湯っ子さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

アレックス(2002年製作の映画)

4.2

「時は全てを破壊する」
「悪などない。行為があるだけだ」

冒頭に語られる印象的な言葉について、ずっと考えていたけれども、このセリフを口にする人物がろくでもない奴ってことからして、監督はまるっきり逆の
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.0

おかえりなさいのカウリスマキ。
ウクライナやパレスチナや、他にも世界中で起こっている戦争があって、日常的にそのニュースが報じられる今、監督はそれを黙って見ていることができなかったんですね。こんなにシン
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欲望という名の電車(1951年製作の映画)

2.8

これって有名な賞をもらってる戯曲だし、映画としても舞台としても名作らしいですね。「『欲望という名の電車』のブランチみたいな女性」っていう言い回しを、何度か聞いたことがある。
確かに、これは演じてみたい
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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

3.7

前半の「何かありそう感」の演出が良い。横溝正史の世界観をアニメで観るのも、画の作りが映画っぽいのも新鮮。私はなんの映画でもアクションシーンになると興味を失いがちなので、後半ややテンションが落ちたが、ア>>続きを読む

バーナデット ママは行方不明(2019年製作の映画)

3.8

バーナデットが専業主婦として過ごした20年間は描かれていない部分だけど、その結果が夫や娘との関係であるし、愛らしく賢く伸びやかに育った娘ビーなのだと思う。
その中で営む生活を含めての「家」をデザインす
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ほつれる(2023年製作の映画)

3.9

旦那さん役の人、どっかから連れてきたシロウトさんかと思った。ヘタってわけじゃなくて、めちゃ普通の人で、演技してないみたいに見えた。ナチュラルに微妙なさじ加減のモラハラ夫。
ロケーションと映像が美しいの
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不安は魂を食いつくす/不安と魂(1974年製作の映画)

4.0

びっくりするくらい普通に夫婦の話だった。
ふたりの属性はたしかに特殊、だからそのへんに対しての周囲の偏見や差別などの不協和音はあるものの、描かれているのは絶望ではない。
「幸福が楽しいとは限らない」っ
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13回の新月のある年に(1978年製作の映画)

4.3

今日はずっとエルヴィラのことを考えてた。あとは、つるりと皮を剥かれる牛と、無駄のない手さばきの屠殺業者。
生があるから死があって、生きるために殺して食べて、死ぬほど絶望してるのに歌って踊ったりするとな
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Bi Gan | A SHORT STORY/ビー・ガン | ショートストーリー/壊れた太陽の心(2022年製作の映画)

4.0

胡蝶の夢ならぬ、猫の夢の中にいた。目覚めたあとにもいつまでもいつまでもこの夢を思い返して、だけど正確には思い出せなくて。いまだに体の中にこの夢がゆらゆらと漂っている気がする。人生でいちばん大切なこと。>>続きを読む

ゴーストワールド(2001年製作の映画)

4.0

ブシェミ演じるシーモアが不憫じゃった…若い女の子にあれだけアプローチされても、ギリギリまでは理性でおさえてたのに…
だけど、イーニドの気持ちもわかる。自分なんかを相手にしない大人の男だったから好きにな
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フェミニズムの結果(1906年製作の映画)

-

男女のパワーバランスの不平等を訴えるのが目的ではなくて、人間という生き物を観察する視点で面白がってしまおうという趣旨を感じました。
100年前の女性がこんな作品を作ったということには驚きと尊敬がありま
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ステップフォード・ワイフ(2004年製作の映画)

3.5

確か公開後すぐにレンタルして観たから、20年ぶりに再鑑賞。原作は「ローズマリーの赤ちゃん」のアイラ・レヴィン、1972年。当時は面白かった印象があるけど、今回観たところこんなもんだっけ?な感想でした。>>続きを読む

ねこぢる草(2000年製作の映画)

4.2

懐かしさと恐ろしさと後ろめたさがぐるぐると。マンガではけっこうセリフの存在感があったような気がするけど、このアニメにセリフはほとんどなくて、それが逆にマンガの世界観を壊さない。セリフのかわりに聞こえて>>続きを読む

綿の国星(1984年製作の映画)

3.8

原作はずいぶん昔に読んだけど、すでに手放してしまっていて、ほとんど覚えていません。なので、チビ猫にはこのアニメで初めて出会ったのと等しい感覚。
チビ猫はもちろんかわいらしくて健気だし、ふわふわの髪に白
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ポエトリー アグネスの詩 4K レストア(2010年製作の映画)

4.3

残酷な現実についての映画であるのに、同時に美しい詩の映画でもある。
「美しい」「醜い」「苦しい」「悲しい」「惨め」、感情をあらわすこれらの言葉を使わずに表現するのが詩なのだと思った。
詩の教室の生徒た
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劇場版 センキョナンデス(2023年製作の映画)

-

フォロイーさんたちの高評価で気になってたこの作品がU-NEXTに!私にわかるかな〜と不安でしたが、面白かったです。

実は「なぜ君は総理大臣になれないのか」も以前観ているのですが、どういうレビューを書
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親切なクムジャさん(2005年製作の映画)

3.6

オープニングクレジットからもジャケットからも、日本の少女マンガっぽさを感じる。今のはわからないけど、80〜90年代の白泉社の少女マンガの雰囲気(私は集英社派でしたが)。「オールド・ボーイ」も日本のマン>>続きを読む

ニンフォマニアック Vol.2 ディレクターズカット完全版(2013年製作の映画)

4.0

とある衝撃シーンを「負けるか!見届けてやる!」という謎の頑張りを発揮し、「よし、見届けた…」と思った途端に具合が悪くなってダウン。仕切り直して翌日に続きを鑑賞。
Vol.1で私が疑問に思ったリスクは、
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ニンフォマニアック Vol.1(2013年製作の映画)

3.7

色情狂を自認するヒロインの武勇伝?につきあうおじさんが、少年のような瞳で「楽しそうだね!君ってすごい技を持ってるんだぁ」とか言って、釣りや数列や音楽なんかの豊富な知識に例えてくるのがおもしろい。
トリ
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サタデー・フィクション(2019年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

評価はイマイチっぽかったけど、せっかくロウ・イエ作品を劇場で観られるんだから、あんまり構えないでエモーショナルな波に身をまかせてこようと思い。前半こそ少しウトウトしたけど、後半の銃撃戦の臨場感はすごか>>続きを読む

メランコリア(2011年製作の映画)

3.0

この結婚式さあ…、新郎新婦が2時間遅刻したり花嫁が中座したり、よくお客さんたち怒らないで付き合ってるよねってことばっかり考えてしまった。
これは「アンチ・クライスト」を観た時から何となく感じてたことな
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小公女(2017年製作の映画)

3.4

mark数が少なくて評価が高い作品というのは、私のセレクトが間違ってたってことなのかもね。
こういう生き方も良いよね、って言いたい。いろんな生き方を肯定してくれていて優しい。そうは思いますが。そんなに
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憂鬱な楽園(1996年製作の映画)

4.0

退屈さもあるし、ギャハハ面白いって感じでは絶対にないんだけど好きだった。電車や車やバイクに乗っている感覚にだらりと身を委ねると、すごく心地いい。山道のバイクシーンは、青々した木々の匂いやしめった風が感>>続きを読む

アンチクライスト(2009年製作の映画)

4.0

的外れかもしれませんが、思いのままに書きます。
トリアー監督って、ただ女を痛めつけて喜ぶ人なのかと思っていたけど、ちょっと印象が変わった。もちろんそういう嗜好はあると思う。でもその裏に、想像を絶するほ
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死の棘(1990年製作の映画)

4.3

狂気と滑稽さ、それ以上にどうしようもなく愛を感じた。
現実の空はいつもどんよりと厚い雲が空を覆っているのに対し、ふたりの出会った島の思い出は鮮やか。青くあかるい海、夜の浜辺での焚き火を囲む舞踊、森の中
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ガザの美容室(2015年製作の映画)

3.9

ガザのことを少しでも知りたいと思って鑑賞しました。

おしゃれをするってことは、ひとに素敵だと思われたいってことと、自分を好きでいたいってこと。どんな自分に見られたいか、どんな自分でいたいかってこと。
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マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)

4.2

「現実が私に追いついてないのよ」…確かに。
誰もあなたには追いつけません。ひとりで激動の時代を駆け抜けて砕け散ったマリア・ブラウン。

いや〜すごかった。いろんな思いが湧いてきてまとまらないので、その
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裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

-

神も悪魔も人間が想像して作ったものだから、神も悪魔もその点では同じもの。だけど何を神として何を悪魔とするかの違いは所属する団体によって違っていて、各団体の中では、ある一定の決まりを作っておくことが秩序>>続きを読む

グロリア(1980年製作の映画)

3.5

このジャケットの絵面は素晴らしい。こういう組み合わせを考えたのは発明かも。でも、それ以上のものは私には感じられなかった。
悪者の男たちとガキンチョが小道具にしかなってないように思える。ジーナ・ローラン
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ガンパウダー・ミルクシェイク(2021年製作の映画)

3.7

カッコいい女たちが連帯してアホな男どもをやっつける、痛快フェミ娯楽映画。アクションシーンにハラハラは皆無、だけどそれがいい。

主人公のママ、どっかで見たことあると思ったら、GOTのサーセイではないか
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クラッシュ(1996年製作の映画)

2.6

だめだ〜まったく理解できません。えろいシーンも割とみんな似ているのでウトウト。主人公の奥さんは、途中からちょっと嫌々付き合ってる感があって気の毒になってしまいました。まあ、話題作を観たってことで良しと>>続きを読む

ベロニカ・フォスのあこがれ(1982年製作の映画)

3.2

つまらなくはないけど、面白くもなかった。私の修行が足りないだけなんでしょうけど。
ヴェロニカ・フォスの細〜い眉毛や「リリーマルレーン」からのおぼろげな記憶でマレーネ・ディートリヒを連想。
タイトルの意
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東京夜曲(1997年製作の映画)

4.2

お茶漬け食べてかない?means “I love you.”
だって、月がとっても青いんだもの。

市井の人々の日常を描き、小津オマージュと言われているこの作品。
小津映画は紀子三部作を観たくらいなん
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ジョゼと虎と魚たち(2020年製作の映画)

3.4

オリジナルの猥雑さとちょっとやりすぎのコメディ感を排除していて、こちらの方が洗練されているとは思う。が、人物の描き方が物足りなく、ジョゼとヨンソクがなぜ恋に落ちたのか、なぜ別れたのかが全く伝わってこな>>続きを読む

ヘイトフル・エイト(2015年製作の映画)

-

過去鑑賞。
今回はちょっと流し見。デイジー・ドメルグが血だらけアザだらけの顔でウォーレンにウインクするシーンと、毒入りコーヒーのくだりというお気に入りシーンを選んで再生してみた。あと、「デス・プルーフ
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デスプルーフ in グラインドハウス(2007年製作の映画)

4.5

ひゃ〜面白かった!ずいぶん前に観たからほとんど忘れてたので、初見の感覚で楽しめた。
ガールズのカジュアルでビッチなファッション大好き。仲良しだからこそのエロトークやら貶し合いやらのガールズトークも楽し
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