tak

地球外少年少女のtakのレビュー・感想・評価

地球外少年少女(2022年製作のアニメ)
3.8
うちの子が小学生だった頃。Eテレで放送されていたアニメ「電脳コイル」に僕がハマってしまった。高度なSF設定とハートに畳み掛ける少女たちの物語。
義父「これ、話わかるか?」
息子「よくわからん。でも面白い😊」
そーだろ、そーだろ。このマッドハウス製作のアニメを面白いと思ってくれなきゃ!さすが俺の子だ、と父親はほくそ笑んだのである。

その「電脳コイル」の磯光雄監督が手がけたSFジュブナイル「地球外少年少女」。配信はネトフリなのだが、NHKが地上波で放送してくれたので、すかさず録画。面白くって、全6話一気に鑑賞。宇宙ステーションあんしんを訪れた地球の子ども3人。彼らを迎えるのはステーションのスタッフと地球の人々に偏見を持つ宇宙生まれの子ども。そこに彗星とステーションが衝突する事故が起きる。ステーションのシステムがダウンする中で、彼らのサバイバルが始まる。

「電脳コイル」ではメガネ型インターフェイスだったのが、本作ではスマホのような操作画面が手の甲に浮かび上がる。まさにウェアラブルな端末を身につける未来。またステーションのあちこちに表示された企業ロゴの数々が、実在企業名をもじったもの。だから近未来の話なのに、現在と地続きの物語に感じられて面白い。オニクロ製の簡易宇宙服w。荒唐無稽なのに、あり得るかもと思える世界観がいい。

科学技術の暴走、機械と人間と昔から語られてきたテーマに落ち着くのかと思いきや、人もAIも学び次第という展開になっていくのに引き込まれた。進化したAIが巻き起こしたパニックではあるのだが、人間もAIも学習次第で行動や導く結論は大きく変わる。

表面的には難解な用語が飛び交う面倒な話ではあるのだが、突き詰めるとこれは成長物語。少年少女たちだけでなく、彼らが操るドローンロボットたち、騒ぎの原因となるAIも含めて新たな一歩を踏み出す物語になっているのだ。宇宙という外界を知らない地球人を"ゆりかご"の中にいる、と表現していたのが、ストーリーが進むにつれて、偏った学びをしているAIも外界を知らない"ゆりかご"の中にいるという表現が素敵だ。人もAIも学び続ける存在。

少年が抱えた不満が大きな事件につながってしまうという展開は、昔からよくある話ではある。個人的に、「ウルトラマンガイア」の劇場版はその傑作の一つだと思っている。本作は、その展開を現代的な視点でアップデートしたとも言える。

そしてこの騒ぎが地球にもたらした結果。ファンタジーと言われればそれまでだが、僕はこの結末、好きだ😊
tak

tak