かつてシットコムドラマで一躍有名となったが、中年となった今は落ちぶれ、過去の栄光やプライド、僅かな人間関係、全盛期に稼いだ資産を頼りに暮らしているボージャック・ホースマンの、無様でありながらどこか愛おしい生き様を描く物語。
このアニメの主人公は、馬。
それも、ただの馬ではなく、元ハリウッドスターでリッチな暮らしをしているが、基本的に身勝手で自堕落。すぐに酒や薬物、女に走る上、被害者意識と思い込みの強さから、なかなか他人とうまく関係が築けない。そんな最悪の馬だ。
そんなボージャックを軸に、さまざまなキャラクターの人生が交差していくが、わたしたち視聴者は誰しもきっと、そのなかの誰かに自分を重ねてしまう。この作品を好んで観る人は、完璧な他人事としてこの物語を傍観することができないのではないか。
そう思うほどにリアリティに満ち満ちていて、胸がヒリつく作品。これからが楽しみなような、そうでもないような。