ウシュアイア

キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Seriesのウシュアイアのレビュー・感想・評価

4.4
旅人キノがしゃべるオートバイ(モトラド)エルメスとともに世界の様々な国を旅するファンタジー。

20年以上前からシリーズになっているライトノベル原作。(原作未読)

キノが旅する世界は、中世ヨーロッパのように一つの城郭都市で一つの国をなす国が点在する世界。旅をする理由や目的は明らかにされていないが、キノは滞在時間3日の中でそれぞれの文化や風習、社会システムをもつ訪問国の人たちと交流をしていく。一つの国のエピソードは長くて1話、短いと1話で3か国のエピソードが取り上げられる。また、キノが旅先で出会った青年シズもとある事情により安住の地を求めて旅をすることになり、シズの旅とキノの旅は時々交錯して話は進む。

人を殺すことが法律で禁止されていない国、訪問中の事が思い出せない国、善行を数値化する国、住民が傲慢で旅人から評判が悪い国などが出てくる。一風変わっているなと思うかも知れないが、自分の育った国の文化や価値観に合わないだけで、現実世界でもすぐに思いつくだけでも、ガムを道に吐き捨てただけで高額の罰金(以前は鞭打ち刑)が課される国や女性は目元以外黒い布で覆われる国、自衛のために銃をもつことが許されている国、外から食べ物を一切持ち込んではいけない国だってある。

現実にはあり得ない国が描かれているが、出てくる国やその住民たちは現実世界の何かのメタファーだったり、現実社会の問題提起になっており、良質なファンタジーと言える。話が短いため、星新一や筒井康隆のショートショートのような余韻をもたらしてくれる。まさにファンタジーとはかくあるべし。

サクサク見れるし、1話完結なので少しずつ味わいながら観てもいい。

やなぎなぎのふんわりとしたOP,EDは作風に非常にマッチしている。
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