長内那由多

パム&トミーの長内那由多のレビュー・感想・評価

パム&トミー(2022年製作のドラマ)
5.0
E1
1995年に起きたパメラ・アンダーソンとモトリー・クルーのドラマー、トミー・リーのセックステープが流出事件を描く。監督は『アイ、トーニャ』のクレイグ・ギレスピー。プライベートなビデオを盗んだ大工セス・ローゲンから物語を始めたのが大正解。面白い。
セス・ローゲン演じる大工はトミー・リーの豪邸の改築工事を担当するが、ロックスターの気まぐれ(=奇行)に翻弄され、復讐を誓う。ローゲンが最高。トミー・リー役のセバスチャン・スタンはE1の全編ほとんどをパンツ一丁で演じ、ウィンター・ソルジャーからイメージ刷新した。

E2
遡ってトミー・リーとパメラ・アンダーソンの出会いが描かれる。クレイグ・ギレスピーは『ラースとその彼女』『アイ、トーニャ』同様、眉をひそめたくなるような
人々をとびきりキュートに見せる。WSSも顔負けの2人の一目惚れ!…からのとびきり下品なモノローグに目眩。

E3
ラブリーなのにゲスい、エグいのに楽しいというセス・ローゲン、クレイグ・ギレスピーのテイストがたっぷり。セバスチャン・スタンとリリー・ジェームズもキュート。彼らの裏で着々と進行する裏ビデオ作成、流通販売網確保の過程がサクセスストーリー風なのも笑える。

E4
ゲスとクズしか出てこない中、セックステープが流出してしまったパメラ・アンダーソンの苦しみにフォーカスし、このドラマの本質が明らかになってくる。リリー・ジェームズは大胆なキャリアチェンジ。いつもそうだが、セス・ローゲンは汚れを一手に引き受けていて偉い。
僕の大好きな脇役俳優ニック・オファーマンがいつも通り息をするように自然な芝居のままゲスを演じていて、この芸風スゴいなぁと。

完走
おバカな発端部に笑っていたのも束の間、プライバシーの侵害、性加害へと事態はエスカレートし、肌を晒したために世間から軽んじられたパメラ・アンダーソンへ寄り添い、件のテープにも独自の解釈を与えている。シーズンが進む毎に幾つものレイヤーが増えて面白かった。
長内那由多

長内那由多