結局「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」の「サイレント図書館」とやってる事は同じなのだが、「音を立てたら即死」という縛りが、ありきたりの侵略SFにフレッシュな緊張感を与えている。ただでさえスト>>続きを読む
前作では、ホームセンターで働いている気のいいオッサンが実は元CIAの特殊工作員だったという点が終盤まで伏せられており、「何でこのオッサンこんなに強いんだ!」という敵役の驚きが観客のそれとリンクしていた>>続きを読む
映画界では何年かに1度、いかにもデヴィッド・リンチっぽい映画が作られ、その度に映画ファン達は「これは傑作に違いない!」と心躍らせながら映画館に駆け付け、そしてガッカリした顔で劇場を去る、という悲劇が繰>>続きを読む
講演の為にある地方都市を訪れた映画監督と、その町に暮らす女性画家との束の間の恋愛模様を描く本作は、リチャード・リンクレイターの『恋人までの距離』韓国版といった趣だが、前半と後半で同じストーリーを反復し>>続きを読む
『彼は秘密の女友達』で性差の壁を軽やかに飛び越えたフランソワ・オゾンの新作は、双子をテーマにしたサスペンス。愛する夫に秘密の双子が存在した、という発端は、いかにもフレンチ・ミステリーらしいが、中盤から>>続きを読む
テイラー・シェリダンは、映画において2つの点を重視している様だ。1つめは、アメリカの辺境を舞台に、アメリカ人が決して正視しようとしない現実をスクリーンに焼き付ける事。もう1つは、そうした社会学的なテー>>続きを読む
中盤から終幕まで涙が止まらなかった、と言うと一緒に見に行ったリアリストの妻は全く理解できない様な顔をしていたが、確かにいくらファミリー向けとはいえ穴の多い映画ではある。登場人物は類型的で描き込み不足だ>>続きを読む
私は前作『アントマン』を観ていない。その為、ピム博士とその娘が主人公に対し、「おまえがドイツでしでかした事は絶対に許さん!」と怒っている理由がよく分からなかった。おそらく借金の踏み倒しとか車の当て逃げ>>続きを読む
本作は、空前の大ヒットとなった『バーフバリ』の原点と言われているらしい。私は『バーフバリ』を未見の為、詳しく分からないのだが、おそらくホメロスをモチーフに権力と愛をめぐる闘争を描く過去パートの事を指し>>続きを読む
わが国では、子供の産めない人間は非生産的な存在という事になるらしい。なるほど、国家の存続の為には労働者が必須な訳だから、その労働者を生産する出産や育児もまた、生産活動の一形態と言えるだろう。その様な観>>続きを読む
ブライアン・デ・パルマ監督によるシリーズ第1作からはや22年。監督や共演者が交代していく中で、トム・クルーズ演ずるイーサン・ハントは相変わらず、ハリウッドを代表するアクションヒーローとして存在し続けて>>続きを読む
まず、冒頭の30分ワンカットのゾンビ映画が上手くできている。近年は、CG技術の発達により擬似的なワンカット撮影が多用される様になったが、このワンカット撮影にはメリットとデメリットがある。
①観客の体感>>続きを読む
ここ最近、ハリウッドではトランプ政権下の排他主義的な社会風潮に警鐘を鳴らす作品が次々と撮られているが、その中に新たな秀作が加わった。1973年に実際に行われた、女子テニスの世界チャンピオン、ビリー・ジ>>続きを読む
とあるインタビューで、監督はインスパイアされた作品として『キル・ビル』や『ランボー』を挙げているが、最も影響されたのは西部劇、それも『女ガンマン/皆殺しのメロディ』に代表されるマカロニ・ウエスタンだろ>>続きを読む
幼少時に誘拐され、監禁生活を続けていた主人公が25歳になって遂に解放される。まるでレニー・エイブラハムソン監督『ルーム』の様な設定だが、本作はここから思わぬ方向へと舵を切っていく。狂った誘拐犯は、外部>>続きを読む
この映画に対し、犯罪を肯定しているだとか何とか、的外れな批判が一部で見られる様だが、そうしたヘイトまがいの言辞を繰り返す人々は、本作を観ていないか、もしくはフィクションというものをまるで理解できない輩>>続きを読む
舞台はフロリダ州キシミー。ディズニーランドの周辺には観光客を目当てに多くのモーテルが建てられていたが、サブプライムローン危機以降に広がった貧富の格差のせいで、モーテルはいつしか住宅を持つ事も借りる事も>>続きを読む
本作が『さらば冬のかもめ』の精神的続編として構想されたと聞き、なるほどと思った。盗みを働き海軍刑務所送りとなった新米兵と、彼を護送する任務を負った2人の海軍士官の友情を描く『さらば~』において、彼らの>>続きを読む
寿司を握る場面と腎臓移植手術の場面が素晴らしい。まず、ストップ・モーション・アニメでこんなシーンを入れようと考える事自体が異常だし、肉体に刃物を入れる描写のリアルさにはエロスさえ感じさせる。ウェス・ア>>続きを読む
そもそも、本作の主人公デッドプールは不死性をその特性として持っている。これは、アクション映画のヒーローとしては、なかなか扱いづらい能力だ。何しろ、どれほど激しいアクションシーンが繰り広げられたとしても>>続きを読む
自らを”レデイ・バード”と名乗る女子高生クリスティンは、進路をめぐる言い争いに興奮するあまり、母親の運転する車から飛び降りてしまう。この冒頭シーン以降、彼女の右腕にはピンク色のギブスがはめられ、映画の>>続きを読む
50年代の英国オートクチュールの世界を舞台に、偏屈なドレスデザイナーと田舎のカフェウェイトレスの愛を描く。しかし、本作はこの設定から想像する様な、田舎者の娘が華やかな都会暮らしの中でレディになっていく>>続きを読む
この作品は、『アイ・トーニャ』とセットで観て欲しい。どちらも実話をベースにした作品であり、男性優位の社会で苦闘する「悪女」たちの姿を饒舌な台詞回しで描いている。自らの才覚で頂点を極めた女性がスキャンダ>>続きを読む
神戸映画資料館にて、井上正昭氏の解説と共に。ジガ・ヴェルトフにとってのリアリティが、単に現実をカメラで写し取るだけではなく、作り手の意図に基づいた編集を施す事によって生み出される、あくまで映画的リアリ>>続きを読む
ここには、3つの死がある。メドガー・エヴァース、マルコムX、マーチン・ルーサー・キング。いずれも、1960年代の公民権運動において、黒人の地位向上に努めた活動家達である。ジェームズ・ボールドウィンは、>>続きを読む
本作は、関係者のインタビューパートとその再現ドラマパートで構成されているが、実際はインタビューの場面も再現ドラマに出演している俳優たちが演じており、フェイクドキュメンタリーの色彩が濃くなっている。イン>>続きを読む
社会派ドラマの傑作『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』から立て続けに公開されるスピルバーグの新作は、打って変わってビデオゲームをテーマにしたSF娯楽大作である。全編を通じ、おびただしい数のアニメや>>続きを読む
何とも意地の悪い作品である。冒頭のインタビューシーンから一貫して現代美術を茶化し続けているのだが、この批判精神は美術を通り越して、現代社会に生きる人々の欺瞞をあぶり出す。その欺瞞とは、簡単に言えば「見>>続きを読む
「家族」「正義」「海」の三幕で構成される本作は、凶悪なテロ犯罪により家族を失ったダイアン・クルーガーが、魂の救いを求めて彷徨する姿を追う。二幕目の緊迫感あふれる法廷劇や、三幕目のサスペンスフルな展開を>>続きを読む
前作『パシフィック・リム』発表時の興奮と実際に映画を観終わった時の「ま、まあ…」という微妙な空気は今でも印象に残っている。ギレルモ・デル・トロに絶大な信頼を寄せる映画ファンは、そのオタク趣味が爆発>>続きを読む
クラシック映画の手法を完コピしながら、そこにアクチュアルなテーマを盛り込むトッド・ヘインズの新作は、1977年と1927年のNYを交互に、しかも全く異なる映像で描くという離れわざ。鮮やかな色彩とざらつ>>続きを読む
スピルバーグが他の作品を後回しにしてでも、この作品の公開を急いだ理由、それは現代に生きる人々であればすぐに察しが付くはずだ。何しろ、どこぞの国の大統領や総理大臣は、自政権に不都合な報道をするメディア>>続きを読む
1992年、独立直後のグルジアでは政情不安と生活苦で、人々は不満を募らせている。社会変革や自由を求める人々と、旧来からの伝統や風土を守り通そうとする人々との対立も顕在化し始めていた。
こうした不満や対>>続きを読む
パリへ向かう新幹線の車中、ショットガンを持ったテロリストに丸腰で立ち向かい、多くの乗客の命を救った3人の男たち。彼らはフランス大統領から勲章を授かった後、母国アメリカへ戻りパレードでその英雄的行為を称>>続きを読む
冒頭、イグアスの滝の荘厳な景色が映される。衣料会社の社長であるオルランドは、トランスジェンダーである歌手マリーナへの誕生日プレゼントとして、このイグアスの滝への旅行を提案する。しかし、この約束が果たさ>>続きを読む
地面に立てたバットにおでこをくっつけ、そのままぐるぐると回転した後に全力疾走する。この様なお遊びに芸能人が興じているのをTVのバラエティ番組で皆さんもよく見る事と思う。実は、本作のクライマックスはそれ>>続きを読む