漱石枕流

神の雫/Drops of Godの漱石枕流のネタバレレビュー・内容・結末

神の雫/Drops of God(2022年製作のドラマ)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

この作品、なぜか海外での配信が先行して国内では数ヶ月遅れ。日本が主体の映像化に見えるのに、なぜ? ひとつ考えられるとすれば、Huluは先に海外での反応を見てから宣伝プランを組み立てたかったのではないか。

まあそれはともかく、作品そのものはかなりそそられる内容だった。私は原作も国内ドラマ版も知らない上に、そもそも下戸でアルコールはまったく飲めない性分なのに、E1から引き込まれて目が離せなかったのだ。

父親が世界的なワインのスペシャリストで、8歳の娘にスパルタ教育を施す——この辺はいかにも漫画。こういった設定で実写を撮るとチープに感じることがあるのだが、この作品に関してはそういうものはまったくなかった。

さらに回を追うごとに、どんどんおもしろくなる。最終回はもはや楽しみなのを超えて観るのが怖いくらいだった。でも、あの結末は疑問を残しつつも、おおよそ納得できた(詳しくは下のネタバレP.S参照)。

ワインに興味がないひと、あるいはまったく逆に詳しいひと、そして原作の大ファン——といった方々だと感想は違ってくるかもしれないが、私は気に入った。

ぜひS2を期待するが、その願いが叶わなかった場合は原作を読もうと思っている。

[ドイツ語吹替音声+日本語字幕]2023/11/13-20 Apple TV+


P.S カミーユが遺産を二分して一青にゆずるあのラストは痛快だった。アレクサンドルには私も腹が立っていたからだ。彼女が父親に下した結論は「あんたの遺産は継いでやるけど、意志は継がんよ」といったところか。

ただ、その一方で「では彼は結局なんのためにふたりを対決させたのか?」についてはよくわからなかった。もしかして、あの結末を見越した上での対決だったか? だとしたら、ふたりは釈迦の手のひらの悟空だったことになるが。

ただ現実的に考えると、はじめから遺産を二分することは可能だったと思う。相続に関する日本の法律では、そうなっているからだ。ただ父娘が外国人で、さらに一青は婚外子なので、このケースでも適用されるかわからないけど。

ちなみにその一青の件に関しては、キャスティング的に無理があるかなと思った——つまり、山Pがフランス人ハーフには見えない!(笑) まあ、たしかに彼は典型的な日本人の顔立ちではないけれども、肌の色が・・・

あともうひとつ現実的に考えると、E8で一青が実の親の件をカミーユに話し、彼女がすんなり受け入れる。これも変かもしれない。

ドラマ上それが気にならないのは、ふたりとも遺産に執着していないから。もちろん観ている側がそれが事実だと知っている、という理由もある。

E3でわずかに残ったワインを味見するシーンがある。このエピソード自体はとても面白かったのだけど、そのまま客が使っていたグラスに垂らしたのには、ちょっとびっくりした。たった数的でも私なら洗浄済みを使うだろう。
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