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キャロルの終末のmaのレビュー・感想・評価

キャロルの終末(2023年製作のアニメ)
5.0
「自分自身への借りを返す時です」

謎の惑星が地球に迫り、滅亡まであと7ヶ月の世界。やりたい放題の世間に馴染めず、やりたいことも見つからず彷徨うキャロルは、ある仕事と出会うことで生きる意味を見出していく。


ネトフリアニメは時々こういう傑作をしれっと出してくるのでやめられない。

ストーリーも良いが、構図がいちいち洒落ていて美しいので、グッズが欲しくなってしまう。本編のシーンのステッカーガチャなんてあったら引きまくってしまうと思う。


独身中年女性のキャロルの性格は、もうとっくに崩壊した銀行への借金を返そうと小切手を送り付けるところに表れている。真面目さも、終末への混乱も、好き勝手しようにもどうしたらいいのか分からない自分への焦りも。

10話かけて描かれる終末で、キャロルは世界を救うわけではない。偉大な冒険をするわけでも、何かを打ち倒すわけでもないが、彼女は彼女自身の人生を救い、周囲にいる人々の心をほんの少し照らした。

こんなにもやさしさに満ちた物語は久々に観たかもしれない。

胸がきゅっとなって、涙が滲むシーンはたくさんあったのだけど、最終話で皆の突発的な涙の理由がはっきりと明かされるところは、わたしも一緒に声を出して泣いてしまった(いま、思い出しながらまた泣いている)。


「ある従業員がふと同僚の姿を見た時
それは〝売掛金係〟ではなく
ブルースでした またはケイシー アマンダ
同僚を超えた友人です
近い将来 永遠に失うことが分かっている友です」
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