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ガンニバルのmatchypotterのレビュー・感想・評価

ガンニバル(2022年製作のドラマ)
4.3
これ、こんな話だったのか。
もっとTWD的な話かと思ってた。
コミックも読んだことがないからまったくの前情報ナシ。

そういう意味では良い意味で予想を裏切られて、のめり込んで想定以上にサクサク観てしまった。
コミック観ないと何だかよくわからない〜みたいなのはほとんどない。

7話構成だから、めちゃくちゃ端折られて、次々いろんなことが起きてわけわからんお祭り騒ぎかと思ったら。
なんかよくわからないけど7話にそれなりにキチっと収まってて、それでいて焦ってる感じもなく。

じわりじわりと物事が起き、溜める時は溜め、ガッツリ行く時はガッツリと衝撃を。

いわゆる“人喰い”。
そして、そんなおぞましく、厄介な風習を持つ、市街と断絶された孤島のような内陸の村。

そこに、“ワケあり”刑事が駐在として家族ごと赴任。
どうやらその前任の駐在が失踪して後釜が空いていたらしい。

ということで赴任するも、村。村社会。村のルール。村の掟。
明確に定められているものではないが、近所付き合いから、噂話から、日々の行動から。

何から何までが狭い村の閉鎖的で排他的な文化で生きてきた人だけでできあがっている村の人間との鍔迫り合い。

この駐在、柳楽優弥。こいつもこいつで“ワケあり”の過去からずっと彼は彼で荒い。荒ぶる駐在。
彼がこの村に混じることで不協和音が響き始め、今まで村人が気付いていたけど絶対に触れてこなかった暗黙の“ブラックボックス”の蓋が開く。

“後藤家”、村の有力な名家。
代々その土地を納め、実質的に村を統べていて、他の村人はなぜだかあまり触れようとせずに壁を作って均衡を保っていた。

その村社会の妙な空気、違和感が沸々と、どくどくじわじわと溢れ出てくる。
この駐在一家も最初は「村とは、そういうもんだ」と割り切って馴染もうとするも、何かに馴染めたように思うと、また別の違和感や出来事が起こる。

そして、ついに、この駐在が前の駐在の失踪の謎に辿り着き始め、後藤家がそれに気付いて近づいて本性を見せ始め、、、。

“あの人”、“あの人”の登場がかなりここぞとばかりに限定されている。
だからか、かなり人間ドラマとサスペンス、ミステリーにフォーカスされていて、意外とアクロバティックなCG系アクションが少ないから普通に話として引き込まれる。

そして、柳楽優弥の妻、吉岡里帆、めちゃくちゃ良い。いわゆる、姉さん女房。姐御、的な。
このどっしり構えた感じというのか、荒くれ駐在の柳楽優弥ですら逆らえないキャラクターだが、彼女は彼女で柳楽優弥に頼る部分も多い。

この2人の持ちつ持たれつ二人三脚の夫婦仲がとても良い雰囲気だった。

一枚岩で仄暗い“何か”をひた隠す後藤家ですら、お家内で不信感募らせる。
もともと不穏な空気を身に纏う彼ら彼女らがもっと不穏な感じになる。

この話は、誰が、どこまで、何を、いつ、どうするのか、がなかなか読めないので先の展開がとてもワクワクした。

そして、この村社会、本当に生きづらい。
こんな事をこんな風に露骨に極端に描いてしまったら都心から地方に移り住む人が減るんじゃないか。

少なくとも悠々自適に自然と生きることに憧れた地方の田舎の生活は幻想だったのかと思ってしまうレベルで、息が詰まる感じの演出が凄まじかった。

7話で比較的観やすく、思って以上に面白くて満足。

でも、後藤家には生まれ落ちたくはない。

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TSUTAYA DISCAS運営の映画コミュニティサイト「Discover us」にて同アカウント名でコラムニストをさせて頂くことになりました。
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別視点で色々映画について書いていこうと思います!ご興味ある方は是非お待ちしております!
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