松峰が残した阿片の行方を追う雷蔵と、そんな雷蔵の行く手を阻むように現れる唐人街の劉。
そして、裏から利便事屋へ干渉しようと企てる長崎会所の宍戸と、彼に睨みを利かせる漁澤…。
長崎のどこかに隠されているという大量の阿片をめぐり、さまざまな人間の思惑が複雑に絡み合っていた。
事態が混迷を極めるなか、雷蔵は「碓心」の雅号で、墨絵師として初めて依頼の品を完成させる。
それは自らが死に追いやったゆいを描いたものだった。
雷蔵の作品を見た幽烟は、彼に、これまでの名と過去を捨て墨絵師・碓心として生きていく道を示す――。
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