令和の『名探偵コナン』『クレヨンしんちゃん』になるか。
言わずもがな、冷戦状態が続くヨーロッパ風の国を舞台に、凄腕スパイの男がミッションのため互いの正体に気づかずに殺し屋の女を妻にテレパスの幼女を養子に迎え入れたホームコメディの第3クール目。
娘・アーニャが優等生の勲章<ステラ>を8つ集めることが目標ではあるものの、第1クールで1個獲得して以来、ステラの獲得は一向に進む気配はなく、相変わらず堂々巡りの繰り返しである。ミッションのために作った偽装家族にいるうちに三人が本当の家族になっていくという話をコメディテイストで進めていくのが本作の本質であるため、実はステラの獲得は本質的ではない。だからステラ云々のクレームはナンセンスだ。
現状維持の終わりなき日常を描いて『クレヨンしんちゃん』と、次から次へと事件が起こる『名探偵コナン』のいいとこどりをして長寿シリーズにもなりそうな予感。しかも、黄昏のスパイという属性は設定上都合がよく、正体がユーリあたりにバレる、もしは黄昏とヨルが殺し合いにより家族は解散となり、成長して美少女になったアーニャとボンドが超能力を駆使して二人を探し出して終了するといった形でいつでも終われるようにもなっている。こんな風にいろんな意味で都合のいい作品は他にないだろう。
中盤の本クールのヤマ場、プリンセスローレライ号編もヨルさん視点の切り口ではあるものの予定調和で安定。ただ、プリンセスローレライ号で尺を使い過ぎたこともあって、たくさんいる魅力的なキャラクターは活かしきれていなかった気がする。
演出・作画・アニメーションともにやっぱり素晴らしい。
王様ランキングでも見せたWIT Studioの登場人物の表情の作画は随所で光っていた。