安堵霊タラコフスキーさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

安堵霊タラコフスキー

安堵霊タラコフスキー

ファインディング・ニモ(2003年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

水槽で網から逃れる伏線とそのクライマックスでの回収っぷりが見事過ぎて他の展開が思い出せない作品。

夜の第三部分(1972年製作の映画)

4.7

ラース・フォン・トリアーのやってることが児戯に思えてしまうレベルで純粋で躍動的な狂気の世界をデビュー時から驀進するズラウスキーの姿勢に感嘆する作品。

バレエ・メカニック(1924年製作の映画)

4.0

坂本龍一に影響を与えたと言われている作品と言われているけど、ジョージ・アンタイルの喧しいとも言ってしまえるピアノ音楽とマン・レイも関わったハイセンスな映像のコラボレーションには謎の癒し効果が感じられた>>続きを読む

マルセル 靴をはいた小さな貝(2021年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

喋れるくらいの知能を備えた小さい貝殻の姿を追ったモキュメンタリー。

完全なるフィクションじゃなく虚構性のあるドキュメンタリーという手法を取ったおかげもあり、妖精チックな存在なのに実在を感じられる作り
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

話の漠然とした感じとしても終わり方の呆気なさ的な意味でも、ハウルとポニョと風立ちぬを合わせた実に21世紀の宮崎駿らしい作品。(でもそれを前情報も無しに味わっただけにインパクトも凄かったから良し)

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人間の約束(1986年製作の映画)

4.5

音楽が細野晴臣だったり等のスタッフ的な意味合いでも吉田喜重らしさはあまり感じられない映画だったものの、痴呆や介護の悲惨さがこれでもかと描かれており長生きする気が失せるという意味で良い作品だった。

小説家の映画(2022年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

最後になるまでは会話にリアル感のある良質なホン・サンス作品程度の印象だったけど、キアロスタミの桜桃の味をどこか髣髴とさせる劇中の自主制作映画らしい一場面を挿入したラストのおかげで凄く変わった感動が齎さ>>続きを読む

ロアン・リンユィ/阮玲玉(1991年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

伝説的女優ロアン・リンユイの伝記映画を撮るという趣旨が感じ取れるメタ描写が散見される点に面白味がある作品でありながら、伝記描写における演技力等の良さでしっかりロアン・リンユイの女優人生を追体験できると>>続きを読む

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

4.0

フラッシュが突入した時間遡行空間の万華鏡的描写とかエズラ・ミラー同士の演技合戦とか映像的な魅力が多数見られた作品ながら、最後の最後で首を傾げる展開になってしまったのが残念。

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

-

2時間以上があっという間に過ぎたように感じられる密度には感心するけれども、こういうことをされると非常に困る。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

4.5

良くも悪くも色々とキャラの悪い面を目立たせつつも良い具合に見せ場を作ってまとめ上げた、シリーズ最終作らしい味の作品。

冒頭のCreepを初めとした音楽も70年代から21世紀のものまで幅広くかつ絶妙な
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マルサの女(1987年製作の映画)

4.5

宮本信子と山崎努、そして途中参戦する津川雅彦の演技合戦という側面だけで見ても強烈な作品。

ブラックな題材に反して伊丹十三らしいコミカルさも目立つ作風ながら、ラストがドの付くくらいシリアスで文芸的とも
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ルシファー・ライジング(1972年製作の映画)

4.1

60年代から70年代にかけてのヨーロッパの芸術映画にありがちな雰囲気に作られた変な作品。

演出とかに若干チャチなところも感じてしまうが、そこもケネス・アンガー作品らしい魅力と言えるか。

岸辺露伴 ルーヴルへ行く(2023年製作の映画)

4.0

良くも悪くもNHKで放送していたドラマを映画として格調高くしたような作品。

程良くオリジナルを挟んでいて(崩れた字体のフランス語が読める知性が備わった編集等ツッコミ所もいくつか生まれていたが)原作読
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ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022年製作の映画)

4.0

女性らが村での進退について討論する12人の怒れる男みたいな作品。

あらすじとして記されているんで言及するけど、最初は女性らの服装から産業革命以前の話かと思っていたら途中で2010年の話だと明かされる
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怪物(2023年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

映画史において羅生門以上に藪の中スタイルを有効活用した作品として見事に思え、主体となる人物が変わることによって人物の見方も変わってくる様子が白眉でカンヌ脚本賞も納得。

役者陣の演技も人間性が良くも悪
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暗闇の秘密(1949年製作の映画)

3.9

ロナルド・レーガン主演の結構レアな作品って程度の理由で鑑賞したけれど、ドン・シーゲルが助監督として関わったハワード・ホークスの色を最も濃く出した映画にも感じられて悪くない味わいだった

男女が互いの問
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屋根の上のバイオリン弾き(1971年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

19世紀末のユダヤ教徒の村での暮らしに焦点を当てた珍しいミュージカルという程度の印象から始まったのに、途中から不穏だったとはいえ村で軍の弾圧に遭って主人公らが住めなくなる終わり方とは思わず驚いた作品。

ベツレヘムの星(1945年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

いつもは冷淡で薄情であろう人物が出産のときだけ献身的になるっていう現金な話という印象だったのだけれど、紳士的浮浪者にコーヒーを与えるときの主人公の所作みたく演出的に巧みなところもあってか非常に好意的に>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.1

全編通して初めて言わんとした内容がなんとなく掴めるような作品。

しかしカメラが近いギヨーム・ブラックとも形容できる演出と映像のスタイルにより、単なる親子の束の間の交流という話であっても詩的に感じ取れ
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自由の代償(1975年製作の映画)

4.8

演技に演出に画面作り、どれを取っても一級品なファスビンダーの才気がこれでもかと煥発した、謂わばファスビンダー版市民ケーンみたいな作品。

同性愛描写の癖がちょっと強いこと以外欠点らしいところが見当たら
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Luis(原題)(2008年製作の映画)

4.7

しかしこんな常軌を逸した悪夢的空間を形成して映画を撮るなんて、いくら短編とはいえ作ってて気が触れちゃいそうな気がするから監督らが心配になる。

シュヴァンクマイエルとかクエイ兄弟とかに近いものを感じる
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Lucía(原題)(2007年製作の映画)

4.7

ヤン・シュヴァンクマイエルとブラザーズ・クエイを合わせたかのような、しかしそれでいてタイプのまるで違う不気味さが漂う色々と恐ろしい短編作品。

それにしてもこんな常軌を逸した悪夢的空間を作って映画を撮
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里見八犬伝(1983年製作の映画)

2.5

戦闘描写とかに見応えのあるものは多かったけれども、美術とか音楽とか演技とか展開とかがかなりちゃっちく苦笑もので、現代に見られる学芸会的とも揶揄される邦画の源流みたいなものを感じてならなかった。

アダマン号に乗って(2022年製作の映画)

3.4

日本映画でもないのに日本で金熊賞作品を先んじて鑑賞できる貴重な機会ではあったけど、フレデリック・ワイズマンとクロード・ランズマンの作品を足して緩くしたような会議やインタビューを主体としたスタイルだった>>続きを読む

ピール(1982年製作の映画)

3.5

短編パルムドールを受賞したジェーン・カンピオン初期の短編映画で、低予算ながら不思議なインパクトのある一幕家族ものといった様子の作品ではあるけど結局何だったのかが謎。

大いなる勇者(1972年製作の映画)

3.7

この時代らしくアメリカンニューシネマ然とした虚しさとか切なさが漂う西部劇。

ロバート・レッドフォードらの淡々とした生活描写や対比的な激しい戦闘描写等見所はそこそこあったものの、同年のカンヌで言うとこ
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TAR/ター(2022年製作の映画)

4.3

天才芸術家が(主に同性間の色恋沙汰による)身から出た錆で破滅する様子を描くという点ではありがちに思える内容ながら、ケイト・ブランシェットらの演技力や以前とはガラっと変えた監督のヨーロッパ映画的スタイル>>続きを読む

三人の女(1977年製作の映画)

4.0

イメージズから5年程度の感覚を空けてアルトマンが撮った、ベルイマン的女性映画。

アメリカの映画だから当然とはいえ結構アメリカらしい場面が多く、イメージズよりヨーロッパ映画的な質感に乏しかったので好み
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EO イーオー(2022年製作の映画)

4.8

ロバを始めとした動物に対する人カスのエゴを、サイレント映画を思わせる実験的映像を駆使しながら描写した意欲作。

バルタザールどこへ行くをモチーフとしながら、ロバのEO君を巻き込む人間の愚かさが現代的に
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ストレンジャー/謎のストレンジャー(1946年製作の映画)

4.5

オーソン・ウェルズ主演のサスペンスとして真っ当が過ぎる内容ではあったものの、構図や演技で魅せる力が流石と言わざるを得ないくらい凄まじいので見応えは抜群の作品。

カラビニエ(1963年製作の映画)

4.2

60年代のゴダールらしく戦争を滑稽にそしてやんちゃに皮肉ってみせた様子が心地良い作品。

暴太郎戦隊ドンブラザーズVSゼンカイジャー(2023年製作の映画)

3.9

一時期の仮面ライダーMOVIE大戦みたく二つの戦隊各々の話をして最後に合流させる手法を取っており、それはそれでどっちも持ち味を活かした変さがあって良かったのだけれども、どうせなら個の強さを混ぜ合わせた>>続きを読む

東から(1993年製作の映画)

4.2

他の人も言っているように長いとも思ったけれども、ストローブ=ユイレとアンゲロプロスを合わせたような長回しの質感がある場面が多かったから個人的にはかなり好印象。

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

4.5

マリオを主役にした映画として完璧とも言える形に仕上がった作品。

ゲームシリーズのリスペクトやオマージュは当然として、娯楽映画のフォーマットに則って「何故ヒゲ面のおっさんが世界的に最も有名なゲームキャ
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.3

主人公のビジュアルの破壊力と演者の高い演技力で魅せるタイプの演劇を映画として昇華した作品。

人間の悲しい愚かさについての家族の物語という意味でも、セールスマンの死や欲望という名の電車に近いものがあっ
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