しんさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

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イン・ザ・ハイツ(2021年製作の映画)

3.5

たぶんハリウッド史に残る作品になるのでしょう。ほぼラティーノだけで作られたミュージカル、数年前じゃ考えられない作品です。それだけでもこの作品の価値は押して知るべしというべきでしょう。

そして作品とし
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ホロコーストの罪人(2020年製作の映画)

3.4

ホロコーストを企図し実行したのはナチスドイツです。それはそうなのですが、ノルウェー国籍のユダヤ人をアウシュヴィッツへ送り出したのは誰か、強制収容所を運営したのは誰かといえば、それはノルウェー人でした。>>続きを読む

水を抱く女(2020年製作の映画)

2.6

全体的に中途半端な作品でした。ウンディーネをある種の幻想として描くわけでも、明確な実体のある個人として描くわけでもなく、ベルリンの開発計画の独自性や街の中心地と周縁の対比、街を俯瞰しながら街の中にいる>>続きを読む

劇場版 アーヤと魔女(2020年製作の映画)

1.1

ジブリの悪いところはそのままに、良いところを失った感じになっています。これは残念な作品でした。

まずは声優陣のクオリティの低さは目を覆うばかりです。ジブリ作品は頑なにプロ声優を使いませんが、本作はそ
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サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

3.5

『小さな恋の歌』や『アルプススタンドのはしの方』など、青春映画は一年に一回は心に入れておきたくなりますね。本作も疾走感たっぷりの青春感がとても気持ちよかったです。

まず伊藤万理華の表情がいいですね。
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Summer of 85(2020年製作の映画)

3.7

10代の一時期において「脆さと疾走感」はコインの裏表になっています。漠然とした不安を抱きながら、それを解決する術も知らない「彼ら」にとって、走り出すことしかなかったのでしょう。とても美しく、「彼ら」を>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.5

欲しいシーンが欲しいところにある。ワンカットワンカットが長いのに冗長ではないし過不足もない。表情や声、風景など非言語で表すものの豊かさを再確認するだけでも素晴らしいのに、それがワーニャおじさんとシンク>>続きを読む

映画 太陽の子(2021年製作の映画)

3.5

感傷的な終わりを迎える戦争映画は基本的に苦手なのですが、本作は科学者という存在に焦点をあて、安易な話にしなかったのがよかったと思います。「真理を誰よりも早く見つける」ことを唯一の指針とする科学者にとっ>>続きを読む

モロッコ、彼女たちの朝(2019年製作の映画)

3.4

未婚の妊婦のサミアと事故で夫をなくしたアブラの二人の女性が織り成す叙事詩。サミアと自分の娘が仲良くしていることに劣等感を覚え、いつも以上に娘に学校で「優秀に振る舞う」ことを求めるアブラ、娘から責められ>>続きを読む

ウォーデン 消えた死刑囚(2019年製作の映画)

3.0

第4回東京イラン映画祭にて鑑賞。テンポのいいかくれんぼ(おに側の視点)映画。イラン映画にあまり馴染みはなかったが、安定したクオリティで流れもいいので飽きない構図が保たれていた。

ただ取り立てて評価す
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名もなき歌(2019年製作の映画)

3.0

ハイパーインフレに苦しむ1988年のペルーで実際に起こった先住民族の嬰児誘拐事件を題材にしたモノクロ映画。有権者番号(日本でいうマイナンバー)を持たない彼女らは、自分が生んだ嬰児が誘拐されたとしても裁>>続きを読む

アウシュヴィッツ・レポート(2020年製作の映画)

3.7

徹底的に観客に「耐える」ことを要求する秀作。エンドロール含め、どのシーンをきりとっても安易な救いや癒しはほとんど出てこない。この物語であればこの作りが正解だと思う。予告編などとはかなり異なる印象を受け>>続きを読む

キネマの神様(2021年製作の映画)

2.3

神様は「カットとカットの間に宿る」というのはその通りだと思います。ではこの映画のカットとカットの間に神が宿っているかと言われると、正直微妙ですね。

まず各役者が強い演技をしており、間をもたせようとい
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SEOBOK/ソボク(2021年製作の映画)

2.4

全体的に平板な内容でした。アクションやCGの迫力、ストーリー、キャラクター設定など、どれも可もなく不可もなくというか、フックが掛からない感じでした。

SFチックでありながら、現実の科学技術と人間社会
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17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)

4.0

17歳の少女(オータム)の瞳にうつる世界に徹底的にこだわった名作です。キャッチには「勇気に絶賛」といった言葉が目立ちますが、たぶんその見方は一面的だと思います。

むしろ本作が白眉なのは、彼女たちの前
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ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)

3.6

もっと自分に映画を見る力、西部開拓時代に関する知識や思い入れがあれば、もっといい評価ができたのにと本当に後悔した作品でした。

西部開拓時代を描いた作品ですが、かっこいいカウボーイも出てきませんし、大
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復讐者たち(2020年製作の映画)

3.5

ユダヤ×ナチスドイツものの映画は数多く作られています。そのなかでも本作は少し異色な作りになっています。

まず戦中のユダヤ人虐殺が直接的に描かれるシーンはほとんどありません。強いて言えば劇中映画として
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最後にして最初の人類(2020年製作の映画)

-

僕の理解を許すほど緩い作品ではないので、スコアはつけません。しかし良い作品でした。

登場するのは石像(モノクロ)、バックサウンド、未来からの声だけです。まさに過去(石像)と現在(サウンド)、未来(声
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ライトハウス(2019年製作の映画)

3.7

たった一人で絶海の孤島に残されたら人肌恋しいだろうなと思ったりします。ではたった二人で残されたらどうでしょう。本作はそんな疑問にこたえる作品です。

灯台守として勤務する二人は、次の連絡船が来るまで二
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親愛なる君へ(2020年製作の映画)

3.2

非常にシンプルな物語なので、ミステリアスな装いながら話の流れが見えてしまっていた感はあります。しかしテーマの特殊さと演技のうまさがその欠点を補っていました。

まずテーマですが、男性同性愛者の物語は最
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走れロム(2019年製作の映画)

3.7

パルクールのような疾走感でベトナム地下経済の大動脈(闇くじ)のダイナミズムとそこに関わる人々の悲喜こもごもを生々しく描いた快作。

今日の暮らしも満足にできない労働者たちは、後先のことなど考えずに毎日
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竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

2.8

細田守監督の最高傑作は『デジモンアドベンチャー:ぼくらのウォーゲーム』だと思っています。現実社会とバーチャル世界を行き来しながら、相互に作用し合う様子をスッキリと描いていると思います。

本作は同じく
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オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

3.8

ロードムービーのお手本のような名作。大人になると感じる仄かな息苦しさや本音をちょっとだけ言えない感じが、色鮮やかに無理なく表現されていた。

感動的な涙も大きな事件も起こらないけれど、それこそ『ノマド
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83歳のやさしいスパイ(2020年製作の映画)

3.3

特別養護老人ホームの入所者の孤独を面白い視点で描いた作品でした。現代社会には老いや死を日常から見えなくする施設がたくさんあります。特別養護老人ホームはその代表格であり、その入所者の孤独は現代の深刻な社>>続きを読む

シンプルな情熱(2020年製作の映画)

4.0

「恋に落ちる」とはどういうことかを、ドキュメンタリーと見紛うほどの核心をついた表現で描ききった傑作。恋愛映画ではしばしば、「彼がいたから私の世界は色づいた」とか、「彼が私に生きる希望を与えてくれた」と>>続きを読む

1秒先の彼女(2020年製作の映画)

2.9

構成は確かに新しいし、典型的なラブコメなんだからうだうだ言うなと言われそうだけど、やっぱりオーソドックス過ぎて少し飽きてしまった。

ワンテンポ早い彼女とワンテンポ遅い彼のディテールはしっかりしていた
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夏への扉 ―キミのいる未来へ―(2021年製作の映画)

3.3

思っていたよりも面白かったというのが第一印象です。頭がこんがらがりがちなタイムリープものをこれだけスッキリと作った点で、まず評価できます。清原果耶の顔の演技はいつも通り素晴らしいですし、山崎賢人のくど>>続きを読む

スーパーノヴァ(2020年製作の映画)

3.9

温かい涙が頬を流れる秀作です。作品の中では、時間がとてもゆったり過ぎていき、眠くなってしまう時もあります。しかし、その時間こそが二人にとってはかけがえのない宝物であり、彼らが見ている星一つ一つが、二人>>続きを読む

戦火のランナー(2020年製作の映画)

3.0

色々な方の推薦コメントには、「感謝」や「心」、「希望」といった言葉が並んでいますが、むしろ本作は「一人の人間がナショナリズムを体現したときの過大な重圧と悲哀」の物語ではないでしょうか。

南スーダンと
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グリード ファストファッション帝国の真実(2019年製作の映画)

3.6

「ridiculous party」という単語の意味を噛み締めながら見ると、かなり面白い作品でした。グリーディ(主人公)やその周囲の億万長者たちの私生活は、もはや憧れすらしないridiculous(バ>>続きを読む

ブックセラーズ(2019年製作の映画)

2.5

内容としては平凡なドキュメンタリーでした。良いドキュメンタリーは、内容が斬新で新しいか、撮り方が面白いか、リアリティのラインが興味深いかなどの要素があると思うのですが、どれもまぁまぁかなと。

面白か
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トゥルーノース(2020年製作の映画)

3.3

現代の閉鎖国家である北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の強制収容所を描いた、非常に重要な作品です。実際に収容されていた人だからこそ分かるディテールが興味深く、国際問題にしなければならないと思いを新たにし>>続きを読む

椿の庭(2020年製作の映画)

3.5

「静」を雄弁に描く、素敵な映画でした。人間は何に向かって生きるのかという問いのひとつの答えは、枯れるために生きるというものがあると思います。もちろんまだ生きられるのに死んでしまう人も沢山いますが、最後>>続きを読む

逃げた女(2019年製作の映画)

3.5

不思議な映画でした。女性同士の会話を盗み見しているような雰囲気で、非日常な日常を体験しました。先輩や友人との会話は、分かっていることを飛ばして話します。映画では基本的にそれが主人公の口から説明されたり>>続きを読む

のさりの島(2020年製作の映画)

3.3

静かな映画です。そのなかで甘美なノスタルジアと甘くない現実の葛藤が丁寧に描かれています。地方は素晴らしいという単純な話ではなく、よく言われるステレオタイプに抗う演出が施されていました。

象徴的な表現
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アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)

3.8

デイヴィッド・バーンと劇団員たちがカッコよすぎます。本当に観客のようにぶち上がりたい衝動を必死に押さえてました。

小さな舞台で繰り広げられる壮大なドラマは、人々の多様性を雄弁に語っており、その先に人
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