと思った。
何より楽しみにしていた、シャンクスとルフィの共闘はあるのか
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呪詛(2022年製作の映画)

3.7

電波の届かない山奥、禁忌、上にいる悪い物、繰り返されるお経。
そのお経は、娘の為にどうか唱えてほしい。
ビデオカメラやスマホの映像を駆使し語られる、呪いの真実。
夜眠れなくなったら、好きなものを3つ考
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アルピニスト(2021年製作の映画)

3.8

知る人ぞ知る天才クライマー、マーク・アンドレ・ルクレールに2年間密着し、登攀の模様を記録したドキュメンタリー。
何故、彼は知名度が低いのか。
それは彼が名声を求めずに、ただ山と向き合い、難易度の高い山
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バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー(2021年製作の映画)

3.7

バッドシグナルが現れた。
岩をも砕くパンチ、聖なるハンマー。
ヒーロー“役”だった記憶を無くし、自分自身をヒーローだと思い込む。
が、ソーとはいえ、彼はバッドマン。
悪から大切なものを守る為に戦う。
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魂のまなざし(2020年製作の映画)

4.0

触れられなかった背中、一緒に描いた林檎、二人だけの思い出、手紙の返事を待つ間の憂鬱な時間。

フィンランドの女性画家 ヘレン・シャルフベックは、何を思い、作品を描いたのか。
彼女自身にも作品についても
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ボイリング・ポイント/沸騰(2021年製作の映画)

3.8

クリスマス前金曜日、満席。
人気レストランの舞台裏、まさに戦場。
浮かれるゲストとは反対に、迎える側のスタッフは怱怱たる狂気の中、戦いに挑む。

94分間ノンストップ・ワンカット。
目まぐるしく人が動
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エルヴィス(2022年製作の映画)

3.5

オースティン・バトラー演じるエルヴィス・プレスリーは最高だったし、彼が歌う瞬間、腰を動かす瞬間、女性たちが黄色い歓声をあげるのがすごくよくわかるし、ドキドキするシーンがたくさんあった。

それにアメリ
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

4.0

結婚は?子供は?仕事は?いま幸せ?
この歳になって聞かれる、意味のない質問の羅列。

30歳って大人?こども?
まだ自分の人生の“主人公”にもなれていないから、わかるわけないのに。

人生は選択の連
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ザ・ロストシティ(2022年製作の映画)

3.5

セクシー?プラトニック?
貴女はどんな小説がお好み?
アブナイ冒険も、燃えるような恋も、本の中だけだと思っていたけど、真実は世界中に散らばっている。

島の宝探しに巻き込まれる 小説家の冒険に、恋愛要
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リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

4.2

走って走って、君に追いつきたい、追い越したい。
君に触れたい、君に言いたい事がある。

「ばかね」

君の隣に並びたい、君がいないと何かが足りない。
例え惨めに見えようとも、この気持ちに気づいてほしい
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マイスモールランド(2022年製作の映画)

4.0

クルド人のアイデンティティ、日本で育ち日本に生きる少女の葛藤。
日本人は優しい。
そして無意識に、あるいは意識的に、自分達とは違うものを傷つける。

「しょうがないよ/しょうがなくないよ!」
サーリャ
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アオラレ(2020年製作の映画)

3.4

クラクションを鳴らしたが最後、むちむち・サイコパス・ラッセル・クロウにひたすら追われるスリラー。
理不尽、不幸自慢。
もしも未来が暗いままなら、死んだってかまわない。
(その時は道連れだよ♡)

障害
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君を想い、バスに乗る(2021年製作の映画)

3.8

小さな鞄に大切なものを詰め込んで。
目指すはスコットランドのてっぺんから、イングランドの最果てまで。
心には亡き妻の想いと、美しく、そして悲しい記憶を。
徐々に明かされる、トムの悲願の旅路の秘密。
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ある日、ローマの別れ(2021年製作の映画)

3.6

「恋人と別れたい」
作家のトンマーゾが匿名で活動する、恋愛相談コラムに寄せられた相談。
長く連れ添った自身の恋人・ゾエとは大きな喧嘩もなく、ずっと順調な関係を保ってきたはずだったが、その"相談"は 明
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X エックス(2022年製作の映画)

3.8

ポルノで掴むアメリカンドリームはいかが?
若いうちに、美しく撮ってね。

舞台は1979年テキサス。
ポルノ映画の撮影から始まる、予想通りのホラー映画、かと思いきや、途中、その‟思わせぶり”から外れ、
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PLAN 75(2022年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

10万円はご褒美、貴方は何に使う?
「そのお金は自分のお葬式に使う人も多いんですよ」
なんて台詞が淡々と出てくるスタートに、鳥肌が立つのを感じる。
75歳で死ぬことを選択し、もらった支度金で最後の一日
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ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

4.2

僕たちは皆嘘つきだから。
血の繋がりもない・家族でもない、チグハグな関係性の中で、当事者・外から見ている人、色んな角度から親子を知り、家族を知り、成長する。
愛とか絆とか、陳腐な言葉では描ききれない
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内なる檻(2021年製作の映画)

4.0

閉鎖寸前の刑務所で、各所の刑務所へ移送されることが決まっていた受刑者たち。
刑務官たちも安堵していたのも束の間、移送延期により残る事を余儀なくされる。
長期化していく劣悪な環境に苛立つ受刑者に、監視す
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ディアボリック(2021年製作の映画)

3.6

目出しの革スーツに身を包み、狙った獲物は逃さない。
暗闇に紛れ今宵も宝を盗む、怪盗ディアボリック。
殺しも厭わない 非道な彼の素顔を知る者は、誰一人としていない…彼女を除いては。

イタリア発、人気コ
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FLEE フリー(2021年製作の映画)

3.6

幸いな事に私たちは 亡命しなくてはという危機に直面したことも無いし、人生を偽る事もなく、誰かを好きでいることも自由だ。
一方で誰にも迷惑をかけずにただ生きる事が難しい人が、世界にどれだけいるのか。
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