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【推しの子】のtakのレビュー・感想・評価

【推しの子】(2023年製作のアニメ)
4.5
全11話完走。原作未読。今、僕の脳内でいろんな困惑が起こっている。その原因は、間違いなく、「推しの子」が掛け値なしに面白いからだ。

あれこれ見てきた今の年齢になってると、映画やアニメやドラマ見ながら、これまで見てきたいろんなものが脳内で勝手に結びついてくる。あれに似てるよね、でも期待を超えない、うーん既視感あるなぁ。大人たちが経験というアドバンテージを振りかざして、作品を評する時に使う言葉たち。逆に共感できず、ヤングの感覚(死語)についていけないと思ったら、おじさんにはわっかんねぇなーと逃げちゃえばいい。大人ってズルい。

僕も最初はこの流行ってるアニメをナメてた。美男美女キャラが出るだけの混みいった話だとしか思ってなかった。ところが初回の90分で度肝を抜かれたのだ。難病ものかぁ、ドライな台詞で笑わせちゃって、えっ?殺人ミステリー?、流行りの転生もの?、喋る不気味なベイビー、ネットの闇、青春、業界の内幕もの、猟奇殺人、そして復讐劇。あらゆる要素がてんこ盛り、目まぐるしく変わる演出テイストと怒涛の展開。僕のおじさんな脳髄がこの「推しの子」って作品をどこかにカテゴライズしようとするのだが、結論を出せずに困っているのだ。そして脳髄はこう結論を出した。

「どれにも似ていない。」

各話でテイストが変わるからそれぞれを深く考え、楽しみ、ケラケラ笑い、シリアスに社会問題を考え、ラブコメにドキドキして、手に汗を握る。1期最終話を終えてドキドキが止まらない。

初回や転生場面前後で使われていた"推しの子"という言葉が、11話の有馬かなのひと言「アンタの推しの子になってやる」で違うベクトルを示された時、背筋に電気が走った。
ああ、そうか、
好きになるってこういうことなんだね
どっかのアニソンの歌詞と同じフレーズが浮かぶw

アクアの冷静沈着なキャラが好き。登場人物それぞれを結びつけ、主軸のストーリーでは探偵役になる。女性陣では有馬かなが好き。自虐と自信と不安と信頼と疑い、そして恋する乙女が同居するめんどくさいヤツ。脇役では少年アクアを早熟と呼ぶ監督がいい。

それにしても恐ろしいのは、YOASOBIが手がけたOP曲「アイドル」。本編とリンクする歌詞、音が飛びまくるメロディを歌いこなすテクニカルなボーカル、1分29秒に怒涛の展開を見せつけるアレンジの凄さ。ルビーのキャッチーな魅力と、アクアの計算づくな思惑が楽曲で同居してるようだ。すげっ。

ちょっと気になるのはストーリー上でのインターネットやSNSの描写。アイが活躍していた時代と現在とで情報技術的な部分の時代の差があまり感じられないところ。いや、そんなところを気にするのはおっさん世代だからかもしれないな。

ともかく2期を座して待つ。
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